はじめに、タワーマンションの定義について解説していきます。タワーマンションは高層階マンションの総称として用いられている言葉ですが、実ははっきりとした法律上の定義は存在しません。
そのため「何階以上あるマンションがタワーマンション」とは一概には言えないのです。しかし、一般的にタワーマンションと呼べる基準値のようなものは存在するので詳しく紹介します。
タワーマンションには法律上の定義は存在しません。しかし、一般的には20階以上の階層を有する超高層階マンションをタワーマンションと呼びます。
20階の階層を有するマンションの高さは約60mで、眺望や景観が非常に良く、都心部に住みながらも日当たりや景観を損なうことのない優雅な生活が手に入るでしょう。
タワーマンションのように、高さが60m以上ある建物は「高さ60m以上の超高層建造物」に該当するため、国によって定められた一定の基準をクリアする必要があります。下記にいくつかの基準をまとめたのでぜひ参考にしてください。
上記のことからもわかるように、高さ60m以上の高層マンションと呼ばれる建物は全て国土交通大臣の認可を受けています。このことから、タワーマンションは低層マンションよりも厳しい基準をクリアしている非常に安全な建物と言えるでしょう。
タワーマンションは、見た目の豪華さや優雅さの他に以下のようなメリットがあります。
【タワーマンションに住むメリット】
それぞれについて詳しく解説していきます。
タワーマンションの最大のメリットと言っても過言ではないのが、景色や眺望の良さです。タワーマンションの高層階に住んだ場合、部屋からは都心の夜景を一望でき、晴れた日には富士山が見える等のメリットが得られます。
また、隣接する高層マンションがない場合には、カーテンを閉めずとも人目を気にせずに暮らせます。都心部に住みながら絶景を味わいたいという方にとって、タワーマンションは最適です。
目の前に遮る建物のないタワーマンションは、景色だけではなく日当たりも良好です。都心部では、隣接する建物が原因で一日中日が当たらない物件も多く存在します。しかし、タワーマンションに住めばこのような悩みを感じることはないでしょう。
中には「低層階だと日当たりが悪くなってしまうのではないか?」と心配される方がいますが、タワーマンションではエントランスからロビーまで広い中庭や共有スペースが設けられているケースが大半です。そのため近くに光を遮る建物はなく、結果的に低層階でも十分な日当たりが得られます。
タワーマンションのメリットの1つとして、住環境の良さも挙げられます。タワーマンションは一般的に需要の高い利便性の良い立地に建設されるため、周辺には学校・銀行・病院・スーパー等、生活に必要な施設が整っているケースが大半です。
中には駅直結型や多くのテナントが低層階に入っているタワーマンションもあります。このような理由から、タワーマンションはファミリー世帯や子育て世帯にもおすすめできると言えるでしょう。
充実した共有施設を利用できるのもタワーマンションのメリットです。住居数の多いマンションほど共有施設が充実する傾向にあり、ジム・プール・キッズルーム・ラウンジなどの魅力的な施設を提供しているタワーマンションは少なくありません。
普段自身が利用しない施設であっても、これらの充実度は売却時のアピールに役立つので、比較的高値で売買できるでしょう。
タワーマンション等の住居数の多い高級マンションには、必ずと言っていいほどコンシェルジュのサービスがあります。コンシェルジュとは、居住者のサポートやゲストの案内をするマンションお抱えの執事のような存在です。
コンシェルジュは、タクシーの呼び出しやクリーニングの代行持ち出し等の様々な業務を行ってくれます。マンションで暮らすうえでの庶務も行ってくれるので、自宅に居ながら高級ホテルに滞在しているかのような気分が味わえます。
タワーマンションに限らず、住居数の多い大規模なマンションは、充実したセキュリティが大きなメリットの1つです。オートロックつきのエントランスや管理人の常駐、防犯カメラの設置など、戸建てではなかなか実現できない強固なセキュリティが全住居で手に入り、安心して生活できます。
中には、最新の顔認証システムや24時間のオンラインセキュリティを導入しているタワーマンションもあるので、セキュリティの高さで物件を選ぶのも1つの手と言えるでしょう。
最後に挙げられるメリットは、虫の侵入の少なさです。タワーマンションは、戸建てや低層マンションと比較すると虫の出現が少ない傾向にあります。
