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賃貸の退去費用とは?その内訳や相場をわかりやすく解説

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退去費用とは?

退去費用とは?

はじめに、 退去にかかる費用を、「原状回復費用」と「ハウスクリーニング代などの特約費用」に分けて紹介していきます。

原状回復費用

原状回復費用とは、その名の通り入居していた部屋の原状回復をするための費用です。賃貸物件では、入居中に生じた故意・過失による損耗を復旧する義務があります。

下記に、設備箇所ごとの原状回復費用の目安をまとめたのでぜひ参考にしてください。

【原状回復する箇所と費用の目安】

原状回復する箇所 費用
クロスの張替え(1平米あたり) 750~900円
ふすまの張替え(1枚あたり) 3,000~4,000円
フローリングの汚れの除去(1箇所あたり) 10,000円
カビ除去 5,000~10,000円
フローリングの張替え(1部屋あたり) 80,000~120,000円
カーペットの張替え(1部屋あたり) 40,000~60,000円
柱の修繕 10,000~40,000円
壁の下地の修繕(1枚) 25,000~60,000円
キッチンの油汚れの除去 15,000~25,000円
サッシのカビの除去(1箇所あたり) 10,000~20,000円

原状回復にかかる費用は、物件の状態や依頼する業者、また地域によってもまったく異なります。上記の金額はおおよその平均値であることを覚えておきましょう。

「原状回復」というのは、「元通りに戻す」という意味ではありません。誰も住んでいなくても、壁紙は劣化していきますし、畳が日に焼けたりします。こうした「時間が経つと劣化していく」ことは「経年劣化」として大家さんが負担するものです。
そうではなく、「壁紙をわざと汚した」「畳を傷つけた」など、入居者が故意過失により破損したものを回復するのが原状回復です。

つまり経年劣化が進んでいて、例えば、壁紙だと誰も住んでいなくても、7年で張り替えねばならなくなるといったことが国交省で決められていて、その期間を過ぎていれば、原状回復として壁紙の張り替え代は入居者が落書きをしていても負担する義務はなくなります。

ハウスクリーニング代などの特約

前述したように、賃貸契約では入居者は原状回復の義務がありますが、「元通りに戻す」ということではありません。あくまで経年劣化までに回復すればいいのです。しかし、契約時に、こうした原状回復とは別に「特約」として「入居者がハウスクリーニング代を支払う」といった契約を別途結ぶ事は民法で許可されています。

こうしたハウスクリーニング代は、退去した物件の清掃をプロに依頼して発生する費用です。清掃するための費用なので、損傷の有無に関わらず発生するケースが大半となります。

例えば、とある不動産会社のハウスクリーニングでは、以下のような箇所の清掃をおこないます。

【ハウスクリーニングをおこなう箇所】

  • エアコン清掃
  • ワックスがけ
  • 水回りの清掃
  • クロスの清掃
  • ベランダ清掃

一般的にハウスクリーニング業者は、管理会社もしくは家主が手配するので、入居者がリーズナブルな清掃業者を選択するということはできません。料金は業者により差がありますが、1Kの単身物件であれば、25,000円程度が請求されることがあるようです。

賃貸の退去費用の相場

賃貸の退去費用の相場

続いて、退去費用の相場について見ていきましょう。退去にかかる相場は、その部屋の間取りと居住年数によって異なります。

現在お住まいの住居の退去費用はどの程度なのか具体的に把握しておきましょう。

【間取り別】退去費用の相場

退去費用は、現在お住まいの間取りの大きさからある程度予想できます。下記に、間取りごとの退去費用の平均をまとめたのでぜひ参考にしてください。

間取り 退去費用の平均額
ワンルーム 69,000円
1K 76,982円
1DK 91,033円
1LDK 126,656円
2K 91,722円
2DK 117,254円
2LDK 147,651円
3LDK 168,636円

(参考:https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/742.html

平米数や損耗具合によって費用の差は出ますが、ある程度の目安としてください。

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【居住年数別】

間取りの他に居住年数も退去費用を決める重要な基準となります。居住年数ごとの退去費用の平均をまとめたのでご覧ください。

居住年数 退去費用の平均
~3年 49,431円
4年~6年 61.694円
7年~ 87,090円

表からもわかるように、賃貸物件では居住年数が長いほど退去にかかる費用が高額になる傾向があります。それだけ故意過失で物件に損傷を与える機会も増えるからです。

退去費用が高くなる原因

退去費用が高くなる原因

退去費用の相場はあるものの、中には高額な請求をされてしまうケースがあります。現在お住まいの物件で以下のようなことをしていた場合、もしかしたら通常よりも退去費用が高くなるかもしれません。

