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任意売却の相談におすすめの不動産業者・協会30選|選び方も解...
法人が不動産を売却するときにかかる税金はどういったものがあるのでしょうか。
税金の種類、算出方法について解説します。
不動産売却でかかる税金として法人税があります。
法人税は、法人の企業活動で得られるすべての所得に対してかかる税金です。1つの会社でさまざまな事業が行われることがありますが、法人税はすべての事業で得られた所得の合計に対してかかります。
つまり、1つの法人で展開する複数の事業の損益を合算した結果、所得が赤字であれば法人税はかかりません。法人における所得は、益金から損金を差し引いた金額となります。
所得=益金-損金
益金は、商品やサービスの販売など事業で得た売上収入だけでなく、土地、建物の売却収入も含まれます。
一方、損金は、製品などの製造・仕入原価、人件費等の販売経費、災害等による損失が含まれます。
もし過去に事業で赤字(欠損金)があり、不動産売却で利益が出た場合は、過去の赤字と相殺(損益通算)することも可能です。条件にもよりますが、欠損金(繰越欠損金)は10年間繰り越して相殺できます。
法人税の計算方法は、つぎの計算式になります。
法人税=所得 × 法人税率-控除金額
不動産売却に関する所得は、売却価格 – (取得費 + 売却費用)になります。
普通法人の法人税率は図表1のとおりです。
図表1
| 区分 | 税率 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金1億円以下の法人 | (所得)年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% |
| ※適用除外事業者 | 19% | ||
| 年800万円超えの部分 | 23.2% | ||
| 上記以外の普通法人 | 23.2% | ||
※適用除外事業者とは、その法人の事業年度開始前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額平均が15億円を超える法人
図表1は普通法人の税率ですが、法人税率は、法人の種類、規模(資本金)、所得金額によって変わり、年度ごとに改正される場合がありますので、随時国税庁等のHPで確認してください。
次に、不動産売却にかかる税金として法人住民税があります。
法人住民税は、個人と同様に法人にもその地域の公共サービスやインフラ維持のために課される税金です。
法人住民税には道府県民税と市町村税があり、事業所が所在する都道府県および市町村が課税主体となる地方税です。
法人の事業所が複数ある場合は、それぞれの事業所ごとに住民税を納付しなければなりません。
法人住民税は、所得が黒字か赤字か関係なく、資本金の額や従業員数等によって定額で決まる「均等割」と法人税額に応じて決まる「法人税割」があります。
法人住民税の均等割および法人税割の内容は、図表2および図表3のとおりです。
図表2<均等割>
| 資本金等の額 | 都道府県民税 | 市町村民税従業員50人超 | 市町村民税従業員50人以下 |
|---|---|---|---|
| 1千万円以下 | 2万円 | 12万円 | 5万円 |
| 1千万円超1億円以下 | 5万円 | 15万円 | 13万円 |
| 1億円超10億円以下 | 13万円 | 40万円 | 16万円 |
| 10億円超50億円以下 | 54万円 | 175万円 | 41万円 |
| 50億円超 | 80万円 | 300万円 | 41万円 |
図表3<法人税割>
| 税率 | |
|---|---|
| 道府県民税 | 法人税額×1% |
| 市町村民税 | 法人税額×6% |
東京都の場合、税率は標準税率と超過税率に分けられています。
法人住民税の算出方法は、自治体によって異なる場合がありますので、総務省ならびに各自治体のホームページで随時確認してください。
不動産売却時にかかる税金の一つとしてとして、法人事業税があります。
法人事業税は、法人の事業で得られた所得に対して、事業所が所在する都道府県が課す税金です。
公共施設などの都道府県の行政サービスを最も利用することが多い法人が、行政サービスにかかる必要経費を負担すべきという考えに基づいて設けられた税金です。同じく所得に対して課される税金として法人税があります。
法人税が国に納める国税であるのに対して、法人事業税は都道府県に納める地方税という違いがあります。
また、同じ地方税でも、法人住民税は都道府県、市町村それぞれに納めるのに対して、法人事業税は都道府県に納める税金です。
法人事業税=所得 × 法人事業税率
法人事業税は、資本金が1億円以下かどうかで課税方法が異なります。この資本金1億円を超える法人には外形標準課税が適用されます。赤字の事業年度でも課税されるのが特徴です。
