無料の不動産査定は信頼できる?有料との違いや注意点を紹介

「不動産査定を無料でおこなう方法はないの?」
「無料の不動産査定の精度ってどうなのだろう?」
不動産の売却を検討している人の中には、このような疑問を持っている方もいることでしょう。
不動産は売却を検討し始めた時点で、おおよその売却金額を知っておく必要があります。そうすることで、将来的にいくらのキャッシュが手に入るのか、税金はいくらほど支払う必要があるのかなど、事前の準備が可能になります。
そこでこの記事では、無料の不動産査定は存在するのか、注意点や有料査定との違いについて解説していきます。
- 不動産査定は無料でできる
- 不動産査定が無料でできる理由
- 不動産の無料査定の種類
- 無料の不動産査定①AI査定
- 無料の不動産査定②査定アプリ
- 無料の不動産査定③匿名査定
- 無料の不動産査定④一括査定サイト
- 無料査定と有料査定の違い
- 無料の不動産査定で注意したいポイント
- 営業電話がかかってくる可能性がある
- 査定の信憑性は保証されていない
- 事前に書類を揃えておく必要がある
- 不動産会社を選ぶことも目的とする
- WEB上で査定依頼をする際には土地の懸念点を伝える
- 不動産査定で適正な価格を知るコツ
- 不動産のマイナス面も伝える
- 不動産会社の登録数を確認する
- 依頼できる不動産会社の数を5社程度にする
- 無料の不動産査定についてよくある質問
- 無料の不動産査定では査定書はもらえる?
- 自分で不動産査定をすることはできる?
- まとめ
不動産査定は無料でできる

保有している不動産を売却する際の最初のステップは、不動産会社による査定を受けることです。そんな不動産会社でおこなわれる査定ですが、結論からいうとすべて無料で受けられます。
しかし、無料だからといって、何も調べず偶然見つけた不動産会社に査定を依頼してしまうのはおすすめしません。なぜなら、相場より安すぎる金額を提示されて、大変な損害が出るかもしれないためです。
無料だからといって、何も考えず査定を依頼するのではなく、なぜ不動産会社は無料でサービスを提供しているのか、無料の不動産査定ではどのように金額が査定されているのかを事前に理解しておきましょう。
不動産査定が無料でできる理由
不動産会社が無料で不動産査定をおこなっているのは、査定の依頼主であるあなたが新規の顧客候補となるためです。
そもそも不動産会社の主な業務は、買主と売主をマッチングさせて売買を成立させることです。まずは、自社に不動産の売却依頼がなければ、業務が成り立ちません。不動産の売却を依頼され、実際に買主を見つけて売買を成立させることにより、会社はその報酬として仲介手数料を受け取ることができるのです。
つまり、売主に無料で査定を受けてもらうことによって、新しい顧客を獲得することを不動産会社は考えています。そのため、不動産会社は新規顧客獲得の営業活動の一環として無料査定をおこなっているのです。
最近では、インターネットで住所などを入力すると、すぐに査定額がわかるサービスを提供する不動産会社も登場しているため、時間もお金もかけずに査定をおこなうことができるようになりました。
しかし、不動産の評価や値段は、土地・物件の状態や立地により常に変動しています。不動産を売却する際は、間違った査定金額を参考にしないように、市場を熟知した経験豊富な不動産会社の無料査定を受けるようにしましょう。
不動産の無料査定の種類

