実際に家を購入した人は、どのようなタイミングで家を購入していたのでしょうか。
国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」によると、家を初めて買う世帯主の年齢は、次の通りです。
どの物件であっても、初めて家を買う人の比率は、30〜40歳代が高くなっています。
家を買うと決めたら、マンションと一戸建てのどちらを購入するのか、迷うこともあるでしょう。両者には大きな違いがあるため、自分に向いている物件を適切に選ぶことが重要です。ここでは、それぞれの特徴と向いている人について解説します。
まずは、それぞれの特徴について、以下の通りです。
では、どのような人がマンションに向いており、一戸建てに向いているのか、以下で詳しく解説していきます。
マンションを買うのが向いている人は、制約が多くても交通利便性の高さを求める人です。
マンションは、主要な駅の周辺に建つことが多いため、会社や学校までの移動がしやすいという点が大きなメリットです。共有部分のメンテナンスなども管理も、マンションなら管理組合がしっかりしているケースが多いので、その点においても利便性が高いといえます。
また、マンションの資産価値は一戸建てより低下しにくいため、節税効果も高いメリットがあります。
一戸建て住宅を買うのが向いている人は、高い自由度を求める人です。
駐車場があれば車を所有でき、ペットも飼えるなど、ライフステージに合わせて自由に暮らし方を変化させることができます。リフォームやリノベーションを行う際にも、比較的自由に設計できるため、数十年と住み続ける場合にも安心でしょう。
自由度が高く、自分の家を自分で管理したいという人には、一戸建てがおすすめです。
家を買う際には、多額の資金が必要です。そのため、一般的には自己資金と住宅ローンを組み合わせて資金を用意します。そのうち、自己資金は全体の3割以上を準備するのが一般的です。また、住宅購入には購入資金の他にも、諸費用が必要です。購入時には、忘れずに準備しましょう。
住宅ローンの借入額を決める手順には、以下の3つのステップがあります。
返済負担率とは、年収に対するローンの返済比率のことです。計算式は、以下の通りです。
返済負担比率=すべてのローンの返済額÷年収×100
住宅ローン以外にもローンを契約している場合は、その返済額も含めて計算します。
適正な返済負担比率について、フラット35では以下のように定めています。
引用:フラット35
フラット35とは、全国の民間金融機関と住宅支援金融機構が提携して取り扱う住宅ローンです。金利は、全期間固定の金利タイプとなっています。融資の際の審査は、民間の金融機関の審査ほど厳しくないといわれていますが、その分固定金利が高めになっているのが特徴です。
住宅ローンの返済期間は、月々いくら返済していくかの金額に併せて設定します。また、返済を完了する年齢によっても決められます。例えば、フラット35では次のいずれか短い方を返済期間の上限としています。
返済期間ぎりぎりまで借りるか、期間を短縮して借り入れするか選択できるため、自分のライフプランに応じて設定しましょう。
住宅ローンの金利には、以下の3つがあります。
この3つは、それぞれメリットとデメリットがあるため、借り入れの際にはしっかり検討して選択しましょう。金融機関ではフラット35のほかに、固定金利や変動金利のローン商品を取り扱っていることが多いです。
今後の金利動向により、返済額が変動するリスクも考慮して、自分に合ったローン商品を選択しましょう。
家を買うときには、物件の購入費用だけではなく、さまざまな諸費用が必要です。諸費用は、購入費用全体の1割程度を見込んでおくようにしましょう。
具体的な諸費用は、以下の通りです。
また、購入する物件が中古物件である場合は、別途リフォーム費用などの修繕費がかかる場合もあります。
家を買う際には、同じ場所に長く住むケースと、将来売却するケースを考えて、立地条件を吟味する必要があります。
家の立地条件は、物件の資産価値に直結します。家の資産価値を維持するために吟味するポイントは、以下の通りです。
家を購入する際に、通勤や通学で利用する鉄道やバスなどの公共交通機関の利便性は、重要なポイントになります。交通インフラが整っているかどうかは、日々の生活に直結することなので、よく考えて納得の上で選びましょう。
また、自家用車を使う際にも、幹線道路に近いか、高速道路のインターチェンジが近いかなどを確認しておくと良いでしょう。将来売却する際の価格にも、立地は大きく影響するため、注意しましょう。
暮らしやすい環境を選ぶ際には、商業施設までのアクセスも重要です。買い物できる場所が近くにあるか、近くになくても公共交通機関を使えばアクセスがしやすいかどうか、確認すると良いでしょう。大きな施設だけでなく、コンビニなど、身近な場所に生活必需品が購入できるところがあるかどうかも大切なポイントです。
商業施設には、衣食住に関わるものがひとつの場所で手に入るという利便性があります。また、医療機関や保育所、キッズ用の遊戯施設などが入っている商業施設もあります。大型の商業施設ではなくても、小規模なものでも良いので、自宅近くにひとつでもあると暮らしやすくなるでしょう。
今は商業施設が近くになくても、将来的に建設予定があるなど、開業が見込まれる施設があるかどうかなどの情報収集も大切です。
子どもがいる家庭もしくは、今後子どもがほしいと思っている家庭の場合、子育て環境が充実しているかどうかもポイントです。近くに保育所や学校、公園など、子どもがいる家庭にとって必要な施設があるかどうか、調べておきましょう。学童施設・塾・スイミングなどのスクールや公園などの施設も確認すると良いでしょう。
