戸建てを購入した人は、どんな点を後悔しているのでしょうか。後悔している理由を知ることで、自分の家づくりに活かせます。戸建て購入者が後悔している要因は、次の通りです。
それぞれ詳しく解説します。
戸建て購入者が後悔した理由で最も多いのは、住宅ローンの返済です。ローンを組む前は、今後支払い続けられると思っても、いざ返済が始まると家計が苦しくなる人は多いようです。
購入後は月々の返済以外にも、固定資産税や保険料、家の修繕費がかかります。
また賃貸のときよりも建物が広くなるため、光熱費がかさんだり、保育料や教育費がかかったりと子どもの成長に合わせて支出も増えるでしょう。
さらに、配偶者の産休で収入が減ったり、借り入れ額が大きすぎて貯金できなかったりする場合もあります。
ローンを組む際は、今後の生活を想定し、余裕をもった返済額にするのが大切です。借りられる額ではなく、返済していける額なのかをしっかり見極めましょう。
戸建て購入者が後悔した理由の1つに、間取りへの不満があります。特に、注文住宅の場合、外壁や内装、設備と決める項目が多く、細かな点までなかなか気を配れません。
リビングやキッチンといった思い入れが強い場所は、細部までこだわる傾向にありますが、他は後回しになりがちです。
例えば、トイレの間取りです。リビングや浴室の場所を優先した結果、トイレの位置が玄関から丸見えになってしまった人もいます。おしゃれさを求めて吹き抜けを作ったものの、冷暖房がききにくい、音が響き生活しにくいと感じる人もいます。
住んでから後悔しないよう、実際の生活を想定してみましょう。メリット・デメリットについても事前に理解しておくと間取りの失敗を防げます。
戸建てを購入して後悔する理由に、日当たりの悪さも挙げられます。注文住宅の場合、採光にこだわった設計が可能ですが、分譲住宅の場合は、入居して初めて日当たりが悪かったと気づくケースも多いようです。
内覧時は日当たりがよくても、時間や季節によっては光が届かず、部屋が常に薄暗いという場合もあります。購入後、隣に家やマンションが建設され、日差しが遮られてしまうケースもあるでしょう。
時間帯を変えて何度か訪問する、近隣に住宅やマンションの建設予定がないかをあらかじめ確認しておくと、「こんなはずじゃなかった」と後悔せずにすみます。
購入してから後悔しないよう、建物だけでなく周辺環境や立地についても事前に調べておきましょう。
最寄り駅からの距離が遠い、スーパーが近所にないといった生活環境は自分ではどうすることもできません。実際に住み始めてから不便を感じる人は少なくないでしょう。小さいお子さんがいる家庭の場合、小学校や保育園の場所だけでなく、小児科がどこにあるかも確認しておくといざという時に慌てずにすみます。
川沿いや鉄道の近くは、立地が悪いといえます。川沿いや鉄道近くの物件は安く売り出されるケースもあり、一見お得そうに感じます。しかし、豪雨時のリスクが高かったり、騒音がひどかったりと生活に支障をきたす恐れがあるので注意が必要です。
地図を見ただけではわからない部分もあります。家の周辺を実際に歩いてみると、より細かな点に気づけるはずです。
ご近所トラブルが多くて後悔している人もいます。隣人問題は、住んでからしかわからない面もあるため、ストレスを抱える原因になります。
ご近所トラブルでよくあるのが、音に関する悩みです。深夜の車のエンジン音で目が覚めてしまう、隣家のピアノ音がうるさいといった問題は、日常生活に支障をきたします。
ゴミの出し方や、土地の境界線があいまいだったために、隣人とトラブルに発展するケースもあります。ご近所付き合いは、顔見知りが増える安心感がありますが、ときにわずらわしくも感じるでしょう。
住み替えようと思っても、ローンの返済が残ります。気軽に引っ越しできず、購入しなければよかったと後悔につながっているのです。
夫の転勤や子どもの進学で、購入したばかりの家を手放したいと後悔する人もいます。
転勤を命じられ、子どもとの時間を優先した結果、せっかく購入したマイホームを泣く泣く手放し、家族みんなで引っ越すケースです。あるいは、夫は単身赴任し、妻子だけ戸建てに残る人もいます。転勤先の家賃と戸建てのローンを二重に支払わなければならず、経済的に苦しくなるのです。
また、子どもの進学先の治安が悪い、学校が遠いからと引っ越しを考える人もいます。家を持ち続けることは可能ですが、経済的負担は増えるでしょう。
家を持つと、簡単には身動きがとれなくなるため、後悔につながってしまうのです。
新築は高すぎるからと中古物件を購入し、リフォームして住む人も近年増えています。
しかし、いざ工事を始めてみると、予想以上に老朽化が進んでいる物件は多いものです。費用をおさえるために中古を購入したはずが、リフォーム代が高くついてしまったと悔やむ人は少なくありません。
家の老朽化は見た目では判断しにくく、基礎工事からやり直す場合もあります。特に、古い木造住宅は「2000年に定められた建築基準法改正」の基準を満たしておらず、耐震補強が必要です。
工事費用が予算オーバーしてしまい、結果的に返済額も上がり、生活が苦しくなるケースもあります。
中古物件を検討している人は、購入前にプロに診断してもらったり、工事費用の概算を算出してもらったりしておくと、建築費が増えすぎる失敗を防げるでしょう。
ライフスタイルの変化で住みづらくなり、マイホームの購入を後悔した人もいます。ライフスタイルの変化は、ある程度予想がつくものもあれば、家を買う前には想像もできない事態も起こりえます。
例えば、結婚後に住宅を購入したが、夫婦間の仲が悪くなり離婚するケースです。特に、ペアローンを組んだ人は、離婚後も双方の返済が残ります。単独債務に借り換えたり、ローンの名義変更をしたりといった手続きが必要です。
また、親が病気になり、介護が必要になったが遠方のため、通うのが大変になるケースもあります。仕事もあるため家を手放すわけにもいきません。何度も行き来しなければならず、精神的・肉体的な負担は大きくなります。