無料でできる不動産査定には大きく分けて4つの種類が存在します。
【無料の不動産査定一覧】
AI査定 | 査定アプリ | 匿名査定 | 一括査定サイト | |
---|---|---|---|---|
概要 | 機械学習されたAIが査定額を算出する | スマホのアプリで査定額が確認できる | 個人情報の入力を行わずに査定額を算出できる | 複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサイト |
メリット | その場で算出してくれる | その場で算出してくれる | 個人情報の入力がいらない | いちいち情報を入力しなくて良いため、手間がかからない |
デメリット | 家のグレードや特徴などは踏まえていない | 家のグレードや特徴などは踏まえていない | 情報が少ないため、査定額の信用性が小さい | 営業電話がかかってくる可能性がある |
おすすめの人 | 今すぐざっくりと不動産の価値を知りたい人 | アプリを入れて定期的に不動産の価値を知りたい人 | 個人情報の漏洩を恐れている人 | 半年以内に売却を考えている人 |
代表的なサービス |
|
それぞれメリット・デメリットがあるので状況に応じて使い分けましょう。
無料の不動産査定①AI査定
AI査定は別名、自動シミュレーターとも呼ばれる、機械学習したAIが査定額を算出してくれる査定ツールです。
大体の場所や立地、不動産の特徴を入力するだけで、瞬時にその場で査定額を提示してくれます。
しかし、家のグレードや周辺環境などの要因は踏まえていないため、訪問査定をした場合と比べて、数百万円ほどの開きが出てしまう可能性があります。
無料の不動産査定②査定アプリ
査定アプリは、AI査定のアプリ版です。AIの機械学習による査定額が提示される仕組みで、基本情報として以下を入力することで査定額がわかります。
【代表的な査定アプリの入力項目】
- 立地
- 土地面積
- 間取り
アプリの場合、個人情報を入力する必要がないため、次の匿名査定のようにプライバシーの保護がなされています。
ただし、AI査定同様、訪問査定とは大きな金額の差が生まれることもあるので、使い方は注意が必要です。
アプリを入れて、定期的に査定をしたい人には向いているでしょう。
無料の不動産査定③匿名査定
匿名査定は、個人情報の入力を行わずに査定するツールです。
基本的に査定はAIではなく専門知識を持ったプロが行うため、AI査定や査定アプリと比較すると金額の信憑性が高い特徴があります。
査定は、市況や経済状況やそのエリアの過去の売却データなども要素を参考にしています。
ただし、住所などの個人情報を提供していないため、訪問査定と比較すると査定額の根拠は曖昧であると言えます。
無料の不動産査定④一括査定サイト
一括査定サイトは、不動産の情報を1度入力するだけで複数の不動産会社に査定依頼ができるサービスです。サイトによって、一度に依頼できる不動産会社数は異なりますが、6~10社ほどに申込ができます。
ただし、AI査定や査定アプリと違って、結果が分かるまでに数日かかることがあります。
また、不動産会社に対してあなたの情報が送られるので、後日営業電話がかかってくる可能性がある点には注意しましょう。
「媒介契約をする不動産会社を決めたい」「半年以内に不動産を売却したい」と考えている人におすすめのサービスです。
無料査定と有料査定の違い

最初にも述べましたが、不動産会社がおこなう査定は、基本的に営業活動の一環であるためすべて無料です。一方で、不動産鑑定士に依頼して有料で不動産査定をおこなう方法も存在します。
不動産の無料査定と不動産鑑定士の有料査定の違いは、以下の通りです。
【無料の査定と不動産鑑定士による有料査定の違い】
種類 | 無料査定 | 有料査定 |
---|---|---|
査定をおこなう人間 | 不動産会社の人間 | 不動産鑑定士 |
特徴 | 営業活動の一環 | 証拠資料として作成をしている |
利用場面 | 不動産売買 | 遺産相続、法人の不動産取引 |
先ほども述べましたが、不動産会社が無料査定をおこなう理由は、依頼者が新規顧客になる可能性があり、売買が成立したときにその報酬として仲介手数料がもらえるからです。しかし、不動産会社の無料査定は公的効力を持たないので、相続や離婚調停などで、裁判所に不動産の価格を証明する際の証拠にはできません。無料査定は、「自身の不動産の売買価格の見積もりが欲しいとき」または「売り出しの値段を決める参考にしたいとき」など、売却に関連する場面で利用するようにしましょう。
一方で、有料の国家資格を有する不動産鑑定士に依頼する査定では、不動産の経済的な価格や評価を判定することを目的に、不動産評価額の算出をおこなっています。そのため、無料査定に比べるとかなり正確な査定額の算出が可能です。
この資格は国家資格なので、不動産鑑定士が作成した査定書は、公的な証明書としての提示が可能です。ただし、有料査定の費用は平均してすべてかなり高価になります。決して安価ではないので、公的に必要な場面があったときなどに利用しましょう。
例えば、遺産相続のとき、法人間の不動産の売買などがおこなわれるとき、不動産会社の無料査定で査定価格がわからない物件の取引がおこなわれるときなどです。
以下では、不動産鑑定士に有償査定を依頼した際の費用相場を紹介しているので、参考にしてください。
【不動産鑑定士での有償査定の相場】
不動産の種別 | 土地の種別 | 費用相場 |
---|---|---|
土地のみ | 戸建て住宅の広さの土地 | 20万円程度 |
土地のみ | 大規模な土地 | 30万円程度 |
建物のみ | 戸建住宅 | 20万円程度 |
土地と建物 | 戸建住宅 | 25万円程度 |
マンション | 一室の所有している土地 | 30万円程度 |
無料の不動産査定で注意したいポイント

