家の売却相場はいくら?戸建ての売却相場の調べ方や築年数別の目安を紹介!

家の売却相場はいくら?戸建ての売却相場の調べ方や築年数別の目安を紹介!

家を売却したいものの「どれくらいで売りに出したら売れるのかな」「相場の調べ方がわからない」など、売却相場がわからず後回しにしていませんか?売却価格によってはその後のローン返済や新生活にも影響します。相場を知ることは重要です。

この記事では、家の売却で失敗しないために、築年数・地域ごとの家の売却相場の調べ方について紹介します。売却相場の調べ方や今が売り時なのか迷っている方は参考にしてください。

家の売却相場を自分で調べる方法

実際に売却したときに、相場と同じ価格になるとは限りません。しかし、売却相場を知っておくと、売り出し価格や値下げ幅も決められるので、損を少なく抑えられます。

【家の売却相場を自分で調べる方法】

  • 家の購入価格・築年数でチェック
  • 戸建て査定シミュレーションを利用
  • 戸建て売却データベースから売却事例を調査
  • 築22年以上の古い家の場合は土地の価格だけを調査

この章では、家の売却相場を簡単にチェックできる方法について紹介します。その後、家の細かい状態・設備も含めた査定額を知るためには、不動産会社に相談してください。

家の購入価格・築年数から調べる

リノベーションの有無・耐震工事などで上下するものの、中古住宅は築年数が長いほど価格が安くなるのが一般的です。売りたい住宅を購入したときの価格と築年数で、だいたいの売却価格を予想できます。

【新築・購入時の価格を100%とした場合の下落率】

築年数 売却相場の下落率
~築5年
築6~10年 5.4%減
築11~15年 8.0%減
築16~20年 14.2%減
築21~25年 16.4%減
築26~30年 31.3%減
築31年~ 50.7%減

参考:東日本レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年01~03月】」から算出

仮に、4,000万円で購入した住宅の場合、築年数10年未満で売却する場合は「4,000万円×5.4%=216万円減(3,784万円)」、築年数15年未満であれば320万円減(3,680万円)、築年数20年未満であれば568万円減(3,432万円)という計算です。ただし、あくまで目安となります。

建物の構造によってもこのシミュレーションは変わります。木造住宅の場合は、法定耐用年数が22年と短く、建物価値は急激に下がります。土地の価値は変わりませんが、上物価値は、税務上は築22年で戸建てはゼロとなってしまいます。

もちろん、人気エリアや利便性の高さ・物件の状況によっても、この金額は変動するので、実際の査定は不動産会社に依頼しなければわかりません。

戸建て査定シミュレーションで調べる

インターネットでは、各不動産会社が査定シミュレーションのサービスを提供しています。どこも無料で利用できる上、サイトによっては複数社の査定を同時に依頼できるものもあるので、「戸建て査定シミュレーション」で検索してみてください。

会員登録や個人情報の入力をする必要はないので、安心してください。場所・築年数・面積などの物件情報の入力だけで、簡単なシミュレーションをしてくれます。

戸建て売却データベースで売却事例を調べる

不動産会社のサイトによっては、戸建て住宅売却データベースを公開しているところもあります。エリアごとに実際の売却事例がチェック可能です。

売却したい家のあるエリア・築年数・面積に近い事例が見つかれば、だいたいの価格を予測できます。

その不動産会社の実績もわかるので、依頼するかどうかの検討材料としても有効です。

築22年以上の古い家なら土地の価格だけを調べる

木造住宅の場合、築22年を超えると住宅としての価値はゼロとなり、「古家付き土地(ふるやつきとち)」として売りに出されます。このため、築22年以上の古い家の場合は、土地の価格=売却価格の目安と考えてよいでしょう。

「古家付き土地」は、建物の価値はないため、土地がメインです。土地を買いたい人向けに訴求した売り方となります。

近年は、古家や古民家を安く購入し、リノベーションする方法も人気です。

築年数ごとの家の売却相場

築年数が長いほど、家の売却相場は下がる傾向にあります。不動産会社のサイトで、エリア・面積・築年数で簡易シミュレーションが可能ですが、「面積はすぐにわからない」という人もいることでしょう。

この章では、「面積はわからないけど築年数はだいたいならわかる」という人向けに、築年数ごとの一戸建てのだいたいの売却相場を紹介します。

築5年未満の一戸建ての売却相場

築5年未満の物件は、ほとんど新築に近い分、下落率も低めになります。売却相場もかなりの高値です。

新築時の価格よりは落ちるものの、それほど値下がりしない状態で売却できます。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築5年未満)】

平均売却相場
東京 6,285万円
神奈川 4,522万円
千葉 3,636万円
埼玉 3,628万円
首都圏 4,813万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

もちろん、立地や広さ、あるいは日当たりや周辺環境によっても大きく異なりますので、あくまで目安です。

築5年~10年の一戸建ての売却相場

築5年~10年未満の物件は、築5年未満の物件に比較すると、それほど価格は下落していません。10年未満であれば、まだまだ人気物件として高く売却できる可能性があります。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築5~10年)】

