不動産売却は大手に依頼すべき?中小との比較やメリット・デメリットを解説

不動産売却は大手に依頼すべき?中小との比較やメリット・デメリットを解説

不動産売却が対応可能な会社は数多くありますが、どこを選べば良いのか、何を基準に比較すべきかわからないと悩んでいる方は少なくありません。

不動産会社選びは、一歩間違えると売却しても損してしまったり、スムーズな手続きがおこなえなかったり、予想以上に時間がかかってしまうなどのトラブルもあります。

本記事では、大手不動産会社と中小不動産会社との比較について詳しくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

不動産売却を大手不動産会社に依頼するメリット

大手不動産会社に不動産の売却を依頼すると、他にはないさまざまなメリットが得られるのが特徴です。大手不動産会社の強みは、売却をスムーズにするうえで重要となるポイントがいくつもありますので、そのなかでとくに大切な3つの項目を紹介します。

豊富な資金力がある

大手不動産会社の最大のメリットといえるのは、なんといってもその資金力です。会社の資金力は、そのまま大々的に広告を打てる強みになります。

テレビ、ラジオ、Webなど幅広い媒体を介して宣伝することで、より多くの方々に物件を認知してもらえます。

さらに、売却するうえでさまざまな選択肢のなかから選ぶことも可能となるため、より好条件で売れるのも大きなポイントです。

豊富な顧客情報量がある

大手不動産会社は、豊富な顧客情報を有しています。幅広い情報網を持つ大手ならではの顧客量は、中小企業と比較してもその差は歴然です。

こうした顧客の情報量は、売却するうえで心強い味方となってくれます。好条件での売却が実現するだけではなく、よりスピーディーに買い手が見つけられるのも1つの強みになります。

インターネット営業が強い

現代はネット社会ともいわれており、不動産を売却する方はもちろん、買い手側もネットを使って不動産会社や物件を探している方は少なくありません。

大手不動産会社はインターネット営業にも大きな強みがあるのがポイントです。豊富な資金や顧客量とあわせ、高い拡散力がある大手不動産会社のインターネットによる買い主募集は、好条件かつ迅速な制約の可能性が高まります。

不動産売却を大手不動産会社に依頼するデメリット

大手不動産会社に売却を依頼する場合、メリットもあればデメリットも存在します。スムーズかつ望ましい売却ができるようにするためにも、事前にデメリットについてよく把握しておきましょう。大手不動産会社におけるデメリットのなかで、とくに重要な2つの項目を紹介します。

両手仲介になる可能性が高い

両手仲介とは、売主と買主の両方を自社の顧客のなかで完結させ、双方からの手数料を得る方法です。

大手不動産の顧客情報量はメリットにもなりますが、こうした両手仲介の可能性が高まるデメリットにもなり得ます。

買主側の利益についても考える必要があるため、売主の希望のみを通すための完全な味方となってくれることはほぼありません。場合によっては売却価格の値下げ交渉に入ることもあるため、どうしても譲れない条件だけは明確にしておくようにしましょう。

ビジネスライクに感じやすい

売却希望の売主は、「短期間かつ高額」を条件として不動産を売りに出す方も多くいるのではないでしょうか。

しかし、こういった条件で大手不動産会社に依頼しても、優先的に対応してもらえないケースは珍しくありません。こうした対応では、「大手不動産会社は冷たい」「対応が雑」など、ビジネスライクに感じやすいといったデメリットがあります。

不動産売却を大手に依頼したほうが良いケース

不動産売却するうえで、大手不動産会社に依頼するメリット、デメリットについて紹介しました。では、いったいどのような場合に大手不動産会社に依頼すべきなのか、疑問に感じる人も多いはずです。

ここからは、大手不動産会社に依頼すべきケースについて紹介します。

新興住宅地に物件を保有している人

新しく開発された新興住宅地に物件を保有している方は、大手不動産会社がおすすめといえます。新しい土地のため、地域に密着しているエリアとはまた違った特質があるため、有望な買主としては他の地域から越してくる方が大半です。

全国に豊富な顧客を抱えている大手不動産会社であれば、スムーズかつスピーディーに買い手が見つけられる可能性が高くなります。

人気がある、人気が出そうな物件を保有している人

最寄駅から徒歩圏内、治安が良いなど、住むうえで利便性があり人気が高い物件を保有している方は、大手不動産会社の利用がおすすめです。また、設備が新しい物件なども、好条件として人気が高い物件といえます。

こうした不動産は、多くの買主候補を見つけることによって高値で売却可能となるため、豊富な顧客情報を持つ大手不動産会社に相談してみてください。

不動産売却を中小の不動産会社に依頼するメリット

不動産売却を依頼するのは大手不動産会社だけではありません。希望条件で不動産売却をスムーズにすすめるためには、中小企業ならではの売却におけるメリットも知っておきましょう。

