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中古マンションの購入で後悔しない!失敗例や見極め方を解説
中古マンションの購入を考えている人の中には、「後悔したくないけれど、何に気をつければよいのかわからない」と不安に思う人もいるでしょう。
中古マンションの購入後は、修繕積立金の値上がりや大規模修繕に関する予想外の負担、騒音や設備への不満など、思わぬ理由で後悔するケースが少なくありません。
こうした後悔を防ぐためには、中古マンションの購入前に長期修繕計画や議事録などの書類を確認すること、現地を複数回訪問すること、第三者によるホームインスペクションを活用することが重要です。
この記事では、中古マンション購入でありがちな後悔の事例とその原因、そして失敗を防ぐためにやるべきことをわかりやすく解説します。
中古マンションの購入後に「思っていたのと違った」「こんなはずではなかった」と後悔するケースは少なくありません。この章では、よくある失敗例を10個紹介します。
修繕積立金の予想外の値上げは、中古マンション購入者が後悔するケースとして多くあります。
修繕積立金には「段階増額方式」と呼ばれる仕組みがあり、新築販売時は月々の修繕積立金を低く設定し、5〜10年ごとに大幅な増額が予定されているケースが典型的です。
購入時に積立金が「安い」と感じても将来的な値上げ計画を見落とすと、家計に大きな負担となりやすくなります。
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、1戸あたりの平均修繕積立金は月13,054円ですが、実際には積立金が不足している管理組合が全体の36.6%となっています。
(引用元:資料4 令和5年度マンション総合調査の結果について)
積立方式も、段階増額方式が47.1%、均等積立方式は40.5%で、不足が生じた場合、急な値上げや一時金の徴収につながるため注意が必要です。
「大規模修繕に関する費用負担が想像以上に大きかった」という失敗例もあります。
エレベーターや給排水管などの更新工事には多額の費用が必要ですが、管理組合によっては資金計画に十分な金額が盛り込まれていないことがあります。
そのため、特定の年に支出が集中して積立金残高がマイナスになる場合、一時金の徴収や管理組合による借入が発生することもあるのです。
長期修繕計画の記載が古い・期間が短い・高額工事が未計上、といった状態は「レッドフラッグ」となります。管理組合の財政や修繕計画の実現可能性を、必ず購入前に書類で確認しておくことが重要です。
中古マンションを購入して自分好みにリノベーションする場合に、費用が当初の想定を大きく上回るケースも後悔する理由の一つです。
マンションの構造(たとえば壁式構造や配管の位置)や管理規約の制約によっては、希望する間取り変更や設備の導入が不可能だったり、設計変更による追加コストが生じたりする場合があります。
見た目にこだわり過ぎて、給排水管や電気設備などの目に見えない基幹部分の更新を後回しにした結果、後から高額な工事費用が必要となる場合もあります。
リノベーションを前提に中古マンションを選ぶ場合、建物の構造や規約、現状の設備状況についてもしっかり調査し、余裕をもった予備費を確保しておくことが大切です。
管理組合の運営がうまくいっていないマンションでは、修繕の遅れや費用の高騰、トラブルの長期化といった問題が起こりやすくなります。
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、長期修繕計画を作成している管理組合は88.4%となっています。つまり、全体の1割以上はそもそも長期計画を持たず、十分な管理が行き届いていない物件も存在します。
総会の開催状況や管理費・修繕積立金の滞納状況などは、議事録や収支書類で確認できるため、管理組合の健全性を見極める上でも目を通しておくのがおすすめです。
築年数が経過したマンションでは、給排水管の漏水や赤錆、断熱性能の低さ、単層ガラスによる結露やカビといった生活インフラの老朽化が悩みとなるケースもあります。
設備やインフラの問題は、日常生活の快適性や将来の修繕費にも直結するので注意が必要です。
共用部分の見た目や管理状況は、管理会社や居住者全体の意識を如実に反映します。
