【古い家を売る方法】売却方法や注意点を解説!

【古い家を売る方法】売却方法や注意点を解説!

「古い家を手放すにはどうしたらいい?」「古い家を売れやすくする方法を知りたい」

築年数の経過した家は売れにくいといわれています。古い家を手放したいと考えている人の中には、上記のようなことに悩んでいる人も多いかもしれません。

この記事を読めば、古い家を売るためのアプローチ方法と注意点が把握でき、売却に向けた準備が進められるようになります。

さらに、古い家の売却時にかかる税金や、利用できる特別控除についても解説していきますので、あわせてチェックしてみてください。

古い家を売るための7つの方法

古い家は資産価値が低く、売り出すのが難しい物件です。不動産業界では、一般的に「築20年を過ぎた木造の戸建て」や「築45年以上のマンション」などが古い家として扱われる場合が多いです。

建物には構造ごとに「法定耐用年数」が定められており、この年数を超えると資産価値がほぼゼロに等しくなります。そのため、法定耐用年数付近の築年数の物件は古い家と呼ばれているのです。

ただし、上記はあくまでも価値の話なので、住む上で問題があるというわけではありません。買い手の中には、古い家を購入したい・引き取りたいと考えている人も一定数存在します。

そのため、古い家は需要のある買い手へ向けてアプローチすることが重要なのです。以降では、古い家を売る7つの方法について解説します。どの方法が適しているかは、所有している物件や売却する目的によって異なるため、自分に合ったものを採用するようにしてください。

そのまま売り出す

不動産売買における最もスタンダードな方法は、「仲介」です。仲介は、不動産会社と契約して買主を探してもらう方法のことで、物件をそのまま売りに出して売却します。

仲介に適している物件は、以下の通りです。

【仲介が適している古い家】

  • きれいに維持管理していた
  • 過去にリフォーム実績がある
  • 立地が良い

上記に該当する物件は、そのままでも売れる可能性が高いものです。そのため、比較的手間暇がかからず、利益が出やすい仲介で売却するのがよいでしょう。仲介なら販売価格や売却期間をある程度自分で決められるメリットがあります。

解体して売る

長期間放置していた古い家などは、物件としての利用価値がないため取り壊しが必要になります。解体工事後に土地を更地として売り出す方法です。更地は、新居を探している人などの目に留まりやすいため、古家付きの状態より需要が高く売れやすくなるメリットがあります。

特に、以下のようなケースに該当する場合は、解体して売却するのがよいでしょう。

【解体が適している古い家】

  • 管理状態が悪く損傷している
  • 躯体などの劣化が進んでいる
  • 築年数が古すぎる(新制度の耐震基準×)
  • 空き家の期間が長い

以下は、木造住宅の坪数ごとの解体費用の目安を表にしたものです。

坪数 費用相場
30坪 90〜150万円
40坪 120〜200万円
50坪 150〜250万円

木造の古い家を解体工事する場合は、1坪あたり4〜5万円が相場になります。ただし、近年費用は増加傾向にあり、場合によっては上記相場を上回る可能性もあるようです。

さらに、そのまま売れるケースも存在するため、自己判断で解体すると損をしてしまうかもしれません。売れづらいと感じる物件であっても、不動産会社などに相談して一度見てもらったほうがよいでしょう。

リフォームして売る

古い家には、リフォームしてから売るという方法もあります。リフォームをするメリットは、その家のマイナス評価を減らせることです。

特に、経年劣化していく設備は、内覧などの購入検討時に入念にチェックされるため、懸念点があると購入されづらい傾向があります。それらの設備を売り出し前にリフォームしておくことで、ほかの同程度の築年数の物件と比較されたときに有利になるのです。

リフォームに適している古い家には、以下のような例があります。

  • 築30~40年で比較的状態のいい家
  • 水回りの設備が老朽化している

リフォームに向いているのは、「仲介では売りづらく解体するのはもったいない」程度の古い家です。

また、家の売却が前提の場合は、部分リフォームが基本となります。特に、風呂場・トイレなどの水回りは、購入検討者にとって気になるポイントなので、売り出し前にリフォームするケースが多いようです。

ただし、リフォームにはそれなりの費用がかかり、原則自己資金での支払いとなります。利益が出るかどうかをしっかり検討してからおこなうようにしましょう。

買取を利用して売る

物件の取引というと、次の持ち主である買主を探す仲介を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、不動産会社へと直接物件を売却する「買取」という方法もあります。

