リフォーム費用は、施工する場所によって異なります。この項では、以下の設備ごとのリフォーム費用の相場を詳しく解説します。
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適切な価格でリフォームを依頼するためにも、相場を確認しておきましょう。
キッチンリフォームの相場は、大きさや範囲によって異なりますが、平均して40~80万円です。50万円以下でできるリフォーム内容としては、コンロ・レンジフード・食洗器などの、製品の交換が挙げられます。
キッチンをまるごと入れ替える場合には、100万円程度見積もっておく必要があります。さらに、対面式キッチンをL型キッチンにするなどの仕様変更をおこなう場合には、150万円程度の費用が必要です。
既存のIHクッキングヒーターから、新しいIHクッキングヒーターに交換する場合は、5〜15万円が相場です。
一方で、ガスコンロからIHクッキングヒーターに交換する場合には、電源の増設工事をおこなう必要があるため、工事費用が高くなる傾向にあります。ガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォームする場合には、10〜20万円の費用を想定しておきましょう。
ガス給湯器をリフォームする場合、給湯器の号数(サイズ)・設置方法・お湯はり機能の有無によって、費用が大きく変わります。
大家族の場合は24号以上、単身世帯や2人暮らし世帯の場合には20号程度の給湯器を選択しましょう。リフォーム費用の相場は15〜25万円です。
トイレリフォームの相場は、平均して30〜50万円です。洋式から洋式に交換する場合が最も安く、施工費を含めて30万円程度でリフォームできます。
和式トイレから洋式トイレに変更する場合や、タンクレストイレなどの多機能トイレにリフォームする場合には、50万円程度を想定しておきましょう。また、バス・トイレ一緒のタイプをバス・トイレ別にするなどといった工事は、さらに配管などの工事が必要となり、70~100万円以上かかります。
リビングのリフォーム費用の相場は、50〜500万円です。特に、間仕切りを撤去し、大幅な間取り変更をおこなう場合には、数百万円程度の費用を見込んでおく必要があります。また、リフォームをどこまでおこなうかで単価が大きく変わります。
いくつかのリビングリフォーム事例を参考に費用の相場をまとめたので、下記の表を参考にしてください。
上記の表からもわかるように、リビングはどの程度リフォームするかによって費用が大きく異なります。家の中心部分と言っても過言ではない箇所なので、リフォームする範囲と費用をよく検討して施工するようにしましょう。
壁紙・クロスの張り替え費用の相場は、1平米あたり1,000〜1,500円といわれています。量産クロスなどの安価なものを使用すれば、1平米あたり1,000円以下で張り替えることも可能です。
費用を抑えたい場合は、施工会社に相談してクロスの質を変えてもらいましょう。
床の張り替え費用は、壁紙・クロスの張り替えと同じく、1平米あたりの相場があります。費用の相場は1平米あたり7,000円程度です。
つまり、6畳(約10平米)のフローリングを張り替える場合の費用相場は、7万円程度ということになります。複合フローリングなどの安い床材を使用すれば、6畳あたり4万円程度に費用を抑えられるでしょう。
しかし、人気の高い無垢材などを使うと、材料費のコストが上がります。また、防音床にするなどの場合も別途コストがかかりますので、注意しましょう。
風呂や浴室のリフォームにかかる費用の相場は、60〜120万円です。古くなった浴槽を新しいものに交換する場合は、60万円程度で施工可能です。
しかし、浴室全体をデザインリフォームする、高機能な浴槽を入れる、浴室内に浴室乾燥機を新規導入するといった場合には、120〜200万円の予算を見積もっておいた方が良いでしょう。
また、リフォームする前の浴槽の構造などによっても、コストはかかります。昔の浴室は段差がないものもあり、排水のために傾斜をつけなければならないなどのケースでは、その分コストは高くなります。
洗面所のリフォーム費用は、10〜25万円が相場です。洗面所のリフォーム費用は、新しく入れ替える洗面台のグレードによって、大きく変わります。洗面台のメーカーや機能にこだわらなければ、10万円以下で施工することも可能です。
洗面所のクロスやフリーリングの内装工事もする場合には、20〜25万円の予算を見込んでおきましょう。また、洗面所の場所を変えるケースなどは、見えない部分にある配管を変える必要があり、さらにコストがかかります。
外壁のリフォーム費用の相場は、50〜200万円です。外壁塗装のみであれば80〜150万円、補修のみであれば50万円以下に抑えられることもあります。
