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不動産会社のホームページやチラシを見ていると「国土交通大臣(1)第○○号」といった番号が書かれていることに気づくはずです。「この番号は何の意味があるの?」「数字が大きいほうが安心なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は「免許番号」を正しく読み解くことで、不動産会社の「営業歴」や「過去のトラブル」といった重要な情報を事前にチェックできます。この記事では、免許番号の仕組みや数字が表す意味、さらにはプロが実践している「危険な業者を見抜く検索方法」まで、不動産会社選びに役立つ知識を分かりやすく解説します。
不動産会社における「免許番号」とは、不動産の売買や仲介といった取引を行うために必須となる、国や都道府県から与えられた「許可証」のようなものです。
私たちが車を運転するために運転免許証が必要なのと同様に、不動産会社が営業を行うためには「宅地建物取引業」の免許を取得しなければなりません。これは法律(宅地建物取引業法)で厳しく定められており、もし免許を持たずに営業した場合「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」という非常に重い刑罰が科せられます。
つまり、免許番号が表示されているということは、その会社が法律に基づいた審査をクリアし、国や行政から正式に認められた正規の業者であるという「信頼の証」なのです。
不動産会社は、店舗内の見えやすい場所に「業者票」と呼ばれる金色の看板を掲示したり、広告や重要事項説明書にこの番号を記載したりすることが義務付けられています。まずはこの番号があるかどうかを確認することが、安全な取引の第一歩となります。
参照元:法令検索|宅地建物取引業法
免許番号は「国土交通大臣(3)第12345号」のように、いくつかのパーツで構成されています。ここからは、この文字列から読み取れる2つの重要な情報を解説します。
まず「国土交通大臣」と「都道府県知事」の違いについてです。よく「大臣免許のほうが格上で、大手企業なのではないか」と勘違いされることがありますが、「事務所(店舗)がある場所」の違いであり、会社の信頼性や実力の優劣とは関係ありません。
国土交通大臣免許は、2つ以上の都道府県にまたがって事務所(本店・支店)がある場合に交付されます。例えば、東京都に本店があり、神奈川県に支店があるようなケースが該当します。
一方で都道府県知事免許は、1つの都道府県内のみに事務所がある場合に交付されます。仮に東京都内に本店があり、さらに都内に10店舗の支店があるような大きな会社であっても、すべての店舗が都内であれば「東京都知事免許」になります。
大切なポイントは「知事免許」の会社であっても、全国どこの物件でも取り扱えるという点です。業務範囲に制限はないため、知事免許だからといって取扱物件が少ないということはありません。
次に、免許番号の中で注目すべきなのが「かっこ( )」で囲まれた数字です。この数字は免許の「更新回数」を表しており、その会社がどれくらい長く事業を続けているかを示す「社歴」の目安となります。

不動産業の免許には「有効期間」があり、一度取得すれば終わりではありません。事業を継続するためには、定期的に行政の審査を受け、更新手続きを行う必要があります。
開業したばかりの時は「(1)」からスタートし、一度更新審査をクリアすると「(2)」、次は「(3)」というように、更新のたびに数字がひとつずつ増えていきます。つまり、この数字を見れば、「どれくらいの期間、健全に営業を続けてきたか」が一目で分かる仕組みになっているのです。
では、実際にこの数字をどのように信頼性の判断に使えばよいのでしょうか。ここでは、免許番号を読み解くための3つの実践的なポイントを紹介します。
現在の不動産業の免許有効期間は「5年」です。そのため、かっこ内の数字を見ることで、おおよその営業年数を以下の計算式で算出できます。
具体的な数字と営業期間の目安は以下のとおりです。
(1)は、開業から5年未満の会社であることを示します。(2)であれば、一度更新を経て営業歴が5年以上10年未満であることを意味します。そして(10)ともなれば、営業歴は45年以上となり、昭和時代から続く老舗企業であると判断できます。
ただし、1996年(平成8年)以前は免許の有効期間が「3年」でした。そのため、(10)を超えるような数字を持つ老舗企業の場合、上記の計算式よりもさらに長い期間、営業を続けているケースが多くあります。
数字が大きいということは、バブル崩壊やリーマンショック、さらには近年のパンデミックといった数々の経済危機を乗り越えてきたことの証明でもあります。厳しい時代を生き抜き、何度も行政の審査をパスし続けてきた事実は「経営が安定している(経営的生存証明)」という安心材料の一つと言えるでしょう。
