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空き家の老朽化が進み、解体しなければならないと分かってはいるものの、想定外の解体費用に頭を抱えていませんか?
「貯金もないし、こんな大金すぐに払えない…」こうした不安を抱えるのは、決してあなただけではありません。解体費用の高さに直面して悩む方は、実際にとても多いのです。
この記事では、解体費用の問題に直面した方のために具体的な解決策を解説します。
解体費用が払えない場合、ローンや補助金や分割払いなど、8つの解決策があります。ご自身の状況に合わせて最適なものを選びましょう。
解決策 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
① 空き家解体ローン | ・低金利でまとまった資金を借りられる | ・審査が必要 ・返済義務が生じる |
安定収入はあるが、手元に現金がない方 |
② 補助金・助成金 | ・返済不要の資金が得られる | ・自治体ごとに制度や条件が異なる ・予算上限がある |
お住まいの自治体に制度がある方 |
③ 分割払い | ・金融機関を通さず直接業者と交渉できる | ・対応してくれる業者が限られる ・金利が高めの場合もある |
ローン審査に不安がある方 |
④ 古家付き土地として売却 | ・解体費用がかからず売却益を得られる可能性がある | ・買主が見つかりにくい ・安価での売却になりがち |
立地が良い場所に家をお持ちの方 |
⑤ カードローンなど | ・審査が早く手軽に借りられる | ・金利が非常に高い | 少額・短期の立替えで済む方(利用は慎重に) |
⑥ 親族からの援助 | ・利息や返済条件を柔軟に決められる | ・人間関係のトラブルに発展するリスクがある | 信頼して相談できる親族がいる方 |
⑦ 火災保険の適用 | ・自己負担なく解体できる可能性がある | ・自然災害(台風、地震など)による倒壊が条件 | 自然災害で家が被災した方 |
⑧ 相続放棄 | ・支払い義務自体がなくなる | ・家以外の財産(預貯金等)もすべて放棄することになる | 相続開始から3ヶ月以内で、他に財産がない方 |
多くの金融機関が、空き家の解体に特化した「空き家解体ローン」を提供しています。一般的なリフォームローンやフリーローンに比べて金利が低めに設定されていることが多く、最も現実的な選択肢の一つです。まずは取引のある銀行や信用金庫に相談してみましょう。
危険な空き家の解体を促進するため、多くの自治体が補助金や助成金制度を設けています。費用の1/5から1/2程度、上限50万円前後を補助してくれるケースが一般的です。「(お住まいの自治体名) 空き家 解体 補助金」で検索し、ご自身のケースが対象になるか確認してください。予算が上限に達し次第終了となるため、早めの行動が肝心です。
ローン審査に不安がある場合、解体業者に直接、分割払いが可能か相談してみるのも一つの手です。全ての業者が対応しているわけではありませんが、自社で信販会社と提携しているなど、柔軟に対応してくれる場合があります。
解体せずに、そのまま「古家付き土地」として売却する方法もあります。この場合、買主が解体費用を負担するため、手元の資金は不要です。ただし、更地に比べて売却価格は大幅に下がる傾向にあり、立地が良くないと買い手がつかないケースもあります。
カードローンは審査がスピーディーなため、すぐに資金が必要な場合には有効な選択肢になります。ただし、金利が年15%前後と非常に高いため、利用はあくまで一時的な立て替えに留め、長期的な返済計画は避けるべきです。
もし相談できる親族がいるなら、事情を正直に話して援助をお願いするのも方法のひとつです。この場合、親子間・兄弟間であっても、必ず借用書を作成することが重要です。返済計画を明確にすることで、後のトラブルを防ぎましょう。
家の倒壊原因が自然災害である場合、火災保険(家財ではなく建物にかける保険)が適用され、解体費用(正確には瓦礫の撤去費用)が保険金で賄える可能性があります。まずは契約内容を確認してみましょう。
家を相続した時点(相続の開始を知った時から3ヶ月以内)であれば、「相続放棄」をすることで、解体費用の支払い義務を含むすべての相続権を手放すことができます。ただし、預貯金や有価証券といったプラスの財産も放棄することになるため、慎重な判断が必要です。
「費用が払えないから、しばらくこのままにしておこう…」その気持ちは痛いほど分かります。しかし、その「しばらく」が、取り返しのつかない金銭的・社会的損失につながる可能性があることを知っておいてください。
適切な管理がされず、著しく保安上危険、または衛生上有害な状態にある空き家は、行政によって「特定空家」に指定される可能性があります。
特定空家に指定されると、土地にかかる固定資産税の優遇措置(住宅用地の特例)が解除され、税額が最大で6倍にまで跳ね上がってしまいます。
「まさか自分の家が」と一番驚かれるのが、この「特定空家」への指定です。自治体からの改善指導を無視し続けた結果、固定資産税が年間10万円から60万円に跳ね上がり、慌てて専門家の元へ駆け込むというケースもあります。これは決して他人事ではありません。
老朽化した家屋が台風や地震で倒壊したり、屋根材や外壁が飛散したりして、隣家や通行人に被害を与えてしまった場合、その所有者として損害賠償責任を問われます。この場合、数千万円単位の賠償を命じられるケースも珍しくありません。
管理されていない空き家は、残念ながら犯罪のターゲットになりやすいのが現実です。
これらの問題が発生した場合の対応費用や責任も、すべて所有者が負うことになります。
解体費用を支払うための資金策と並行して、解体費用そのものを少しでも安く抑える努力も重要です。この章では、誰でも実践できる4つのコスト削減術をご紹介します。
解体費用には定価がないため、業者によって見積もり額は数十万円単位で変わることもあります。そのため、必ず3社以上の業者から見積もり(相見積もり)を取り、金額と内訳を比較検討しましょう。これが最も効果的なコスト削減術です。
相見積もりを取る際は、金額の安さだけで選ばないことも重要です。「追加費用は一切かかりませんか?」と念押しし、その旨を見積書に一筆加えてもらいましょう。悪質な業者は、契約後に「地中から障害物が出てきた」などと理由をつけ、高額な追加費用を請求してくる場合があります。
家の中に残された家具や家電、衣類などの家財道具(残置物)の処分を業者に依頼すると、「一般廃棄物」の処理費用として高額になりがちです。手間はかかりますが、自治体のルールに従って自分で処分するだけで、5万円〜15万円程度の節約につながります。庭木や雑草の伐採も同様です。
建物を解体した後、1ヶ月以内に法務局で「建物滅失登記」を行う必要があります。これを土地家屋調査士に依頼すると4〜5万円程の費用がかかりますが、自分で手続きを行えば費用はほぼかかりません。法務局の相談窓口で教えてもらいながら、挑戦してみる価値はあります。
解体業界にも繁忙期(春・秋)と閑散期(夏・冬)があります。公共工事が減り、猛暑や積雪で作業がしにくい夏(8月)や冬(1〜2月)は、業者のスケジュールが空いていることが多く、価格交渉に応じてもらいやすい傾向があります。
最後に、よくある質問にお答えいたします。
今回は、家の解体費用が払えないという深刻な悩みに対し、具体的な解決策から放置するリスク、費用を安くするコツを解説しました。
まずは、「①自治体のウェブサイトで補助金制度の有無を確認」そして「②複数の解体業者から相見積もりを取ること」をしてみましょう。