築3年のマンションを売却すると損?高く売るコツや注意点など - GMO不動産査定

築3年のマンションを売却すると損?高く売るコツや注意点など

築3年という短期間でのマンション売却を考える時に、「購入したばかりなのに、売却して損をしてしまうのではないか」と迷う人もいるかもしれません。

築3年のマンションは、中古市場で価値が高く、近年の不動産価格の上昇を背景に、購入した時よりも高い価格で売却できる可能性があります。しかし、所有期間5年以下の売却には利益に対して約40%の高い税率が適用される、住宅ローンの残債が売却価格を上回る可能性があるなどの注意点もあります。

この記事では、築3年のマンションを売却する時のメリット・デメリット、高く売るための方法、税金の注意点などを解説します。

築3年でマンションを売却すると損する?

築3年でマンションを売却する場合、必ずしも損をするわけではありません。

現在の不動産市場は、価格の上昇傾向が続いています。特に、築年数が浅い物件は、中古市場で高い価値を持つため、高値で売却できるケースや、購入価格を上回る価格で成約するケースも珍しくありません。

国土交通省の「不動産価格指数(住宅)」を見ても、全国のマンション価格は右肩上がりで推移していて、2010年比で約2倍に高騰しています。

マンション市場が上昇傾向である一方で、「築3年で売却すると損をする」と言われるのには3つの理由があります。

  • 新築時に上乗せされていた価格(新築プレミアム)が剥落し、購入価格より安くなる可能性があること
  • 売却によって利益が出ても、短期譲渡所得の高い税率が適用され、手元に残る金額が少なくなること
  • 仲介手数料などの諸費用を差し引くと、最終的に赤字になりやすいこと

築3年でマンションを売却した時に必ずしも損とは限りませんが、売却価格や税金、諸費用などの注意点を理解した上で売却を検討しましょう。

築3年のマンションの売却相場

築3年のマンションは「築浅物件」として市場価値が高く評価されますが、売却相場は立地や物件の条件によって大きく異なります。

主要都市圏における築5年以内のマンションの売却相場は以下の通りですが、駅からの距離、階数、方角、マンションのブランドといった個別の条件で価格は大きく変動するため、あくまで参考値としましょう。

地域 平米単価 (円/㎡) 坪単価 (円/坪) 70㎡換算の価格目安
東京都 (都心6区) ※1 200~250万円 660~825万円 1億4,000万~1億7,500万円
東京都 (城南・城西) ※2 130~160万円 430~530万円 9,100万~1億1,200万円
東京都 (城東・城北) ※3 100~125万円 330~413万円 7,000万~8,750万円
神奈川県 (横浜市・川崎市) 90~110万円 297~363万円 6,300万~7,700万円
埼玉県 (さいたま市中心部) 75~90万円 248~297万円 5,250万~6,300万円
千葉県 (市川市・船橋市など) 70~85万円 231~281万円 4,900万~5,950万円
大阪府 (大阪市中心部) 95~120万円 314~396万円 6,650万~8,400万円
兵庫県 (神戸市・阪神間) 80~100万円 264~330万円 5,600万~7,000万円
愛知県 (名古屋市中心部) 75~95万円 248~314万円 5,250万~6,650万円
福岡県 (福岡市中心部) 70~90万円 231~297万円 4,900万~6,300万円

※1 都心6区:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区
※2 城南・城西:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区など
※3 城東・城北:台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、北区、板橋区、豊島区など
※大手不動産ポータルサイトや不動産調査会社が公開している、2025年上半期の「築5年以内」中古マンションの成約データや売出価格データを基に筆者算出

全体的な傾向として、築3年のマンションは、中古市場で高く評価されていることがわかります。東日本不動産流通機構(REINS)の「築年数別成約状況」を見ても、築0~5年の物件は他のどの築年数帯よりも平均成約価格が最も高くなっています。

なお、正確な価値を把握するためには、査定を依頼して専門家の評価を得ることをおすすめします。

新築時の購入価格を基準に考えた上で、不動産ポータルサイトや「レインズ」で同じマンション内や周辺の類似物件の取引価格を調べ、最終的に複数社に査定を依頼して実際の評価価格を確認しましょう。

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築3年でマンションを売却するメリット

  • 資産価値が高いうちに売却できる
  • 早期売却が期待できる
  • 購入価格より高く売れる可能性がある

売却価格の高さや売れるまでの早さが、築3年のマンション売却におけるメリットです。これらのメリットは、デメリットを上回る可能性もあります。ここでは、3つのメリットを詳しく解説します。