割れたタイル、剥がれた塗装、錆びや汚れた廊下など、外観や共用部分の状態の悪さは建物全体の管理体制の弱さを示すサインです。
また、エレベーターの清潔さ、ゴミ置き場や集合ポスト周りの状態は、管理会社の業務レベルだけでなく、そこに住む人々の意識レベルを物語ります。
騒音に関するトラブルも後悔をしやすいです。上下階の足音や隣の生活音だけでなく、主要道路や鉄道、近隣施設からの外部騒音も生活満足度を左右します。
見学時は静かに感じても、時間帯や曜日、周囲の環境によって大きく印象が変わることがあります。
入居後に初めて「騒音が気になる」と後悔するケースも多いため、購入前にさまざまな条件下で現地を確認することが大切です。
機械式駐車場が設置されているマンションでは、定期的な設備更新や修理・保守にかかるコストが意外と大きな負担となります。
さらに、利用者が減少すると、残された住戸への費用負担が偏るリスクも発生します。
駐車場利用の有無にかかわらず、修繕積立金や管理費の圧迫要因となりうるため、長期修繕計画の中で駐車場関連の工事予定や費用分担も必ず確認しましょう。
物件そのものに問題がなくても、周辺の環境や災害リスクを見落としたために後悔するケースもあります。
生活騒音や交通量、夜間の雰囲気だけでなく、洪水・土砂災害・高潮など、内見で訪れた時間帯の印象だけで判断してしまうと、暮らし始めてからのギャップに悩む場合もあります。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、購入を検討している土地が洪水や土砂災害、高潮などのリスクを抱えていないか、事前に調べることも可能です。
また、自治体の都市計画を調べ、将来近隣に大きな建物が建つ計画がないかなども確認しておくと良いでしょう。
購入時には売却するつもりがなかったとしても、転勤や家族構成の変化で売却が必要になる可能性は誰にでもあります。その際、なかなか買い手が見つからず、希望価格で売却できないことで、後悔するケースも典型的です。
資産価値が維持しにくい物件には、いくつかの共通した特徴があります。代表的なのは以下の条件です。
このような物件は、いざ売りに出しても不動産ポータルサイトなどで他の物件に埋もれてしまい、内見の申し込みすら入らないという状況に陥りがちです。
中古マンションの購入には、デメリットだけでなく、新築にはない多くのメリットもあります。この章では、中古マンションの6つのメリットを紹介するので、購入判断に役立てましょう。
中古マンションは、価格の透明性が高く、購入者が納得感を持って判断しやすいというメリットがあります。
同じマンション内や周辺エリアでの過去の成約事例が豊富なため、比較対象が多く、適正な価格水準を把握しやすいのです。
また、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」を活用すれば、実際の取引価格データを誰でも検索できます。こうした客観的なデータに基づいて価格交渉を進められる点も、購入者にとっては有利なポイントです。
駅に近いエリアや人気の学区など、多くの人が「住みたい」と考える利便性の高い場所は、すでに多くのマンションが建ち並び、新築を建てるためのまとまった土地はほとんど残っていません。
その点、中古マンションであれば、新築では供給が難しいような好立地の物件を見つけられる可能性が高まります。
「立地の良さ」は、日々の暮らしの利便性だけでなく、将来的な資産価値にも直結する重要な要素です。豊富な選択肢の中から、自分の希望するライフスタイルに合った立地の物件を探せるのは、中古マンションならではの魅力と言えます。
新築マンションの多くは、建物が完成する前にモデルルームを見て契約しますが、中古マンションは、現物を直接見学できます。
そのため、共用部分や周辺環境、住民の様子まで自分の目で確かめてから購入することが可能です。
そこに住んでいる人々の雰囲気やコミュニティの様子を肌で感じることができるため、購入後のギャップやトラブルを未然に防ぎやすくなります。
中古マンションの購入は、新築に比べて物件価格を抑えられる分、内装や設備への投資に予算を回しやすくなります。そのため、自分のライフスタイルに合った間取り変更やデザインリノベーションも可能です。
