ペンシルハウスが売れない7つの理由と高く早く売るためのポイント - GMO不動産査定

ペンシルハウスが売れない7つの理由と高く早く売るためのポイント

所有しているペンシルハウスの売却を考え始めたとき、「ペンシルハウスは特殊だから、なかなか売れないんじゃないか…」と不安に感じてしまう方は少なくありません。

インターネットで検索するとネガティブな情報が目につき、どうすれば良いのか分からなくなってしまいますよね。

しかし、結論から言うと、正しい知識と戦略があればペンシルハウスの売却は決して不可能ではありません

大切なのは、「なぜ売れないと言われるのか」その理由を正しく理解し、あなたの物件に合った対策を一つひとつ実行していくことです。

この記事では、ペンシルハウスが売れないと言われる具体的な理由から、少しでも高く、そしてスムーズに売却するための秘訣、さらには万が一売却が長期化した場合の対処法まで丁寧に解説します。

「ペンシルハウスは売れない」は本当?

「ペンシルハウスは売れない」という言葉に、心を曇らせているかもしれませんね。しかし、それは本当なのでしょうか。まずはその情報が本当に正しいのか、ペンシルハウスが持つ本当の価値とあわせて確認していきましょう。

そもそもペンシルハウス(狭小住宅)とは?

ペンシルハウスとは、その名の通り、鉛筆のように細長い敷地に建てられた住宅のことで、一般的には「狭小住宅」とも呼ばれます

明確な定義はありませんが、およそ15坪(約50㎡)以下の狭い土地に建てられた2階建てや3階建ての住宅を指すことがほとんどです。

特に土地の価格が高い都心部で、土地を有効活用するために多く見られる建て方です。

売れないは誤解!正しい戦略で売却は可能

「ペンシルハウスは売れない」というのは、半分正解で半分は誤解です。確かに、一般的な住宅と比べて買い手が限定される傾向はありますが、決して売れないわけではありません。

むしろ、立地や物件の特性を正しく理解し、それを求める買い手に向けて適切なアプローチをすれば、スムーズな売却は十分に可能です。

大切なのは、物件の弱みだけでなく強みも客観的に把握し、戦略的に売却活動を進めることです。

ペンシルハウスが持つ意外なメリット

売却を考える上では、デメリットばかりに目を向けるのではなく、ペンシルハウスならではのメリットを理解しておくことが非常に重要です。

  • 駅近など利便性の高い立地が多い:都心部や駅に近いエリアに建てられていることが多く、交通の便や生活の利便性を重視する人にとっては大きな魅力となります。
  • 固定資産税や都市計画税を抑えられる:土地面積が小さいため、税金の負担が比較的軽い傾向にあります。これは購入後のランニングコストを気にする買い手にとって、大きなアピールポイントです。
  • ユニークなデザインや設計:限られた空間を最大限に活用するため、吹き抜けやスキップフロアなど、設計に工夫が凝らされた個性的な物件が多いのも特徴です。

これらのメリットは、売却活動において強力な武器となり得ます。

ペンシルハウスが売れないと言われる7つの理由

  1. 理由1:買い手のターゲット層が限定される
  2. 理由2:建て替えや増改築のハードルが高い
  3. 理由3:駐車スペースがない・間口が狭い
  4. 理由4:生活動線が複雑で日当たりが悪い場合がある
  5. 理由5:メンテナンス費用が割高になりやすい
  6. 理由6:土地が狭く資産価値が下落しやすい
  7. 理由7:隣家との距離が近くプライバシーを確保しにくい

前の章で「売れないは誤解」とお伝えしましたが、そうは言っても、なぜ「売れない」というイメージが定着してしまったのでしょうか。

その背景には、ペンシルハウスが持つ構造的・物理的な特性が関係しています。ここでは、その具体的な7つの理由を一つひとつ解説します。

ご自身の物件と照らし合わせながら、状況を整理してみてください。

理由1:買い手のターゲット層が限定される

ペンシルハウスが売れにくい最大の理由は、買い手のターゲット層が狭い点にあります。例えば、「広いリビングで子供をのびのび育てたい」と考えるファミリー層や、「庭でガーデニングを楽しみたい」という方には、ペンシルハウスは選択肢に入りにくいのが現実です。

