マンション売却・査定

マンション購入で後悔する理由とは?失敗しないための対策も伝授!

【お金】マンション購入で後悔する理由

「これから増える家族のために」「老後に備えて」「気ままな独身生活を楽しむために」など、マンション購入の理由はさまざまです。無計画に買ってしまうと、あとあと資金面で問題に直面するかもしれません。

【資金面で後悔する理由】

  • 住宅ローン完済の目処が立たない
  • 相場より高い金額で購入した

この章では、資金面でよくある失敗・後悔について紹介します。

住宅ローン完済の目処が立たない

マンション購入でもっとも後悔するのは資金面でのショートです。検討中は、少しでも良い物件にしようと、より好立地で広く新しい物件を選びたくなりますが、いざ購入してみると、月々のローン返済が家計に与える負担が大きくなり、住宅ローン完済の目途が立たないといったケースです。購入の際は、このぐらいは少々きつくても大丈夫と思っていたものの、住宅ローンの家計負担が辛くなることもあります。

また、マンション購入の理由の一つに「結婚」があります。しかし、晩婚化によって新居購入の年齢も上がってきました。それにともない、住宅ローン計画でも完済年齢が70代・80代と高齢化しつつあります。

契約時は働き盛りの35歳でも、35年ローンであれば、完済できる頃にはすでに70代です。定年退職し、体力面でも衰えを感じる年齢です。

貯蓄や年金額によっては、ローンを返済するために定年後も働き続けなくてはなりません。しかし、病気やケガで働けないほど衰えてしまった場合の不安もあります。

「ボーナス時の返済金額が大きかったが、転職後ボーナス額が減った」「将来、収入が増える前提で住宅ローン返済を組んだが、むしろ手取りが減ってしまった」「夫婦共働きで返済計画をしたが、子育てや離婚などで、大きく世帯収入が減った」といった家族構成や収入の変化を見誤ると、完済が負担となります。

また、「変動金利」などで住宅ローンを借りると、将来の返済金額が金利変動により急に高くなることもあります。変動金利のほうが短期では月々の返済金額が抑えられますが、それだけリスクがあることも踏まえて契約しましょう。

相場より高い金額で購入した

マンション購入の際は、必ず同じ広さ・同じ地域の物件の相場を確認しましょう。相場を確認せず、リノベーションされているものの築年数が古いマンションを購入した場合は、古さ故の細かい不具合で後悔することもあります。

また、ご自身が暮らす住戸の専有部はリノベされていても、エントランスや廊下、エレベータ、駐輪場などの共用部はリノベーションされておらず、劣化が進んでいることもあります。

自分が購入したマンションが、実は相場より高かったことを後で知ってしまうと、「同じ金額でもっといいマンションに住めたのに…」という後悔も尽きません。運悪く悪質な不動産会社に当たってしまうこともあります。不動産会社一社だけでなく、複数社に相談すると安心です。

悔いのないよう、十分に相場を確認し、複数の物件を比較検討してください。

【設備】マンション購入で後悔する理由

マンションは、人生最大の買い物です。十分に下見をしたにもかかわらず、購入したから設備面で「しまった!」と後悔するパターンも少なくありません。

【設備面でのよくある後悔】

  • 間取りや広さがライフスタイルに合わなくなった
  • 耐震性に問題があり修繕費がかかる
  • 日当たりが悪かった

設備面の後悔のいくつかは、事前の下調べのチェック不足が原因です。この章では、設備面でのよくある後悔から、チェックポイントを確認しておきましょう。

間取りや広さがライフスタイルに合わなくなった

購入時は夫婦2人だったものの、子どもの誕生・成長にともなって手狭になってくるケースはよくあります。将来子どもが何人になるかなどは、なかなか想像が難しいケースもありますが、ライフスタイルの変化が住まいの選び方に大きく影響します。

また、長引く新型コロナウイルス感染症の拡大によってリモートワークが通常化し、自宅オフィスが必要な人も増えてきました。

子どもが増え、自分の趣味の部屋や書斎が必要になってくると、「あれ?予定していたより部屋が足りない」という不測の事態になりかねません。

逆に、広めのマンションを購入した場合では、将来子どもたちが独立したときに部屋が余ってしまい、持て余すということもあるでしょう。子どもがあと何年で独立するか予測できていれば、老後に焦点を合わせたマンション選びもおすすめです。

たとえば、「子どもが2人いるからそれぞれの部屋を」と購入をして、20年ほど生活したあとに独立していくと、その後30年50年と部屋数が無用に多い暮らしをすることもあり、ローン負担も重くなります。そうした際は、売却してもう少しコンパクトな生活にするほうが良いということもあるでしょう。