たとえば、壁を取り払って広々としたリビングダイニングを作ったり、趣味を楽しむための書斎を設けたりと、間取りを大胆に変更することも可能です。キッチンや浴室などの設備も、最新の好きなメーカーの製品を選べます。
ただし、リノベーションを行う場合、共用部や他の住戸に影響を与える工事について、事前申請と承認が義務付けられています。(マンション標準管理規約(単棟型)第17条)
床材の遮音等級に指定があったり、水回りの移動が制限されていたりする場合があるため、購入前に規約の内容を確認しておきましょう。
中古マンションはすでに建物が完成しているため、売買契約から引渡しまでのスケジュールが新築よりも短く済みます。
一般的には、住宅ローンの本審査や登記手続きなどを経て、売買契約の締結から1〜2ヶ月程度で物件の引き渡しが行われます。
前の所有者がまだ居住中の場合は退去を待つ必要がありますが、空室の物件であれば、リフォームの期間などを考慮しても、速く入居することが可能です。
売主の退去時期やクリーニング、鍵交換などを事前に調整しておけば、転居のタイミングを計画的に決めやすいのもメリットでしょう。
中古マンションでは、過去の長期修繕計画や総会議事録、決算書、修繕履歴など、管理や運営の実績を事前に確認できる点もメリットです。
こうした書類を事前に入手することで、資金計画の健全性や管理組合の合意形成力、トラブル対応の実態まで把握できます。
計画と実績に大きな乖離がないマンションは、居住後のトラブルや不満も起きにくく、長期保有の満足度を高めやすくなります。
中古マンションの購入で後悔しないためには、事前準備がすべてを決めると言っても過言ではありません。この章では、事前準備で特に重要な3つのポイントを紹介します。
購入前に、長期修繕計画の最新改定日や計画期間、資金収支の内容を詳細にチェックすることが重要です。計画期間中に赤字となる年度がないか、必要な高額工事が含まれているかを確かめてください。
総会議事録では、修繕積立金の値上げや一時金徴収、滞納状況、住民間のトラブルなどが議論されているか、議決の成立状況や管理規約の見直しが行われているかを読み取ります。
マンション標準管理規約も、リノベーション工事のルールや使用細則を規定しており、改修の可否を左右するため確認が必要です。
現地調査は1度だけでなく、朝・夕・夜・休日など複数回に分けて訪問しましょう。
時間帯や曜日ごとに周辺の騒音や人流、駐車状況、店舗からの音など環境の違いを確認することが重要です。また、窓を開けた状態やサッシの性能もチェックしておきましょう。
地図で幹線道路や線路、学校、病院などの音源となる施設の位置も事前に把握すると、より具体的なイメージが持てます。
国土交通省の「ハザードマップポータル」にある洪水や土砂災害、高潮リスクも踏まえて、地図上の情報と現地のリアルな感覚をすり合わせ、総合的に判断しましょう。
建物のコンディションに不安がある場合は、第三者の専門家によるホームインスペクション(建物状況調査)を活用することをおすすめします。
インスペクションを依頼することで、目に見えない劣化や雨漏り、配管トラブルなどを事前に可視化でき、購入交渉やリフォーム計画の精度が高まります。
2018年施行の「改正宅地建物取引業法」では、不動産仲介時に建物状況調査(インスペクション)の説明・あっせん・結果説明が義務付けられています。重要事項説明書にも調査の有無や内容が記載されるようになりました。
売主側で実施済みかどうか、報告書の開示範囲や共用部への調査可否、写真付きの詳細なレポートが提出されるかも必ず確認してください。
ただし、インスペクションは目視できる範囲が基本となっているため、壁の中や床下など、目視で確認できない部分の劣化までは判断が難しい点には注意してください。
中古マンションの購入で後悔しないためには、物件の価格や綺麗さだけで判断しないことが重要です。後悔しやすい失敗例の多くは、事前調査や書類確認によって予見・回避できます。
修繕積立金や大規模修繕、管理組合の健全性など、重要な情報を入手し、複数回の現地調査と専門家の意見も取り入れながら判断すれば、納得のいく住まい選びができるはずです。
自分や家族にとって本当に安心して暮らせるマンションを見極めるために、購入前の調査を惜しまないようにしましょう。