それでは早速、土地売却にかかる手数料や費用を確認していきます。土地売却にかかる費用は、以下の通りです。
※1 400万円以下の物件の売主からの仲介手数料は、最大18万円
それぞれの費用の意味や、おおよその金額をさらに詳しく確認していきましょう。
仲介手数料とは、土地売却を不動産会社に依頼して成約した場合に支払う手数料です。仲介手数料には、以下の上限が設けてあります。
【仲介手数料の上限】
(売却額×3%+6万円)+消費税
仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、ほとんどの会社では上限額いっぱいとしています。
自身で買主を見つける場合には発生しません。しかし、土地売却は不動産会社に買主を見つけてもらうのが一般的であるため、必ず発生する費用といえます。
なお、2018(平成30)年1月1日より仲介手数料の料率が改正され、400万円以下の物件の売主からの仲介手数料は、最大18万円となりました。
売却したい土地にローンが残っている場合には、抵当権抹消手続きが必要になります。抵当権抹消の登録免許税の費用は、不動産1件につき1,000円です。
戸建てのように土地と建物の2件の不動産を売却する場合には、抵当権抹消費用は2,000円となるので覚えておきましょう。
抵当権抹消に関する手続きは非常に複雑であるため、司法書士への依頼が一般的です。司法書士へ依頼する場合には、抵当権抹消費用とは別に数万円の費用が発生するので注意してください。
売却したい土地と隣地の境界線が定かではない場合は、測量費用も発生します。測量にかかる費用は売却したい土地の大きさによって異なりますが、30~40万円程度が一般的です。
高額な費用がかかりますが、トラブルを避けるためにも土地の測量はしておきましょう。測量は測量事務所や土地家屋調査士に依頼できます。
印紙税は、土地売却における売買契約に必要な税金です。契約書に収入印字を貼り付けることで納付となります。印紙税は契約金額に応じて以下の通りです。ただし、電子契約の場合は、不要となります。
印紙税は、売却した不動産の契約金額によって異なります。具体例を挙げると、売却した不動産の価格が7,000万円であった場合、その印紙税は6万円です。
土地の売却では、売主から買主に所有者を移行する「所有権移転登記」をおこないます。この所有権移転登記に伴って発生するのが登録免許税です。土地売却の場合には、固定資産税評価額に対して1.5%の税金が発生します。
この所有権移転登記も抵当権抹消と同様に司法書士への依頼が一般的です。司法書士へ支払う費用は2〜3万円程度みておきましょう。
譲渡所得税とは、その名の通り土地を売却することで利益を得た場合に発生する税金です。具体的には所得税と住民税が発生し、土地を所有した期間に応じて税率が以下のように異なります。
ここで言う所有期間とは、土地を売却した年の1月1日の時点で判断されます。つまり、2015年4月1日に購入した不動産を2020年の4月1日に売却した場合、所有期間は4年です。
所有期間が4年と5年では税率が大きく異なるので、売却前に不動産の所有期間を今一度確認しておきましょう。
地盤調査では、土地の強度・地下水位の把握や液状化判定などがおこなえます。調査費用は土地の大きさにもよりますが、一般的な住宅程度の敷地面積であれば5〜10万円です。
調査は、不動産会社が指定した会社もしくは街の地盤調査会社に依頼しましょう。
売却したい土地の上に建物がある場合には、解体費用も見込んでおきましょう。解体費用は、建物の構造や広さによって以下のように異なります。
土地売却において、建物の解体はおこなったほうが良い場合とそうではないケースがあります。そのため、解体は自己判断でおこなうのではなく、不動産会社と相談してからおこなうようにしましょう。
土地売却では、多種多様な書類を用意する必要があります。1点1点の書類の発行費用は高額ではありませんが、すべて用意するとある程度の金額にはなるので、しっかりと把握しておきましょう。
下記に土地売却に必要な書類をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ここまで土地売却にかかる手数料や費用について解説していきました。土地売却には、仲介手数料や税金などのさまざまな費用が発生します。
しかし、いくつかのポイントを押さえることで、手数料や税金を安くすることも可能です。この項では、土地売却の手数料や費用を安くする方法について見ていきましょう。
土地の売却で利益が出ると譲渡所得税が課税されますが、下記の特例が利用できれば、控除が可能です。
それぞれの特例の要件について、詳しく見ていきましょう。
マイホームを売ったときの特例を利用すれば、不動産の所有期間に左右されずに譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができます。正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。
下記に、特例を受ける要件をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【特例の適用を受けるための要件】
