「新築だけど住んでみると気に入らなかった」「急に転勤になった」などの理由で新築の売却を検討している人もいるでしょう。
新築なら高く売却できると考えがちですが、何も知らずに売却すると損失が出てしまう可能性があります。新築売却を検討しているなら、新築を高値で売るポイントや注意点を理解しておくことが大切です。
この記事では、新築売却のポイントや注意点・流れなどを分かりやすく解説します。新築売却の成功のために、ぜひ参考にしてください。
新築をより高値で売却するためのポイントとして、次の6つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
新築での売却を検討しているなら、できるだけ早めに売却する必要があります。
そもそも売却時に「新築」と表記できるのは、次の2つの条件を満たす必要があります。
新築と言えるのは、築1年未満で誰も住んでいない物件です。「誰も住んでいない状態でも築1年以上経過した」「築1年未満でも一度誰かが住んだ」物件は新築ではなく、築浅物件という扱いになります。
同じ築年数でも新築と築浅では、築浅の方は資産価値が低下し売却額も下がってしまいます。新築として売却するなら、「住まずに」「1年未満」に売却するようにしましょう。
不動産の建物は築年数が経過するごとに、経年劣化により資産価値が低下します。一般的には新築から築10年以内で大きく資産価値が低下し、その後低下は緩やかになりますが、築20年を経過すると資産価値はほぼゼロに近くなっていくのです。
築年数が経過するほど資産価値は低下していくため、高値での売却を狙うなら築年数が浅いうちに売却する必要があります。築5年未満の築浅物件であれば人気が高く、エリアによっては高く売りやすいものです。
新築で売却できなくても、築浅の早い段階なら高値での売却が期待できるので、まずは不動産査定を受けて売却額を把握してみるとよいでしょう。
一般的に、売却には3ヵ月〜半年ほどの時間がかかります。そのため、売却したい時期から逆算して売却活動をスタートする必要があります。
売却時期に余裕がなく、売り急いでいると、売却のために値下げしなければならなくなります。買主に売り急いでいることが知られると、足元を見られて値下げ要求を受ける可能性もあるでしょう。売却期間に余裕があれば、慌てて値下げすることを防げ、高値での売却をしやすくなるものです。
また、新築・築浅で売却するなら、少しでも早く売却活動に入ることで売りやすくなります。スケジュールについては不動産会社にも一度相談してみるとよいでしょう。
売却を検討しているなら相場観を理解しておくことが大切です。相場を理解しておけば、不動産会社が査定で提案する価格の妥当性を自分で判断できます。相場が分からずにいると、不動産会社の提案額を鵜呑みにしてしまい、希望の価格で売却できない可能性もあるでしょう。
相場は次のような方法で把握できます。
類似の取引事例をチェックすることで相場の参考にできます。ただし、不動産は同じものが二つとないので自分の不動産の価格とはあてはまらない可能性もあります。
不動産会社に査定依頼を出す場合は、一社のみでなく複数社に査定してもらうことが大切です。
不動産の査定方法には、次の2種類があります。
机上査定とは、築年数などのデータから査定する方法です。簡単な情報の入力のみで査定結果も短期間で分かるので、おおよその目安額を把握するのに適しています。ただし、家の内部など個別の事情は反映されないので、実際の売却額とは大きく異なる可能性がある点には注意しましょう。
一方、実際に不動産会社の担当者に家をチェックしてもらい査定を受ける方法が、訪問査定となります。訪問査定なら家の状態を見たうえで査定額を提案してくれるので、精度の高い結果が分かります。机上査定を複数社で受けて、その中から数社に絞って訪問査定を受ける流れがおすすめです。
また、机上査定はできるだけ多くの不動産会社に依頼して、査定額や対応などを比較するとよいでしょう。
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新築・築浅の場合、最新の設備が付いている場合もあるでしょう。これらの設備はすぐに故障する可能性も低く、そのまま残しておくことで、査定額アップにつながりやすくなります。
買主にしても、エアコンなどの設備を一から自分で設置するのは費用がかかってしまうため、最新の設備がきれいな状態でついているならそのままにしておくことを要望する人も少なくありません。
設備をそのままにするかどうかで悩む場合は、一度不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
内覧は購入判断の大きな決め手になるポイントです。少しでも買い手に好印象を持ってもらうことで早期での売却も期待できます。印象がよければ、買い手からの価格交渉にも強気に出られ、高値での売却も期待できるでしょう。
新築であっても、家の清掃は念入りに行い、清潔感を出すことが大切です。特に、水回りは買い手も重点的にチェックするポイントなので、ピカピカにしておくことをおすすめします。
内覧時には丁寧な対応を心掛け、さらに家のアピールポイントや周辺環境など住んでいる人にしか分からない情報を伝えると、より購入の後押しになります。
新築を売却する際の注意点として、次の5つが挙げられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
新築時に住宅ローンを組んで購入した場合、売却するには住宅ローンの完済が必須になります。
住宅ローンを組む場合、金融機関によって抵当権が設定されます。抵当権が設定されると、万が一ローン返済が滞っても、金融機関は強制的に家を売却して住宅ローンの回収ができるのです。
そして、この抵当権の付いたままの物件は、基本的に売却できません。仮に売却できたとしても、抵当権付きの物件を好んで購入する人はいないでしょう。
抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済する必要があります。新築・築浅で売却する場合、ローン残債も高額であり、一括返済できる現金がある可能性も低いでしょう。基本的には売却額でローン完済することになるので、ローン残債の正確な額と売却予定額の把握が大切になります。
