不動産売却・査定

不動産所得がある場合のふるさと納税の控除限度額はどうなる?計算方法や注意点を解説!

ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分の故郷や「応援したい」と思う自治体に対し、寄付ができる制度です。寄付に対して、返礼品や所得税の還付や住民税が控除される恩恵があります。

返礼品は寄付した先の自治体ごとに特色があり、バラエティ豊かな地元の特産物・名産品が楽しめるのも特徴。飲食物や家電製品・体験型アクティビティのサービス・伝統工芸品などがあり、減税目的はもちろん、返礼品を楽しみとしてふるさと納税の人気が高まっています。

ふるさと納税をするメリット

ふるさと納税といえば、地域のバラエティ豊かな返礼品。しかし、ふるさと納税には返礼品以外にも、以下のような大きなメリットがあります。

  • 税金が控除される
  • 好きな自治体に寄付できる
  • 返礼品を楽しめる

それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

税金の控除を受けられる

ふるさと納税は、税金の控除を受けられます。しかし、「聞いたことはあるけれど、具体的な仕組みはよくわからない」という方も多いようです。

ふるさと納税によって税金が控除されるのは、住民税と所得税が対象。ただし、ふるさと納税をすればするほど無制限に節税できるわけではありません。本人の所得に応じて、控除の上限額があることを知っておいてください。

上限額内で、①②③の合計金額の控除を受けられます。2,000円は、自己負担額です。

住民税から控除を受けられる金額 計算式
①(ふるさと納税額-2,000円)×10%

②(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)

所得税から控除を受けられる金額 計算式
③(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

出典:総務省「ふるさと納税のしくみ 税金の控除について」

好きな自治体に寄付できる

ふるさと納税の本来の目的ともいえるのが、「好きな自治体に寄付できる」というもの。

通常は、所得税を国に、住民税は住民票のある自治体に納めるのが基本です。ふるさと納税で寄付をすると、寄付金=税金として扱われ、自分が応援したいと思う自治体に支払われます。ふるさと納税とは、本来納める所得税・住民税の一部を、寄付として扱う制度なのです。

「自分の故郷やゆかりのある場所を応援したい」、これが本来のふるさと納税の趣旨といえるでしょう。

返礼品を受け取れる

ネットやテレビでも話題になる返礼品は、ふるさと納税の楽しみの最たるもの。自己負担額2,000円で、自治体から返礼品が届きます。

返礼品は地域ごとに特色があり、地元の名産品から、その地域に工場を持つ大手家電メーカーの商品・体験型サービス・服飾・雑貨など、選びきれないほど。選ぶ楽しさもふるさと納税の魅力です。

不動産所得がある場合のふるさと納税の控除限度額を計算

本人の収入によって、ふるさと納税の限度額があります。しかし、アパート・マンション経営や不動産投資などで不動産所得がある方は、所得が増えるためふるさと納税の限度額上限も上がります

不動産所得を得ている方の以下のパターンで、控除の上限額の計算方法が異なります。

  • 不動産所得がある場合
  • 不動産所得が赤字の場合

では、それぞれの場合での計算方法を見ていきましょう。

不動産所得がある場合の上限額

例として、不動産収入が400万あり、経費が100万円の場合を解説します。この場合の不動産所得を計算すると、400万-100万=300万円です。

不動産以外の給与収入が、仮に400万円だった場合では、通常の寄付金の上限額は3万3,000円となります。

給与収入400万円×所得控除(1-0.15)+不動産所得300万円=課税所得金額640万円です。

個人事業主の上限額 計算式
住民税所得割額×課税所得に応じた変数(%)+2,000円

「住民税所得割額」は、自治体が発行する「住民税決定通知書」に記載されています。住民税決定通知書は、毎年5月・6月頃に、住民票のある自治体から送付されるものです。

「課税所得に応じた変数(%)」は、以下の表でチェックします。課税対象の所得が640万円の場合、変数は28.744%です。上限額は、住民税所得割額×28.744%+2,000円となります。

課税所得に応じた変数 課税所得金額
23.559% 195万円まで
25.066% 195万円から330万円
28.744% 330万円から695万円
30.068% 695万円から900万円
35.520% 900万円から1,800万円
40.683% 1,800万円から4,000万円
45.398% 4,000万円以上

「細かい収入がわからないのでざっくりとした金額でいいから計算したい」という方は、「住民税所得税割額×0.2」でだいたいの金額がわかります。

不動産所得が赤字の場合の上限額

経費が収入を上回り、不動産収入が赤字になる方もいることでしょう。仮に、不動産収入が200万円の赤字の場合は、以下の計算になります。

給与収入400万円×所得控除(1-0.15)-不動産赤字200万円=課税所得金額140万円です。前述の表から課税所得に応じた変数は23.559%となるため、上限額は住民税所得割額×23.559%+2,000円となります。

ふるさと納税の各ポータルサイトでは、給与収入と配偶者の有無の入力でできる控除上限額シミュレーションが用意されています。扶養家族の人数も考慮した詳細シミュレーションもあるので、手軽でおすすめです。

不動産所得がある場合のふるさと納税の注意点

税金対策としてふるさと納税は有効ですが3つが挙げられます。

  • 「ふるさと納税=節税」ではない
  • 年間50万円以上となる高額返礼品は課税対象
  • 不動産所得が20万円を超えるとワンストップ特例制度を使えない

後から「こんなはずじゃなかったのに」とならないためにも、ふるさと納税のメリットだけでなく、デメリットも知っておきましょう。

「ふるさと納税=節税」ではない

ふるさと納税=節税になるという話が浸透していますが、厳密には節税ではありません。正しくは、翌年度に支払う税金を、ふるさと納税で前払いしているという形になります。

ふるさと納税の寄付分は、前払いした税金となり、後で控除される仕組みです。2,000円の自己負担で返礼品がある分、お得に感じるため、「節税」という印象になるのかもしれません。

年間50万円以上となる高額返礼品は課税対象

返礼品が高額の商品の場合、返礼品自体が「一時所得」として扱われ、課税対象とされるケースがあります。

ふるさと納税で非課税のラインは、年間50万円までです。50万円をオーバーすると、返礼品のためにさらに確定申告が必要になります。ふるさと納税は選ぶのも楽しく、ついつい高額のものを買ってしまうこともあるでしょう。上限50万円を頭に置いて、利用してください。

不動産所得が20万円を超えるとワンストップ特例制度を使えない

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税の確定申告が不要となるものです。ワンストップ特例制度によって、会社員などの給与所得者は確定申告の手間がなくなり、手軽にふるさと納税を楽しめるようになりました。

ただし、不動産所得の年収が20万円以上の場合、ワンストップ特例制度は利用できなくなります。定期的な不動産収入がある方は、確定申告が必要です。

まとめ

不動産所得がある場合は、ふるさと納税の上限額が増え、所得税・住民税の控除額も増加します。控除を受けながら、ふるさと納税の返礼品を楽しむことができるのでお得感も倍増です。

ふるさと納税の制度を正しく理解し、控除を受けつつ、さまざまな返礼品を楽しみましょう。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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