大手とは違う、中小企業のメリットとして知っておくべきポイントを紹介します。

地域特性を深く理解している

中小企業の大きなメリットとしてとくに重要なのが、地域の特性を深く理解している点です。

地域密着型ビジネスの中小企業の不動産は、エリアのルールや特性を知っているからこそ、スムーズな売却を実現する可能性が高いのが特徴です。

また、地域に根付いた中小企業だからこその人脈やパイプを駆使することで、大手不動産会社では取り扱いができないような物件でも扱い可能なケースも多く、頼りになる存在といえます。

親身に対応してくれる

さきほどの大手不動産会社のデメリットで、「ビジネスライクに感じる」といった点を紹介しましたが、中小企業はこうした大手とは違い、顧客1人1人を大切に扱ってくれる傾向です。

また、大手のような莫大な顧客情報はありませんが、不動産会社同士の争いが激しいため、売主の希望を聞き親身になって対応してくれるのが中小企業のメリットです。

会社ごとに在籍社員数は異なりますが、多くても10名から15名ほどが一般的となり、なかには社長が直々に相談にのってくれるケースもあります。

不動産売却を中小の不動産会社に依頼するデメリット

大手不動産会社同様に、メリットとともにデメリットもよく把握しておきましょう。メリット部分だけをみて中小企業に依頼すると、大手企業の方が自分には合っていたなどと後悔してしまうこともあります。

不動産売却するうえで大切な、中小企業の不動産におけるデメリット2つを紹介します。

資金力が不足している

大手不動産会社との違いは、資金力です。そのため、テレビやラジオなどのような大々的な広告を打ち出すことが難しく、大手と比較しても買い手が見つかるまでに時間を有するのがネックとなってしまいます。

とにかく早く売却したい方は、中小企業よりも大手不動産の方が希望通りの期間で買い手が見つけられる可能性が高いのが特徴です。

顧客量が乏しい

先ほどもお話ししたように、大手に比べて中小企業は情報量が乏しく、莫大な顧客情報を有していません。

情報量が少ないと、買い手の選択肢が絞られてしまうため、なかなか希望に沿った売却が叶わないこともあります。

売却時期や価格など、何かしら妥協しなければいけないケースもあるため、どうしても譲れない条件以外は柔軟に考えなければ、売却そのものが難しくなってしまいます。

不動産売却を中小に依頼したほうが良いケース

中小の不動産会社のメリット・デメリットを理解したところで、ここからは中小に依頼すべきケースについて、紹介します。

郊外・田舎に物件を保有している人

中小企業への売却相談がおすすめなのは、郊外や田舎に物件を所有している方です。地域の特性などを深く理解できている中小企業であれば、地元企業や投資家につなげられる可能性が高く、希望の金額でスムーズな売却が可能となります。

利益として見込みが薄い郊外や田舎の物件は、大手不動産会社の場合は条件によっては断られることも少なくありません。

親身に相談にのってくれる中小企業であれば、条件が悪い物件であっても丁寧に対応し、さまざまな案を提案してもらえます。

築年数が古い物件を保有している人

築年数が10年以上や20年以上といった古い物件であっても、中小企業の不動産であれば独自のルートを駆使し、特定のニーズを持っている買主を見つける率が高くなります。

築年数が古い不動産は、利益率が低いうえに高値になるため売れにくく、大手不動産会社の場合は取り扱いしてもらえないことも珍しくありません。

中小企業に売却依頼することで、思わぬ価格での売却が実現するケースもあります。

不動産会社を選ぶポイント

不動産売却は、選ぶ会社によってどのような結果になるかが大きく異なります。会社を選ぶためにはどのようなポイントを重視すべきか、以下6つのポイントをしっかりと把握してください。

  • 売却以外の提案内容
  • 専門性と実績
  • 囲い込みの有無
  • 「宅建士」の資格
  • 売却仲介経験の長さ
  • 親身に疑問点に答えてくれるか

不動産売却は、他のサービスや保証などについてもよくチェックしておきましょう。また、資格や実績の有無、親身になって相談に乗ってくれるかどうかも大切です。

納得できる売却が実現できるよう、事前によくそれぞれの不動産会社を比較検討しておきましょう。

まとめ

不動産会社をスムーズにすすめていくためには、自分に合った不動産売却会社をしっかりと見極めることが重要です。大手不動産会社はもちろん知名度も高く、豊富な資産や顧客情報が大きな強みとなりますが、中小企業は地域に密着して売却活動してくれます。

保有する不動産を納得したうえで売却できるよう、ぜひ本記事でお伝えした情報を参考にしてください。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。