家を売却する際に外壁塗装をするべき?メリット・デメリットを徹底解説!

家を売却する際に外壁塗装をするべき?メリット・デメリットを徹底解説!

「家を売却したいけど、外壁の劣化が気になる」「外壁塗装したほうが高く売れるの?」など、家の売却を検討している人の中には、上記のような疑問や悩みを抱えているケースも多いのではないでしょうか。

家の売却時に外壁塗装が必要かどうかは、家の状態や塗装する目的によって異なります。メリットだけでなくデメリットがあることをしっかり把握し、外壁塗装するかどうかを検討することが大切です。

また、この記事では、外壁塗装の相場や注意点についてもあわせて解説していきます。売却前のリフォームに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

家の売却時に外壁塗装をするメリット

家を売却する前に外壁塗装をするメリットは、以下の通りです。

【売却に備えて外壁塗装するメリット】

  • 買い手からの第一印象が改善する
  • 流行りに合わせることができる
  • 買い手が維持管理費を払う必要がなくなる
  • インスペクションでも有利になる

売却に備えた内装リフォームは、失敗する可能性やデメリットが大きいため、基本的にはあまり推奨されていません。

一方で、外壁塗装は買い手の印象アップにつながる可能性が高いリフォームです。特に、築年数が経過した家なら上記のメリットを実感できるため、検討してみる価値はあるでしょう。

買い手からの第一印象が改善する

建物の外観は、物件の第一印象に関わる重要なポイントです。外壁の劣化は、築年数の経過が顕著に出てしまいます。売却前に外壁塗装のリフォームをしておくことで、みすぼらしい印象を改善できるメリットがあるのです。

「REINZ(レインズ)」などの業者間サイトや不動産ポータルサイトには、物件の外観がメイン画像として掲載されています。物件を一覧表示した場合には、外観の綺麗な物件にアクセスが集中するでしょう。

そのため、たとえ価格・立地が好条件でも、外観が古すぎると内覧に結びつかないケースが多いのです。塗装が剥がれている・コケが生えているなど、外観の汚れや劣化が目立つ場合は、売却前の塗装が推奨されます。

外壁塗装をすれば築年数を感じない見た目になるので、注目されやすくなるでしょう。第一印象が良いと全体の印象も良く感じられるため、内覧や成約にもつながりやすくなります。

流行りに合わせることができる

家を売却する前に外壁塗装を施すことで、トレンドの色や雰囲気を再現できるメリットもあります。人気の高いスタイルやカラーリングの例は、以下の通りです。

【流行の色や雰囲気の例】

スタイル 雰囲気
ナチュラル 自然なデザイン ベージュ・ブラウン・グリーンなどのアースカラー
モダン 現代的なデザイン モノクロ基調
ヨーロピアン エレガントなデザイン 白・ベージュ基調

ブラウン・赤がアクセント

西海岸 さわやかなデザイン オフホワイト・クリームイエロー・ブルー系

実は、流行り廃りがあるのはファッションだけではありません。物件のテイストにも流行があり、毎年トレンドカラーは変化しています。

どんなテイストの物件が人気なのかしっかりリサーチして、外壁塗装で再現することにより、流行に敏感な人に注目されやすくなるでしょう。

買い手が維持管理費を払う必要がなくなる

外壁塗装のメリットは、見た目の印象や価値を高める効果だけではありません。外壁塗装工事の本来の目的は、建物の躯体保護です。売却前に傷んだ壁の補修・塗装をしておけば、買い手の維持管理費を削減できるでしょう。

外壁塗装の経年劣化を放置してしまうと、目地やひび割れから雨水や湿気が侵入し、躯体を腐敗させるなどの深刻なダメージにつながります。

そのため、本来は10年程度のサイクルで外壁の塗装を塗り直し、補修することが推奨されているのです。

また、売却前に外壁塗装をしておけば、買い手が「しっかり維持管理されている家」だと認識してくれるので、築年数が経過していても売れやすくなります。売却時には「〇年塗装工事済み」などとアピールすることも可能です。

インスペクションでも有利になる

売却前に「インスペクション」を受ける場合は、外壁塗装をしておいたほうが有利になるケースもあります。外壁が劣化している家は、インスペクションの「是正事項」に該当してしまうためです。