害虫の侵入が少ないのはもちろん、高層階になるほど蚊やハエなどの小型の虫も見かけなくなるでしょう。虫が苦手な方には特にタワーマンションがおすすめです。
タワーマンションには、利便性の高さや共有スペースの豪華さなど様々なメリットがあります。しかし、その一方でいくつかのデメリットも存在します。
メリットばかりに着目するのは失敗の元なので、必ずタワーマンションのデメリットも把握しておきましょう。
1点目のデメリットは、洗濯物を外に干せないという点です。タワーマンションの高層階に住む場合、原則としてベランダスペースでの物干しは禁止されています。
なぜなら、高層階からの落下物はたとえ洗濯物でも危険で最悪事故の可能性があるからです。実際に多くのタワーマンションの管理規約では高層階での物干しを厳禁としており、ベランダでの物干しはできません。
日常的に洗濯乾燥機や浴室乾燥機を使用している方は気にならないかもしれませんが、洗濯物はお日様で乾燥させたいという方は注意が必要です。
タワーマンションの最大のデメリットと言っても過言ではないのが、エレベーターの混雑です。階層や住居数の多さからタワーマンションのエレベーターは大変混雑します。
特に平日の朝などの通勤時間は、マンションの外に出るまでに数十分かかるケースもあるようです。せっかく立地の良いタワーマンションに住んでも、外に出るまでに数十分の時間を要していては意味がありません。
しかし、最新のタワーマンションでは、混雑緩和のために階層ごとに専用のエレベーターを設けているものもあります。エレベーターの数が多いマンションを選ぶのも1つの手でしょう。
地震の揺れを感じやすいという点も、タワーマンションのデメリットになります。タワーマンションは、一般的なマンションとは異なった耐震工法を用いて建設されており、地震への対策は万全です。
しかし、地震の際は建物の負担を減らすためにマンション自体が大きく揺れます。高層階になればなるほど強くなるので、揺れをストレスに感じる方には向かないでしょう。
続いて挙げられるデメリットは、災害時の影響の大きさです。地震のみではなく火災や津波、停電などの災害に見舞われた際、安全確保の観点からタワーマンションの各設備は使用できなくなります。
代表的な設備はエレベーターで、異常時から復旧するまでは非常階段を使用するしかありません。特に高層階に住んでいる住民は多くの階段を上り下りする必要があるので、物資の補給や外出が面倒になります。
マンションに住む場合、戸建てとは異なり物件の価格以外にも管理費や修繕積立金を支払う必要があります。タワーマンションも例外ではなく、高層階になればなるほど高額な管理費・修繕積立金の支払いが必要です。
下記に階層ごとの管理費・修繕積立金の平均値をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
(引用:国土交通省 平成30年度マンション総合調査)
修繕積立金は将来的に値上げされるケースがほとんどなので、上記も踏まえた資金計画を組む必要があるでしょう。
最後に挙げられるデメリットは、携帯やWi-Fiをはじめとした通信機器の電波が悪いことがあるという点です。
電波は基本的には下方向に進んで携帯やWi-Fi端末へ送られるため、基地局よりも高いタワーマンションでは不安定になることがあります。
自宅用の小型基地局を購入するなどの対処法はありますが、安定した電波を使用したい方は基地局の高さ(40m)よりも低い階層に住むことをおすすめします。
続いて、タワーマンションに関するSNS上の口コミをご紹介していきます。実際に住んでみた方の良い口コミ・悪い口コミを紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
※引用元の文章をそのまま掲載しています。
【良い口コミ】
住んでみて思ったタワマンのいいところ。室温が安定している、周囲の騒音が聞こえない、ゴミ出し超ラク、実はエレベーターすぐ来る、部屋→内廊下→地下駐車場と外気に全く触れずに出入り可能で快適、虫いない、なんかエントランスに季節の植物が活けられてたりする、生ゴミ流せる、コメも炊ける。
タワマン快適すぎ、景色も良すぎ
低層階にはスーパーあって、コンビニあってジムあって。天候に左右されずに電車にも乗れて。なんやかんやタワマンも快適かと。
【悪い口コミ】
タワマンかって後悔した事。
飯はまずいわエレベーター死ぬわマジでタワマン最悪だな!欠陥住宅だろこれ!
