【不動産売却のチラシは信用できる?】具体的なチェックポイントを紹介

【不動産売却のチラシは信用できる?】具体的なチェックポイントを紹介

不動産売却のチラシは、新聞だけでなくポストに直接入っていることもあり、目にする機会が多いのではないでしょうか。売却不動産を検討している方のなかには、こうしたチラシから不動産会社を探している方も少なくありません。


しかし、どのチラシなら信用できるか、怪しいうたい文句は使っていないか、よくチェックする必要があります。本記事では、不動産売却のチラシについて紹介します。


チラシはなぜ撒かれているのか、どこをチェックすべきか、もしも悪徳業者に連絡してしまったらどのような事態になるかなどをお伝えしますので、失敗しない不動産売却を実現させるためにもぜひ最後までご覧ください。

不動産売却のチラシは信用できる?

まず、理解すべきポイントは、不動産売却のチラシはすべてが信用できるとはいえない点です。

不動産売却のチラシは魅力的なうたい文句が並べられているため、売主からするとぜひ売りたいと感じる方も多くいます。しかし、そうした以下のようなキャッチコピーほど注意しなければいけません。

  • 「急募!当地区限定で探されているお客様がおられます!」
  • 「売却不動産求む!○○円で購入希望のお客様がいます!」
  • 「どこよりも高い価格で査定します!」

こうしたチラシは、本当に購入を考えている買い手候補がいるのかは、まず疑うようにしてください。契約を結ぶためだけに利用していることも多いため、注意しましょう。

不動産売却のチラシが撒かれる理由

不動産売却のチラシをポストに投函するだけでも大きな労力が必要です。また、ポスト投函したからといって必ずしも売却不動産を見つけられるわけでもありません。

しかし、このような不動産売却のチラシはなくなることはなく、毎回ポストに投函されている方も多くいるのではないでしょうか。なぜこうしたチラシが撒かれるのか、その理由を紹介します。

売却希望者は時間がないため

不動産売却を希望している方の中には、転勤ですぐにでも売却したい方、離婚することになったため早急に現金にしたい方など、急いで手続きをするケースも少なくありません。

しかし、売却を考えてから不動産会社を選ぶと時間もかかり、さらにどこに依頼すればよいかかからず困ってしまう方も多くいます。そうした人を探し出すことは困難ですし、待っていても「売りたい」という相談をしてくれないかもしれません。

不動産売却のチラシは、このように時間的な余裕があまりない方、売却経験の少ない人を探して、行動喚起を期待して撒かれています。

不動産売却は費用対効果が高いため

不動産を購入したい買い手側は、要望も多く商談がまとまるには時間がかかります。一方で、不動産売却についてはニーズが明確で、交渉もスピーディーになります。

さらに、良い売却予定物件を専属専任で仕入れることができれば、その物件を買いたい人は見つけやすくなり、かつ、売却の手数料と購入の手数料の両方が見込めます。すると費用対効果が高くコスパの良い事業となります。

他社と差別化できるため

売却物件を独占すると、他の不動産会社との大きな差別化が可能となります。購入を検討している買い手側にアピールできる重要なポイントとなるため、なるべく多くの物件を獲得したいと考えている会社も少なくありません。

物件を専属専任契約することができれば、よその不動産会社には扱いがない特別な強みになります。そのため、競合他社よりも優位に立つためにチラシを撒いている不動産会社もいるのが現状です。

「両手取引」を狙いやすいため

両手取引とは、売り手・買い手のどちらも自社内で完結させ、双方から手数料を受け取る手法です。1度の契約でどちらの手数料も入るため、不動産会社からすれば大きな利益となります。

現在はネット社会となり、Web上には数多くの情報が集まっています。情報を集める手段が多様化しているため、両手取引よりも、一方の手数料のみとなる片手取引の割合が高くなっているのが特徴です。

より多くの売却不動産を獲得し、少しでも両手取引の確立を高めるためには、まずは良い売却物件の専属専任契約をとることが重要です。プル型のネットだけではそうした情報は手に入りにくく、プッシュ型の売却喚起の手段としてチラシの投函がおこなわれているケースもあります。