インスペクションは、専門家による建物状況検査のことを指します。物件の基礎・構造・外壁状態をくまなくチェックし、劣化・欠陥などがないか診断するものです。

外壁は、雨水の侵入を防止する役割を担っています。建物の躯体保護に関わる重要な部分なので、劣化している状態だとインスペクションに合格できず、「早めに補修するべき」だと判断されてしまうのです。

さらに、インスペクションに合格している家は一定の品質が保証されていることになるので、買い手が安心して購入できるメリットがあります。同程度の築年数の物件と比較したときに売れやすくなるでしょう。

家の売却時に外壁塗装をするデメリット

物件を売却する前に外壁塗装する場合は、以下のデメリットに留意しておく必要があります。

【売却前に外壁塗装するデメリット】

  • 費用が安くない
  • 内見での印象があまりよくない可能性がある
  • 売却価格を上げることはできない
  • 買い手の好みと合わない可能性がある

外壁塗装は、決して安くないリフォームです。さらに、外壁塗装にかかった費用を物件の売却価格に上乗せして売り出すことはできません。

実際に外壁塗装をおこなう前に、上記4つのデメリットについてもきちんと把握しておきましょう。

費用が安くない

家の売却前に外壁塗装をする1番のデメリットは、コストの高さです。外壁塗装は部分リフォームに該当する工事なので、それなりの費用がかかります。

詳しくは後述しますが、一般的な戸建てに外壁塗装をおこなう場合、60〜100万の費用が必要です。さらに、足場の規模や材料のグレードによっては、相場よりも高いコストがかかってしまうケースもあります。

そのため、場合によっては外壁塗装にかかる費用が負担になってしまうこともあるでしょう。

内見での印象があまりよくない可能性がある

外壁塗装の工事期間と内見日がかぶってしまうことで、買い手からの印象が悪くなってしまう可能性もあります。

外壁工事中の物件は、足場が組んであったり飛散防止ネットが掛けられていたりするため、全体像が見えにくいものです。さらに、庭や駐車場に道具が置かれていると、見栄えが悪くなってしまいます。

また、工事のシートや足場の影響により、室内の日当たり・風通しなどが実際よりも悪く感じられる可能性もあるでしょう。

外壁塗装工事中の内覧は、可能な限り避けるようにしてください。

売却価格を上げることはできない

売主の中には、「外壁塗装にかかったコストを売却価格に上乗せすればいいのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし、上乗せしてしまうと物件は売れなくなってしまうこともあります。

そのため、原則「外壁塗装をしたからといって売却価格をそう簡単に上げることはできない」と認識しておくのがよいでしょう。

中古物件を探している人の多くは、「安くて自分好みにリノベーションできる物件かどうか」に着目しているケースが多く、外壁塗装の有無はあまり重視されていません。

同じ築年数の「外壁塗装された100万円高い物件」と「手が加えられていない安い物件」を比較した場合では、後者が選ばれる可能性が高いのです。

外壁塗装は、あくまでも見た目の綺麗さ・付加価値をアピールするための手段なので、売主側が負担するものだと考えましょう。

買い手の好みと合わない可能性がある

内装リフォームにも該当することですが、塗装などの外装リフォームのテイストやカラーリングが買い手の好みにマッチしない可能性も考えられます。

流行に合わせると好みがハッキリ分かれてしまうため、より多くの人の興味を引きたいなら、下記のようなシンプルな配色にするのがおすすめです。

【シンプルな外壁カラーの例】

  • ホワイト・アイボリーなどの白系
  • ベージュ・クリーム系
  • ブラウン系

多少の濃淡の差はありますが、上記のような定番カラーにしておけば無難でしょう。

売却時の外壁塗装の相場

実際に売却前の外壁塗装をおこなう場合には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。外壁塗装の費用は、原則坪数や塗装面積によって変動するため、しっかり把握しておきましょう。