また、所得金額の区分、各都道府県によっても税率が異なりますので、各自治体のホームページ等で確認してください。
ここまで「法人税」「法人住民税」「法人事業税」について解説してきましたが、これらをあわせて法人3税と呼ばれています。
不動産売却にかかる税金として、印紙税があります。
印紙税は、契約書や領収書といった課税文書を作成した際に、印紙税法に基づいて国から課される税金です。
課税文書とは、印紙税が課税される対象となる契約書および受取書をいいます。
国税庁が課税文書に該当するか否かの判断基準を示しています。
不動産の売却に関する課税文書でいうと、
などがあり、うち金銭消費貸借契約書は、住宅ローンなどを利用する際に、金融機関とローン契約者の間で交わされる文書です。
契約書等の名義が、個人か法人を問わず、印紙税の納税義務があります。
また、不動産売却時の売買契約書を2通作成した場合には、契約書に購入した印紙を貼付して割印することで印紙税を納めます。
不動産売買契約書の印紙税額は図表4のとおりです。
令和9年3月31日までに作成された文書について、印紙税の軽減措置が適用されます。
図表4
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 10万円以下 | 200円 | 200円 |
| 10万円超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
| 5億円超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
| 10億円超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
| 50億円超え | 60万円 | 48万円 |
なお、1万円未満の契約金額は非課税です。
消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金です。
商品やサービスを提供する事業者が納税義務者となりますが、消費税相当分が販売価格に上乗せされるため、最終的に消費者が負担する税金です。
消費税の標準税率は10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)ですが、食料品や新聞など一部の商品は軽減税率8%(消費用税率6.24%、地方消費税率1.76%)が適用されます。
(参考:国税庁 消費税のしくみ)
不動産売買において、消費税の対象となるものは以下のものです。
一方、土地にはそもそも消費税はかかりません。
したがって、法人がマンションや建物付き土地を売却する場合は、土地と建物それぞれの売却価格を区分して決定する必要があります。
また、売却価格を設定する際には、納付すべき消費税額を考慮した価格設定を行うことが重要です。
消費税を納付する義務があるのは、法人や個人事業主などの課税事業者です。
そのため、課税事業者でない個人同士の不動産売買では、建物にも消費税は課されません。
さらに、司法書士に支払う費用のうち、
となります。

法人の不動産売却にかかる税金を計算する際に、個人とは異なり法人であるからこそ注意したい点について解説します。
法人の税金は「所得(=収入-経費)」に対して課されます。そのため、不動産を売却した際には、売却収入から経費を差し引いて所得を算出する必要があります。
不動産売却における主な経費としては、仲介手数料・印紙税・登記費用などの諸費用があります。
しかし、それ以上に重要なのが、売却時点の帳簿価額(簿価)です。
帳簿価額とは、その不動産を取得した際の取得原価を基準とした会計上の価値をいいます。
減価償却とは、建物や設備などの資産について、使用や経年によって価値が減少していくことを見込み、一定期間にわたり費用として計上する制度です。
これにより、資産を購入した年度に一括で費用処理するのではなく、使用年数に応じて費用を分配します。
不動産売却時の所得を計算する際には、経費として計上できる諸費用と帳簿価額の扱い方に特に注意が必要です。
帳簿価額を正しく把握しないと、課税所得が過大または過少に算出されるおそれがあります。
通常の不動産の売却手続きは、以下のような流れで進みます。
売買契約の締結と同時に決済・引渡しを行う場合もありますが、買主がローンを利用する場合など、多くは契約日と決済・引渡し日が異なります。
個人が不動産を売却する場合、一般的には売買契約締結日ではなく、決済(売買代金の全額受領)と同日に行われる所有権移転登記の日を「引渡し日」とします。
つまり、決済日=引渡し日として取り扱われます。
一方、法人の場合は、個人とは異なり、引渡し日の取り扱いに選択の余地があります。
法人の不動産売却においては、原則として