もし近くになくても、そうした施設にバスや電車で安全に通えるかも重要なポイントとなります。また、町の雰囲気が子どもの教育上、良いかどうかも気になるでしょう。町中に子どもの姿が多く見られるところは、子育てしやすい環境であったり、子どもを持つ家庭が多かったりするエリアであると想像できます。
さらに、子どもを見守る大人たちがいるか、町会による防犯対策がしっかりしているといったことも検討材料にすると良いでしょう。また、公園のトイレの清潔さや、バリアフリーなども確認しましょう。
交通の利便性などに差がなければ、自然環境の多いところを選ぶのも良いでしょう。公園も良いですが、畑や河川敷、小さな里山などがある地域も良いでしょう。緑があり、四季折々の風景が楽しめると、心に余裕ができます。
また、子育ての環境としても良く、自然の中にある生き物や草花は、子どもにさまざまな刺激を与えてくれます。
現在の利便性はいまいちでも、再開発の可能性があり将来便利になるため、地価の上昇が見込まれる土地であれば、資産価値は高まります。
そのため、将来的にそうした再開発の予定が立っているかどうか、確認するようにしましょう。駅やインターチェンジができれば、交通の便が良くなります。
また、大型の商業施設ができる予定があるなら、人口の増加や賑わいが生まれる一方、交通渋滞が起きやすくなるほか、騒音やマナー違反といった問題も発生しやすくなります。
再開発については、不動産業者や市役所などから情報を得ることができます。
その他の条件は、個人によってさまざまなポイントがあるでしょう。
例えば、親の介護が必要な場合は、親の住む家に近い方が何かあったときに安心できます。また、趣味で通う場所や通院する医療機関へのアクセスが容易かなど、個人的に重視する要素はさまざまなので、何を優先すべきか考慮し、検討していきましょう。
今、その心配がなくとも、5年後、10年後、20年後には、自分や家族の介護・療養が必要となるかもしれません。将来の状況変化を想定し、購入先を吟味しましょう。
せっかく手に入れたマイホームですが、残念ながら家を買ってから後悔したという声を聞くことがあります。できれば購入前に知っておいて、後悔しないように対策を練っておきたいところです。
よくある後悔したポイントは、以下の通りです。
それぞれを確認していきましょう。
家を買う際には、将来の家族構成を想定しますが、家族構成が変わって間取りを変える必要がでてくることもあるでしょう。子どもの数が増えて家が手狭になったり、子どもが独立して空室ができたりするなどで、使用する部屋の構成が変わります。
また将来、親の介護が必要になった場合は、今は別居していても近くに居てもらった方が安心できるという理由から親と同居することがあるかもしれません。その場合は、部屋を確保しなければなりませんし、バリアフリー化も必要でしょう。
デザイン性を重視して段差のあるスキップフロアにしたが、足が悪くなってからは階段が多くて不便を感じたとか、車椅子が動かせないといったこともあり得ます。子どもが勉強をしていてもリビングから目が届くように設計したが、思春期になり子どもが嫌がったなどというケースもあります。
すべてを想定しておくことは難しいですが、将来の家族の姿をできるだけ想像しておく必要があります。
隣人トラブルが起こるかどうかは、住んでみないとわからないため、あらかじめ想定しておくというのも難しいところです。隣近所の声や楽器などの音が大きいとか、ペットの飼育マナーが悪い、挨拶をしないなどの情報は、仲介する不動産業者も把握していないかもしれません。
中古物件を購入する際、そういう事態を察知するには、前の持ち主に聞くのが一番です。また、前の待ち主に尋ねることが難しい場合は、近所の人に話を聞くなどして情報を集めるようにしましょう。
新たに家を建てるときにも、できるだけ周囲の人から情報を集めることが大切です。近隣の方への挨拶や、ゴミ収集所の貼り紙などから、感情的なやり取りやルール違反が多いのかなどを垣間見ることができるかもしれません。
家を早く買いすぎたと感じることもあります。先述した、国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」によると、家を初めて買う世帯主の年齢は、30代と40代が多いですが、20代で買うケースもみられます。それは、20代で購入すれば、後で買うより返済も早く終わるというメリットがあるからです。
ただし、20代では将来結婚する際や子どもができたときの子育てに予定外の費用がかかることがあり、当初想定していたより収入が減って返済が難しくなることがあるかもしれません。
また、若い時期にせっかく家を買っても、転勤が多かったり転職が決まったりすると、見込んでいた収入が得られないかもしれません。
その場合には、家を売却したり、貸したりするなどして、早めに対策を検討しましょう。
家をはじめて買う世帯主の多くは、30代から40代という調査結果があります。家を買うことは、一生に一度という人もいるくらいのビックイベントのひとつです。そのため、しっかりと情報収集を行い、準備をしてから購入するようにしましょう。
また、購入にかかる費用が大きいため、買う物件や立地条件の吟味、住宅ローンの比較まで、検討すべき点がたくさんあります。購入した家に住んだ後の資産価値まで考慮できれば、後悔する可能性は少なくなるでしょう。良質な住環境を求めるとともに、想定されるトラブルへの対策も検討しておきましょう。
この記事を、家を買う前の参考にしてもらい、失敗のない買い物にしていきましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員 「プリンシプル 住まい総研」所長 住宅情報マンションズ初代編集長
1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。
プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。