この章では、不動産の無料査定で注意すべきポイントについて、解説していきます。具体的なポイントは、以下5点です。
【無料の不動産査定の注意ポイント】
- 営業電話がかかってくる可能性がある
- 査定の信憑性は保証されていない
- 事前に書類を揃えておく必要がある
- 不動産会社を選ぶことも目的とする
- WEB上で査定依頼をする際には土地の懸念点を伝える
それぞれの注意すべきポイントについて、解説していきます。
営業電話がかかってくる可能性がある
不動産会社は、営業活動の一環として無料査定をおこなっています。つまり、新規の顧客を獲得することが目的です。そのため、場合によっては何度も営業電話がかかってきます。
しかし、一部の一括査定サイトなどを利用すれば、独自の基準やルールで厳選した優良不動産会社のみだけ提携しているので、安心です。「しつこい営業電話などの迷惑行為」を規約違反としているサイトもあるので、調べてみると良いでしょう。
査定の信憑性は保証されていない
査定額は、不動産会社が集めたデータをもとに、3か月以内で売却したときの予想の値段を試算したものです。そのため、あくまで不動産の目安の値段であり、絶対的な指標ではないことを覚えておきましょう。
実際に売却する際の価格は、無料査定の金額より下がることも考えられます。また、不動産会社によっても金額にばらつきがあるのが現状です。
できるだけ信憑性がある金額が知りたい場合には、4~5社以上から査定を受け、相場を把握しておくべきでしょう。当然、高い査定価格を提示した会社が高い価格で売ってくれるかどうかもわかりません。あくまで査定です。
事前に書類を揃えておく必要がある
不動産を査定するときには、用意しなければいけない書類が4種類存在します。いずれも必須の書類なので、事前に準備しておきましょう。
【不動産査定をする際に抑えておくべき4種類の書類】
- 登記事項証明書
- 公図
- 本人確認書類
- 登記済権利書
それぞれの取得方法や取得費用などは、以下の通りです。
【不動産査定の際に必要な書類の詳細】
書類名 | 証明内容 | 取得方法 | 取得費用 |
---|---|---|---|
登記事項証明書 | 不動産の権利が誰にあるかが記載されている証明書 | 法務局 | 450~600円 |
公図 | 地図 | 法務局 | 450~500円 |
本人確認書類 | 本人を証明するもの | ※さまざまなものがあるので、詳細は割愛 | ※さまざまなものがあるので、詳細は割愛 |
登記済権利書 | 不動産所有者が誰かわかるが記載されている証明書 | 法務局 | 原則発行不可※法務局に問い合わせください |
他にも、不動産会社によって追加で求められる書類がある場合もあります。あらかじめ、聞いておいて準備することで、スムーズでトラブルのない査定が受けられるでしょう。
不動産会社を選ぶことも目的とする
不動産の無料査定は、不動産会社を選定することも目的の1つです。そのため、ただ査定額を受け取るだけではなく、以下のようなポイントをチェックしておくことも必要となります。
【無料の不動産査定を依頼する際のチェックポイント】
- 査定額の根拠は明快でわかりやすいか
- 担当者の応対は適切か
- 不動産のエリアに対して知識はあるか
上記のようなポイントを確認せずに、提示された価格だけで不動産会社を選ぶと、後々以下のようなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
【金額だけで不動産会社を選んだ場合に起こること】
- 査定額と実際の売却額が異なる
- 買い手がなかなか決まらない
- 仲介手数料などの追加費用の説明を受けられない
確認するべきことは、査定金額だけではありません。媒介契約を結ぶ候補の会社を選んでいるというつもりで、無料の査定を受けましょう。
WEB上で査定依頼をする際には土地の懸念点を伝える
WEB上で無料査定をする際は、土地の状況を正確に伝えましょう。まれに高い査定金額が欲しいために懸念事項などを共有しない方がいますが、売却時には不動産会社が実際に土地を訪れて確認するので、意味がありません。
また、売主が「売る際に不利となる情報を知っていたのに隠していた」場合には、損害賠償責任を負うこととなります。隠し事は絶対にしてはいけません。
その中でも特に、以下のような特殊形状と呼ばれるものは、必ず伝えるようにしましょう。
【特殊形状の例】
- 三角地
- 旗竿地
- 台形地
- 傾斜地
特殊形状の影響で評価が悪い場合、土地自体の価格は安くなります。なぜなら、建物が建てづらいなどの理由で買い手が付きにくいためです。建ぺい率や容積率にも関わることなので、必ず事前に共有しておきましょう。
不動産査定で適正な価格を知るコツ