資産価値が高いうちに売却できる

築3年のマンション売却のメリットは、マンションの資産価値が最も高い時期に売却できることです。

一般的に、マンションの価値は築年数と共に下落していきますが、築浅のうちは価格の下落が非常に緩やかです。

レインズの「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」では、築0~5年のマンションは他のどの築年数帯よりも平均成約価格が最も高く、強い需要があることが分かります。

また、市場に流通する物件が少ないことも価値を後押ししています。レインズの同じ資料では、首都圏で新規登録される中古マンションのうち、築5年以内の物件は全体の5.7%しかありません。

需要に対して供給が少ないため、希少価値が高まり、価格が維持されやすいのです。

早期売却が期待できる

「ほぼ新築」に近い状態の築3年のマンションは、買い手が見つかりやすく、早期売却を期待できることもメリットです。

購入を検討している人にとって、中古物件で懸念されがちな設備の古さや内装の傷みがほとんどない点は魅力的だと言えます。また、売主にとっても、売却前に高額なリフォームや修繕を行う必要がなく、室内をきれいに清掃し、整理整頓するだけで内覧時の印象を良くすることが可能です。売却前のリフォーム工事が不要であれば、その分の費用と期間を節約することにつながります。

さらに、築浅の場合、市場に流通する物件が少ないため、買い手にとって魅力的な物件は問い合わせの数も多くなる傾向です。結果として、販売活動の期間が短縮され、スムーズな売却に繋がる可能性も高いでしょう。

購入価格より高く売れる可能性がある

近年のマンション価格の高騰という市場全体の追い風によって、3年前に購入した価格よりも高い価格で売却できる可能性があります。

特に、最寄り駅から近い、商業施設が充実している、学区が良いなど、立地条件に恵まれた人気のマンションであれば、その可能性はさらに高まります。都心部や再開発が進むエリアでは、購入価格を大きく上回る価格で成約した事例も少なくありません。

売却時には仲介手数料や税金などの諸費用がかかるため、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。しかし、それらの費用を差し引いても、購入時よりプラスになるケースが起こり得るのが、現在の市況の特徴です。

築3年でマンションを売却するデメリット

  • 譲渡所得が高額になる
  • 住宅ローンの残債が売却価格を上回るリスクがある
  • 購入価格より安くなる可能性がある

売却価格や売却期間に対するメリットがある一方で、築3年という短期間での売却にはデメリットやリスクもあります。売却後に後悔することのないように注意しましょう。ここでは3つのデメリットを解説します。

譲渡所得が高額になる

築3年のマンションを売却する時のデメリットとして、売却で得た利益(譲渡所得)にかかる税金が高額になることが挙げられます。

不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されますが、税率は不動産の所有期間によって異なります。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の不動産から生じた利益は「短期譲渡所得」に分類され、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせた税率は39.63%です。一方で、所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」に分類され、税率は20.315%と約1/2の税率になります。

区分 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

例えば、売却益が1,000万円出た場合の納税額は、短期譲渡所得で約396万円、長期譲渡所得で約203万円です。このケースでは、新築で購入したマンションを築3年で売る場合と、所有期間が5年を超えてから売る場合とで、約190万円も納税額が変わることがわかります。

つまり、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の税率の差が、築3年での売却が税制面で不利と言われる理由です。

住宅ローンの残債が売却価格を上回るリスクがある

築3年という早い段階での売却では、住宅ローンの元金があまり返済できていない点にも注意してください。

マンションの売却価格から諸費用を差し引いた手取り額が、住宅ローンの残債を下回ってしまう「オーバーローン」の状態になるリスクがあります。もしオーバーローンになった場合、売却代金だけではローンを完済できません。

不足分を自己資金で一括返済しなければ、金融機関が設定している抵当権を抹消できず、売却手続きそのものを進めることができなくなるので気をつけましょう。

多くの住宅ローンで採用されている「元利均等返済」という返済方式では、毎月の返済額は一定ですが、返済初期は支払額に占める利息の割合が大きくなっています。思った以上に元金の減るペースが緩やかな場合があるため、必ず売却前に残債がいくらあるのか確認しておくことをおすすめします。

