全国地価マップとは、一般財団法人資産評価システム研究センターが提供している、土地の価値を知るためのサイトです。
まずは、全国地価マップで土地の価値を知ることの重要性について、解説していきましょう。
土地の売却をおこなう上で、最初にやらなければならないことは、全国地価マップで土地の適正な価格を知ることです。なぜなら、土地の適性価格を知らずに不動産会社などに査定をしてもらうと、場合によっては低すぎる(または高すぎる)査定に気がつかない可能性があるためです。
例えば、不動産会社によっては適正価格よりも土地査定価格を高く提示し、受注率を上げ、商談中に徐々に査定額を下げていくケースがあります。また、土地の情報を知らないことをいいことに、一般的な価値よりもかなり低い値段を出して契約をするような業者もいます。
査定を依頼した不動産会社から見積りを出されたときに、提示された価格が適正価格かどうか自分自身で判断できるようになるためには、土地の「価格相場」を知っておくことが大切です。
全国地価マップと似ているサービスに、「土地情報システム」というものがあります。両サービスには、以下のような違いがあります。
【全国地価マップと土地情報システムの違い】
両サービスの最も大きな違いは、「使用目的」です。
全国土地マップでわかる以下の情報は、基本的に「保有している土地にかかる税金」を知るためのデータです。
【全国土地マップで分かること】
一方で、土地総合情報システムでわかる以下の情報は、「土地の売買をする過程で必要なデータ」です。
【土地情報システムで分かること】
知ることができる情報が違うため、そもそもの使用目的が異なるというのが両サービスの違いとなります。
全国地価マップでわかることは、前述の通り「土地の価値」です。しかし、土地の価値といってもさまざまな視点から判断する必要があります。そこで、全国地価マップでわかる以下の4つの評価軸について、しっかりと理解しておきましょう。
【全国地価マップで分かる4つの評価軸】
それぞれ解説していきます。
全国地価マップでは、「固定資産税路線価」がわかります。固定資産税路線価とは、以下の算出の際に使われている指標のひとつです。
【固定資産税路線価から算出される税金の種類】
上記のような税金額を事前に計算したいときには、全国地価マップを活用して計算をするようにしましょう。
なお、固定資産税路線価は土地1㎡あたりの公示地価の約70%の価格で、市区町村が3年おきに1月1日時点の評価をもとにそれぞれの道路ごとに算定し、4月ごろ発表されます。そのため、1〜3月に固定資産税の計算をしたい場合は、前年の固定資産税路線価となり正確な計算にはならないので、注意が必要です。
全国地価マップでは、相続税路線価も知ることができます。相続税路線価とは、以下の税額の算出の際に使われている指標です。
【相続税路線価から算出される税金の種類】
相続税路線価とは、相続税評価に使われるその道路に面する宅地の値段のことです。この路線価をもとに、土地の状況を考慮した相続税や贈与税を算出することができます。また、相続税路線価は国税庁から毎年1月1日時点の評価をもとに、毎年7月ごろ発表されます。そのため、1〜6月に相続税や贈与税の計算をしたい場合は、前年の相続税路線価となり正確な計算にはならないので、注意が必要です。
地価公示価格とは公示地価とも呼ばれ、一般的な土地取引や相続税評価・固定資産税評価の公的な指標に活用されている価格です。公共用地を取得する際や、金融機関への担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準として使えます。
地価公示価格(公示地価)は、国土交通省が毎年1月1日に調査し、毎年3月に発表されるものです。ただし、この価格は、建物がある土地の場合は建造物がないものとしての更地のみの価値になるため、注意が必要です。
「都道府県地価調査価格」とは、国土利用計画法施行令第9条にもとづいて、評価対象である全国約2万地点の「基準地」の土地取引の規制を正しく実行できるようにするための価格指標です。他にも、地方公共団体などの公共事業用地の取得価格を算定するための指標として、使われています。
都道府県地価調査価格は、毎年7月1日に各基準地につき1名以上の不動産鑑定士が調査をおこない、毎年9月に都道府県知事が発表します。
このように、都道府県地価調査は地価公示から半年後の地価を評価するものなので、地価の変動を速報で通達し、地価公示を補完する役割を担っているといえます。
全国地価マップの使い方は複数あり、使用目的もさまざまです。そのなかでも最も広く使われている使い方を紹介していきます。
【ステップ1】
まず、ブラウザの検索窓に「全国地価マップ」と入力して、検索してみましょう。トップページは、下記のようなサイトになっています。
(出典:全国地価マップ)
【ステップ2】
画面中段にある、「掲載マップ一覧」の地図画像、または「地図検索」ボタンをクリックします。選択したマップの位置選択ページに移動します。ご利用規約が表示された場合は、内容を確認してから「同意する」ボタンをクリックしてください。 ※「同意しない」ボタンをクリックした場合、マップを表示することはできないので注意しましょう。利用規約画面にある「ご利用上の留意事項など」ボタンをクリックすると、利用上の留意事項などが表示されます。
【ステップ3】
はじめに都道府県選択画面が表示されます。郵便番号・住所から探す場合は、郵便番号か住所を検索し、その位置を地図に表示してみましょう。
【ステップ4】
地図から自分の調べたい土地の郵便番号、住所を指定して調べることができます。郵便番号・住所またはその一部の情報を入力し、「検索」をクリックしてみましょう。
【ステップ5】
入力した郵便番号や住所に該当する検索結果の一覧が表示されます。地図に表示したい土地の住所をクリックしてみましょう。
【ステップ6】
選択した住所を中心とした土地の地図画面が表示されます。その後、地図機能等を選択してみましょう。表示されているマップの種別を切り替えるため、地図の凡例および説明を表示してください。地図に表示される凡例の表示/非表示を切替えてみましょう。
【ステップ7】
それでは、実際に地図を動かしてみましょう。地図上にカーソルを乗せて、マウスの左ボタンを押したままの状態でマウスを上下左右に動かしてください。
【ステップ8】
地図の外枠にある4つの矢印ボタンを押下することにより、矢印の方向へ地図を移動させることができます。地図上にカーソルをあわせて、ダブルクリックすることで、クリックした位置へ地図の中心を移動させることもできるので、使ってみましょう。
【ステップ9】
自分の調べたい項目を選択して、マップを切り替えてみてください。表示したいマップについて画面上のタブをクリックしてみましょう。
【ステップ10】
各凡例の「?」をクリックします。その凡例を説明する画面が表示されるので、自分が知りたい情報を見てみましょう。
今回は、全国地価マップについて解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
全国地価マップは、一般財団法人資産評価システム研究センターが提供している、土地の価値を知るためのサイトで、以下の4点の内容がわかります。
よく似たサービスに「土地総合情報システム」がありますが、その違いは使用目的にあります。「全国地価マップ」は、保有している土地の税金額を知るために使用するサービスであるのに対し、「土地総合情報システム」は土地の売買をするための価格を知るためのサービスです。用途によって適切なサービスを活用しましょう。
この記事を読んで、全国地価マップの活用方法を知り、土地の価値を正しく理解していきましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員 「プリンシプル 住まい総研」所長 住宅情報マンションズ初代編集長
1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。
プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。