無料の不動産査定は訪問査定と比較して、提示される査定額が曖昧であることが多いです。しかし、以下のポイントを抑えておくことで、より適正な価格を提示してもらえます。
【無料の不動産査定でも適正価格を知るためのコツ】
- 不動産のマイナス面も伝える
- 不動産会社の登録数を確認する
- 依頼できる不動産会社の数を5社程度にする
それぞれ重要なポイントであるため、よく理解しておきましょう。
不動産のマイナス面も伝える
少しでも高い査定額が欲しいために、不動産のマイナス面を隠して依頼する方がいます。査定額が高くなるので、嬉しい気持ちは分かりますが、売却した際の成約価格との違いにガッカリしてしまうことになるでしょう。
より正確な査定額を知るためにも、以下のようなマイナス面も必ず伝えるようにしましょう。
【周辺環境のマイナス面】
- 近所に騒がしい人が住んでいる
- 大きな道路に面しており、車の音がうるさい
- 近くにスーパーなどの施設がない
【設備に関するマイナス面】
- 外壁が汚れている
- 隙間風が入る
- ドアの立て付けが悪い
- 部屋が全体的にくらい
これらのマイナス面が査定額に影響しない可能性もありますが、伝えて損することはありません。
不動産会社の登録数を確認する
一括で無料査定を依頼できるサイトは複数ありますが、それぞれ登録されている不動産会社の数が異なります。
気にしていない人も多いのですが、この不動産会社の登録数は必ず確認するようにしましょう。
当然ですが、不動産会社の登録数が多いほど、幅広い選択肢の中から選ぶことができます。
例えば、訳あり物件などでは、大手の不動産会社が扱ってくれないケースなどがあります。そんな時に中小の不動産会社や地元密着型の不動産会社も登録している査定サイトであれば選択肢が増えるでしょう。
また、不動産会社に対する要望(例:老舗が良い、〇〇地方に強い会社が良い、大手が良いなど)にも対応できるようになります。
無料の一括サイトを利用する際には確認するようにしましょう。
依頼できる不動産会社の数を5社程度にする
不動産一括査定サイトは、それぞれ依頼できる最大数が定められています。サイトによっては、多いところで10社程度まで選べるサイトもあるようです。
「せっかくだから」と10社全てに依頼をしてしまうとそれぞれの不動産会社への対応が大変になってしまいます。また、参考にするべき価格が多くなりすぎるため、適正価格が判断しづらくなってしまうのです。
そこで、依頼する不動産会社の数は5社程度に絞っておきましょう。こうすることで、対応の手間も省けますし、価格も把握しやすくなります。
無料の不動産査定についてよくある質問

不動産の無料査定では、以下のような質問などが寄せられます。
【無料の不動産査定についてのよくある質問】
- 無料の不動産査定では査定書はもらえる?
- 自分で不動産査定をすることはできる?
それぞれについて回答していきます。
無料の不動産査定では査定書はもらえる?
結論、不動産の無料査定で査定書はもらうことができます。
ただし、無料で貰える査定書は公的な効力はないので、注意しましょう。以下のような状況では有償ではありますが、不動産鑑定士に正式な査定書をもらってください。
【不動産鑑定士に依頼するべき状況】
- 相続や離婚の際に財産分与をするとき
- 親族間で不動産を売買するとき
- 代償分割の価格を決める、または遺留分減殺請求をしたいとき
- 相続税の申告で土地評価額を下げたいとき
- 生前贈与、負担付贈与をおこなうとき
自分で不動産査定をすることはできる?
土地の査定は、不動産会社で算出してもらうことが可能です。しかし、その業者の経験・実績によっても査定額は変わってしまいます。そのため、査定をもらう前に自分でおおよその価格を調べ、相場の理解をしておきましょう。
土地の価格を調べるのは初心者には難しいように思えますが、以下の方法を利用すれば、比較的簡単に調べることができます。
【自分でおおよその査定額を調べる方法】
- ポータルサイトを使う
- 土地総合情報システムを使う
- 公示地価を使う
- 路線価図を使う
- 固定資産税評価額を使う
必ずではありませんが、自分で調べておくことで不動産会社の査定についての理解が深まり、適切金額を見極めることができます。余裕のある方は、一度調べてみましょう。
まとめ
今回の記事では、無料の不動産査定について解説してきました。
不動産の査定には2種類の方法がありました。不動産会社が営業目的としておこなっている無料のものと、国家資格である不動産鑑定士がおこなう有償のものの2種類です。
基本的に公的効力が必要なければ、不動産会社の無料査定を活用することをおすすめします。しかし、その際に注意するポイントをしっかり確認し、トラブルにつながらないように気をつけて不動産や土地を売却しましょう。