所有する土地の売却価格の相場を調べる方法は以下の5つがあります。
土地総合情報システムで調べる 公示地価・基準地価から算出する 路線価(相続税評価額)から算出する 固定資産税評価額から算出する 不動産会社に査定をしてもらう
適正価格での売却ができるように、下記で紹介する5つのやり方についてそれぞれ正しく理解しておきましょう。
土地総合情報システムは、国土交通省が運営しているサイトで、都道府県別や市区町村別などの取引価格を調べることが可能です。
使用料金は無料なので、まずは簡単に不動産や土地の相場がどのくらいなのかを知るためにぜひ活用してください。
使い方は以下の3ステップです。
まずは、不動産取引価格情報検索にアクセスします。下記の写真の赤枠部分をクリックしてください。
引用:国土交通省「土地総合情報システム」
下記のような画面が表示されるので、ここで調べたい条件を設定します。
引用:国土交通省「不動産取引価格情報検索」
上記の画像のように、「時期を選ぶ」「種類を選ぶ」「地域を選ぶ」のそれぞれに必要な情報を入力します。そして、最下部にある「この条件で検索」をクリックすると、条件に合わせた結果が表示されます。
ここでは参考として、神奈川県藤沢市辻堂の相場を見ていきます。地区の辻堂まで設定することもできますが、市区町村の藤沢市までの条件設定で検索することも可能です。
調べたいエリアの件数が少ないと、どのくらいの相場となるのかを把握しにくくなってしまうため、そういった場合は市区町村までの条件で調べ、より多くのデータを参考にしてみてください。
検索した結果が、下記のように表示されます。
左から7項目目にある「坪単価」を確認します。価格帯の相場を知りたい場合は、ここで表示されている坪単価の平均に所有する土地の坪数を掛けましょう。
また、そのほかの項目も含めて並べ替えすることも可能です。たとえば、最寄駅からの距離が近い順や取引価格が高い順などができるため、ぜひ活用してみてください。
上記で表示された坪単価をチェックして、相場を予測します。神奈川県藤沢市辻堂では、坪単価の平均は約95万円です。
しかし、ここで予想する価格はあくまでも過去にあった取引データをもとにしており、実際はその周辺の環境情報や市場の変化などが加味されます。
ここで算出した額よりも安い・高いというケースは珍しくなく、必ずしも絶対的な相場ということではありません。
公示地価・基準地価での算出は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を利用します。
算出方法をお伝えする前に、まずは「公示地価」「基準地価」について簡単に把握しておきましょう。
上記のように、公表する機関が異なるのが「公示地価」と「基準地価」です。これらを活用して土地の相場を算出する方法についてお伝えします。
公示地価・基準地価における相場を出す場合は、まずは下記の画面の赤枠をクリックします。
下記のような画面が表示されるので、地図上から希望するエリアを選んでください。
引用:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」
たとえば、ここで神奈川県を選択すると下記の画面が表示されるので、希望するエリアをさらに絞り込んで選択します。
詳細エリアではなく都道府県単位で検索をしたい場合は、先程の画面上で「都道府県単位で検索」にチェックを入れてクリックしてください。
エリアの選択をしたら、下記のような画面が表示されるので、条件を設定して検索してください。
最初の画面上では、一番上の「対象」の部分が「地価公示・都道府県地価調査の両方」にチェックしてある状態なので、そのまま検索して問題ありません。
仮に、地価公示や基準地価のどちらか一方だけを検索したい場合は、項目のチェックを変更してください。
「検索する」をクリックすると、下記の写真のようにデータに登録されている情報が表示されます。
赤枠で囲った項目が、公示価格・基準価格です。実際の取引価格は、これらの1.1倍程度といわれているので、土地の相場を算出する場合は下記のような計算式となります。
公示地価or基準地価×土地面積×1.1=取引金額目安
このため、上記写真の一番上にある地価調査のデータの場合、この計算式に当てはめると2,631万7,500円という取引金額が算出できます。
路線価は道路ごとに設定されている金額で、毎年国税庁が発表しています。路線価での相場計算では、国税庁の「路線価図・評価倍率表」を利用します。
引用:国税庁「路線価図・評価倍率表」
上記の写真のように、まずは調べたい年代を選択して都道府県を選択します。ここでは神奈川県を選択してみましょう。
エリアを選択すると下記のような画面になるので、赤枠の「路線価図」をクリックしてください。
上記で「路線価図」を選ぶと、さらに詳しいエリアの選択画面が表示されるので、調べたいエリアを入力します。
ここでは、神奈川県藤沢市を選んでみます。藤沢市をクリックすると、より詳しいエリアの選択画面が表示されます。
地名・路線価図ページ番号を選択してください。
上記までですべての条件を選択すると、下記のように路線価図が表示されます。
この地図上に記載されている「200」「175」などの数字が、このエリアの路線価となります。
路線価は1平方メートルあたり1,000円単位となっているため、地図上に175という数字の記載があった場合は17万5,000円です。
また、公示地価の8割程度になるように設定されているうえに、実際の取引価格はこの1.1倍程度といわれているので、土地の相場を算出する場合は下記のような計算式となります。
路線価×面積÷0.8×1.1=取引価格目安
「不動産取得税」「固定資産税」「都市計画税」「登録免許税」を計算する際に基準とされるのが、固定資産税評価額です。
