「坪」とは、日本で古くから計量に使用されている「尺貫法」に由来している面積の単位です。しかし、尺貫法は昭和34年に商取引で使用を禁止されています。とはいえ今なお不動産業界などでは、慣習として土地や建物の面積を表す単位として用いられていることも事実です。
ここでは、「平米」「畳」との違いや計算方法について説明していきます。
「坪」とは、「尺貫法」での長さの単位である「尺」で表すと、1辺6尺の正方形の面積を1坪としています。また、「1尺」は現在の長さで、およそ0.303mです。つまり、1坪は1辺6尺の正方形ですので、0.303mの6倍、約1.818mとなります。
よって1坪は、約1.818mの2乗ですので、3.305…㎡です。
もし、平方メートル(平米)で示されている面積を坪数に直すであれば、3.305で割ることで坪数を計算できます。例えば、100㎡であれば、坪数は100㎡÷3.305=30.25坪となるのです。
反対に、坪から平方メートルに直す際には、3.305をかけることで計算できます。例えば、50坪であれば、平米数は50坪×3.305=165.25㎡です。
建設業界では家を建てるとき、建物の本体が1坪いくらかかったかを比較する際に「坪単価」を用います。土地や建物の価格を正確に比較したい場合には、この「坪単価」を用いることが一般的です。
ただし、「坪」という単位自体は、建築基準法などでは使用されていません。そのため、建設業者や工務店でも計算方法が一律ではない点に注意が必要です。あくまでも目安として使われていることを把握しておきましょう。
一般的に、建物部分の坪単価を算出する計算式は、次の2通りです。
ここでいう「延べ床面積」と「施工床面積」とは、以下の意味合いで使われています。
知る必要があるのは「延べ床面積」の坪単価なのか、「施工床面積」の坪単価なのかによって、使われる計算式が異なるという点です。
例えば、物件の売買価格を知りたいときには「延べ床面積」での坪単価で計算されます。3,000万円で販売されている延べ床面積が50坪の物件は以下の計算式となり、「坪単価=60万円」とわかります。 3,000万円÷50坪=60万円
「坪」「平米」以外に面積を示す単位として「畳(じょう)」も使われます。「畳」とは、文字通り「たたみ」1枚の大きさです。「畳」は「坪」「平米」より、大きさをイメージしやすい利点があります。
一般的に、畳2枚分が1坪といわれてきました。しかし、実際には2畳は1.824㎡×2=3.648㎡となり、下の表を見ると1坪より大きいといえます。
以下は、坪・平米・畳の換算表です。あくまでおよその数値なので参考として確認しておきましょう。
また、平米数、畳数については、以下の通りです。
例えば、「80畳」といえば、およそ1.824㎡×80畳=145.922㎡、0.5517坪×80畳=44.13坪です。 「75㎡」といえば、およそ0.5482畳×75㎡=41.11畳、0.3025坪×75㎡=22.69坪と計算されます。
異なる単位で表現されている場合には、このような早見表などを使い、大きさをイメージできると便利でしょう。
畳の大きさについて、地域によって大きさが異なることに注意する必要があります。主に、以下のように4種類に分類されます。
現在、エリアに関係なく建設業者によって採用される畳の大きさはまちまちです。そのため、畳数でイメージすると意外と広かった(狭かった)といったことが起こり得ますので、平米数で部屋の広さを認識しましょう。
ただし面積表記で使用する場合、不動産公正取引協議会において一畳を「約1.65平米」で計算することが決まっています。そのため、現在は畳表記の物件や土地がエリアによって大きさが異なることは多くはありません。
また、設計単位を「メーターモジュール」といって昔の「尺」(約90㎝)ではく、1m(100cm)を基本単位として設計している建設会社もあります。そのため、従来からの設計で採用されている「尺モジュール」より、およそ9cm長いため、廊下・階段・浴室・洗面所やトイレなどが広くなっているケースがあるようです。
また、和室の畳および、ふすまなどのサイズが合わないという事態に陥る前にチェックしておく必要もあります。従来の工法では、尺単位で柱をベースに建築され柱を立て壁を設置するため、柱や壁の厚さにより若干広さが変わることがあることは覚えておきましょう。