【買取が適している古い家】

  • 安くてもいいからすぐに売りたい
  • 取り壊しが必要な物件

買取は、不動産会社にとっては仕入れに該当する取引になります。そのため、買取の販売価格は仲介などの通常の値段よりも安くなるのがデメリットです。

しかし、即売できるメリットがあるため「安くてもいいからすぐに手放したい」と考えている人なら買取で売却することを検討してみてもよいでしょう。

さらに、取り壊さないと売れない状態の物件でも、場合によっては引き取ってくれることがあるため、解体費用が捻出できない人にもおすすめです。その場合は、解体費用と転売益を差し引いた金額で購入されるので、売却価格が相当安くなってしまうことは留意しておいてください。

買取を利用して売る

古い家を売れやすくする方法として「空き家バンク」を活用してみるのもよいでしょう。

空き家バンクとは、不動産会社・社団法人などが運営する「空き家売買の情報サイト」のことです。各自治体が主体となっておこなっているサービスで、空き家と買主をマッチングさせることを目的に運営されています。

空き家バンクを利用するメリットは、古い家に理解がある人が主な買い手となることです。一般向けの不動産ポータルサイトよりも売却しやすい傾向があります。

さらに、家財が残った状態など、通常不動産会社に敬遠されてしまうような古い家屋でも、空き家バンクなら売りに出すことが可能です。

ただし、空き家バンクはすべての自治体で運営されているわけではありません。また、売れやすいといっても一般的な物件情報サイトに比べるとアクセス総数は少ないものになります。

さらに、サイトによっては購入希望者と直接交渉しなければならないため、売却完了まで手間暇がかかる可能性があります。場合によっては話し合いを重ねて、折り合いをつけなければならないでしょう。

疵担保保険をつけて売る

古い家を売却しやすくするためには「瑕疵担保保険」を付保することも視野に入れるとよいでしょう。

瑕疵とは、「通常あるべき品質が欠陥している」という意味です。瑕疵担保保険を付保することにより、万が一物件の売却後に瑕疵が見つかっても、保険料で一部補修費用を負担できます。物件に保証書がつくようなものなので、古い物件でも安心して購入してもらえるのがメリットです。

築20年を超える物件は、買主が「住宅ローン控除」を利用できないというデメリットがあります。しかし、瑕疵担保保険を付保することにより、住宅ローン控除も利用できるようになるのです。瑕疵担保保険の有無では買い手のつきやすさがかなり違うでしょう。

古家付き土地で売る

物件の築年数がかなり経過している場合は、古家付きの土地として売り出す方法もあります。土地をメインに売り出し、その土地に物件が付いてくるという売り出し方です。古家付き土地として売ることで得られるメリットには以下のようなものがあります。

  • 土地そのものを探している人をターゲットにできる
  • リフォームのできる物件を探している人をターゲットにできる
  • 古家の解体費用がかからない

物件自体にあまり価値がないケースでは、買主のターゲット層を広く見積もることも大切になるでしょう。古家付きで売ってしまえば解体費用はかからないので、売却のための経費を節約できます。

また、自然が豊かなど、周辺環境などに魅力があれば、古家付きで売れる可能性は高いでしょう。近年のDIY人気の影響もあり、築40年ほどの家を古家付き土地として売り出す作戦も多くみられます。「古家を改築し、自分の理想の家に作り替えたい」という需要は増加傾向にあるのです。

古い家を売る流れ

古い家を売却する手順は、主に以下の7つのステップにわけられます。

【古い家を売却する7ステップ】

時期 手順 内容
売り出し前 ①不動産会社に査定依頼 不動産会社を探して見積もり依頼をする
見積書(査定書)を比較して依頼先を決定する
②不動産会社と媒介契約 不動産会社と契約締結し、物件の売り出し価格を決定する
売り出し中 ③売却活動 不動産会社が主体となっておこなう
(売主も内覧準備などをおこなう)
④内覧などの対応 買主の印象が良くなるよう工夫する
売り出し後 ⑤売買条件決定 売買契約の条件を話し合う
手付金を受け取り、引き渡し日を決定する
⑥物件・土地の引き渡し 残りの代金を受け取り、物件を引き渡す
⑦確定申告 古い家を売って得た譲渡所得を申告する

不動産会社と契約締結してから、買主へ物件を引き渡すまでにかかる期間はおおよそ6か月です。古い家は比較的売れづらい傾向があるため、最低でも半年はかかると考えておくとよいでしょう。