耐震性に問題があり修繕費がかかる

購入時は問題ないと思ったマンションでも、実は耐震性に問題があったり、部分劣化が見つかったりで、予想外に修繕費がかかる場合もあります。

大規模修繕工事の際、耐震補強など予期せぬ事態が加わった場合には、ローンや管理費を支払いながら追加修繕費の負担が生じる可能性もあります。こうした物件は売却査定も厳しく、仮に買い替えるとしても資産価値が下がってしまいます。

また、築年数の長い古いマンションの場合、構造上、修繕工事でも解決が難しい物件もあるので注意してください。

日当たりが悪かった

南向きの日当たりの良さそうなマンションだと思って購入したものの、背の高い建物に囲まれている場合は、1階2階の低階層では他の建物の陰になってしまうこともあります。また、1階の部屋は目隠しのために昼間からカーテンを締め切った状態になりがちです。

マンションの内覧では、日当たりも確認しましょう。内覧は、夕方や夜ではなく、日中がおすすめです。明るい時間帯に日当たり・部屋の明るさもチェックします。

周辺に新しいマンションが建てられ、その影響で日照時間が短くなるという後発的なケースもあります。周辺の開発計画は、分譲会社や不動産会社も将来のことを把握していないケースもありますので、よく吟味しましょう。

【生活】マンション購入で後悔する理由

家族計画に合った間取りで、日当たりも安全面も備えたマンションを購入しても、いざ生活をスタートしてから気づくこともあります。

【生活面でのよくある後悔】

  • 近隣住民とのトラブル
  • 生活に不便な場所だった

入居当時は気にならなかったことでも、老後に暮らしにくさを感じるかもしれません。この章では、マンション購入後、生活面でのよくある後悔を紹介します。

近隣住民とのトラブル

マンションなどの集合住宅では、トラブルはどうしても避けられないことがあります。年齢層やライフスタイルなど、異なる世帯が集まっているため、感じ方もそれぞれです。何がきっかけになるか、予測できないものもあります。

【マンションのよくある問題】

  • 上・隣の部屋からの騒音
  • ペット禁止のマンションでペットを飼っている
  • ゴミ捨てなどマンションでのルールを守らない
  • マンションの管理組合の理事会や総会に参加しない

上の階に小さな子どもが住んでいる場合、足音や声は響くものです。管理組合を通してクレームを入れても、改善が難しいこともあり、ストレスとの付き合いになりがちです。

老後の静かな世帯にとっては、夜間に帰宅する家の生活音が気になることもあるでしょう。引っ越せば解決する問題ですが、高齢になってからは、金銭的・体力的にも転居が難しくなります。

分譲マンションでは、所有者が組合員となる管理組合への加盟が義務付けられますが、その活動がトラブルの解決に向けて前向きに取り組むかどうかが鍵となります。また、その管理組合をサポートする立場の管理会社の役割も、大切です。こうした「管理の質」で物件選びをしていくことも、これからは大切です。

生活に不便な場所だった

徒歩圏にスーパーや病院など、生活に必要な施設がない場合は、老後に不便を感じることになります。自動車で移動できる若いうちは感じない不便も、運転が難しくなる年齢になると、生活のハードルが一気に上がることも知っておいてください。

高台で景色の良さに惹かれて購入したマンションも、老後は「坂がきつくて買い物に行くのもつらい」と感じるかもしれません。

マンション購入の際は、今の生活だけでなく、老後の生活も意識しておくと良いでしょう。

「スーパーが近い」「病院が近い」といった周辺環境は、永年暮らすと、「スーパーが閉店した」「病院が移転する」といった変化もあります。また、「幼稚園が近い」「通学に便利」といった周辺環境も、子どもが大きくなるとそのメリットはなくなります。ライフスタイルの変化や環境の変化は前提条件として、住まいを選ぶことも大切です。

マンション購入で後悔しないための対策5つ

隣家の住人トラブルや、新規建設による日当たりなどの住環境の変化は不測できないものの、物件探しの時点でポイントを考えて動くことで、ある程度トラブル回避は可能です。マンション購入で後悔しないための対策として、以下の5つがあります。

  • 希望条件に優先順位を設けて選定する
  • 中古マンションは耐震基準をチェックする
  • マンションの周辺環境をチェックしておく
  • 地域ごとのマンション価格相場を調べておく
  • ローンの返済計画を立てる