世帯人数に適した住まいの面積は、どれくらいなのでしょうか。この疑問について、国土交通省の「住生活基本計画」では、一般的に必要とされる面積を「単身者で25m2、2人以上の場合で10m2×世帯人数+10m2」と定義づけています。
しかし、これはあくまで一般的な話であり、「都道府県」や「生活水準」などによっても変わってくるでしょう。そこで、同じく国土交通省は以下のように複数の水準を想定し、それぞれに必要な面積を定義づけています。
(参照:https://www.mlit.go.jp)
(注)
世帯人数において、3歳未満の者は0.25人、3歳以上6歳未満の者は0.5人、6歳以上10歳未満の者は0.75人として算定。また、これらにより算定された世帯人数が2人に満たない場合は、2人とする。
世帯人数(注1の適用がある場合には適用後の世帯人数)が4人を超える場合は、上記の面積から5%を控除。
次の場合には、上記の面積によらないことができる。
単身の学生、単身赴任者等であって比較的短期間の居住を前提とした面積が確保されている場合。
適切な規模の共用の台所及び浴室があり、各個室に専用のミニキッチン、水洗便所及び洗面所が確保され、上記の面積から共用化した機能・設備に相当する面積を減じた面積が個室部分で確保されている場合。
上記のさまざまな水準をまとめると、おおよそ以下のような面積が必要であることが分かります。
「1人暮らし」「2人暮らし」「3人暮らし」での必要な坪数について、それぞれ詳しく解説していきます。
1人暮らしでの必要な坪数は、以下の通りです。
(参考:https://www.mlit.go.jp)
国土交通省の示した最低居住面積水準では、単身者25㎡(約7.5坪)と記されています。25㎡は1人暮らし向けのワンルームや1Kの広さに相当します。賃貸物件として1人暮らしでは7畳が人気であり、ソファなどをおきたいと考えている人は、8畳以上あったほうが快適でしょう。
また、地方で生活をする場合は、より広い50平米(約16坪)以上あることが一般的なようです。
国土交通省が示した「誘導居住面積水準」によると、2人暮らしについては、以下のような水準であるようです。
実際、2人暮らしの間取りでは1Kではさすがに狭く、部屋数は多いにこしたことはないものの、1LDKまたは1DKの間取りが欲しいと考えている人が多いです。面積でいうと、1LDKなら38~45㎡(11.5~13.6坪)、1DKなら32~35㎡(9.6~10.6坪)となります。
郊外や地方での生活となると、75㎡(22.7坪)ほどが一般的な水準であるようです。
3人暮らし以上についても、2人暮らし同様の計算式で、以下のような結果になります。
例えば、4人家族であれば都市部では95㎡(28.7坪)、郊外では125㎡(37.8坪)となります。4人家族の場合、同居する子どもの年齢や介護が必要な親の状況などによって間取りが変わってくるでしょう。
例えば、子どもが小学校に通う前であれば、子ども部屋についてはあまり考えなくても不便を感じることはないですが、中学生や高校生となれば子ども部屋もそれぞれ必要になるため、3LDKの間取りが相応しくなります。3LDKは、面積で示すとおよそ70㎡(21.2坪)ほどになります。
今回は「坪」について、また1人暮らし、2人暮らし、それ以上の家庭で快適に過ごせる坪数について説明しました。
「坪」とは、日本で古くから使用している「尺貫法」から生まれた面積の単位です。現在のメートル法で換算すれば、3.305㎡となります。現在では、商取引では使用できない単位ですが、不動産や建築業界では今なお使用されています。
「坪」以外にも「畳(じょう)」といった文字通り「畳(たたみ)」1枚の大きさで表す面積の単位も、よく使用されます。1坪は1.812畳であり、1畳は0.5517坪と換算することが可能です。ただし、畳の大きさが地方によって異なるので注意しましょう。
また、同居する家族の人数に適した居住面積を、国土交通省が誘導居住面積水準として発表しています。
物件を探す際や、マイホームを購入する際などには、この記事を参考にして、家や部屋の広さについて把握できるようにしておきましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。