以下は、物件の延べ坪数(階数すべての床面積の合計)ごとの塗装面積と費用の目安を一覧にしたものです。

【外壁塗装の坪ごとの費用相場】

延べ坪数 塗装面積 費用目安
10坪 40㎡ 20~40万円
20坪 79㎡ 40~70万円
30坪 119㎡ 60~100万円
40坪 158㎡ 80~130万円
50坪 198㎡ 100~160万円
60坪 238㎡ 120~200万円
70坪 277㎡ 140~230万円

例えば、一般的な30坪の戸建ての外壁塗装には、60〜100万円の費用が必要です。上記の金額は外壁のみを塗装した際の費用相場のため、屋根の塗装も含める場合は、さらに20〜30万円上乗せした金額になります。

また、外壁塗装にかかる費用は、塗装費だけではありません。外装工事には、以下の費用も必要です。

【外壁塗装にかかるコスト】

内容 費用目安
足場代 8~10万円
養生代 4万円
飛散防止ネット代 3~4万円
高圧洗浄代 1~1.5万円
ゴミ処理代 2万円

上記の費用は、塗装代とは別に用意しておかなければならないものです。費用の内訳は業者によって異なるので、見積書等をしっかり確認しておくことが大切になります。

さらに、工事にかかる費用は、人件費や使用する塗料によっても変動するため注意しましょう。以下は、塗料にかかる費用相場の一例です。

【外壁塗装の塗料の種類】

  • アクリル(20万円程度)
  • ウレタン(25万円程度)
  • ラジカル(30万円程度)
  • フッ素(45万円程度)

上記は、30坪の戸建ての場合の費用相場です。塗料のグレードが高くなるにつれ、金額も変動します。グレードの高い塗料は長持ちする傾向にあり、安すぎる塗料は劣化が早い特徴があるため、よく考えて選んでください。

売却時の外壁塗装の注意点

最後に、売却時の外壁塗装の注意点をチェックしておきましょう。失敗しないためのコツは、以下の2点です。

【売却前の外壁塗装で失敗しないためのポイント】

  1. 3社以上から見積もりをとる
  2. 訪問販売は基本的に断る

一口に外装塗装業者といっても、世間には数多くの業者が存在します。クオリティや価格はピンキリなので、業者選びは重要なポイントです。

見積もりを取るだけでなく、実績や指定団体への加入の有無など、さまざまな側面から信頼できる優良業者かどうかを見極める必要があるでしょう。

3社以上から見積もりをとる

外壁塗装業者を探す際には、必ず3社以上から見積もりをとるよう心掛けてください。複数社から見積もりをとって、対応や内容を比較することを「相見積もり」と呼びます。

不動産の売却やリフォームを検討している場合は、この相見積もりをおこない、慎重に業者選びをする必要があるのです。

外装塗装工事にはある程度の相場はあるものの、はっきりとした定価は存在しません。そのため、しっかり相場を把握しておかないと、悪徳業者に倍以上の金額を請求されたとしても、判断できず契約してしまう恐れがあるのです。

2社だと相場感が把握しづらいため、最低でも3社から相見積もりをとることをおすすめします。

訪問営業は基本的に断る

築年数が経過してくると、外壁塗装の訪問業者にインターホンを押されることも増えるでしょう。営業を受けて話を聞くのは問題ありませんが、基本的にはその場で即決せずに断るよう心掛けてください。

訪問営業では他社との比較ができないため、相場よりも高い金額で契約してしまう可能性があるのです。

さらに、言葉巧みに「今契約すればお得になります」などと勧誘されるケースもあるでしょう。しかし、実際に相見積もりしてみると割高だったという声も上がっています。

また、「劣化がひどいからすぐに塗装しないと大変なことになる」などと脅してくる悪質業者もいるので注意しましょう。

数週間で突然状態が悪化することはありえないので、落ち着いて相見積もりをおこない、信頼できる業者を選ぶよう心掛けてください。

まとめ

売却前に家の外壁塗装をする場合は、「メリットがデメリットを上回るかどうか」についてよく考えてから実施してください。築年数が経過している家を売りたい場合であれば、物件の成約率がアップする可能性は高いでしょう。

また、外壁塗装に後悔しないためには、優良業者を探して契約することも重要になります。相見積もりで価格や対応についてしっかり比較し、納得した上で契約するよう心掛けてください。

プロフィール
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。