パネルの張替などの大規模な外壁リフォームをおこなう場合には、200万円以上の費用がかかることを覚えておきましょう。
また、高さなどがある場合は、その工事をおこなうための足場の設営コストが別途かかります。
屋根のリフォームは、屋根材によって費用が異なります。下記に、施工内容ごとの相場をまとめたので、下記の表を参考にしてください。
この他にも、屋根の広さや形状が費用に大きく影響してくるので、特殊な構造をしている住宅は注意が必要です。また、高さや足場の有無によっても、コストが大きく変わります。
築年数を重ねた住宅の場合、表面的なリフォームのみではなく、耐震補強も必要です。耐震補強リフォームにかかる費用の相場は、築年数に応じて変わりますが100〜200万円といわれています。
耐震用の金具を取り付ける程度の補強であれば、20〜25万円の費用で済みますが、基礎から補強をおこなう場合には、100〜200万円を想定しておきましょう。
また、耐震診断をおこなうには、別途診断のためのコストがかかります。特に、旧耐震物件を現在の耐震基準に準じたものに補強するには、さらに多くのコストがかかる場合があります。
リフォーム工事を業者に依頼する場合、工賃や設備代以外に下記の費用が発生します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
工賃や設備代の他に挙げられる費用にはまず、施工業者の駐車場代があります。リフォーム工事をおこなう際、多くの場合で施工業者は車で訪問します。
駐車スペースが自宅前に十分に用意されている場合には、特段注意を払う必要はありません。しかし、駐車スペースを確保できない場合は、近隣の駐車場を利用する必要があります。
工事期間中は継続的に駐車場の確保が必要になるため、数万円程度の出費は見込んでおきましょう。
大規模なリフォームをおこなう場合に発生するのが、設計費用です。工事と設計の両方を担う施工業者の場合、基本的には設計費用はリフォーム費用に含まれます。
しかし、施工業者とは別にデザイナー事務所に設計を依頼した場合などには、別途設計費用がかかるので注意しましょう。
増改築などの建ぺい率や容積率の変更を伴うリフォームの場合、建築確認申請が必要です。建築確認申請とは、増改築後に建ぺい率や容積率が各自治体の基準値に収まっているかどうかを確認するための書類です。
書類申請には手数料がかかり、費用は自治体によって異なります。大規模なリフォームをおこなう場合には、事前に居住地のある地域の建築確認申請手数料を確認しておきましょう。
大規模なリフォームをおこなう場合、工事期間中は仮住まいを探す必要があります。短期間であればホテル宿泊、1か月ほどかかる場合はマンスリー物件への宿泊などを手配する必要もあるかもしれません。
また、場合によっては、工事期間の間、賃貸物件を借りるというケースもあり得ます。一般的には、賃貸契約を結ぶ際には、一般的に敷金・礼金・前家賃・仲介手数料などの費用が必要です。
概ね家賃の5か月分の費用が初期費用としてかかるので、仮住まいの家賃が10万円の場合には50万円程度の費用を見込んでおく必要があります。また、家財が多い場合には、仮住まいの他にトランクルームをレンタルする必要があるかもしれません。
リフォーム前には、移動する必要がある家財についてしっかりと打ち合わせして、仮住まいに伴う費用を算出しましょう。
仮住まいに引っ越す場合には、当然ですが引っ越し費用がかかります。引っ越し費用は家族の人数によって大きく左右されるので、下記の表を参考にしてください。
上記はあくまで平均値で、価格は荷物の量や運送する距離によって変わります。運送にかかる費用を抑えたい場合には、いくつかの施工業者に見積もりを依頼して比較検討をおこないましょう。
続いて、リフォーム費用を安く抑えるポイントについて、解説していきます。リフォーム費用を安くするためには、下記の2つのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
1点目は、複数の施工業者に見積もりを依頼することです。これは、リフォーム業者のみではなく全ての業種に言えることですが、1社のみの見積もりでは、費用の相場感は把握できません。
見積もりが相場よりも高いのか安いのかを把握するために、複数の施工業者への依頼は欠かせないといえるでしょう。また、見比べることで施工業者ごとの技術力や提案力も見極められます。
さらに、他社の見積もり書を提示することで、価格交渉も可能です。これらの理由から、リフォーム会社に依頼する際には、必ず複数の施工業者に見積もりをお願いしましょう。
ただし、施工業者ごとに見積もりの項目が全く異なっている事が多く、見積もりを比較するのが難しいという問題もあります。単に見積もりの合計額の安い方を選ぶと、安い方の見積もりに、前述の設計代や駐車代、あるいは足場の設置費用などが含まれていないというケースもあるので、項目までしっかり確認するようにしましょう。
