不動産を個人で転売するのは違法?転売の注意点や高利益を得るタイミングを解説

不動産の転売に興味があるものの、不動産を転売することは違法で、何らかの罰則が適用されないか不安に思う方もいるかもしれません。
結論から言えば、不動産の転売は違法になりません。しかし、利益を出すためには転売のタイミングや仲介の不動産会社の選定も鍵となります。
今回は、不動産転売を検討中の方に向けて、メリットやデメリット、注意点、利益を出すための成功ポイントを解説します。ベストな条件を揃えて、できるだけ高値で売りましょう。
そもそも不動産転売は違法なのか?
不動産転売と聞くと、「バブル期の土地転がしみたいなやつ?違法性が高そう…」というイメージになりがちです。しかし、実際は不動産の転売行為自体は違法ではありません。
ただし、安く仕入れた不動産を高く転売する行為を繰り返した場合は、違法性を問われる可能性も否定できません。
本来、不動産取引は、宅地建物取引業の資格を持つ業者しかできないと宅地建物取引業法で決められています。不動産取引の免許を持たない人間が、不動産転売で継続して利益獲得を続けると、土地基本法第四条「投機的取引」に該当し、違法と判断されてしまうのです。
不動産転売で高利益を得やすいおすすめのタイミング
個人の不動産転売で違法性を問われないためのポイントは、反復継続した転売をしない=短期間に転売を繰り返さないこと。より高い利益を出すために、ベストなタイミングで売り出すことも重要です。
【不動産の転売におすすめのタイミング】
- 建設需要が高まっている時期
- 新築住宅のニーズ・相場が上がる時期
- 住宅ローンの金利が下がったとき
- 不動産を5年以上所有してから
- 新生活がスタートする春シーズン
ここからは、不動産転売で高く売り抜くためのタイミングについて解説します。
建設需要が高い時期
土地の再開発などで建設需要が高まれば、建築工事費も上がり、その周辺地域の不動産の相場価格も比例して高まります。建設需要の変化は、国土交通省の「建設工事費デフレーター」の値動きから判断できます。
逆に、需要が下がり、建築工事費・相場が下がれば、不動産価格の下落も避けられません。
建築工事費の動きをチェックしながら、需要の高まっているときを狙って売り出しましょう。
新築住宅の相場が高い時期
建築工事費の値動きと同時並行で、新築住宅の相場もチェックしてみましょう。新築住宅の需要が高まれば、土地価格も上がります。
転売したい不動産周辺で新築の建売住宅ができた場合は、周辺の不動産価格も上がっているかもしれません。土地・中古住宅物件も、相場が上昇している可能性があり、高く売れるチャンスです。
住宅ローンの金利が下がったとき
家・土地を買う際、ほとんどの人が住宅ローンを組むものです。住宅ローン金利が下がったときほど、購入意欲が湧きます。つまり、金利が下がったときは、不動産転売に動くときともいえるでしょう。
金利が1%下がるだけで、ローンの返済額の差は数百万円単位で変わってきます。「金利が低い今、家を建てよう!買おう!」という人が増え、物件のニーズも高まります。
金利の変化は、日本銀行の「長期プライムレート」をチェックしてください。
5年以上所有しているとき
「不動産転売はあまり儲からない」という話もあります。転売利益に対する税金(住民税・所得税)の高さが、その理由です。しかし、不動産を5年以上所有している場合は、転売利益にかかる税金が安くなります。
ただし、5年以上所有した不動産は、経年劣化の進行が理由で、新しい物件ほどの人気・価格は期待できません。
税率の下がる所有期間5年以上がひとつの目安になりますが、不動産周辺地域の価格相場をチェックし、一番いい売り時を狙うことをおすすめします。
新生活が始まる春シーズン
家電や賃貸住宅と同じく、不動産も売れる時期・売れない時期があります。特に人気の高いシーズンが、新生活がスタートする春頃です。
入学・転勤など、ライフステージの変化に合わせ、1~4月頃に物件を求める人が増加します。
ただし、通勤・通学に便利なエリアであることや、ショッピング・レジャー・通院など、購入するファミリー層が暮らしやすい場所であることが条件です。
不動産を転売するときの注意点
転売するタイミングを間違えてしまうと、利益が少ないどころかリスクになりかねません。不動産転売の注意点も十分に知っておきましょう。
【不動産を転売するときの注意点】
- 売却利益にかかる税金(住民税・所得税)が高額
- 所有期間が短い物件ほど税率が上がる
- 年数が経つほど価格・相場が下落する
- ハイリスク・ハイリターン
ここからは、不動産転売時に知っておきたい、失敗しないための注意点について解説します。
税金が高い
前述の通り、不動産転売の利益にかかる税金は、かなりの高額になります。バブル期の「土地転がし」対策として設けられた税金制度の名残です。
バブル期に、高騰した土地の転売で利ざやを稼いでいた業者を取り締まるために、売却利益に高い税金を課すようになりました。
税金を抑えたい場合は、5年以上所有してからの転売をおすすめします。相場変動を比較しながら検討してください。