購入価格より安くなる可能性がある

マンション市場が上昇傾向にあるとはいえ、すべての物件が購入した価格よりも高く売れるわけではありません。

マンションを売却する際には、不動産会社に支払う仲介手数料や、売買契約書に貼付する印紙税、住宅ローンを完済するための抵当権抹消の登記費用など、様々な諸費用も発生します。

この諸費用を考慮すると、たとえ購入時と同じ価格で売却できたとしても、手元に残る金額はマイナスになり、結果的に損をしてしまう可能性があります。売却を検討する前に、購入時の価格だけでなく、売却にかかる費用も含めた上で資金計画を立て、売却による損益を慎重にシミュレーションしておきましょう。

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築3年のマンションを高く売却する方法

  • 売却タイミングを見極める
  • 同じマンションや周辺の新築・類似マンションの相場から売出価格を設定する
  • 内覧対応を丁寧に行う
  • 築浅マンションの売却が得意な不動産会社を選ぶ

築3年のマンションの価値を最大限に引き出して高く売却するには、売却タイミングや価格設定の見極めがポイントです。また、内覧対応や不動産会社の選定も重要になります。

ここでは、築3年のマンションを高く売却するための4つのポイントを解説します。

売却タイミングを見極める

不動産売却全体に言えることですが、少しでも高く売るためには、売却のタイミングを見極める必要があります。

不動産市場は、一般的に人の移動が多くなる春(2月~3月)や、秋の転勤シーズン(9月~10月)に取引が活発になる傾向です。この時期はマイホームを探す購入希望者が増えるため、需要が高まり、通常期よりも高く、そして早く売れる可能性が高まります。

また、住宅ローン金利の動向や、住宅関連の税制優遇策など、社会的な要因も不動産の価格に影響を与えます。日頃からニュースなどで最新の市場動向に注目しながら、売却の緊急度と照らし合わせて最適なタイミングを検討しましょう。

同じマンションや周辺の新築・類似マンションの相場から売出価格を設定する

築3年の物件を検討する購入希望者は、近隣で販売されている新築マンションも比較対象としている人が多くいます。もし、設定した売出価格と新築マンションの価格差がわずかであれば、「最初の所有者」という満足感を得られる新築物件を選んでしまう可能性があります。

そのため、売出価格を決める時は、同じマンション内の過去の売却事例や、周辺の築浅中古マンションの相場を調べるだけでは不十分です。必ず近隣の新築マンションの販売価格も調査し、それと比較して少し割安感のある魅力的な価格に設定しましょう。

内覧対応を丁寧に行う

築3年のマンションの魅力である「新しさ」を購入希望者に最大限に伝えられるように、内覧で良い第一印象を与えましょう。

高額なリフォームは必要ありませんが、家全体の徹底的な清掃は必ず行ってください。特に、キッチン、浴室、洗面所、トイレなどの水回りは汚れが目立ちやすいため、念入りに掃除します。また、部屋が少しでも広く見えるように、不要な物を処分して整理整頓を心がけましょう。

内覧当日は、すべての部屋の照明をつけて明るい空間を演出し、窓を開けて気持ちの良い空気に入れ替えてください。そして、購入希望者からの質問には、正直かつ丁寧に答え、「日当たりが良く冬でも暖かい」「収納が多くて助かる」など、実際に住んで感じた心地よさを具体的に伝えましょう。

築浅マンションの売却が得意な不動産会社を選ぶ

不動産売却において、パートナーとなる不動産会社選びは、売却の成否を左右する重要なステップの一つです。

不動産会社と一言でいっても、戸建てが得意な会社、投資用物件に強い会社など、それぞれに得意なエリアや物件種別があります。そのため、築3年のマンションを売却したい場合には、特に「築浅マンション」の売却実績が豊富な会社を選ぶのがおすすめです。

実績のある会社は、築浅物件の価値を正しく評価する査定能力はもちろん、その魅力を購入希望者に効果的に伝える販売戦略や広告のノウハウを持っています。

まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格の根拠を具体的に説明してくれるか、販売戦略は明確か、担当者との相性は良いか、といった点を総合的に判断して、信頼できるパートナーを選びましょう。

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築3年のマンションを売却した時の税金に注意

築3年のマンションを売却する時に、手元に残る金額に最も大きな影響を与えるのが、売却益に対する譲渡所得税です。マンションの所有期間が5年以下の場合には「短期譲渡所得」が適用されるため、税率は39.63%になります。

区分 所有期間 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 0.315% 20.315%

※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

譲渡所得 = 収入金額 − (取得費 + 譲渡費用)