総額での比較と同時に、各項目が何を指すのかを確認し、丁寧に比較検討するようにしましょう。
補助金や控除を利用して、リフォーム費用を軽減する方法もあります。住宅を長く使用するために国が設けている「長期優良住宅化リフォーム推奨事業」や、地方自治体の「補助金制度」が、これに該当します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推奨事業とは、住宅を長く使用する目的でリフォームをする場合に、その費用の一部を国が負担してくれる制度です。下記の条件を満たすと、最大で300万円の補助金を受け取れます。
【長期優良住宅化リフォーム推奨事業の条件】
この制度を利用して補助金を申請できるのは施工業者側です。また、補助金を受け取れるのも施工業者です。そのため、制度を利用する際には、しっかりと施工業者に話を通しておきましょう。
国のみではなく、地方自治体でもリフォームに関する補助金制度を設けている場合があります。補助内容は自治体によって異なるため、まずはお住まいの地域の補助金制度を調べてみましょう。
補助金を受け取る際には、多くの場合でリフォーム前の申請が必要です。補助金を受け取るための工期の期限も存在するので、併せて確認しておいてください。
リフォームに関する知識や情報を得たら、いよいよリフォーム会社を選んでいきましょう。リフォーム会社を選ぶ際には、複数社に見積もりを依頼して比較検討をおこなってください。その際は、下記の項目も必ずチェックしましょう。
リフォームは、会社選びが成否をわけると言っても過言ではありません。チェックポイントを参考に、誠実で相性の良いリフォーム会社を見つけましょう。
リフォームを検討している建物の状況やリフォームの内容によっては、住み替えの方がお得であるケースが存在します。
あくまでもリフォームは、現在住んでいる家を使いやすくするための修繕です。多額のリフォーム費用をかければ新築同様に綺麗になりますが、土地の形状やお住まいの環境までは変えられません。
生活スタイルの変化によって、もう少し駅の近くに住みたい・広めの物件に住みたいと考えている方は、思い切って住み替えを検討してみましょう。
特に、住宅ローンが完済している方は、売却した利益で新しい住宅を購入できる可能性があるため、住み替えも選択肢のひとつとして考えてみましょう。
最後に、リフォーム費用に関するよくある質問をまとめました。現在、疑問に思う点がない方でも、今後困ることが出てくるかもしれません。
後から困ることのないように、よくある質問に目を通しておきましょう。
値段の安さのみでリフォーム業者を決めてしまうのは、失敗のもとです。なぜなら、安さを売りにしている施工業者は、他社よりも安い建材を使用していたり、技術力に欠けていたりすることもあるからです。
もちろん、リスニングや打ち合わせを繰り返して信頼できると判断した場合は、依頼しても良いかもしれません。しかし、価格のみで判断すると後悔することになりかねないため、気をつけましょう。
戸建や一軒家のリフォームをおこなう場合、工事範囲によって費用相場が異なります。目安として、壁紙を貼り替えたり、古い設備を入れ替えたりする程度の、原状回復レベルのリフォームであれば200〜500万円で済むことが多いでしょう。
中古戸建の場合、3DKを2LDKにするといった間取りの変更などでフルリフォームし、新築同様にする場合は、最低でも1,000万円程度は見積もっておきましょう。広さや階数が多くなればなるほど、費用は高く見積もる必要があります。
当記事では、リフォーム費用の場所別の相場やリフォーム業者を選ぶ際のコツについて解説していきました。リフォームにかかる費用は、施工する場所や依頼する施工業者によって大きく異なります。
まずは、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼し、信頼できる施工業者を見つけてください。また、リフォームする場所の費用相場を調べて、損をしないようにしましょう。
実際にリフォームする際には、費用を軽減してくれる国や地方自治体の補助金制度が存在します。
この記事を参考に、知識をしっかりと蓄えて賢いリフォームをおこないましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員 「プリンシプル 住まい総研」所長 住宅情報マンションズ初代編集長
1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。
プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。