築50年にもなった家は、古くて売れないと考えている人も多いでしょう。確かに、築浅の物件に比べると売りにくい傾向はありますが、築50年であっても売れないわけではありません。とはいえ、売りにくいことには変わりないので相場の把握や売る方法・注意点などをしっかり押さえておくことが大切です。
この記事では、築50年の一戸建ての売却相場や売却方法・注意点について、詳しく解説していきます。
築50年の一戸建ての場合、基本的には建物の価値はほぼゼロと見なされ、土地の価格での売却となります。建物は、経年劣化により資産価値が低下するという特徴があります。また、耐用年数を超えた建物は資産価値が0円と評価されるのです。
耐用年数は建物の構造によって異なりますが、一般的な戸建てである木造の場合は22年と法律で定められています。そのため、22年を超えた木造の建物は資産価値が0円となってしまうのです。
国土交通省の「中古住宅流通・リフォーム市場の現状」によると、木造戸建て住宅は新築時の価値を100%とすると築5年で約80%、築10年で60%と減少していき、築20年を超えると約10%まで減少し以降は緩やかに低下していくことがわかります。
一方、土地は経年劣化で資産価値が減少するものではありません。市場により多少の上下はありますが、所有年数が長いからと言って大きく価値が減少することはないでしょう。反対に、エリアの需要によっては土地の価格が上がる可能性もあるのです。
このような理由から、築50年の一戸建ては建物の価値は0円で、土地の価格で評価されるケースがほとんどになります。
築50年の戸建てであっても、次のようなケースは建物に資産価値が付く可能性があります。
適切に維持管理され、リフォーム・リノベーションを施された家であれば、老朽化を感じられる購入後も大きな修繕が必要ないことから資産価値が付く場合があります。また、古民家に該当するような日本の伝統的な家屋であれば、一定の需要があることから価値が付きやすくなります。
このように、築年数だけでは価値を判断できない部分もあるので、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
築50年の家の売却を検討しているなら、まずはいくらで売れるのかを把握しておくことが大切です。売却価格を調べるなら、複数の不動産会社に査定依頼して価格を比較するのがよいでしょう。
最初から1社にのみ絞って査定すると、たまたまその1社が他よりも安い査定額になる可能性もあります。反対に、高値を付ける不動産会社の可能性もありますが、査定額の高さだけで判断すると売れ残りなどのリスクも高くなるものです。複数の不動産会社の査定額を比較すると、ある程度の価格帯でおさまってくるので適正価格も分かりやすくなります。
また、査定時には価格だけでなく不動産会社の実績や担当者との相性もチェックする必要があります。築50年の家は販売が難しく、築古の不動産を得意としている不動産会社でなければなかなか売れない可能性があります。売れるにしてもある程度長期戦になるものでもあるので、その期間信頼して任せられる不動産会社や担当者かも見極めることが大切です。
不動産売却の基礎知識や不動産会社の選び方に関して詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
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築50年の一戸建てを売却する方法としては、主に次の5つがあります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
築50年であっても、リフォームやリノベーションすることで新築同様の状態にきれいにすることが可能です。そのままの状態では売りにくくても、リフォームされた状態なら買い手が付きやすくなります。最新の設備を備えるなど、最近のニーズに合わせたリフォーム・リノベーションを検討してみましょう。
ただし、築50年の家をリフォームするとなると、修繕個所も広範囲となり高額な費用がかかります。場合によっては、建て直しを検討したほうが費用を抑えられる可能性もあるでしょう。
リフォーム・リノベーションすることで、ある程度資産価値を高めて売却することはできますが、リフォーム費用を売却代金に上乗せして販売するのは基本的に難しいものです。そのため、リフォーム費用によっては売却できても大きな損失になる恐れもあります。
また、近年は、古い家を格安で購入して自分好みにリフォームしたいという買い手も増えています。リフォームしてしまうと、そのような買い手を逃してしまう可能性もあるので注意が必要です。