真梨幸子先生やったらわかってもらえるやろうけど、千葉のタワマン最悪やで。停電して水も上げられへん。トイレが使えん。エレベーターもや。近所とトイレ借りに行くにしても、えらい数の階段上り下りせなあかんしな。
上記からも分かるように、タワーマンションの良い口コミの多くが設備の豪華さやアクセスの良さなどの「利便性の高さ」や「優雅さ」に関するものでした。しかし、その一方で住居数の多さや停電時の対応を不便と感じる悪い口コミも多く見られました。
双方の口コミを参考に、自分にとってタワーマンションは適しているかどうか見定めてみましょう。
続いて、タワーマンションを購入する際のポイントを解説していきます。
【タワーマンションを購入する際のポイント】
タワーマンションは華やかで大変魅力的な建物ですが、決して安い買い物ではありません。「こんなはずではなかった」と後悔することのないよう、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
1点目のポイントは、年収を考慮して無理なく返済できるタワーマンションを選ぶことです。日本での住宅ローン破綻率は毎年全体の2%と言われており、50世帯に1世帯は返済の困窮に陥っています。さらに、昨今ではコロナウイルスの影響で破綻率が増加傾向にあるようです。
せっかく手に入れた住居を手放さないためにも、無理なく返済できるレベルのタワーマンションを選択しましょう。
中・低層階を購入の選択肢に入れないのも失敗の元です。タワーマンションの購入を検討している方の多くが「タワーマンションに住むからには高層階に住みたい」という思いがあるかと思います。
しかし、実はタワーマンションの中・低層階には高層階にはない魅力があります。下記に中・低層階の魅力をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【タワーマンションの中・低層階の魅力】
あまり知られていませんが、高層階以外の階層に住むと上記のようなメリットが得られます。もちろん、高層階のような眺望の良さや騒音のない暮らしは得られない可能性が高いです。
しかし、全ての階層を比較検討してから購入することで、後悔のない買い物ができるでしょう。
最後に必ず確認しておきたいのが、将来的に考えて資産価値があるかどうかです。一般的にマンションの価値は立地の良さ・築年数・設備等を加味して決定されます。そのため、人気のないエリアや管理状態の良くないマンションの購入は控えた方が良いです。
さらに、タワーマンションの場合には階層も資産価値に大きく影響してきます。高層階の物件は最も価格が高いですが、その一方で値下落率も高く売却には不向きという特徴があります。また、低層階も価格が下がりやすい傾向にあるので、将来的に少しでも売却の予定があるのなら避けるのが無難でしょう。
一方で中層階は、高層階ほど価格が高くなく、価格も下落することなく安定しています。このように、資産価値を加味して物件を選ぶことは非常に重要です。
最後に、タワーマンションに関するよくある質問をまとめました。
【タワーマンションに関するよくある質問】
現在タワーマンションに関する疑問がなくとも、後々困ることがあるかもしれません。今のうちからよくある質問に目を通しておきましょう。
結論から先に申し上げると、タワーマンションには何階がベストという正解はありません。なぜなら、人によってメリットと感じる点が異なるからです。
下記に高層階と低層階のメリットをまとめたので、ご自身に適しているのはどちらか判断してみてください。
タワーマンションに法律で定められた定義や基準はありません。しかし、一般的には高さ60m以上で20階建て以上のマンションをタワーマンションと呼びます。
当記事では、タワーマンションの定義やメリット・デメリットについて解説しました。タワーマンションは華やかで利便性・安全性の高い超高層マンションです。
たくさんのメリットがある一方で、災害時の影響やランニングコストの高さ等のデメリットも存在します。現在タワーマンションの購入を検討されている方は、メリット・デメリットの両方をしっかりと把握して後悔のない買い物をしてください。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。