(引用:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)
相続で譲り受けた居住用財産を売却する場合でも、条件を満たすことで最大3,000万円の控除が可能です。下記に条件をまとめたので、ご確認ください。
(引用:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)
仲介手数料は、売主が1つの不動産会社のみに依頼する専属専任媒介契約・専任媒介契約を結んでいる場合に値引き交渉の余地があります。これらの契約方法では、不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料を貰えるからです。
しかし、値引き交渉の余地があるだけで絶対に値引きできるわけではありません。無理な値引き交渉は営業活動に大きな影響を与えかねないので注意してください。
状況によって異なりますが、固定資産税・都市計画税・火災保険料などの税金や保険料は払い戻しが可能です。固定資産税と都市計画税は1月1日時点の所有者が1年分支払う必要があり、年の途中で売却した場合には買主と日割り精算をした上で返還を求められます。
火災保険料も契約内容によりますが、未経過分は返還されるのが一般的です。このように、土地売却時には戻ってくる費用もあるので、しっかりと確認しておきましょう。
続いて、土地売却をなるべく高値でおこなうコツについて見ていきます。下記に高値で売却するコツをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
それぞれ詳しく確認していきます。
1点目のコツは、土地の査定を複数社に依頼することです。不動産会社に土地売却を依頼する場合、はじめに査定をおこない、概算金額を算出することが一般的です。
しかし、この査定額は不動産会社によって大きな差があり、特に土地の場合は数百万円程度の差額が生じることもあります。これらの理由から、不動産査定は複数社に依頼しましょう。
複数社に依頼することで土地の相場が理解でき、より適切な価格で売却できます。
続いて挙げられるコツは、周辺エリアの土地売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことです。
一口に不動産会社と言っても、地元密着タイプの不動産会社から全国各地の不動産を取り扱う会社までさまざまです。そのため、一概に会社の規模の大小のみで不動産会社を選ぶのはおすすめできません。
土地売却の場合には、その土地の価値をよく理解している不動産会社に依頼すると良いでしょう。
値引き交渉を考慮した売値の設定も非常に大切です。不動産売却では、値引き交渉が当然のようにおこなわれます。
そのため、周辺の販売価格より安く売り出しても、買主が値下げ交渉をしてくる可能性が高いです。なかには、少しも安くならないのなら購入を見送る方もいます。
スムーズに売却をおこなえるよう、値引き交渉を前提とした売値に設定しておくと良いでしょう。
最後に、土地売却の手数料・費用に関するよくある質問に回答します。
現在疑問点がない方も後から困ることがあるかもしれません。よくある質問に目を通して問題を未然に解決しておきましょう。
仲介手数料の相場は、上限付近が妥当とされています。つまり、(売却額×3%+6万円)+消費税程度は見込んでおいたほうが良いです。
仲介手数料が相場より安い会社もありますが、手数料の安さのみで不動産会社を決めるのはおすすめできません。販売実績や営業担当者の熱意・実力等を加味して不動産会社を選ぶようにしましょう。
土地に埋まっているものを「地中埋設物」と言います。売却したい土地に地中埋設物があると、地盤が弱くなり工事の妨げになりかねないため、撤去しなければいけません。
撤去の費用は地中埋設物にもよりますが、数十万円から数百万円以上かかることもあります。高額な費用がかかりますが、損害賠償や契約解除を避けるためにも必ず撤去しましょう。
また、貴重な文化資産や遺跡などが発見された場合、その発掘調査のため、工期が伸びることもあります。
当記事では、土地売却における手数料や費用について詳しく解説していきました。土地の売却には、仲介手数料をはじめとした費用や譲渡所得税などの税金がかかります。
土地売却に直接関わる費用のほかに、司法書士費用などが発生するケースもあるので、余裕を持った資金計画を立ててください。また、複数の不動産会社に依頼するなどの方法で売却額自体を少しでも高額にすることも効果的です。当記事を参考に賢い土地売却をおこなってください。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員 「プリンシプル 住まい総研」所長 住宅情報マンションズ初代編集長
1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。 現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。
プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。 全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。