土地売却・査定

土地の値段は誰が決めているのか?売買時に損をしないためにはここに注目!

土地の値段は誰が決めているのか?売買時に損をしないためにはここに注目!

土地の値段は誰が決めているのか?

土地の値段は誰が決めているのか?

土地には目的や用途に応じて5つの価格があり、これを「一物五価(いつぶつごか)」といいます。

その5つの価格とは、次の通りです。

①実勢価格
(時価)
②公示地価 ③基準地価 ④固定資産税評価額 ⑤相続税評価額
(相続税路線価)
概要 実際に土地が売買されている価格 国土交通省が発表している指標 基準地価は都道府県が公示価格を補う目的で発表している指標 土地を所有している者に課される税の算定基準となる価格 土地の相続税や贈与税の算定基準となる価格
決定者 買い手と売り手 2人以上の不動産鑑定士 1つの地点に1人以上の不動産鑑定士が鑑定し、都道府県がその結果を審査して決定 各市町村(東京23区内は東京都) 国税庁
確認方法 土地総合情報システム 市町村から送付された明細書 財産評価基準書路線価図・評価倍率表

これらのそれぞれの値段は別の役割があり、金額を決めている人にも違いがあります。

それぞれの値段の役割と決定者について、解説していきます。

①実勢価格(時価)

実勢価格とは、実際に土地が売買されてた価格のことをいい、売買する当事者間で合意した金額(もしくは取引した金額)を指します。

景気の動向や需給バランス、土地の形状や接道状況、売買している当事者間の事情なども加味して決定されるものです。

例えば、適正な価格が4,000万円の土地があったとしましょう。

売主が売り急いで実勢価格が3,000万円になるケースもありますし、周りの良い環境の場合、購入希望者が多ければ実勢価格は4,500万円になる場合もあるのです。それゆえ、実際取引が成立しない限り実勢価格を知ることはできません。

ただし、以前に取引のあった実勢価格については、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」で取引価格情報を確認することができます。

②公示地価

公示価格は国土交通省が発表している指標のことで、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」で公示地価は確認可能です。

国土交通省が毎年3月に、全国2万3,000箇所の標準地の1月1日時点における土地価格を発表しています。

評価方法は、1つの地点に対して2人以上の不動産鑑定士が鑑定し、国土交通省がその結果を審査して決定することになっています。

国土交通省が発表している指標であるため、実勢価格の目安(おおよそ1.1倍〜1.2倍)に使われることが多いのが特徴です。

ただ、必ずしも調べたい土地の近くに公表ポイントがあるとは限らないのが欠点です。その際、近隣の複数ポイントの公示地価から、調べたい土地の概算を算出します。

③基準地価

基準地価は都道府県が公示価格を補う目的で発表している指標のことです。公示地価の発表から半年経過した地価の動きを把握するのに活用されています。

評価方法として、1つの地点に対して1人以上の不動産鑑定士が鑑定し、都道府県がその結果を審査して決定しています。

発表時期は毎年9月で、評価時点は毎年7月1日です。公示価格同様、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」において、基準地価を閲覧することが可能です。

④固定資産税評価額

土地を所有している者に課される固定資産税や都市計画税のほか、不動産取得税及び登録免許税の算定基準となる価格です。

各市区町村(東京23区内は東京都)によって決定され、「公示地価」の70%が目安になります。

毎年1月1日を基準日となっていますが、評価額の見直しは3年に1度で、次回は2024年となります。

⑤相続税評価額(相続税路線価)

相続税評価額(相続税路線価)は国税庁が発表している指標です。

土地の相続税や贈与税の算定基準となる価格で、毎年1月1日における価格が、7月初旬に公表されます。

具体的には、「道路に面する宅地の1㎡あたりの価格を、土地の形状に応じた補正率で補正した面積で掛けた値」が相続税評価額です。

また、相続税路線価は公示地価の80%が目安となっています。

路線価額の表示のない地域は「倍率地域」といい、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けることで相続税評価額を算出するしくみです。

つまり、調べたい土地が倍率地域である場合、固定資産税評価額がわからなければ算出できないこととなるので、注意が必要です。

相続税路線価は、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認することができます。

土地の値段が上下する要因は?

土地の値段が上下する要因は?

ここまで土地の値段の種類について解説してきましたが、土地の値段は常に上下しています。

上下する主な理由としては、以下の通りです。

  • 景気動向
  • 需要と供給
  • 環境・立地

それぞれの要因について解説していきます。

①景気動向

一番地価が影響を受けるのは景気の動向です。

景気が良くなると、企業は土地を買ってその上に建物や工場を建設して売上や利益を生むべく企業活動を活発化させます。

逆に、景気が減速してくると判断した場合、企業は土地の購入などの設備投資を控えるようになるでしょう。

このような企業の土地売買の傾向によって、土地の値段が上下してくるのです。

②需要と供給

景気動向で地価の上昇・下落ということが発生しますが、景気動向以外でも需要と供給のバランスで地価は変動します。

資金が余るような状況になると資金が土地に流れてくる可能性があります。

こうした、需要に比べ供給が追いつかない状態となれば、地価は上昇するでしょう。

逆に、土地に資金が流入されなければ、地価は下落します。1980年〜1990年代のバブル経済は、その代表例です。

景気以外の要因で価格が決定すると予期せぬ地価の上昇が起きる可能性があり、または一気に下落するリスクがあるので購入時には注意が必要です。

③環境・立地

周囲の環境や立地、形状についても、地価を左右する重要な要因です。

それぞれの要因について詳しく解説していきます。

周囲の環境

公示価格ポイントから同じくらい離れた2つの土地があった場合、形状もほぼ同じであるにもかかわらず、土地の値段がかなり違ったりするケースがあります。

たとえば大手企業が移転により、本社がほかの場所に移転した場合は、本社の跡地周辺の地価は下がるでしょう。

それに伴い、社員も転宅などで住宅を手放すことが考えられ、土地が余るといった事態が予想できます。

同様に、大学の移転や撤退が起きれば、学生たちが居住しているマンションやアパートの必要がなくなるため、マンション及びアパートが余ります。

それに伴い、土地の値段が下がることもあるでしょう。同時に学生たちがいなくなるので活気がなくなり、それが地価に影響することも考えられます。

このように周囲の環境は、土地の値段に大きく関わってくるのです。

立地

土地の周囲に何があるかで土地の値段は変わります。

例えば、以下のような施設などがあると、とくに土地の値段が上がるのです。

  • 学校
  • 病院
  • 市役所
  • 商業施設

新しく上記のような施設ができることで値段が上がることもあるので、立地は非常に重要な値段決定要因でしょう。

まとめ

本記事では、土地の値段についてご紹介しました。

また、土地の値段はさまざまな要因から決まり、土地の値段を知るには、以下の要点を把握しておく必要があることも分かりました。

  • いくらで土地が売れるのか/買えるのか
  • どれくらいの値段で国や地方公共団体が公表しているのか
  • 実際にどれだけの土地の値段で売買しているのか
  • 実勢価格と公示価格との割合はどれくらいなのか

土地の価格は、周囲の環境や立地によっても変化するので、十分認識しておく必要もあります。

同時に土地購入を検討する際は、現地に出向き、自身の目で土地を確認・調査することで、周辺環境を含めた土地の状況を、身をもって知ることができるでしょう。

土地の売買で失敗しないためにも、本記事でご紹介したことを参考に、土地価格・土地査定についての理解を深めておきましょう。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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