まずは、家の売却価格を決定するために不動産会社に物件の査定を依頼します。金額に納得できたら仲介を依頼するための媒介契約を締結し、本格的に売却活動を開始して買い手を探しましょう。

買い手が決まったら、内覧・売買条件決めの交渉・引き渡しをおこないます。また、土地売却後は確定申告も忘れずにおこないましょう。

古い家を売るときの注意点

古い家を売る際には、以下のことに注意する必要があります。

【古い家を売る際の注意点】

  • 家財は撤去しておく
  • 複数の不動産会社に査定依頼する
  • 解体する場合はタイミングに気をつける
  • 名義を再確認する
  • 契約不適合責任(瑕疵担保責任)が課せられないようにする
  • 境界線を確認する
  • 古い家の解体や売却に関する補助金制度を確認する
  • 再建築不可物件かどうかを確認する

古い家は通常の物件よりも懸念点が多いため、さまざまなことに配慮して売却しなければなりません。配慮や対策を怠ると、損をしてしまうだけでなく最悪の場合責任問題になってしまいます。

古い家の売却を検討している人は、しっかり読んで把握しておいてください。

家財は撤去しておく

古い家を売りに出す・解体する場合は、家財などの不用品を撤去しておくべきでしょう。不用品がそのまま残っている物件は敬遠される傾向があるため、売るのが難しくなってしまいます。

古い家に家財が残っている場合のデメリットは、以下の通りです。

  • 不動産会社に売却を断られる
  • 解体業者に依頼を断られる
  • 内覧・物件写真の印象が下がる

家財を処分していない物件の主なデメリットとして「不動産会社が仲介・買取をしてくれない」ことが挙げられます。もし対応してもらえたとしても、値下げ交渉される要因になるほか、買主がなかなか見つからない事態に陥ってしまう可能性は高いでしょう。

さらに、解体の場合は、家財道具が残っていると工事自体請け負ってもらえないケースもあります。解体工事業者は瓦礫などの産業廃棄物は処分できるのですが、家庭ごみなどの一般廃棄物の処分には基本的に対応していないためです。

たとえ請け負ってくれたとしても、かなりの処分費用がかかってしまいます。ものによっては10倍近い処分費用がかかることもあるので、コストを抑えたいなら自分で処分するべきでしょう。

一戸建ての家財をすべて廃棄すると、おおよそ4トントラック1〜2台分の家庭ごみが出るといわれています。処分費用は15〜25万円なので、可能であれば自分で処分することをおすすめします。

複数の不動産会社に査定依頼する

不動産会社に査定を依頼する際は、最初から1社に絞らず複数社に見積もりをしてもらいましょう。正しく比較するため、可能であれば2〜3社から見積もりを取ることをおすすめします。

査定の金額だけでなく、担当者の知識量や査定時の対応などもあわせてチェックし、信頼できる業者かどうかをしっかり見極めてください。

同じ物件でも、査定する不動産会社によって金額は変動します。不動産会社によって得意な分野や地域が異なるため、自分の売りたい物件に合った業者を選ぶことが重要です。今までどんな物件の売却を担当したかヒアリングしたり、公式サイトの売却実績をチェックしたりして判断しましょう。

また、その業者が得意とするジャンルであれば、適正な売り出し価格の設定や、買主へ的確なアプローチが期待できます。古い家の売却を得意とする業者と媒介契約を締結するよう心掛けることで、失敗しづらくなるはずです。

解体する場合はタイミングに気をつける

古い家の解体を検討している際は「固定資産税の上がるタイミング」に十分注意しましょう。
タイミングが悪いと大きく損をしてしまう可能性があります。

固定資産税は、毎年1月1日の土地の状態で決定されるものです。その時点で土地に家が建っていれば「住宅用地の軽減」が適用されるため、古い家がある状態では固定資産税が安くなっています。

しかし、古い家を取り壊し、1月1日時点で土地が更地になっていた場合では、固定資産税が軽減前に戻って税負担が大きくなるので注意が必要です。そのため、解体時期が年末に近いケースでは、1月1日よりも後に更地にするよう心がけましょう。

名義を再確認する

相続した古い家を売却する際は、不動産の所有者である「名義人」が自分の名前になっているか再度確認しておきましょう。不動産を売却する権利は名義人しか持っていないので、別名義である場合は「相続手続き」を済ませておく必要があります。