収入金額(売却価格) 買主に物件を売却した価格。
固定資産税の清算金を受け取った場合は、それも収入金額に含まれる。
取得費 その不動産を取得するために要した費用の合計。
マンションの購入代金、購入時の仲介手数料、登記費用、不動産取得税などが含まれる。
建物の取得費からは、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要がある。
譲渡費用 不動産を売却するために直接かかった費用。
売却時の仲介手数料や、売買契約書に貼付した印紙税などが該当する。

上記の計算式や税率を踏まえて、実際にシミュレーションしてみましょう。

例えば、収入金額(売却金額)から取得費や譲渡費用を差し引き、譲渡所得が1,000万円になったとします。築3年で売却した場合は「短期譲渡所得」に該当するため、税額は396.3万円(1,000万円 × 39.63%)となります。もし所有期間が5年を超えて売却した時は「長期譲渡所得」が適用されるため、税額は203.15万円(1,000万円 × 20.315%)となり、税金額が約200万円も違うことがわかります。

築3年のマンションを売却した時に使える可能性がある特別控除

短期譲渡所得の高い税率を乗り越えるためにも、特別控除を活用することをおすすめします。

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」では、マイホームを売却して得た利益(譲渡所得)から、最大で3,000万円までを控除できます。もし、計算した譲渡所得が3,000万円以下であれば、この控除を適用することで課税対象となる所得がゼロになり、結果として所得税や住民税を支払う必要がなくなります。

ただし、特例の適用を受けるには、「自身が主として居住していた家屋であること」など、厳格な要件が定められていて、一つでも満たさないと利用することができません。国税庁のウェブサイトで適用要件が詳細に解説されているため、当てはまるか事前に必ず確認してください。

※参考:マイホームを売ったときの特例|国税庁

なお、特に注意したい主な要件は以下の通りです。

条件項目 内容
物件の種類 自身が主として居住している家屋(マイホーム)であること。別荘や投資用物件は対象外。
居住状況 売却時に現に居住しているか、または、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
売却相手との関係 配偶者、親子、生計を一つにする親族など、特別な関係がある者への売却ではないこと。
過去の特例適用履歴 売却した年の前年、および前々年に、この特例や他のマイホーム関連の特例(譲渡損失の損益通算など)の適用を受けていないこと。
住宅ローン控除との併用 新居の購入にあたり、住宅ローン控除の適用を受ける場合、原則としてこの特例との併用はできない。

【セルフ診断】築3年のマンションを今売る?2年以上待つ?

「築3年のマンションを今すぐ売るべきか」「税率が下がる2年以上先まで待つべきか」と迷う場合は、以下の5つの質問で、あなたの状況を診断してみましょう。

  • 売却益が3,000万円以下で、特別控除を使えば税金がゼロになる見込みだ はい/いいえ
  • 現在の相場価格で売却すれば、ローンを完済しても十分な資金が手元に残る はい/いいえ
  • 転勤や子どもの進学などで、売却しなければならない期限が決まっている はい/いいえ
  • 新しい家の購入資金など、売却して得たお金をすぐに使いたい目的がある はい/いいえ
  • 2年以上先の不動産市況は不透明で、価格が下落するリスクは避けたい はい/いいえ

【診断結果】

  • 「はい」が4個以上:「今すぐ売却」がおすすめ。 積極的に売却活動を進めると良い。
  • 「はい」が2〜3個:今すぐ売るか待つかを慎重に検討すべき。不動産会社で査定し、最終的な判断を。
  • 「はい」が0〜1個:「2年以上待つ」がおすすめ。急ぐ理由がなければ、長期譲渡所得の方が良い可能性が高い。

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まとめ

築3年のマンションは、中古市場での需要が高く、現在の市況であれば購入価格を上回る価格での売却も期待できます。しかし、所有期間5年以下の売却には高い税率が課されるため、手放しで喜べるわけではありません。

築3年でのマンション売却を成功させるために、売却タイミングや価格設定の見極め、不動産会社選び、内覧対応などをのポイントを押さえた上で、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「3,000万円特別控除」を正しく理解し、ご自身のケースで適用できるかを見極めましょう。

まずは、計画の土台となるマンションの「現在の価値」を正確に把握することをおすすめします。複数の不動産会社に査定を依頼し、専門家のアドバイスを受けながら、あなたにとって最適な売却戦略を立てていきましょう。

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