主なターゲットは、利便性を最優先する単身者やDINKS(子供のいない共働き夫婦)などに限られるため、一般的な住宅に比べて買い手を見つけるのに時間がかかる傾向があります。

理由2:建て替えや増改築のハードルが高い

土地が狭く、隣家との距離も近いため、将来的な建て替えや大規模なリフォーム、増改築が難しいケースが少なくありません

建築基準法上の制限(建ぺい率や容積率、斜線制限など)をクリアするのが難しかったり、工事の際に重機が入れず費用が割高になったりする可能性があります。

購入希望者の中には、長期的な視点で住まいの柔軟性を重視する方もいるため、これが売却のネックになることがあります。

理由3:駐車スペースがない・間口が狭い

都心部のペンシルハウスでは、駐車スペース(ビルトインガレージ)がない、あるいはあっても非常に狭く、大型車は駐車できないといった物件が目立ちます

車を所有している、または将来的に所有したいと考えている買い手にとっては、これは大きなデメリットです。また、土地の間口(道路に接している部分の幅)が狭いため、車の出し入れがしにくい点も敬遠される理由の一つです。

理由4:生活動線が複雑で日当たりが悪い場合がある

ペンシルハウスは縦の空間を有効活用するため、3階建て以上になることが多く、階段の上り下りが頻繁になります

この上下移動の多い生活動線は、年齢を重ねたときのことを考えると不安に感じる方もいます。

また、隣家と密集しているため、特に1階部分は日当たりや風通しが悪くなりがちです。これらの居住快適性に関する懸念点が、売れにくさにつながることがあります。

理由5:メンテナンス費用が割高になりやすい

外壁の修繕や屋根のメンテナンスを行う際、隣家との距離が近すぎるために足場を組むのが難しい、あるいは隣の敷地を借りなければ組めないといったケースがあります。

メンテナンス項目 費用目安(一般的な戸建ての場合) ペンシルハウスの場合の注意点
外壁塗装 100万~150万円 ・隣家との距離が近く足場が組みにくい場合、費用が割高になる可能性があります。
・塗装面積が少ない場合は費用を抑えられる可能性があります。
屋根の防水・葺き替え 40万~80万円(塗装の場合) ・外壁と同様に足場の問題で費用が変動する可能性があります。
ベランダ・バルコニーの防水 10万円~20万円(10㎡の場合) ・防水工事の種類(ウレタン防水、FRP防水など)によって費用が異なります。
給湯器の交換 10万~30万円 ・本体価格と工事費の合計です。機種や性能によって価格は変動します。
その他(内装・設備など) ・フローリングの張り替えや、キッチン・トイレなどの水回り設備の交換も、経年によって必要になります。

これにより、一般的な住宅よりも工事費用が割高になってしまう可能性があります。購入後の維持費を心配する買い手にとっては、見過ごせないポイントです。

理由6:土地が狭く資産価値が下落しやすい

不動産の価値は「土地」と「建物」で構成されますが、ペンシルハウスは土地の面積が小さいため、資産価値に占める建物の割合が大きくなります。

木造戸建ての建物価値は、一般的に築20年〜25年でほぼゼロに近くなると言われているため、土地の価値が残りにくいペンシルハウスは、資産価値が下落しやすい傾向にあります。この点は、資産としての価値を重視する買い手から敬遠される一因となります。

理由7:隣家との距離が近くプライバシーを確保しにくい

敷地境界線ぎりぎりに建てられていることが多いため、隣家との距離が非常に近く、窓を開けると隣の家の壁、ということも珍しくありません。

生活音や視線が気になりやすく、プライバシーの確保が難しいと感じる方もいます。特に音に敏感な方や、静かな住環境を求める方にとっては、大きな懸念材料となります。

売れないペンシルハウスを少しでも高く売却する5つのポイント

ここまでペンシルハウスが売れないと言われる理由を見てきて、少し不安が大きくなってしまったかもしれません。

しかし、ご安心ください。ここからは、それらの弱点をカバーし、あなたのペンシルハウスの価値を最大限に引き出して、少しでも高く売却するための具体的な5つのポイントをご紹介します。

  1. ポイント1:専門業者によるホームインスペクション(住宅診断)を実施する
  2. ポイント2:ペンシルハウスの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ
  3. ポイント3:内覧時の印象を良くする「ホームステージング」を徹底する
  4. ポイント4:ターゲット層に響く強みをアピールする
  5. ポイント5:最終手段として「買取」も検討する