土地がある住所の役所から、毎年4月から6月の間に送られてくる固定資産税納税通知書と一緒に「固定資産課税明細書」が同封されているので、確認しておきましょう。
固定資産税課税明細書には「価格(評価額)」が記載されているので、まずはこの金額を確認してください。
余談ですが、固定資産税課税明細書は再発行できません。そのため、役所から書類が届いたら必ず大切に保管しておくようにしてください。
固定資産税課税明細書の評価額をもとに土地の相場を計算します。評価額は地価公示の約7割になるように設定されており、実際の取引価格はその1.1倍程度といわれているので、土地の相場を算出する場合は、下記のような計算式となります。
評価額÷0.7×1.1=取引価格目安
ただし、評価替えがされるのは3年に1度となるため、必ずしも記載されている評価額が一番新しいものであるというわけではありません。
令和3年に更新された固定資産税は、令和6年までは直近の状況が反映されていない状態ということを頭に入れておきましょう。
土地の価値や買取価格などの正確な数値を知りたい場合、最も信頼できるのが不動産会社に査定してもらう方法です。
不動産会社に査定を依頼する場合、簡易的な机上査定と詳細まで細かく調べあげる訪問査定の2種類があります。どちらを選ぶかは依頼する側で決められるので、状況に合わせて選択してください。
どちらも複数の不動産会社に査定を依頼し、その結果を比較してみましょう。訪問査定をしてもらっても、必ずその不動産会社と契約しなければいけないということではないので、安心して依頼してください。
また、机上査定はネットで一括依頼が可能です。一括査定であれば、一度に複数の不動産会社の査定結果を入手できるので、簡単に相場を把握できます。
土地の価格相場を調べるためにはさまざまな方法がありますが、それらを実施するうえで必ず注意すべき重要なポイントがあります。
ここでは、土地がいくらで売れるか調べる際に気を付けるべき注意点を3つピックアップしました。
売り出し価格の相場と売買価格は異なる 過去の査定額から大きく変動していることがある 自分で調べた相場は参考程度にする
それぞれの内容をしっかりと把握し、誤った認識をしないよう気をつけましょう。
調べあげた売り出し価格の相場と、実際に売買契約が成立する金額が同じになるとは限りません。
購入希望者が値下げ交渉をした際に、問題なく価格を下げられる余裕を持つために、あらかじめ売り出し価格を高めに設定しているケースは多いです。そのため、似たような土地の価格を把握できても、それらは高めに設定されている場合があります。
必ずしも売り出し価格で契約が成立するとは限らないと覚えておきましょう。AIによる価格査定などの場合、売り出し価格、あるいはポータルサイトでの最後の売り出し価格を元にしているケースもあり、高めに出ることがあります。
土地売却を検討していた時期に、相場を調べたり査定を依頼したりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
「前に調べたから再度依頼する必要はない」と感じる方も少なくありませんが、昔調べた査定額が今現在もそのままということはありません。
土地の価格はつねに変動しているので、売却を考える時期の最新の相場をしっかりとチェックしておくことが大切です。もう一度査定し直してもらいましょう。
本記事でお伝えした相場の調べ方は自分でできる方法のため、気軽にいつでもおこなえます。しかし、そこで算出された価格は売却の目安程度として考えておきましょう。
土地の売却価格はさまざまな条件や項目により詳細に決められるため、必ずしも自分で調べた価値がすべて正しいとは限りません。
逆を言えば、自分で調べた価値よりも高い金額が算出されることもあります。実際にどのくらいの価格になるのかを正確に知るためには、不動産のプロに依頼し正式に調査してもらってください。
「少しでも高く土地を売却したい」「損しないように売りたい」と考えていても、実際どのようにすれば土地を高く売却できるのか分からず悩んでいる方は多いでしょう。
ここでは、少しでも土地を高く売るためのコツを2つ紹介します。それぞれをよく理解し、土地を売却してから後悔しないようにしましょう。
高く売りたい場合に必ず注意すべき重要なポイントは、査定を依頼する不動産会社をいくつかピックアップしておくことです。それぞれの査定額を比較し、納得できる価格で売却できる不動産会社を選んでください。
また、ほかの不動産会社にも査定を依頼している旨を伝えておきましょう。ほかでも査定しているという現状を不動産会社が把握することで、相場以下の金額となるリスクは下がります。
さらに、「どうしてもこの土地が欲しい」という不動産会社であれば、より高額な査定価格を提示してくれるケースも珍しくありません。少しでも価格を上げられるよう、ライバルの存在を匂わせるなどの駆け引きも大切です。
本記事では、土地の価格相場の調べ方や高く売るためのコツについてお伝えしました。
土地の売却に失敗しないためには、まずは売却価格の目安をしっかりと把握しておくことが大切です。本記事で紹介した相場の調べ方を実践し、どのくらいの価値があるのかをよくチェックしておいてください。
土地の売却は成功すれば大きな利益になる一方、失敗してしまうと予想以上の損が生じることもあります。まずは自分自身でしっかりと調べ、所有する土地に対する理解を深めておきましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員 「プリンシプル 住まい総研」所長 住宅情報マンションズ初代編集長
1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。
プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。