相続手続きの手順は、以下の通りです。

  1. 遺産分割協議で相続する財産を確定
  2. 相続登記手続きをおこなう
  3. 相続税を納付する

相続手続きは自分でもおこなえますが、少々複雑な手続きのため、慣れない人だとそれなりの労力が必要になります。わずらわしく感じる人は、司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)が課せられないようにする

古い家を売却する際には、契約不適合責任(瑕疵担保責任)に十分注意してください。売買契約書で交わした契約内容に相違があった場合は、買主から損害賠償されてしまう可能性があります。

売主は、所有時に把握していたかどうかに関係なく、売却後も物件の設備や瑕疵に責任を持たなければなりません。設備の不具合やデメリットがある場合は契約前に正直に伝えましょう。

契約不適合責任に問われないためには、「契約時にいかに情報提供できるか・買主が内容を承知の上で契約しているか」が重要です。契約時に提出する「告知書(物件状況確認書)」に物件の瑕疵を漏れなく記載するなどの対策をおこないましょう。

その際は、雨漏りやシロアリ被害などの物理的な瑕疵だけでなく、騒音・悪臭などの環境的瑕疵などもしっかり記載しておくことをおすすめします。

境界線を確認する

古い家の売却時には、土地の境界線を明らかにしておくことも重要になります。隣接地との境界が明らかでない土地はトラブルの原因となるため、原則売却できません。境界線が確認できない場合は、土地家屋調査士や測量士に依頼し「確定測量」をおこないましょう。

確定測量は、すべての隣接地の境界の位置を正式に確定する作業のことです。隣接地の所有者の署名や実印が必要になるため、すべての所有者との相互確認が必須となります。スケジュール調整や立ち合い依頼などをおこなわなければならず、時間もコストもかかるため注意が必要です。

判断に迷う場合は、査定時に不動産会社の担当者へ相談してみることをおすすめします。

古い家の解体や売却に関する補助金制度を確認する

古い家の売却前には、自治体などの「補助金制度」が利用できるかどうかチェックしておけるとよいでしょう。利用できることを知らずに、建物を解体・リフォームしてしまうのはもったいないことです。

ただし、受けられる補助金制度は自治体ごとに異なります。さらに、予算状況によってはなくなってしまうこともあるようです。今まで受け付けていた制度が突然終了したり、新しい制度が始まったりと毎年のように変わるので、こまめにチェックしておくことをおすすめします。

再建築不可物件かどうかを確認する

古い家の中には、「再建築不可物件」に該当するものもあるため注意が必要です。

現存する家を建て壊してしまうと、その土地に新たに物件を建てることができない土地を「再建築不可」といいます。旧基準で建てられた古い家の中には、新たに定められた建築基準法の「接道義務」をクリアしていない物件も存在しているのです。

再建築不可物件に該当している場合は、新たに建物を建築することができないので、土地の利用方法が限定されます。現存する家をリフォームして寿命を延ばし続けるか、住宅地以外に利用する土地として売り出すしかありません。

さらに、再建築不可の土地は、売却価格がかなり安くなるだけでなく、買い手がつかない可能性もあります。再建築不可物件に該当するかどうかは、市区町村の役場で調査できるため、不安な人は問い合わせておくとよいでしょう。

古い家の売却にかかる税金

不動産を売却して得た所得は「譲渡所得」と呼ばれます。この譲渡所得が発生しているかいないかによって、税金の支払い義務の有無も変動するため、しっかり覚えておいてください。

譲渡所得を算出する方法は、以下の通りです。

譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)

「取得費」は物件を入手した際にかかった費用のことを指し、「譲渡費用」は物件を売却する際にかかった経費のことを指します。

この物件の取得から売却までにかかった諸経費が物件の売却金額を上回っていれば、譲渡所得が発生するため、「譲渡所得税」を支払わなければなりません。しかし、下回っている場合は譲渡所得が発生しないため、譲渡所得税もかからない形になるのです。

ここからは、不動産売却にかかる税金や、税の特別控除について解説していきます。上記の計算式で譲渡所得が発生している人は、よく読んで参考にしてください。

税金一覧

不動産の売却時には、以下の税金がかかります。

【不動産売却にかかる税金】

税金の種類 支払い時期 金額
譲渡所得税 確定申告時
(売却翌年の2月16日~3月15日)
短期譲渡所得:売却益×30.63%
長期譲渡所得:売却益×15.315%
印紙税 売買契約書作成時 1,000~5,000円
(取引額によって変動)
登録免許税 抵当権抹消手続き時 不動産1つにつき1,000円