「売買代金の決済と所有権移転登記が完了した日」
を引渡し日とします。
ただし、売買契約を締結した日を引渡し日とすることも認められています。
(参考:国税庁「固定資産の譲渡の時期」)
不動産の売買手続きは、売買契約から引渡しまで1か月以上かかることも多く、その間に法人の事業年度が変わる場合があります。
法人にとって、不動産の売却による損益は金額が大きく、
といった決算・税務上の戦略的な判断が必要となるケースがあります。
そのため、法人では契約日または引渡し日(決済日)を選択できる柔軟な取扱いが認められています。
どちらの日を引渡し日とするかは、法人の会計方針や決算の状況に応じて判断することが重要です。
つまり、
のいずれかを選択できることを覚えておいてください。
不動産を時価よりも著しく低い金額で譲渡した場合には、税金の計算方法に注意が必要です。
低額譲渡とは、不動産の時価(相場)よりも著しく低い金額、または無償で譲渡する場合をいいます。
国税庁の定めによると、譲渡価額がおおむね時価の2分の1(1/2)未満の場合は低額譲渡とみなされ、その不動産の時価を収入金額として譲渡所得を計算することになります。
この取扱いは法人に限らず、個人間の売買でも共通です。
本来の時価よりも極端に低い価格で取引を行うことで、税負担を不当に軽減することを防ぐために、税法上明確に規定されています。
例えば、法人が所有する時価1億円の土地を、個人に2,000万円で売却した場合、
その取引は「低額譲渡」とみなされます。
この場合、法人税の計算上は、実際の売却価格2,000万円ではなく、
時価である1億円で譲渡したものとして譲渡損益を計算することになります。
特に、法人が代表者個人や親族などに不動産を売却する場合は、
実勢価格より低い価格での取引を行うと、税務上は時価相当額での取引とみなされるため注意が必要です。
低額譲渡が認定されると、法人側で想定外の課税(法人税)が発生するだけでなく、譲受側(代表者個人など)にもみなし贈与税が課される場合があります。

法人の不動産売却にかかる税金について解説してきました。不動産売却による利益が大きいほど税金の負担も増えますので、できるだけ税金の負担は少なくしたいはずです。
この点、法人の場合、一般の個人の不動産売却と異なり、事業活動による損益と不動産売却による損益を通算(損益通算)することができ、節税対策も考えられます。
ここでは、法人の不動産売却で税金を節約する方法について解説します。
1つ目の節税方法は、新たに不動産を購入することです。
法人が建物を購入した場合、購入時にかかる仲介手数料や登録免許税、登記費用などの諸費用を経費として計上できるほか、建物部分の減価償却費を毎期の費用として計上することで、課税所得を圧縮し節税効果を得ることができます。
構造や用途によって法定耐用年数が異なる
同じ価格の不動産を購入した場合でも、建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)や用途(居住用・事業用)によって、税法上定められた法定耐用年数が異なります。
そのため、計上できる減価償却費の額にも違いが生じます。
例えば、木造の一戸建てと鉄筋コンクリート造のマンションを購入する場合、法定耐用年数には以下のような差があります。
図表5 構造別・用途別の法定耐用年数(建物)
| 構造 | 用途 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 木造 | 住宅用 | 22年 |
| 木造 | 事務所(事業)用 | 24年 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 住宅用 | 47年 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 事務所(事業)用 | 50年 |
短期的に節税効果を出したい場合は、法定耐用年数が短い建物を購入するほうが有利です。
同じ価格でも、耐用年数が短いほど1年あたりに計上できる減価償却費が多くなるため、当期の利益をより小さくでき、法人税の負担を軽減できます。
なお、土地は減価償却の対象外です。
土地は会計上、価値が減少しない資産とされているため、購入しても減価償却費を計上することはできません。
他の損益と通算して節税する方法2つ目の節税方法は、不動産売却で得た利益を他の損益に分散させる方法です。
法人税は「法人の全体の所得」に対して課税されるため、法人の損益計算上、事業や不動産売却などすべての利益から、すべての損失を差し引くことができます。
例えば、不動産売却によって多額の利益が見込まれる場合、次のような支出を行うことで当期の利益を圧縮し、結果として法人税の負担を軽減することができます。
大規模修繕にかかった費用のうち、建物の維持管理や原状回復のために要したと認められる支出は、修繕費として損金算入が認められます。