平均売却相場
東京 6,103万円
神奈川 4,382万円
千葉 3,357万円
埼玉 3,351万円
首都圏 4,694万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

もちろん、立地や広さ、あるいは日当たりや周辺環境によっても大きく異なりますので、あくまで目安です。

築10年~15年の一戸建ての売却相場

築10年未満の物件に比べると、築10年~15年でもそれほど価格は下落していません。ただし、東京・神奈川では、築10年未満よりも売却価格が上がっており、地域ごとによって下落率に差が目立つようになってきました。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築10年~15年)】

平均売却相場
東京 6,294万円
神奈川 4,428万円
千葉 2,781万円
埼玉 3,217万円
首都圏 4,565万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

築10年以上の物件は、まだまだ綺麗で、多少修繕すれば新築に近い状態になります。「築10年を超えると少し安くなるかもしれない」と考える層から人気があるようです。もちろん、立地や広さ、あるいは日当たりや周辺環境によっても大きく異なりますので、あくまで目安です。

築15年~20年の一戸建ての売却相場

築15年を超えると下落率も大きくなり、エリアごとの相場の差も開いてきます。売却したい家が築15年以上となる場合は、価格が下がりやすいため時間との勝負になります。20年を超える前に、早めに売却活動をスタートしてください。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築15年~20年)】

平均売却相場
東京 5,529万円
神奈川 3,915万円
千葉 3,313万円
埼玉 2,918万円
首都圏 4,138万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

築20年~25年の一戸建ての売却相場

築20年を超えた物件は、木造住宅の場合は住宅建物としての価値がゼロの物件も出てきます。エリアによってはかなりの下落です。築20年が近くなった木造住宅の売却は、耐用年数22年を超えてしまう前に活動しましょう。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築20~25年)】

平均売却相場
東京 5,756万円
神奈川 3,831万円
千葉 2,363万円
埼玉 2,351万円
首都圏 3,945万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

もちろん、立地や広さ、あるいは日当たりや周辺環境によっても大きく異なりますので、あくまで目安です。

築25年~30年の一戸建ての売却相場

東京・神奈川ではまだまだ高めですが、築25年を超えた一戸建てはかなり安くなっています。築22年の耐用年数を超えた木造住宅は、価値が一気に下がるためです。

また、25年を超えると、家だけでなく、設備全体も老朽化しています。雨漏りや排水に欠陥がある場合は買い手もつきにくいため、不動産会社に調査をしてもらって売却できるかどうかを相談してください。瑕疵担保責任(万が一、欠陥があったまま売却してしまうと、責任問題を問われる事態)にもなりかねません。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築25年~30年)】

平均売却相場
東京 5,350万円
神奈川 3,736万円
千葉 1,956万円
埼玉 2,164万円
首都圏 3,258万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

もちろん、立地や広さ、あるいは日当たりや周辺環境によっても大きく異なりますので、あくまで目安です。

築30年を過ぎた一戸建ての売却相場

築30年以上の物件は、立派な古屋です。築5年未満の売却相場と比較すると、半額くらいにまで落ち込んでいます。40年・50年と古くなるほど、さらに売却価格は下がっていくため、早めの行動が重要です。

ほぼ、建物価値はなくなり、「土地」の価値であり、解体費用がかかる「古家付きの土地」の売却としてマーケットからは捉えられます。

住宅としてではなく、土地に価値が出る場合もあります。不動産会社と活用方法を相談してみましょう。

【関東エリアの中古一戸建ての売却価格例(築30年~)】

平均売却相場
東京 3,303万円
神奈川 3,060万円
千葉 1,428万円
埼玉 1,453万円
首都圏 2,289万円

出典:レインズ「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年04~06月】

主要地域別の家の売却相場

一戸建て住宅の売却価格は、金利やニーズなどによって常に値動きがあります。売却を考えている場合は、できるだけ高く、ベストなタイミングで売り出せるように、常に最新の相場情報を知っておきましょう。