ポイント1:専門業者によるホームインスペクション(住宅診断)を実施する

買い手が中古住宅に抱く最も大きな不安は、「目に見えない部分に欠陥がないか」という点です。特にペンシルハウスは構造が特殊なため、その不安はより大きくなります。

そこで有効なのが、専門家による「ホームインスペクション(住宅診断)」です。建物の状態を客観的に評価してもらい、問題がないことを証明できれば、買い手は安心して購入を検討できます。

もし修繕が必要な箇所が見つかった場合でも、事前に対応しておくことで、売却後のトラブルを防ぐことにもつながります。

ポイント2:ペンシルハウスの売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ

不動産会社ならどこでも同じ、というわけではありません。ペンシルハウスの売却を成功させるには、その特殊性を理解し、適切な販売戦略を立てられるパートナー選びが不可欠です。過去にペンシルハウスの売却実績が豊富にある不動産会社を選びましょう

そうした会社は、どのような買い手にアプローチすれば響くのか、物件の魅力をどう伝えれば価値が上がるのか、というノウハウを持っています。複数の会社に査定を依頼し、担当者の知識や提案内容を比較検討することが重要です。

ポイント3:内覧時の印象を良くする「ホームステージング」を徹底する

ペンシルハウスは室内が狭く、物が散らかっていると、実際の広さ以上に圧迫感を与えてしまいます。内覧は、買い手がその家での生活を具体的にイメージする重要な機会です。

だからこそ、「ホームステージング」が非常に効果的です。専門業者に依頼する本格的なものだけでなく、自分でできる範囲でも構いません。

  • 不要な家具や荷物を減らし、空間を広く見せる
  • 全ての部屋の照明をつけ、室内を明るくする
  • 水回り(キッチン、浴室、トイレ)を徹底的に清掃する
  • 玄関や窓を開けて空気を入れ替え、匂いにも配慮する

少しの手間で、内覧時の印象は劇的に変わります。

ポイント4:ターゲット層に響く強みをアピールする

「誰にでも売ろう」とすると、結局誰の心にも響きません。ペンシルハウスの売却では、ターゲットを明確に絞り、その層に響く強みを的確にアピールすることが重要です。

ターゲット層 買い手に響きやすい強みのアピール例
単身者・DINKS 「駅徒歩5分で通勤が快適」「周辺におしゃれなカフェやレストランが豊富」「週末は都心へも気軽にアクセス可能」
リモートワーカー 「3階の部屋は静かで仕事に集中できる書斎に最適」「コンパクトな空間だからこそ光熱費を抑えられる」
ミニマリスト 「必要最低限のもので豊かに暮らせる」「掃除が楽で、自分の時間を大切にできる」

このように、物件の特性とターゲット層のニーズを結びつけてアピールすることで、物件の価値はより一層高まります。

ポイント5:最終手段として「買取」も検討する

「どうしても買い手が見つからない」「できるだけ早く現金化したい」といった事情がある場合には、「買取」という選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。買取とは、不動産会社が直接あなたの物件を買い取る方法です。

比較項目 仲介 買取
売却価格 市場価格に近い価格で売れる可能性がある 市場価格の7〜8割程度になることが多い
売却期間 3ヶ月〜半年以上かかることも 最短数日〜1ヶ月程度
メリット 高く売れる可能性がある ・売却期間が短い
・仲介手数料が不要
・内覧対応が不要
・契約不適合責任が免除される
デメリット ・売却期間が読めない
・内覧対応の手間がかかる
売却価格が安くなる

買取は売却価格が「仲介」よりも低くなる傾向がありますが、スピーディーかつ確実に売却できるという大きなメリットがあります。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を検討しましょう。

それでも売れない…売り出し期間が長期化した場合の対処法

ここまでご紹介したポイントを実践しても、すぐに買い手が見つからないケースも残念ながらあります。売却活動が長期化すると、焦りや不安が募りますよね。しかし、そんな時こそ冷静な判断が必要です。