一方、建物の資産価値を高めるような改良・増築の場合は、資本的支出として資産計上が必要になるため、税務処理に注意が必要です。
このように、不動産売却益を他の損益と通算して当期利益を圧縮することで、
法人税率が適用される課税所得額を減らし、実質的な節税効果を得ることができます。
設備投資を行い特別償却や税額控除を活用する3つ目の節税方法は、不動産売却によって得た利益が発生した事業年度にあわせて、設備投資を行うことで、
特別償却や税額控除などの税制優遇措置を活用し、法人税の負担を軽減する方法です。
中小企業が行う設備投資を税制面で支援するため、次のような特例措置が設けられています。
いずれも、令和9年度末(2027年3月31日)まで延長されています(令和7年度税制改正により)。
これらの制度は、設備投資を行うタイミングを工夫することで、不動産売却益による課税負担を大きく軽減できる可能性があります。
なお、個人の場合には、一定の条件を満たすことで、
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除などの特例を利用して、不動産売却益を圧縮できます。
一方、法人にはこのような特別控除制度はなく、節税のためには上記のような設備投資による税制優遇を活用するのが一般的です。

ここまで法人の不動産売却にかかる税金や節約方法について解説してきました。税金対策も大切ですが、まずは不動産売却そのものを成功させることが重要です。
ここでは、法人が不動産売却を成功させるための3つのポイントをお伝えします。
不動産売却を成功させることは、高く売却するとともに節税対策を行い、利益を最大化することといえます。そのためには不動産を売却するタイミングが大切です。
個人の不動産売却と異なり法人には事業年度があり、不動産売却の損益と他の事業の損益を通算して考えます。
ですので、経済状況や不動産市況、金利動向をみながら、不動産価格が高く売却できるタイミングを考えながら、一方で不動産売却にて得た利益を損益通算できる最適な事業年度に売却するタイミングもあわせて考えることが必要です。
不動産売却を成功させる上で、売却依頼する会社の選定も大切です。
法人の場合、事業年度が変わる前後など売却のタイミングが重要になるケースもあります。ですので、販売するまでの準備期間や販売開始から買主が見つかり、契約、決済・引渡しまでのスケジュールを計画的にすすめるほうがよい場合もあります。
また、そういった意味では、販売期間も踏まえた適切な価格設定をすることも大切です。その点、売却する地域の情報に精通した実績が豊富な不動産会社であれば、自社で抱える購入検討者の情報なども活用しながら、最適な価格設定とスケジュール感を提案してもらいやすいといえます。
不動産売却では、物件調査から始まり、売却価格の設定、販売開始、購入申込から売買契約、買主のローン利用、決済、引渡しとさまざまなステップを踏む必要があります。
それぞれのステップにおいて、適切なアドバイスとサポートができる不動産会社、担当者を選ぶことが成功のポイントといえます。
不動産売却を成功させるポイントとして、売却する不動産の価値を高め、売りやすくするということが考えられます。
例えば、収益物件であれば、売却にあわせて空室対策を行い満室状態にしておくことやリフォームや必要な箇所の改修を行うことで部屋の状態、見た目を良くすることが考えられます。
また、物件によっては建物診断を実施して中古不動産購入に対する不安を軽減し、ホームステージングで部屋や空間を演出し、売却しやすくするという方法もあります。
こういった不動産の価値を高めるためには、個人の売主の場合、資金的には難しい場合もあります。
この点、法人の場合、リフォームや改修費用などは経費として計上できますし、個人と比べれば資金的にも対策しやすいといえます。
その結果、不動産の価値が上がり、費やした資金以上に高値で売却できることで、不動産売却の成功につながります。
そのためにも、不動産市場や物件の価値をしっかりと見極めることができる不動産会社に依頼することも大切です。

法人の不動産売却は、個人の場合と消費税の取り扱いが異なります。
ここでは、法人ならでは不動産売却における消費税の悩みについて解説します。
消費税の納税義務者は、課税事業者である法人あるいは個人事業主です。
一方、課税事業者ではない個人には、消費税の納税義務はありません。
例えば、5,000万円(土地2,800万円、建物2,200万円)の不動産を売却する場合、法人売主の場合、建物価格の2,200万円について消費税を納める必要があります。
消費税を10%とすると、2,200万円÷1.1=2,000万円が税抜きの建物価格となり、200万円の消費税を納める必要があります。