不動産売却のチラシのチェックポイント

本記事の冒頭でも「不動産売却のチラシはすべて信用できない」とお伝えしましたが、なかには優良会社のチラシがあるケースも珍しくありません。

信用できる会社か、本当に依頼しても大丈夫なのかを判断するためには、6つのチェックポイントを把握しておく必要があります。

せっかくポストにチラシが投函されても、優良会社と悪徳会社の区別がつかなければ、売却するための良い出会いを逃してしまうことにもつながります。ここでお伝えするチェック項目をしっかりと理解し、不安を少しでも解消しておきましょう。

免許登録業者かどうか

不動産業者には、それぞれに番号が割り振られています。この番号があれば、たとえ会社名を変更しても、これまでの営業でもしも違反があった場合、調べればすぐにわかります。

逆に、チラシにこの番号の記載がない場合や番号を調べたけれど見つけられないといった場合、免許登録されていない悪徳会社である可能性が高いため、注意してください。

会社名で検索したり口コミを調べる方法もありますが、ネット情報は簡単に改ざんできたり業者自身が口コミ投稿するケースもあり、すべてを信用するのは危険です。自治体サイトなどで業者名を探すと簡単に見つけられるため、気になる方は一度試してみてください。

具体的な条件や情報が不足なく記載されているか

不動産売却のチラシには、さまざまな情報が掲載されています。この情報を見て買い手は購入を検討するため、求める情報がなければ契約チャンスを逃してしまいます。

売却物件の間取り、面積、築年数はもちろん、住所や最寄駅からの距離、近隣の買い物環境などについて、求めている情報があるかどうかをチェックしておきましょう。

また、先ほど紹介したような「○○円で購入希望のお客様がいます」などは、金額が提示されていてもそのほかに記載がなければ信用に値する情報とはいえません。

記載金額は最大利益なのか、それとも平均的な価格なのか、提示された金額の根拠や裏付け、どのような調査をして算出された金額なのかなど、まったく何もわからない状態のチラシでは、到底納得できる内容とはいえません。

情報が乏しければ、もしも記載金額で売れなかった場合でもどんな言い訳も通用してしまい、なかには売り手側に非があるような理由を述べる悪徳業者もいるため、信用しないようにしてください。

査定額を吊り上げていないか

一昔前までは、査定してもらってもその金額と実際の売却価格は大きく異なるものでした。しかし、現在はそこまで大きな差異はなく、ある程度査定金額と同等の価格で売り出しされます。

しかし、なかには査定額を吊り上げて契約する業者もあるため注意が必要です。相場より高ければ当然売れ残ってしまいます。売るために値下げ交渉がおこなわれ、その結果相場よりも低い価格で売却されてしまうケースも少なくありません。

相場は自分で簡単に調べることも可能ですし、不動産会社の一括査定などを利用すればネット上で完結できます。少しの手間を惜しみ後悔するより、まずはある程度の相場を把握しておきましょう。

購入希望者の存在確認

こちらも本記事でお伝えしているように、「当地区限定で探されているお客様」や先ほどの「○○円で購入希望のお客様がいます」などのうたい文句には、とくに注意する必要があります。

しかし、購入希望者の存在が嘘であれば、スムーズな売却は困難となります。購入者とは、「自宅の売却を本格的にスタートさせて初めてあらわれるものです。

売却を検討していない段階では、決して希望者はいません。売れ残りを心配し、購入希望者がいるのであればと契約してしまう方も少なくありませんが、後々トラブルに巻き込まれてしまうこともあるため、安易に信用せず騙されないようにしてください。

ルール・規制に則っているか

不動産は、一般的なほかの資産と比較しても、その大きさは桁違いです。もしも宣伝広告に誤りがあれば、相手側に莫大な損失を与えてしまうことになります。

そのため、宅地建物取引業法では、建物の規模や利便性などを誇大に広告することに対しての取り決めがあります。たとえば、以下は不動産広告における禁止ワードの主な種類です。

  • 完璧
  • 日本一
  • 絶対
  • 最高級
  • 厳選
  • 買い時
  • 激安

当然この規制はポストに投函されるチラシにも適用されています。もしもこうした禁止ワードを使用していたり、内容を過大評価するような記載がされていたりする場合は、ペナルティが課せられます。

優良不動産であればこのようなことに気を使ってチラシ作成をしているため、怪しいと感じるチラシの会社は信用しないようにしましょう。

不動産売却のチラシの悪徳業者に電話するとどうなる?