オーバーローンとは、家の売却額では住宅ローンを完済できない状態のことです。この場合、抵当権を抹消できないため家の売却ができません。
オーバーローンで家を売却する場合、次のような工夫が必要になります。
売却額だけでローン完済できない分を、自己資金や親からの援助などで対応できれば問題なく売却に進められます。また、次の新居のローンにローン残債を上乗せして借入れる「住み替えローン」を利用する方法もあります。
売却額だけでローンが完済できず、上記のような方法も取れない場合は売却できないので注意しましょう。特に新築・築浅の物件はオーバーローンになりやすい傾向があります。ローン返済が進んでおらず残高が高額であり、一方、家の資産価値や購入時よりも大幅に下がりやすい時期でもあります。
「新築だから売れば大丈夫」とは限らないので、まずは査定に出して売却額を把握して、売却計画を進めるようにしましょう。
新築・築浅にも買い手にとってのデメリットがあるため、それを理由に値引き交渉を受ける可能性があります。
買手のデメリット
新築物件であれば、3年または5年間の固定資産税軽減措置を適用できます。
しかし、築浅物件で購入した場合、この軽減措置を適用できず、高い固定資産税の負担がかかってしまうのです。瑕疵担保責任も新築なら10年あるのに対し、築浅では1〜2年になってしまうケースが一般的です。
また、設備や外壁などは一般的に、築10年を目安に修繕や交換が必要になります。築浅の場合、新築よりも築10年を迎えるのが早くなり、修繕費が嵩みやすくなるのです。新築か築浅かは買い手によって大きな違いになるので、築浅で売る場合は注意しましょう。
このような理由により買主から値引き交渉を受けた場合は、その要求をすべてのむ必要はありませんが、ある程度は応じる姿勢も大切です。しかし、値引きしたことでローンが完済できないとなってはダメージも大きいので、事前にいくらまでなら値引きできるのかを明確にしておくことをおすすめします。
買い手からすれば、新築物件が売りに出されているのは「何か事情があるのでは?」と勘ぐってしまうところでもあるので、売却する理由は正直に伝えることをおすすめします。理由が明確になれば、買い手も不安なく購入に進めるでしょう。
また、理由を告げずに売却を進めようとすると、不審に思った買い手からそのことで値引き交渉を受ける可能性もあります。理由を明確にすることで、値引き交渉の材料を減らすことにもつながるのです。
売却する理由を告げる理由には、損害賠償請求を避ける目的もあります。買主に不利な事実を隠して売却し、買主が購入後に損害を受けると、売主は損害賠償請求される可能性があります。
特に、構造上の欠陥・住環境の欠陥(事故物件など)は、買主に伝える義務があるので注意が必要です。何をどこまで伝えるのか、どのように伝えるのかで悩む場合は、不動産会社に相談するようにしましょう。
家を売却して利益が出た場合、その利益に対して税金が発生します。高額な不動産売却では、かかる税金も高額になる可能性があります。税金のことを忘れていると、思ったよりも手元にお金が残らないという可能性もあるので注意しましょう。
売却額にかかる税金は、次の方法で算出できます。
売却額から取得にかかった費用と購入にかかった費用を差し引いた部分が利益となり、この利益に譲渡所得税の税率を乗じることで税額を算出できます。
新築・築浅で売却する場合、所有期間が5年以下での売却では短期譲渡所得の税率が課せられ39.63%と税率が高くなる点には注意しましょう。
仮に、4,000万円で売却し、購入額が3,000万円(手数料込み)、売却費用300万円の場合、利益は「4,000万円-(3,000万円+300万円)=700万円」となります。税率が39.63%なので、約277万円の税金がかかってくるのです。
ただし、マイホームの売却であれば「3,000万円特別控除」などを適用でき、節税できる場合があります。売却する際には、事前におおよその税額や適用できる控除なども調べておくとよいでしょう。
新築物件を売却するなら、大まかな売却の流れを把握しておくことが大切です。基本的には不動産会社が進めてくれますが、自分でもある程度の流れを理解しておくとスムーズに売却できるでしょう。
売却までの大まかな流れは、次の通りです。
まずは、売却に進めるかローン残債をチェックするようにしましょう。その後、査定依頼に出して査定額とローン残債を比較し、売却するかを検討していきます。
売却することを決めたら、売り出し価格を決めて不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には、複数社と契約できる一般媒介契約と、1社しか契約できない専任媒介契約・専属専任媒介契約があるので、自分に適した方法を選ぶことが大切です。
媒介契約後は不動産会社が売却活動を進めてくれます。ただし、内覧対応や準備など売主がすべきこともあるので、対応していくようにしましょう。買い手が無事に見つかれば、売買契約を結び・決済後に引き渡しとなります。
また、売却益が出て納税が必要な場合、売却した年の翌年に確定申告が必要になるので、忘れず申告するようにしましょう。
売却の詳しい流れについては、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
関連記事:住宅を売却する7ステップ!売却時に必要な書類や費用・税金のほか、注意点も徹底解説
新築を売却する場合、売却額が手元に入るだけでなく、売却にかかる費用の支出もあります。そのため、どのような費用がかかるのかを理解しておくことが重要です。
売却にかかる費用には、次のようなものがあります。
一般的には、売却でかかる費用は「売却額の5〜10%程」が目安です。仮に、3,000万円で売却した場合、150〜300万円ほどの費用が必要になるので、支出についても理解してうえで売却計画を立てるようにしましょう。
今回は、新築の売却のポイントや注意点・費用などについて解説しました。
新築物件は1年未満で売却することで、高値での売却が期待できます。ただし、新築・築浅物件の売却では、ローン完済や値引交渉などの注意点もあり、場合によっては損失が出る可能性もあるものです。
まずは、いくらで売れるのかを把握するために複数の不動産会社に査定依頼し、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。