一方、個人が売主の場合、消費税はかかりませんので、建物価格2,200万円がそのまま売却収入となります。
ですので、法人が建物を売却する場合は、消費税負担分を踏まえた売却価格で販売活動を行う必要があり、逆にいうと消費税分を価格に転嫁できなければ、その分売却収入は少なくなるということです。
消費税の対象となるのは建物のみで土地は非課税となります。
ですので、法人が不動産を売却する場合、土地、建物の価格を明確にし、建物にかかる消費税を明らかにする必要があります。
もし、土地建物の総額が分かっても、土地、建物それぞれの価格が明確でない場合は、それぞれの固定資産税評価額で按分する方法もあります。
例えば、土地建物の総額が5000万円として、土地建物の固定資産税評価額を按分すると、土地6割、建物4割の場合、土地の価格を3000万円、建物の価格を2000万円で売却代金を振り分けるという方法です。
ただ、固定資産税評価額は固定資産税額を算出するための指標であり、それをもとに土地、建物の価格を振り分けたとしても市場価値とは必ずしも一致しません。
ですので、築年数が経過した建物などの場合、固定資産税評価額ほど市場価値はないという場合もありますので、消費税の負担だけが大きくならないように注意が必要です。

ここまで法人の不動産売却における税金について解説してきましたが、不動産を高く売却して収入を得ることも大切です。
最後に、不動産を高く売却するコツについて解説します。
不動産を高く売却するためには、売却金額の設定を間違わないことが大切です。
そのためには、まず物件の市場価値、つまり相場を知る必要があります。立地条件や土地建物の面積、築年数、物件の状態など、さまざまな要素が不動産の価格に影響します。
不動産会社の査定や場合によっては不動産鑑定に依頼して、相場を知ることが必要です。
そして、相場が分かればそれをもとに、
などを考慮しながら売却金額を決めます。
法人の場合、事業年度や節税対策を踏まえつつ、高値売却につながる売却金額を決めることが必要です。
不動産売却では、査定金額から相場を把握し、それをベースに売出金額を決め、販売活動のなかで、時には価格交渉を経ながら最終的な売却金額(成約価格)が決まります。
ですので、査定金額と売却金額は必ずしも一致しませんし、もっとも大切なのは、最終的な売却金額であって、査定金額でも売出金額でもありません。
ですので、査定金額が高い不動産会社に依頼すれば良いというわけではありません。さらに言いますと、査定金額が高すぎる不動産会社には注意も必要です。
なかには、とりあえず売主と媒介契約(売却の依頼に関する契約書)を獲得するために、相場とかけ離れた金額で査定する会社もあります。
高い査定金額から売出金額が高すぎると次のようなデメリットも考えられます。
こういった可能性も踏まえながら、最終的にもっとも売却金額が高くなる売出金額を設定する必要があります。
不動産を高く売却するためには、売却を依頼する不動産会社や担当者は重要です。
不動産取引では建築基準法や宅建業法、ローン、税金などの専門的な知識も関連しますので、信頼できるパートナー選びは大切です。
当然ですが、できるだけ高く売却したいという売主の要望に対し、自社や担当者の都合で早く売りたい、両手取引にこだわるといった不動産会社や担当者は避けなければなりません。
※両手取引とは、1社の不動産会社が売主と買主両方の仲介をする取引形態で、不動産会社は売主買主双方から仲介手数料収入を得ることが可能となります
そのため、売主の状況や希望条件をしっかりヒアリングしたうえで、査定価格、売出価格の根拠に納得できることが大切です。
また、どういったサイトや媒体で集客、販売するのか、販売活動中の状況報告まで信頼できる提案をしてくれる不動産会社を選ぶことが必要です。
ただ、専門的な知識も関係する不動産取引では、一般の方が信頼できる不動産会社や担当者を見分けるのは難しい場合もあります。
解決のひとつとして、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの会社の査定価格や販売方法、会社の方針、担当者などを比較しながら決める方法もあります。
複数の会社を比較することで、より信頼性の高い価格が分かりますし、不動産会社や担当者の販売方法の違いも分かり、選びやすくなります。
法人が不動産を売却するときにかかる税金や節税方法、さらには不動産売却を成功させ、高値で売却するための方法について解説してきました。
法人の不動産売却の注意点
不動産売却でできる節税対策
不動産売却を成功させる方法
不動産を高く売却するコツ
個人の不動産売却とは異なり、法人の場合、すべての事業で得た損益と不動産売却の損益を損益通算し、税金も決まります。
そのため、法人の事業収支にも不動産売却の損益、税金の負担は直接影響します。不動産売却時の税金の理解、節税対策や売却収入を増やすうえで是非参考にしてください。