ここでは、万が一売却が長期化してしまった場合の具体的な対処法を3つご紹介します。

対処法1:売却価格や売り出し条件を見直す

売れない最も一般的な理由は、やはり「価格」です。周辺の類似物件の売出価格や成約価格を再度調査し、ご自身の物件の価格が相場からかけ離れていないかを確認しましょう。

不動産会社の担当者と相談の上、思い切って価格を下げる(値下げする)ことも有効な手段です。また、「現状渡し」の条件で売り出している場合は、売主の負担で一部リフォームを行う、ハウスクリーニングを入れるといった条件変更も、買い手の購入意欲を刺激するきっかけになり得ます。

対処法2:不動産会社との媒介契約を見直す・変更する

現在の不動産会社の販売活動に疑問を感じる場合は、媒介契約の種類や、不動産会社そのものを見直すタイミングかもしれません。

  • 媒介契約の見直し:1社にしか依頼できない「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を結んでいる場合、複数の会社に依頼できる「一般媒介契約」に切り替えることで、物件情報がより多くの買い手の目に触れる機会が増えます。
  • 不動産会社の変更:担当者の報告が遅い、内覧の数が極端に少ないなど、販売活動に不安がある場合は、他の不動産会社への変更(乗り換え)も検討しましょう。その際は、ペンシルハウスの売却実績が豊富な会社を改めて探すことが重要です。

対処法3:売却ではなく「賃貸」に出すことを検討する

もし売却を急いでいないのであれば、「売る」から「貸す」へと視点を変えてみるのも一つの手です。

ペンシルハウスは駅近など利便性の高い立地にあることが多いため、賃貸物件としての需要が見込める場合があります。

賃貸に出すことで毎月の家賃収入を得ながら、不動産市場の動向を見て、より良いタイミングで再度売却を目指すという戦略も可能です。

ただし、賃貸には管理の手間や空室リスクも伴うため、メリット・デメリットを十分に比較検討する必要があります。

まとめ:売れない理由の理解と正しい対策が売却成功の鍵

この記事では、ペンシルハウスが売れないと言われる理由から、具体的な売却のポイント、そして万が一の対処法までを詳しく解説してきました。

「ペンシルハウスは売れない」という言葉は、あくまで一面的なイメージに過ぎません。買い手が限定される、建て替えが難しいといった弱点があるのは事実ですが、一方で都心ならではの利便性や個性的な設計といった、他にはない強い魅力も持っています。

売却成功の鍵は、その両面を正しく理解し、あなたの物件の価値を本当に理解してくれるターゲットに向けて、的確なアプローチを行うことです。そして、その戦略を一緒に考えてくれる、信頼できる不動産会社というパートナーを見つけることが何よりも大切です。

この記事が、あなたのペンシルハウス売却への不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すための後押しとなれば幸いです。

ペンシルハウスの売却に関するよくある質問

最後に、ペンシルハウスの売却に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q1. ペンシルハウスの売却査定はどこに頼むべき?

ペンシルハウスの売却査定は、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。特に、大手不動産会社だけでなく、その地域に根ざした中小の不動産会社や、ペンシルハウス・狭小住宅の取引を専門的に扱っている会社にも声をかけると良いでしょう。会社によって得意なエリアや顧客層が異なるため、査定価格や販売戦略にも差が出ます。一括査-定サイトなどを利用して、少なくとも3社以上から話を聞き、最も信頼できるパートナーを見つけることが重要です。

Q2. 売却にかかる期間の目安はどれくらい?

売却にかかる期間は、物件の立地や状態、価格設定によって大きく異なりますが、一般的な目安としては、売り出しを開始してから売買契約を結ぶまでにおおよそ3ヶ月から6ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。ペンシルハウスは買い手が限定されるため、半年以上かかるケースも珍しくありません。売却を急ぐ場合は、価格設定を相場より少し低めにしたり、不動産会社による「買取」を検討したりする必要があります。

Q3. リフォームはしてから売るべき?

必ずしもリフォームが必要というわけではありません。買主が自分の好みに合わせてリフォームしたいと考えているケースも多いため、多額の費用をかけてリフォームしても、その分が売却価格に上乗せできるとは限らないからです。基本的には、壁紙の張り替えやハウスクリーニングなど、費用を抑えつつ内覧時の印象を良くするための軽微な補修にとどめておくのがおすすめです。ただし、雨漏りや給排水管の故障など、建物の基本的な性能に関わる不具合がある場合は、売却前に修繕しておくべきでしょう。判断に迷う場合は、不動産会社の担当者に相談してみてください。

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