【中古マンション購入時の諸経費は?】注意点や選び方のポイントも徹底解説

【中古マンション購入時の諸経費は?】注意点や選び方のポイントも徹底解説

「今年こそ理想のマイホームが欲しい」
「マイホームが欲しいけど、新築マンションは高すぎる」

こういった方におすすめなのが中古マンションです。中古マンションは新築より価格がリーズナブルで、幅広い選択肢から希望の物件を選択できます。

しかし一方で、中古マンションならではの諸経費や、気を付けなければならないポイントがあるのも事実です。そこで今回は、中古マンションの購入にかかる諸経費や購入時に気を付けたい注意点を詳しく解説していきます。

中古マンションの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

中古マンション購入にかかる諸経費

中古マンション購入にかかる諸経費

中古マンションの購入にかかる諸経費は、一般的にマンション価格の5~8%といわれています。割合にふり幅があるのは、一括で購入するケースとローン購入するケースで費用が大きく異なるからです。

また、新築マンションを購入する際には発生しない、中古マンションならではの諸経費もあります。諸経費については契約時に不動産会社が詳しく解説してくれますが、あらかじめ費用の試算をしておくに越したことはありません。

中古マンションの購入にかかる諸経費の内訳

中古マンションの購入にかかる諸経費の内訳

中古マンションの購入にかかる諸経費には、どのようなものがあるのでしょうか。
購入時・引き渡し時・入居後の3つのタイミングに分けて、諸経費の内訳を解説していきます。

購入時にかかる諸経費の内訳

購入時には手付金・印紙税・仲介手数料が発生します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

名称 詳細
手付金 売買契約を結ぶ際の履行の保証となるお金です。一般的には売買代金の5~10%程度を支払います。
印紙税 売買契約書には収入印紙が必要です。収入印紙によって国に印紙税を納めます。
仲介手数料 契約がおこなわれる際に、不動産会社へ支払う手数料です。

ただ、2022年5月宅建業法が改正され、電子契約が可能になると、印紙税をカットすることができます。

引き渡し時にかかる諸経費の内訳

引き渡し時は最も手続きが多く、かかる諸経費も多くなります。住宅ローンを組む場合とそうでない場合でかかる経費も異なるので、詳しく見ていきましょう。

名称 詳細
購入金額の残金 中古マンションを現金で購入する場合には、手付金を除いた残金を支払います。
住宅ローンにかかる費用 住宅ローン関係の費用は、下記の通りです。

  • ローン会社と契約する際の印紙代
  • 融資手数料(ローン保証料)
  • 事務手数料
  • 火災保険料
  • フラット35利用時には適合証明書の発行費用
  • 頭金
管理費・修繕積立金 マンション管理組合に毎月支払う管理費や修繕積立金は、引き渡し時に日割り清算をおこないます。
固定資産税・都市計画税の清算金 固定資産税と都市計画税は購入した翌年から発生する税金なので、年度の途中でマンションを購入した場合には、日割り分を売主に支払います。
登記費用 住宅ローンを利用する際は抵当権設定登記を申請し、登記免許税を支払います。

入居後にかかる諸経費の内訳

入居後にかかる代表的な費用として挙げられるのが、不動産所得税や管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税などです。それぞれ支払う回数や時期が異なるので注意しましょう。

名称 詳細
不動産所得税 中古マンションを取得した際にかかる税金です。支払うのは1度のみで、購入してから数ヶ月後に通知書が送付されます。
管理費・修繕積立金 マンションの管理組合に毎月支払う費用です。
固定資産税・都市計画税 購入した翌年から毎年発生する税金です。毎年4月頃に通知書が市区町村から送付されます。
リフォーム・リノベーション費用 リフォームやリノベーションをおこなう場合には、事前に予算とリフォーム内容を計画・試算しておきましょう。
引っ越し費用 前に住んでいた住居から新居へ荷物を運ぶ費用です。

中古マンションを購入する際のチェックポイント

中古マンションを購入する際のチェックポイント

中古マンションを選ぶ際には、いくつかのチェックポイントを押さえておく必要があります。主に重要なのは、以下の4つです。

【中古マンションを購入する際のチェックポイント】

  • 築年数
  • 立地
  • 周辺地域の治安
  • 耐震性

現在物件探しに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

築年数

築20年頃までなだらかに価値が下がっていき、築20年以降の価格推移はほぼ横ばいであるケースが大半です。

これは築20年以降のマンションを購入した際、これ以上値崩れする可能性が低いことを示唆しています。マンションの管理状況により価格に差は出ますが、できるだけ値が下がった状態で中古マンションを購入したいのであれば、築20年前後が狙い目といえるでしょう。