建物の状態が悪くそのままでは買い手が付かないなら、解体して更地にしてしまう方が売却しやすくなります。更地であれば、買い手が購入後に解体の手間をかけずに好きに家を建てることが可能です。立地が良ければ、土地としての需要も高く売却も期待できます。
ただし、先述したように建物の状態によっては、建物付きでも需要がある可能性があります。解体するにも費用がかかるため、解体するかどうかは不動産会社に相談したうえで決めるようにしましょう。
解体して更地にすると売りやすくなる半面、解体費用がかかってしまう点には注意が必要です。解体費用は、建物の規模や立地によって異なりますが坪当たり3〜5万円が目安となります。敷地が広いなどでは100万円を超えることもあるでしょう。
また、地中埋設物がある、道路が狭くて重機やトラックが搬入できないというケースでは、より費用が高額になる可能性もあります。
更地にする場合、固定資産税が高くなる点にも注意が必要です。居住用の建物の建っていない土地は、評価額が軽減されないため高い個性資産税となります。更地にして長期間売却できないと固定資産税の負担も大きくなるでしょう。
不動産買取とは、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう方法です。一般的な不動産の売却は、不動産会社に仲介を依頼する「仲介」となります。仲介は、不動産会社が間に入りますが、あくまで買い手は第三者です。一方、買取は買い手が不動産会社となります。
買取であれば、不動産会社との交渉が決まればすぐに売却できるので、短期間でも売却が可能です。売却活動も必要ないので内覧対応も必要なく、周囲に売却していることも知られにくいでしょう。また、買取では不動産会社が買取後にリフォームして売却するため、リフォームなどの費用も必要ありません。さらに、仲介ではないので仲介手数料も発生しないというメリットもあるのです。
ただし、買取は仲介よりも安値での売却となります。リフォームして再販を目的としているので再販時に利益が出るように買取るため、市場価格の7〜8割ほどになるのが一般的でしょう。
売却額は落ちてしまいますが、短期間で売却できリフォームや仲介手数料などの費用もかからないため、トータルでは大きな損失にならない可能性もあります。買取するかどうかは、最終的な利益などをもとに判断することが大切です。
不動産会社が買い手を見つけて売却する方法が、仲介です。一般的な不動産売却というと、この仲介になります。
仲介であれば市場価格で売却するので、買取よりも高値での売却が期待できます。ただし、買い手に左右されるため、築50年ともなるとなかなか買い手が付かない可能性も高い点には注意しましょう。
一般的な仲介での売却でも、スムーズに進んで3〜6か月ほどかかるものです。需要がない物件では1年以上かかるケースも珍しくありません。需要をあげるためには、リフォームやハウスクリーニングなどの工夫も必要になってくるので費用もかかるでしょう。
また、仲介での売却では、売却成立時に仲介手数料が発生します。仲介手数料の条件は、次のように定められています。
ただし、売却額400万円以下であっても、売主側から最大18万円を受け取ることが可能です。
築50年の家は、仲介で売却できても売却額が高くなく、その割に費用がかかる点には注意しましょう。
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家売却のためのサービスです。空き家を売りたい人と買いたい人をマッチングさせます。掲載料や広告料がかからないため、費用をかけずに買い手を探せます。
また、空き家バンクを利用する人は空き家を探している人でもあるので、ある程度の需要も見込めるでしょう。ただし、空き家バンクでは、買い手との交渉や契約手続きなどは自分でする必要があります。契約手続きは知識がない人が進めると、後々トラブルになりかねません。契約時だけでも不動産会社などを利用できないか検討するとよいでしょう。
また、すべての自治体で運営しているわけでもないので、希望する自治体で空き家バンクが運営されているかをチェックするようにしましょう。
築50年の一戸建てを少しでも高く売るために、次のようなポイントを押さえておきましょう。
不動産会社の査定で売却価格の目安はわかりますが、その前に自分での相場を調べておくことが大切です。相場を把握せずに査定に出しても、査定額を判断する基準がありません。
不動産会社の言い値をそのまま鵜呑みにすると、後々もっと高く売れたのにと損してしまう可能性もあるでしょう。事前に相場を把握しておくことで、査定額の妥当性を判断でき、損することを防ぎやすくなります。相場を調べるには、次のような方法があります。