ポスト投函されたチラシの中身には、もちろん優良企業もあります。しかし、なかには悪質な業者が存在していることも少なくありません。

もしも悪徳業者に電話してしまった場合、どのようなトラブルが起こってしまうのかをここで詳しく紹介します。

高い査定額を提示される

悪徳業者のチラシのなかには、本記事でも紹介しているように「〇〇万円で売れる」といったうたい文句がありますが、この金額は基本的にそのエリアの相場額以上の高値が掲載されているケースがほとんどです。

そのため、電話して査定を依頼すると査定額は高値で提示されます。しかし、この査定額で売れることはほぼありません。あくまでも査定額なので、売却金額とは異なります。

低い売却額で契約が決まる

エリアの相場より高値で売れる不動産はもちろんあります。しかし、高値となる明確な根拠や理由などがなければ、相場以上の金額で売却が成立することはほぼありません。

査定額が高額であっても、その価格に対する説明が買い手側になければ購入希望者はあらわれず、長期間売れ残ってしまうリスクが高まります。

そのため、結果として値下げしなければいけない状況となり、低い売却額での契約となり、場合によっては売り手が損してしまうことも少なくありません。

買取保証をつけられてしまう

買取保証は大手不動産会社にもあるサービスですが、「買取保証がある=信頼できる会社」とはなりません。そもそも買取保証とは、一定期間売却物件として出しても契約が成立しなかった場合、不動産会社が買い手となり契約して物件を買い取ってくれるサービスです。

一見すると、売れ残る心配もなく安心できますが、悪徳業者の場合は、その買取保証の内容に注意しなければいけません。先ほどもお話ししたように、エリアの相場以上の価格で出せば、購入希望者は現れず売れ残ります。

それをわかっているうえであえて高額で出し、売れ残った不動産を相場よりも大幅に低い金額で買い取る悪質業者も少なくありません。

不動産売却をしたいときにすべきこと

不動産売却を本格的に検討している方は、まず依頼する会社を決める前にやるべき2つのポイントがあります。

不動産の売却は金額も大きく、少しの失敗が大きな損失を招くことも珍しくありません。悪徳業者に騙されないためにも、ここでお伝えする内容を深く理解し、不動産売却を失敗しないための事前準備を徹底しておきましょう。

自分で売却相場をリサーチする

売却相場は、自分で調べることが可能です。自分自身でどのくらいの価値があるのかある程度把握しておけば、不動産売却のチラシに記載されている金額が適正価格かどうか判断できます。

自分で売却相場を調べるやり方はさまざまありますが、主な方法は下記の通りです。

  • 大手不動産会社の情報サイトを見て近隣エリアの平均価格を調べる
  • レインズに掲載されている成約金額をチェックする
  • 国土交通省が運営している情報サイト「土地総合情報システム」で調べる

大手不動産会社で調べる場合、今現在売りに出されている物件情報での調査となるため、実際に契約がおこなわれた売却価格を見ることはできません。

しかし、相場を調べるためには貴重な情報となりますので、同じ町内はもちろん、隣の市、県全体などでよくチェックしてみてください。

レインズや国土交通省運営サイトの場合、過去の成約事例について知ることが可能なため、実際の売却価格を知りたい方はぜひ確認してみましょう。

複数の不動産会社に問い合わせる

複数の不動産会社に問い合わせて、査定依頼する方法です。不動産会社ごとに査定価格は異なりますが、不自然なほどに大きな差異が出ることはほぼありません。どのくらいの相場なのかを把握しておくためには、とくにおすすめの方法です。

複数の不動産会社に1社ずつ連絡するのはとても手間になるため、一括査定サービスを利用しましょう。簡単な情報を入力するだけで査定価格をチェックでき、すべてネット上で完結するため時間も場所も問いません。

しかし、一括査定で出る相場は売却価格とは異なります。その価格よりも低い金額での売却となるケースもあるため、どのくらいの価値なのかおよその目安として考えておきましょう。

まとめ

不動産売却のチラシは、魅力的なキャッチコピーで目を引く内容となっていますが、そのすべてを信用するのはとても危険です。なかには優良企業もありますが、どう判断すればよいかわからない場合は、不動産売却のチラシは基本的に信用しないようにしましょう。

本記事では、不動産売却のチラシはなぜ撒かれるのか、悪徳業者に依頼してしまったらどのようなトラブルが起こるのかなどについてお伝えしました。

不動産売却を検討している場合にやるべきポイントなど、本記事で紹介した内容を参考に、失敗しないための事前準備を徹底しておきましょう。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。