立地

物件の資産価値を決める最も重要な要素と言っても過言ではないのが立地です。立地を選ぶ際には利便性・生活スタイル・価格の3つを中心に考える事がポイントです。

具体例を挙げると、利便性を重視するのであれば駅やスーパー、病院などが充実した都心部のエリアが適しているといえます。ファミリー世帯は、利便性よりも子どもが通う習い事や学校のエリアを加味してマンションを選ぶ必要があります。都心では、電車通勤が多いことも有り、駅近物件は魅力であり、それだけ中古価格も高めです。

マイカーを所有し、通勤も車という場合は、無理に利便性の高い駅近に住む必要がなく、単価が安く、広いマンションも選択肢に入ります。ただ、マンション内の駐車場に空きがない場合もありますので、事前に確認は必要です。

昨今は、テレワークやオンラインでの通勤・通学も増えてきましたので、そこも勘案して選ぶと良いでしょう。

このように、生活スタイルや利便性などを加味して立地を選ぶと失敗が少ないです。

周辺地域の治安

中古マンションを購入する際は、周辺地域の治安についてもしっかりと知っておきましょう。人口の多い都市部や歓楽街のある街は、そうでない地域と比較すると犯罪発生率が高くなる傾向にあります。

犯罪件数については、「警視庁:市区町村別・犯罪発生認知件数」で調べておきましょう。

また、治安の良いエリアであっても駅からの帰路が暗い場合や、マンション自体のセキュリティーが疎かである場合には、一概に安心はできません。

家族の安全を守るためにも、地域の治安・帰路の安全・マンションのセキュリティーを加味したマンション選びをおこなうことが大切です。

耐震性

日本は地震の多い国なので、中古マンションを探す際には耐震性の高さの確認が非常に重要となります。

目安となるのが耐震基準法です。1981(昭和56)年5月31日までに建築確認申請がおこなわれた物件は、「旧耐震基準」に則って建築されているため、震度6強の地震に耐えられる保証はありません。

ただし、耐震補強を施し、新耐震基準をクリアした建物もあります。重要なのは築年数ではなく、新耐震基準の建物であるかどうかです。また、耐震基準を満たしていなくとも、耐震強化をして避難路の確保をしてある物件もあります。こうしたことは、不動産仲介会社にしっかり確認すると良いでしょう。

大切なマイホームを守るためにも、中古マンションを購入する際には、耐震性を詳しく確認しましょう。

中古マンションを購入する際の注意点

中古マンションを購入する際の注意点

中古マンションを購入する際には、目には見えないさまざまな注意点もあります。後悔することのないよう注意点をしっかりと把握しておきましょう。注意点は以下の通りです。

【中古マンションを購入する際の注意点】

  • 災害リスクを確認する
  • 資金の現状を把握する
  • 物件の市場価値を知る
  • 資産価値を考慮する
  • サービスや物件情報が多い仲介会社を選ぶ

災害リスクを確認する

島国である日本は、耐震性の他にも水害や土砂などの災害リスクを確認しておく必要があります。災害リスクを確認するためには、「ハザードマップポータルサイト」を利用しましょう。

ハザードマップポータルサイトでは、検討している中古マンションの住所を入力すると、災害リスクの有無を判定してくれます。全ての災害に備えた完璧なマンションを見つけることは難しいですが、前もって災害リスクを確認しておくことで、万全な準備ができるでしょう。

また、仲介契約時にはこのハザードマップの説明が不動産会社に義務づけられています。リスクをしっかりと確認をし、かつ、近くの広域避難所なども確認するようにしましょう。

資金の現状を把握する

意外と見落としがちになってしまうのが、資金の現状把握です。中古マンションを購入する際、多くの場合で住宅ローンを組むことになると思います。

購入時には問題なく返済していける額の住宅ローンであっても、ライフスタイルの変化により返済が難しくなるケースもあります。変動金利の場合は金利があがり、返済額が後年上がる可能性もあります。無理をせず資金計画を立てましょう。