【退去費用が高くなる原因】

  • ペットを飼っていた
  • 部屋の中でタバコを吸っていた
  • 不用意に傷をつけている

それぞれについて詳しく解説していきます。

ペットを飼っていた

お住まいの物件で犬や猫などのペットを飼育していた場合、退去費用が高くなる傾向にあります。そもそもペットを飼育する場合には、敷金が償却されるという旨の特約を結んでいることが多いです。そのため、どんなに綺麗に部屋を使用していても敷金が戻ってこないケースや、敷金だけでは原状回復することが出来ず、高額な退去費用を請求されることがあります。

特に、猫や犬の糞尿がクロスや床を変色させてしまっている場合、その汚れは故意・過失に該当するので、敷金以上の費用を請求される可能性が高いです。

部屋の中でタバコを吸っていた

タバコも退去費用を上げる原因です。換気扇下などのスペースでタバコを吸っていても、クロスにはヤニ汚れや臭いがついてしまいます。

タバコでついたヤニ汚れや臭いはクリーニングで取り除くことは難しく、大抵の場合で居室のクロスが全張り替えになるでしょう。

不用意に傷をつけている

最後に挙げられる原因は、不用意につけられた傷です。具体例を挙げると壁・扉の損壊などで、最近増えているのは流行りのDIYで生じてしまった傷です。DIYで部屋をアレンジした場合、どんなに綺麗になっていても、元の状態に戻せなければ「傷」や「損傷」という扱いになります。

昨今では、剥がせる壁紙などの原状回復できるDIY商品もありますが、元通りにならなかった際には多額の退去費用が発生するリスクがあることを覚えておきましょう。また、DIYをしても良いかなどは、必ず入居時の重要事項説明で確認をするようにしましょう。

原状回復費用を負担するのは借主?貸主?

原状回復費用を負担するのは借主?貸主?

続いて、原状回復費用の負担割合について解説していきます。部屋に損傷が生じていた場合、その修復費用を負担するのは借主と貸主のどちらでしょうか。

賃貸物件の原状回復については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められています。負担する費用の割合を知る前に、まずはガイドラインの内容を知っておきましょう。

判断基準は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、原状回復の負担割合の判断基準は下記のとおりです。

(1)原状回復とは

原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
(引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

少々難しく記載されていますが、誰も住んでいなくても、時間が経てば劣化する経年劣化分は貸主が負担し、故意・過失などでそれ以上に生じた損耗は借主の負担になるという訳です。

それでは、どの程度の損傷が借主負担になってしまうのか詳しく見ていきましょう。

借主が負担する費用

退去時に借主が負担しなければならない費用として、具体的に以下の項目が挙げられます。

【借主が負担する費用】

  • 水漏れによる壁・床の腐食
  • クロス(壁紙)の傷・落書き
  • フローリング・畳・カーペットの傷や汚れ
  • タバコやヤニ汚れ・臭い
  • 障子・ドア・網戸の破損

それぞれ詳しく解説していきます。

水漏れによる壁・床の腐食

水漏れによる壁や床の腐食は借主負担で原状回復をおこないます。代表的な例を挙げると、洗濯機のトラブルによっておきた水漏れによる腐食です。

洗濯機は基本的に物件の設備ではなく借主が後から設置したものになるので、故障による水漏れで生じた損失は借主の負担となります。

クロス(壁紙)の傷・落書き

クロスに落書きをした・傷をつけた場合にも借主負担で原状回復をおこないます。具体例を挙げると、子どもが落書きをしてしまった箇所や、粘着テープでクロスを破ってしまった箇所がそれに該当します。

ただし、経年劣化期間(7年)を過ぎたら、原状回復義務はなくなります。とはいえ、契約時にハウスクリーニングなど別途「特約」があれば話は違います。

フローリング・畳・カーペットの傷や汚れ

フローリング・畳・カーペット等の床に生じた傷や汚れも、残念ながら借主が原状回復をする必要があります。特にフローリングの場合、重たいものを落として一か所でもへこんでしまうと、一面まるまる張り替える必要があるケースもあるので扱いに注意が必要です。