家を持つと、生活が変わっても身動きがとりづらくなります。せっかく買ったマイホームが、重荷になってしまうのです。
「家を買うのが早すぎた」と悔やんでいる人もいます。結婚したらすぐにマイホームを買うべきという周囲の後押しや、家賃を支払うのがもったいないと感じ購入に至ったケースです。
結婚後は何かとお金がかかるものです。さらに家まで買うとなると、貯金は底をつき、若いうちは収入も安定しないため経済的に苦しくなります。
また、将来のことを考え、子ども部屋を作ったり、学校が近い立地を選んだりしたものの、子どもを妊娠できず、夫婦だけでは広すぎる家になってしまう場合もあります。
早くに家を買うのが、決して悪い訳ではありません。今後の人生設計をどうするか、冷静に考える時間も必要です。
戸建てを購入して後悔している人の中には、ハウスメーカーや工務店選びを失敗した人も多くみられます。
契約した途端に態度が雑になった、連絡がとれないといった担当者との関係がうまくいかないケースです。また、できるといったのに予算オーバーした、アフターフォローがないといった理由で後悔する人も多いのが現実です。
ハウスメーカーや工務店は、いわば家づくりの大事なパートナーです。予算やデザインだけで判断せず、担当者の人柄や、家づくりの特徴を理解したうえでハウスメーカーを選びましょう。
せっかく憧れのマイホームを購入するなら、失敗したくないですよね。納得のいく戸建てを手に入れるためにも、いくつかのポイントを押さえておきましょう。戸建てを購入してから後悔しないためのコツは、次の通りです。
順に詳しく見ていきます。
戸建ての購入を後悔しないためには、身の丈に合った物件を選ぶのが大切です。負担の少ない物件を選べば、月々の返済に苦しまずにすみます。
住宅ローンの仮審査をすると、自分が予想した以上の金額が借りられるケースもあります。そうなると、まだローンを組めるからと心が大きくなり、予算を上げてしまいがちです。
家や土地は広いに越したことはありませんが、その分コストがかかります。希望する設備が標準仕様でない場合、さらに金額が上がる場合もあります。
本当にそれは必要なのか、やらないと一生後悔するものなのかを一度立ち止まって考えてみましょう。周囲と比べず、自分の生活水準に照らし合わせた物件を選んでください。
購入してからのライフスタイルが、どう変化するのか予想しておくのも大切です。10年先、20年先を見据えて家づくりを考えます。
特に、間取りは簡単には変えられません。将来子どもが増えるのを想定して、仕切って使える可変性のある間取りにしておく、これからリモートワークが増えるから仕事部屋を用意しておくといったように、生活がどう変わるか予想しておけば、あらかじめ準備ができます。
老後に備えてバリアフリーにしたり、トイレは広めに作っておいたりと工夫しておけば、いざ車椅子生活になったときにも慌てずにすみます。
考え始めるときりがありませんが、ある程度予測できることは事前に対処しておきましょう。
購入してから後悔しないためにも、家の周辺環境を何度も確認しておきましょう。おすすめは、時間帯をずらして見に行くことです。
午前中と午後で日当たりは変わるのか、交通量の多さや騒音はあるのかについても注意しておくとよいでしょう。購入前の下見は昼間だけでなく夜もおこなうと、夜道の暗さや、街灯が設置されているかどうか確認でき、より安心感につながります。
住んでから「こんなはずじゃなかった」を防ぐためにも、できる限り足を運び、家の周囲の状況を知っておくことが重要です。
戸建て購入を後悔しないコツは、複数のハウスメーカーを検討することです。ハウスメーカーによって得意なデザインや工法が異なるためです。
自分の理想を叶えてくれるハウスメーカーを選ぶために、まずはモデルハウスや家づくりのカタログ、ホームページを見てみましょう。見積もりをとる際は、やりたい間取りや設備をあらかじめ提示しておくと、予算内におさまるかどうかもわかります。
ハウスメーカーによっては、値引きをおこなう会社もありますが、正当な価格なのか判断がつきにくいです。複数社で比較すると、価格が妥当なものか客観的に判断できます。あとから後悔しないよう、信頼できるハウスメーカーを選んでください。
住宅ローンを組む方は、必ず住宅ローン控除を活用しましょう。住宅ローン控除とは、住宅借入金等特別控除です。
個人で住宅ローンを利用した際に、所得税の控除が受けられます。所得税から控除しきれない場合は、翌年度の住民税からも税金が控除される仕組みです。
2022年以降に住宅ローンを受けると、控除率は0.7%、控除期間は13年です。住宅ローン控除を受けるためには、合計所得が2,000万円以下、返済期間が10年以上あるといった条件があります。
住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度は確定申告が必要です。2年目以降は、年末調整の際に手続きできます。金融機関から届く残高証明書や、税務署から届く住宅借入金等特別控除申書を勤務先に提出します。
住宅ローン控除を利用すれば、ローンの負担を少しでも減らせます。活用しない手はないので、これから住宅ローンを組む方は、ぜひ検討してみてください。
ここまで、戸建て購入者が後悔した理由と失敗しないためのポイントについて解説してきました。マイホームは、人生で一度あるかないかの大きな買い物です。購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、身の丈に合った物件選び、無理のない返済計画が大切です。
複数社を検討したり、実際に現地を訪れてみたりと今できることを実践してみましょう。この記事を参考に、自分の納得のいく戸建てを選んでください。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。