以下は、2022年03月度の県別の平均売却価格・築年数・土地面積の情報です。

都道府県 平均売却価格 平均築年数 平均土地面積
北海道 1,783万円 28.26年 287.56㎡
青森県 1,384万円 27.49年 300.27㎡
岩手県 1,675万円 27.24年 299.25㎡
宮城県 2,554万円 25.79年 257.9㎡
秋田県 1,419万円 31.88年 298.65㎡
山形県 1,166万円 36.84年 417.8㎡
福島県 1,423万円 33.06年 359.03㎡
茨城県 1,542万円 28.59年 290.36㎡
栃木県 1,644万円 25.35年 325.45㎡
群馬県 1,596万円 29.61年 304.57㎡
埼玉県 2,416万円 21.81年 137.36㎡
千葉県 2,329万円 23.61年 172.64㎡
東京都 5,393万円 18.8年 109.34㎡
神奈川県 3,766万円 21.19年 149.33㎡
新潟県 1,476万円 23.21年 249.74㎡
富山県 1,180万円 37.04年 344.17㎡
石川県 1,783万円 28.16年 188.29㎡
福井県 1,634万円 26.72年 285.11㎡
山梨県 1,416万円 31.99年 301.27㎡
長野県 2,366万円 34.65年 510.79㎡
岐阜県 1,331万円 32.18年 228.64㎡
静岡県 1,695万円 24.31年 219.36㎡
愛知県 3,030万円 19.91年 179.12㎡
三重県 1,518万円 29.2年 251.92㎡
滋賀県 1,711万円 25.34年 242.95㎡
京都府 2,145万円 30.28年 130.24㎡
大阪府 2,050万円 29.39年 108.84㎡
兵庫県 2,113万円 27.22年 184.35㎡
奈良県 1,532万円 32.66年 214.92㎡
和歌山県 1,070万円 29.69年 280.85㎡
鳥取県 921万円 32.11年 324.86㎡
島根県 1,162万円 39.97年 220.95㎡
岡山県 1,730万円 34.1年 254.38㎡
広島県 1,969万円 30.2年 185.19㎡
山口県 1,221万円 32.08年 247.49㎡
徳島県 1,193万円 27.32年 262.44㎡
香川県 1,045万円 34.26年 182.46㎡
愛媛県 1,709万円 32.57年 243.58㎡
高知県 1,693万円 30.27年 186.22㎡
福岡県 1,861万円 30.43年 273.97㎡
佐賀県 1,800万円 27.15年 290.94㎡
長崎県 1,787万円 29.8年 213.29㎡
熊本県 1,787万円 26.54年 292.63㎡
大分県 1,213万円 35.84年 216.9㎡
宮崎県 1,514万円 33.6年 344.4㎡
鹿児島県 1,427万円 27.93年 227.36㎡
沖縄県 3,379万円 25.41年 258.62㎡

市町村によっても、広さによっても違いますので、あくまでも目安ですが、地域によってかなり差があることを認識しましょう。

【2022年】家の売却相場の価格推移

中古マンションや一戸建て住宅の売却価格は、そのときの状況によって常に変動があるものです。金利の影響や長引く新型コロナウイルス感染症によって、一戸建て住宅のニーズも高まっています。

また、テレワーク生活が浸透したことで、都心から地方に移住を考える人も増えてきました。今後、都心だけでなく、地方の住宅価格にも変動が起こると考えられます。

この章では、2022年の戸建て住宅の売却相場価格推移について、以下の点について解説します。

  • 戸建ての価格は上昇している
  • 2022年以降も家の価格は上がる見込みか

戸建ての価格は上昇している

国土交通省公表の「不動産価格指数」によると、戸建て住宅の価格は2020年度から上昇傾向にあります。不動産価格指数とは、年間約30万件の不動産の取引価格情報から不動産価格の動向を数値化したものです。

年月 不動産価格指数 対前月比
2021/01 102.9 -0.9%
2021/02 103.9 0.95%
2021/03 104.5 0.56%
2021/04 103.6 -0.82%
2021/05 105.8 2.09%
2021/06 106.5 0.66%
2021/07 108.2 1.57%
2021/08 108.2 0%
2021/09 108.5 0.31%
2021/10 109.4 0.78%
2021/11 109.1 -0.27%
2021/12 109.9 0.74%
2022/01 111.9 1.8%
2022/02 113.0 0.99%
2022/03 111.9 -0.9%
2022/04 115.0 2.75%
2022/05 115.1 0.05%
2022/06 115.2 0.06%
2022/07 116.2 0.92%

出典:国土交通省「不動産価格指数 最新データ」(2022年11月25日現在)

データを見ると、対前月比がマイナスになっている月もあるものの、2021年から不動産価格はじわじわと上昇を続けています。円安などにより、建築費は上昇しており、新築戸建ての金額が上昇。それにともない、中古住宅の相場も高くなっています。

2022年以降も家の価格は上がる見込みか

前述の国土交通省公表の「不動産価格指数」の推移から、2022年3月以外は価格上昇を続けているとわかります。

国土交通省発表の地価公示でも、2年ぶりに全国平均の数値が上がりました。

参考:国土交通省 地価・不動産鑑定「地価公示

不動産価格はその時期の情勢にも左右されるものの、しばらくはこのまま価格上昇が続くのではないかと期待できそうです。

しかし、国内の人口は減少傾向にあり、世帯数も減少していきます。現在の高値水準を支えているのは、金利が低いという国内事情にも起因しています。仮に金利が上がれば、高い不動産物件には手が出にくくなり、人口減少は需給バランスを崩し、物件価格の下落も考えられます。特に、金利の動向には注意しましょう。売るなら、高値で推移している間に急いだほうがよいかもしれません。

まとめ

築年数が長いほど、物件は価格が下がる傾向にあります。しかし、早く売ろうと焦って、相場より低い価格で売り出しては、ローン返済やその後の生活に支障が出かねません。最新の相場をチェックし、適正な価格で売り出しましょう。

近年、一戸建て住宅はじわじわと人気が高まり、売却価格も上昇中です。不動産会社と相談しながら、売却活動の計画を立てることをおすすめします。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。