住宅ローンを組む際には、「現実的に返済していけるか」「経済状況の変化があっても返済できるか」をしっかりと把握することが大切です。

物件の市場価値を知る

中古マンションを購入する際には、物件の市場価値を知ることも大切です。物件の市場価値を知ることで適正価格が分かり、割高に購入するリスクを軽減できます。

市場価値を知るためには、いくつかの物件を内見したり、過去の中古マンションの販売データベースを参考にしたりすることが効果的です。

資産価値を考慮する

4点目に挙げられる注意点は、資産価値を考慮して中古マンションを選ぶという点です。一般的には、人が多いエリアの物件は、資産価値が下がりにくい傾向にあります。物件の資産価値を数十年保ちたければ、人口が減少しにくいエリアを選択する必要があるでしょう。

世帯数の推移を調べる際は、「国立社会保障・人口問題研究所」のデータを参考にしてください。

また、資産価値は物件の管理状態にも大きく影響され、管理の行き届いていないマンションは価値が下がります。マンションの管理状態については、内見をするなどして自身の目で確かめてみることが効果的です。

サービスや物件情報が多い仲介会社を選ぶ

5点目に挙げられる注意点は、良い仲介会社を選ぶという点です。仲介会社は売主と買主を仲介し、契約をおこなうのみが仕事ではありません。

優れた仲介会社であれば、売主との積極的な価格・条件交渉もおこなってくれます。さらに、住宅ローンの相談やプロ目線のアドバイスも得られるでしょう。

中古マンションの購入に関するよくある質問

中古マンションの購入に関するよくある質問

最後に中古マンション購入に関するよくある質問を紹介していきます。

【中古マンション購入によくある質問】

  • 不動産会社によって仲介手数料は違う?
  • 内見をした方が良い?
  • リフォーム・リノベーションはできる?

現在疑問に思うことがなくても、後々困ることがあるかもしれません。後悔することのないよう、よくある質問に目を通しておきましょう。

不動産会社によって仲介手数料は違う?

不動産売買による仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められていますが、下限は定められていません。下記に仲介手数料の上限額をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

【仲介手数料の上限額】

  • 売買価格200万円以下・・・売買価格5%+消費税
  • 売買価格200万円以上400万円以下・・・売買価格の4%+消費税
  • 売買価格400万円以上・・・売買価格の3%+消費税

中古マンション売買の場合、ほとんどのケースで上限額の手数料を支払いますが、なかには仲介手数料の値引きに応じる不動産会社もあります。

しかし、仲介手数料の安さだけではなく、不動産会社の信頼性も重要です。重大な事項の説明を怠るような信頼できない不動産会社から購入しては、元も子もありません。

不動産会社は仲介手数料と信頼性のバランスで選ぶことが大切です。

内見をした方が良い?

内見は必ずおこなってください。なぜなら、現地に行かなければ気づけないポイントが沢山あるからです。

下記に、現地に行かなければ気づけないポイントの具体例をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

【内見で気づくポイント】

  • 日当たりの良さや景観
  • 風通しや湿気はないか
  • マンションの住民の様子
  • ゴミ捨て場や駐輪場、エレベーターなどの共有スペースの状態
  • 配管の臭いや床の軋み等の物件の老朽化
  • 外部からの騒音の有無

ほかにも細かい点を挙げればきりがありませんが、実際に見てみないと分からないことは数多くあります。

掲示板に貼ってある掲示物を観察することもお薦めです。「夜騒いでいる方がいました。静かにしてください」「ゴミのルールがいつも守られていません」などの警告が多い物件は、「そういう方か多く住んでいるマンション」ともいえます。

リフォーム・リノベーションはできる?

中古マンションのリフォーム・リノベーションは、専有部に限っては基本的には可能です。しかしなかには、マンションの管理組合でリフォーム内容が制限されているケースもあります。

ベランダや窓ガラス、柱は、ほかの居住者も緊急時には利用したり、建物全体を支える「共用部」であるため、管理組合の承認が無ければリフォーム・リノベーションは出来ません。

規約はマンションにより全く異なるため、リフォーム・リノベーションを前提とした購入の場合には、事前に管理規約を確認しておきましょう。

まとめ:入念な準備で納得できるマンション購入

中古マンションは、理想の物件をリーズナブルな価格で手に入れられるという大きなメリットがあります。しかし、気を付けなければならないことも多く、後悔のない買い物をするためには入念な準備が必要です。

本記事で紹介した中古マンション購入のポイントや注意点を参考に、理想のマイホームを手に入れてください

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。