「印紙税」は売買契約書に課される税金で、取引金額に応じた金額を収入印紙で納税します。さらに、ローンの残債があり、抵当権抹消手続きが必要な場合は「登録免許税」の支払いが必要です。

また、先述した「譲渡所得税」は以下の計算式を用いて算出します。

譲渡所得税=売却益(譲渡所得)×税率

譲渡所得にかかる税率は、不動産を所持している期間によって変動するため、算出時は以下の表を参考にしてください。

所得の種類 所有期間 税率
短期譲渡所得 5年以下 30.63%
長期譲渡所得 5年以上 15.315%

また、譲渡所得税は支払う金額が大きい税金です。控除などを利用して、金額を少しでも抑えるよう努めることをおすすめします。

古い家を売却する際の3つの特別控除

最後に、古い家を売却する際に活用できる、3つの特別控除について紹介していきます。特別控除を利用することにより、譲渡所得税の一部あるいは全額が課税対象から除外されるメリットがあるのです。

古い家を売却する際には、以下の特別控除が利用できる可能性があります。

  1. 低未利用地売却時の100万円特別控除
  2. マイホームで利用できる3,000万円特別控除
  3. 相続した古い家の3,000万円特別控除

ただし、特別控除を利用するためには、適用条件をすべて満たし、正しい方法で申告しなければなりません。詳しくは国税庁のホームページを確認してみてください。

低未利用地売却時の100万円特別控除

「低未利用土地」は、空き家や空き地などの活用されていない土地のことを指します。この特別控除を利用すれば、譲渡所得のうち100万円までが課税対象から控除されるメリットがあります。

低未利用土地等の特別控除を利用する際は、以下の適用条件をクリアしなければなりません。

  • 譲渡者(売主)が個人である
  • 譲渡金額が500万円以下である
  • 長期譲渡所得に該当する
  • 物件が都市計画区内に所在する
  • 「低未利用土地等確認書」を市区町村から取得している

古い家を売却する際は、売却金額が低くなるケースがほとんどです。上記の要件を満たしているか分からない場合は、国税庁のホームページをチェックしてみるといいでしょう。

マイホームで利用できる3,000万円特別控除

売却する古い家がマイホームであるなら、「居住用財産の3.000万円の特別控除」の特例が利用できるかもしれません。

この特例は、物件を譲渡した際の売却金額が3,000万円以下であれば、所得税・住民税が控除されるというメリットがあります。以下は特別控除を適用するために必要な条件の一例です。

【控除の適用条件】

  • 売却前まで売主が居住していた物件(土地)である
  • 転居してから3年後の12月31日までに売却している
  • 売主と買主が親族でない

この特例を利用するためには、その土地に住んでいたという事実証明が必要になります。そのため、市区町村役場で戸籍の附票や附票の除票を取得しておかなければなりません。詳しくは国税庁のホームページを参照してください。

相続した古い家の3,000万円特別控除

売却したい古い家が相続した空き家だった場合は「被相続人の居住用財産にかかる譲渡所得の特別控除」が適用できる場合があります。

この特例のメリットは、3,000万円までの譲渡所得が課税対象から控除されることです。ただし、適用するためには以下の条件に該当していなければなりません。

【控除の適用条件】

  • 昭和56年5月31日までに建築された物件である
  • 相続開始後、3年目の12月31日までに売却している
  • 相続後は空き家となっていた
  • 一定の耐震基準を満たしている(耐震リフォーム済)あるいは取り壊し済みである

また、上記の条件に加えて、確定申告時には必要書類の提出が求められます。ほかにも細かく条件が指定されているので、詳しく知りたい人は国税庁のホームページを確認してみるとよいでしょう。

まとめ

古い家は、一般的な不動産に比べて懸念点が多く売れづらい傾向があります。そのため、仲介以外の方法も視野に入れて売却準備をすすめる必要があるのです。

物件ごとに適した売却方法は異なるため、専門家である不動産会社に一度相談してみることをおすすめします。自己判断して失敗しないよう十分注意しましょう。

また、売却して利益が発生した場合は、利用できる特別控除がないかチェックしておくことも重要です。積極的に情報収集をおこない、損をしない不動産売却を心がけてください。

プロフィール
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
矢野翔一(有限会社アローフィールド)
関西学院大学法学部法律学科卒。

宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。
数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。