タバコのヤニ汚れ・臭い

タバコによって生じた損耗は全て借主負担で原状回復します。なぜなら、タバコによる損耗は通常使用には該当せず、全て借主の責任となるからです。

タバコの臭いや汚れはクリーニングでは落としきれないので、クロスの全面張替や、場合によってはフローリングの張替えも必要となるでしょう。

障子・ドア・網戸の破損

障子・ドア・網戸等の損耗は、築年数や入居年数が経過してない場合には借主が原状回復費用を負担する必要があります。

稀に「数十年住んだ物件の網戸が自然に剥がれてしまった」というケースがありますが、この場合には通常使用で生じた自然損耗として貸主負担に区分できるでしょう。

貸主が負担する費用

続いて、貸主が負担する費用について見ていきましょう。貸主が負担する費用は、わかりやすくまとめると「経年劣化」や「通常使用によってできた損耗」と判断できる箇所です。

下記に一般的な貸主の負担箇所をまとめたのでぜひ参考にしてください。

【貸主が負担する箇所】

  • 画鋲の穴
  • 家電の裏側の黒ずみ
  • フローリング・クロス・畳の日焼け
  • 家具・家電の設置跡

それぞれ詳しく解説していきます。

画鋲の穴

画鋲の穴は通常使用ではないと思っている方が多いですが、実は貸主が原状回復する義務があります。なぜなら、時計やカレンダーを壁にかけるために生じる画鋲の穴は通常使用に分類されるからです。

しかし、明らかに画鋲を何度も刺したと思われる大きな穴や、重たい物を固定していた太いネジ穴の場合には借主が原状回復費用を負担する必要があります。

家電の裏側の黒ずみ

冷蔵庫などの大型家電を長期間設置しておくと、裏側のクロスや床が黒ずんでしまうことがあります。家電は後から設置したものですが、それによる黒ずみは通常使用に区分されるため、貸主負担での修繕となる場合があります。

ただし、契約書の内容によっては通常使用とならないケースもあるので、注意しましょう。

フローリング・クロス・畳の日焼け

日焼けによる損耗も全て通常使用に該当します。なぜなら、カーテンを使用していてもクロスやフローリングの太陽光による日焼けは防ぎようがないからです。

ただし、「特約」として別途契約書に入居者負担になることが記載されている場合は、有効となるので注意しましょう。

家具・家電の設置跡

家具・家電を置いていることでできてしまった設置跡も通常使用に分類されるため、貸主が費用を負担して修繕をおこないます。

明らかに悪質なへこみの場合は別ですが、テレビや冷蔵庫をはじめとした大型家電を置いてできたへこみにかかる修繕費用は請求されません。

ただし、こちらも「特約」があれば入居者負担となる場合もあるため、注意が必要です。

退去費用を安くする方法

退去費用を安くする方法

ここまで、原状回復の負担区分について解説してきました。通常使用による損耗は貸主が原状回復をおこないますが、そうでない箇所は全て借主が負担する必要があります。

退去費用の支払いを免れることはできませんが、いくつかの方法で安くすることは可能です。この項では、退去費用を安くする4つの方法を見ていきましょう。

目視で確認できる汚れを落とす

1点目の方法は、退去前に落とせる汚れは落としておくことです。非常にシンプルな方法ですが、油汚れやカビの除去は素人でも比較的簡単におこなえるので、ぜひ事前に清掃をしておいてください。

また、綺麗な状態で退去立ち合いをおこなうと、管理会社からの印象が良くなるというメリットもあります。

可能な限り自力で修復する

自分で損耗箇所を修復するのも効果的な方法です。昨今ではネットショップやホームセンター等で、簡単にクロスやフローリングの補修キットが手に入ります

小さい傷であれば補修キットで十分目立たなくできるので、退去費用を大幅に抑えられるかもしれません。
ただし、直そうとして余計に悪化させてしまうこともあるので、要注意です。

入居時に部屋の傷を細かくチェックしておく

最後に挙げられるポイントは、入居時の細やかなチェックです。これは今後住む物件での対処法になりますが、入居時に既についていた傷の写真を撮っておくことで、退去費用の決定時に証拠となります。