築50年の家は土地の価値が大半を占めるため、公示地価などで土地の価格を把握しておくようにしましょう。また、不動産会社のサイトで今売り出し中の類似物件の価格をチェックするのもおすすめです。
国土交通省の「不動産取引価格情報検索」「レインズマーケットインフォメーション」などでは過去の取引事例を検索できるので、類似物件の情報を調べてみるとよいでしょう。ただし、不動産は同じものが二つとなく、売却価格は売主・買主の事情も反映されるものです。類似物件であっても、自分の不動産の価格とは大きく異なることもあるので、あくまで相場の参考としてください。
不動産会社によって、得意分野は異なります。築50年の家を売却するなら、古い家の売却に強い不動産会社を選ぶことが大切です。古い家の売却に強みがある不動産会社なら、広告戦略や買い手探しも古い家に適した営業ノウハウを持っているものです。
また、古い家の販売実績があると、過去の実績を鑑みて築50年の家でも高く評価してくれる可能性もあるでしょう。不動産会社を選ぶ際には、販売実績や取扱不動産もチェックして自分の不動産とマッチしているかをチェックすることが大切です。
古民家とは、厳密な定義はありませんが一般的に次のような特徴のある家のことを指します。
このように伝統的な日本の家屋である古民家に該当するなら、通常の築年数の古い物件よりも価値が高くなる可能性があります。古民家の場合は、古民家を専門に扱う業者がいるのでそのような業者に相談してみることをおすすめします。
築年数の古い家であってもリフォーム・リノベーションし、利便性や見た目をよくできれば、売却の可能性を高められます。ただし、リフォーム・リノベーションには高額な費用がかかる点には注意が必要です。
また、リフォーム・リノベーションすることで反対に需要が下がる恐れもあるので、実施するかどうかは不動産会社に相談したうえで検討することが大切です。
築50年以上の一戸建てを売却する際に、押さえておきたいポイントとして次の2つを解説します。
売却して利益が出ると、利益に対して譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税は、売却の利益×20〜40%程となり、売却額によっては大きな負担になりかねません。築年数が古く、高値で売却ができないうえに、利益に税金がかかると手元にあまりお金が残らないものです。
しかし、譲渡所得税には、さまざまな控除や特例が用意されているので、適用することで税負担を大きく軽減できます。例えば、マイホームの売却なら「3,000万円特別控除」、相続した空き家を売却した場合は、「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」が代表的です。それぞれ適用要件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除できるので、大きな節税が見込めます。
特例の適用には、満たすべき要件がそれぞれ定められています。また、特例によっては併用できるもの・できないものもあるので、事前に適用要件の確認やどの特例を適用したほうがお得になるかのシミュレーションをしておくことが大切です。
契約不適合責任とは、契約内容とは異なる種類や品質のものを渡した際に問われる責任です。不動産の場合は、契約内容に記載されていない不具合が見つかった場合に、売主に責任が問われます。一般的には、次のようなケースで契約不適合責任が問われる可能性があるでしょう。
上記のような不具合を契約時に買い手に伝えずに契約すると、契約不適合責任を問われます。契約不適合責任を問われると、補修費用や損害賠償の請求・契約解除などを求められるため、売主には大きな負担です。
特に、築50年の家になると家の老朽化が進んでいることから、引き渡し後に不具合が発見される可能性が高くなります。売買契約までに家の状態を正確に把握し、不具合について買い手にしっかりと告知することが大切です。
また、契約不適合責任は特約で免責にすることもできます。築年数の古い建物の場合、買主との話し合いで免責にできる可能性も高いので、不動産会社に一度相談してみるようにしましょう。
築50年の一戸建ての売却相場や売る方法、注意点を解説しました。築50年の家は、基本的に建物の価値がほぼないため土地の価格での売却となるケースが多いでしょう。築浅の物件に比べると売りにくい傾向にありますが、リフォームや更地にする・買取してもらうなど方法を慎重に判断すれば売却できる可能性もあります。
築50年の家の売却を検討しているなら、古い家の売却が得意な不動産会社を選ぶことが何より大切です。この記事を参考に、信頼できる不動産会社を選び築50年の家の売却を目指してみてください。