この章では、マンション購入で失敗しない・後悔しないためにできる対策を紹介します。十分理解して備えましょう。

希望条件に優先順位をつける

理想のマイホームは、高い買い物だけに希望条件も多いはずです。しかし、すべてが実現できる物件はありません。まずは、希望をできるだけ挙げておき、優先順位を決めておきましょう。

購入価格・部屋数・マンションの外観・交通や買い物の利便性の高さ・静かな住環境・治安など、明確な理想があれば物件も探しやすくなります。

希望条件の中でも、「これは絶対譲れない」というものから優先順位を決めておけば、候補を機械的にふるいわけも可能です。

この際「今の家族の状況」だけでなく、「将来の家族の状況も想像しながら」優先順位を決めましょう。短期的な今の優先順位に振り回されると、後悔することもあります。

中古マンションは耐震基準をチェックする

中古マンションは、築年数は古いものの、リノベーションされていて綺麗で駅からも近い絶好の立地であることもあります。「十分綺麗なのに、安いのは古いからかな?」と思ったら、耐震基準で落とし穴があるかもしれません。

1981年6月以降の新しい耐震基準で建築されたマンションは、設計上耐震強度が高く設定されています。しかし、1981年5月までの古い耐震基準のマンションは、大規模地震に耐えられない構造である可能性があります。

中古マンションの中には、まだまだ旧耐震基準の物件が残っているため、見た目の綺麗さ・利便性の高さに誤魔化されないようにしましょう。また、旧耐震物件であっても、対策をしている物件もあります。耐震基準は、不動産会社に聞けば確認できます。

周辺環境をチェックしておく

購入して住み始めてしまえば、おいそれと環境を変えることはできません。購入前に何度も現地に足を運んで、周辺環境をチェックしておくのも良いでしょう。

内覧に行く際、多くは休日の昼間です。しかし、実際の生活をシミュレーションしながら確認すると、見えなかったものが見えてくるかもしれません。昼間の日当たりだけでなく、夜に大型トラックの交通量が増えて騒がしくないかなど、平日・休日で交通量が大きく変化する地域もあります。

買い物のしやすさ、病院への通院の道、通勤時の道の状態、外食先の数、銀行・郵便局の行きやすさなど、実際に住んだ場合を想定してチェックすると、後悔を減らせるかもしれません。

見学をした時間とは別の曜日、別の時間帯で、自分で体感することが必要です。

地域ごとのマンション価格相場を調べておく

マンションを買ったはいいものの、将来ローン支払いが厳しくなって手放すことになっては大変です。事前に地域ごとの相場を知っておけば、自分の予算に合わせた効率的な物件選びができます。

「将来、子どもの独立を機に、夫婦2人で小さいマンションに住み変える」などの計画がある場合は、売却も考慮して検討するのも良いでしょう。

マンション価格相場は、不動産会社が提供する中古マンションポータルサイトなどで検索可能です。駅・沿線・地域ごとに、実際に売買されている価格をチェックできます。

ローンの返済計画を立てる

購入時は元気で働き盛りでも、ローン返済は長期間続きます。無理のない返済計画が、大切です。

子どもは高校・大学と成長とともに支出が大きくなるため、ライフステージの変化に備えて貯蓄も必要です。将来の収支・生活に必要な金額・貯蓄を予想し、適切な借り入れ額・毎月の返済額をシミュレーションします。

住宅ローンの予算シミュレーションは、不動産会社や金融機関でも提案してくれるので、自分の可能な返済額・予算内で比較検討してください。変動金利で借りる場合は、金利が上がった場合も必ず想定してください。

まとめ

今は働き盛りで体力・資金に余裕があっても、老後はわかりません。資金も少なくなり、健康面でも今のような余裕がないかもしれません。マンション購入後の後悔も、老後では解決が難しいことも多くなるはずです。

将来的に後悔しないためにも、マンションの十分な下調べは必須です。そのためにも、優先順位やライフステージに合わせたシミュレーション、無理のないローン返済計画などを一つずつ準備しておきましょう。

後悔しないよう、小さな希望・疑問は、信頼できる不動産会社の担当者に相談し、十分に納得してから物件選びをしてください。

上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)
上野典行(プリンシブル・コンサルティング・グループ株式会社)

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会会員
「プリンシプル 住まい総研」所長
住宅情報マンションズ初代編集長

1988年株式会社リクルート入社し、リクルートナビを開発。 2002年より住宅情報タウンズのフリーペーパー化を実現し、編集長就任。
現スーモも含めた商品・事業開発責任者に従事。2011 年 12 月同社退職。

プリンシプル・コンサルティング・グループにて2012年1月より現職。
全国の不動産会社のコンサルティング、専門誌での執筆や全国で講演活動を実施。

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