入居が始まってからでは、自分がつけた傷なのか前の入居者がつけた傷なのかがわからなくなってしまうので、必ず入居時には部屋の傷を確認して管理会社に伝えておきましょう。

退去費用に関する特約

退去費用に関する特約

退去費用を算出するのに知っておきたいのが「特約」の存在です。賃貸契約を結んだ際に「原状回復特約」や「敷引き特約」などの特別の特約を結んでいる場合には、損耗の状態に関わらず一定の原状回復費用を支払う必要があります。

下記に、それぞれの特約の内容をまとめたのでご確認ください。

原状回復特約

原状回復特約とは、損耗の有無に関わらず一定の原状回復費用を借主が負担する特約です。あまりに借主にとって不利な内容である場合は無効となるケースもありますが、一般的には原状回復特約通りの費用を支払う必要があります。

原状回復特約の具体例を挙げると、「クリーニング費用」などの名目で損耗の有無に関わらず数万円程度の費用を請求する特約が多いでしょう。

敷引き特約

敷引き特約とは、契約時に支払った敷金の中から原状回復費用を差し引く特約です。例えば、契約書に特約として「敷引き1ヶ月」と記載されている場合には、賃料1か月分の敷金が差し引かれるという意味になります。

敷引きはペット飼育可能の物件に特約として組まれている場合が多いので、今一度契約書類を確認してみましょう。

退去費用を支払えない場合の対処法

退去費用を支払えない場合の対処法

ここまでは、退去費用の負担割合や安くする方法を解説していきました。原状回復のガイドラインやいくつかのコツを知っておくと、ある程度の退去費用は抑えられるでしょう。

しかし、退去時には新しい物件の初期費用や引っ越し費用が発生する物入りな時期です。中には「お金がなくて退去費用が支払えない」という方もいるのではないでしょうか。

この項では、退去費用が支払えない方のために3つの対処法を解説していきます。

消費者生活センターの窓口に相談する

管理会社や貸主に請求の不当性を申し立てても取り合ってもらえない場合には、消費者生活センターを活用してみましょう。消費者生活センターの相談料は原則無料なので、退去費用に関するアドバイスをもらってみてください。

不当な請求でない場合は残念ながら減額はできませんが、法的な目線から見た公正な回答が得られるでしょう。

金融機関からお金を借りる

退去費用の内容が不当でない場合には、高額な費用であっても支払う必要があります。支払いが確認できないと連帯保証人に迷惑がかかり、最悪裁判沙汰になる可能性も考えられるでしょう。

このような事態を避けるためにも必ず支払いはおこなってください。どうしても支払いがおこなえない場合には、金融機関からの借り入れも検討してみましょう。

支払いまでに時間の猶予があるなら、使途が自由な銀行のローンがおすすめです。一方で支払いまでに猶予がない方には、即日融資が可能な消費者金融のカードローンを検討してみてください。

民事調停も選択肢のひとつ

最後に挙げられる対処法は、民事調停をおこなうという方法です。退去費用にどうしても納得がいかない場合には、民事調停も1つの手といえます。

時間や費用はかかってしまいますが、不動産会社や貸主とのトラブルを法律の専門家が解決してくれるでしょう。

退去費用に関するよくある質問

退去費用に関するよくある質問

最後に、退去費用に関するよくある質問をまとめました。現在退去に関する悩みがない方も、今後疑問に思うことがあるかもしれません。

後から困ることのないように、ぜひよくある質問に目を通しておきましょう。

敷金なしは退去費用が高くなる?

結論から先に申し上げると、敷金を入居時に払っていないからといって退去費用が高くなることはありません。

しかし、本来敷金と相殺できたはずの退去費用が請求されるので、結果的に退去費用が高いと感じてしまうことはあるでしょう。

退去費用を払わないのはあり?

退去費用が高額である場合、払いたくないと思う方も多いでしょう。しかし、退去費用の督促を無視し続けると最悪の場合訴訟まで発展します。

請求額に納得がいかずに支払いたくない場合には、減額や支払期限の延長を交渉してみましょう。

まとめ

当記事では、賃貸物件の退去費用について解説してきました。退去費用は相場やガイドライン、原状回復費用の負担区分をしっかりと理解しておくことで不当な請求を防げます

また、退去費用は少しの工夫で削減可能です。当記事でご紹介した退去費用を安くする方法を参考に、納得のいく退去をしてください。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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