所有期間が短いほど税率が高くなる
転売利益にかかる税金が高い理由は、投機を目的とした土地の売買を規制するためです。長期保有していれば「投機目的」とならないため、税金も安くなります。逆に、所有期間が短いほど(5年以内)、税率も上がるルールです。
税金 | 短期譲渡所得(5年以内) | 長期譲渡所得(5年以上) |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
復興特別所得税 | 0.63% | 0.315% |
所有期間5年を境に、短期譲渡所得・長期譲渡所得の税率が切り替わります。不動産の所有期間が4年の場合は、長期譲渡所得の税率になるまで待ったほうが得策です。
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のための財源確保を目的として、平成25年から制定されたものです。短期・長期譲渡所得の両方の所得税に2.1%上乗せされます。
年数が経つごとに価格が下がる
転売したい物件が建物の場合は、築年数が長いほど売却価格は下がります。年数が経つほど劣化し、建物としての価値が下がると判断されるためです。
駅や大型商業施設が近いなど、需要が見込めそうなエリアであれば、リノベーションで付加価値をつけて売却を検討しても良いでしょう。
建物を解体し、更地化して価値を上げるという選択肢もあります。
ハイリスク・ハイリターン
不動産転売は、売るタイミング・状況によっては、購入時より低い価格で手放して赤字になってしまうパターンもあります。逆に、条件が合えば売却利益も大きく、まさにハイリスク・ハイリターンです。
諸国で起きる戦争や新型コロナウイルス感染症などの影響は予測しにくく、タイミングが悪ければ売りにくい・利益が出ない時期が延々と続き、売るに売れないというリスクもあります。
情報リサーチや不動産価値を高める努力だけでなく、運頼りのようなところがあるのも、不動産転売で知っておきたい注意点です。
良い不動産会社を選ぶ方法
不動産転売の成功のポイントは、相場情報にアンテナを張っておくことと、仲介してくれる不動産会社選びです。特に、不動産会社は転売時の強力なパートナーともいえる存在です。利益獲得とトラブル防止は、不動産会社にかかっているといえるでしょう。
【良い不動産会社を選ぶ方法】
- 売却実績があるか
- 土地活用が得意な会社を選ぶ
- 自分と相性の良い担当者を見つける
この章では、不動産転売のパートナーである不動産会社の選び方について解説します。
売却実績がある会社を選ぶ
不動産会社によって、物件の得意・不得意があります。新築マンション・中古マンション・中古一戸建て住宅の販売など、会社によって力を入れているジャンルは異なるものです。売却したい不動産について、実績がある会社を選びましょう。
中古マンションを多く扱う会社でも、エリアによっても強みが異なります。ホームページやチラシで「〇〇エリアの中古マンション販売実績No.1!」などの謳い文句は、わかりやすいポイントです。
また、その不動産会社の宣伝・販売方法も確認が必要です。購入者がインターネットで価格チェックできる時代になったとはいえ、折り込みチラシなどの広告の力もまだまだ捨てたものではありません。年齢層が高いほど、チラシの方が、宣伝効果が高い傾向にあります。
土地活用が得意な会社を選ぶ
転売予定の建物の築年数が長い場合は、古家付き土地として売るよりも、更地化して活用する方法もあります。土地活用に詳しく、実績豊富な会社を選ぶのもおすすめです。
更地化した土地であれば、トランクルームや駐車場経営、資材置き場などの活用方法があり、不動産会社によっては、転売以外で長期的に利益を得る方法を提案してくれるかもしれません。
自分と相性の良い担当者を選ぶ
不動産会社の担当者が、信頼できる人物かも重要です。
「相談しても納得できる説明をしてくれない」「こちらの希望を聞かずに業者に有利な方向に話を進めようとする」など、不安を感じる担当者が相手では転売のパートナーに相応しくありません。
こちらの疑問には真摯に回答してくれるか、判断に必要な情報をしっかり提供してくれるかなどを見定めたいものです。不安を覚える場合は、担当者交代を希望してください。
まとめ
せっかく安く手に入れた不動産も、売るタイミングを間違えれば大事故になりかねません。転売のタイミングを逃さないよう、以下の情報をふまえて、常に相場チェックをしておきましょう。
- 建設工事費デフレーターの値動きから建設需要の高い時期を狙う
- 新築住宅の相場が高い時期は、周辺不動産も値上がりする可能性大
- 住宅ローンの金利が下がったときは、市場が活性化しやすい
- 利便性の高いエリアは、新生活が始まる春に人気が高まる
転売の相談相手となる不動産会社と、その担当者選びも重要です。優良な不動産会社を探すために、一社だけでなく複数社に査定を依頼して対応を比べてみましょう。不動産会社ならではの情報提供もあります。
効率的に情報収集をして、賢く不動産の転売活動を進めてください。