世の中には(16)や(17)といった、非常に大きな数字を持つ不動産会社も存在します。これらは1940年代や50年代、つまり戦中や戦後の復興期から営業を続けている「超老舗企業」です。
不動産業は、地域での評判が非常に重要なビジネスです。もし悪質な取引を繰り返していれば、悪い噂が立ち、何十年も同じ場所で商売を続けることはできません。
つまり、更新回数が多く、数字が大きいという事実は、単に歴史が古いだけでなく「長年にわたり地域住民や顧客から信頼され続けてきた」という確かな裏付けになります。親子三代にわたってその不動産会社を利用している顧客がいるような会社は、トラブルに巻き込まれるリスクが低いと考えられます。
「数字が大きいほど安心なら、(1)の会社は避けたほうがいいの?」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。実は、実績がある会社でも番号が(1)に戻ってしまう(リセットされる)ケースがあるからです。
番号が(1)になる理由は、大きく分けて「ポジティブな理由」と「ネガティブな理由」の2つがあります。
まずポジティブな理由として挙げられるのが「免許換え」です。例えば、これまで地域密着(知事免許)で実績を積んできた会社が、事業拡大のために他県へ支店を出すことになり「国土交通大臣免許」へ切り替えた場合などが該当します。また、個人事業主として成功し、新しく「法人化」した場合も番号は(1)になります。これらは会社の成長や発展に伴うリセットなので、実績は十分です。

一方、ネガティブな理由としては「免許失効」が挙げられます。更新手続きをうっかり忘れたり、何らかの理由で怠ったりして免許の期限が切れてしまうと、免許は失効します。その後、慌てて再取得すると番号は(1)に戻ります。不動産取引という高額な契約を扱うプロとして、自身の免許更新すら管理できない体制には不安が残ります。
番号が(1)の会社を見つけたときは、すぐに「経験・実績不足」と判断せず、ホームページの「会社概要」や「沿革」を確認してみましょう。
そこに古い創業年が書かれていれば、免許換えをしただけの実力ある会社である可能性が高いです。
免許番号の意味が分かったとしても、それだけで「優良業者」と断定するのは危険です。実は、国土交通省の公式データベースを使えば、その免許が現在も有効なのか、さらには過去に業務停止などの行政処分(法律違反)を受けていないかまで、誰でも無料で裏取りすることができます。
ここでは「検索システムを使った具体的な調査手順」と、検索結果で絶対に見落としてはいけない「行政処分歴のチェックポイント」を解説します。
不動産会社の情報は、国土交通省が提供している公式のデータベースを使えば、誰でも自宅から無料で簡単に調べることができます。
「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」というサイトにアクセスし「宅建業者検索」のメニューから、調べたい会社の「商号(会社名)」や「免許番号」を入力してみてください。検索システムで会社情報が表示されたら、以下の情報を確認してください。
もし、チラシやホームページに書かれている番号を入力しても情報が出てこない、あるいは情報が一致しない場合は、無免許営業の業者である可能性があります。そのような会社とは絶対に取引してはいけません。
検索システムを使う最大のメリットは、その会社の「過去の行政処分歴」をチェックできる点にあります。同じシステム内、または「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」を使うことで、過去5年間にその会社が受けた処分履歴を確認可能です。
処分には重さに応じて3つの段階があります。
| 処分の種類 | 信号 | 内容と理由 | 判断基準・リスク |
|---|---|---|---|
| 指示処分 | 黄信号 | 広告の記載ミスや重要事項説明の不備などに対し「業務を改善しなさい」と命じられる処分 | 内容を確認し、うっかりミスなど軽微なものであれば、改善されているかを確認した上で検討余地あり。 |
| 業務停止処分 | 赤信号 | 法律違反の内容が重く最長1年間の「業務停止」を命じられる処分 | 【要注意】 営業停止により経営(キャッシュフロー)に大打撃を受けている状態。直近でこの処分がある会社は、体制に深刻な問題があるため避けるのが賢明。 |
| 免許取消処分 | 黒信号 | 最も重い処分。悪質な違反により業界からの強制退場(免許取消)を命じられる | 【取引不可】 免許自体がなくなるため、そもそも営業ができなくなる。 |
数字だけでなく、こうした「現在の健全性」も必ずセットで確認するようにしてください。
ここまで免許番号の重要性をお伝えしてきましたが、「免許番号はあくまで最低条件であり、実力を保証するものではない」ということに注意してください。失敗しないための不動産選びのポイントを2点紹介します。
免許番号は、あくまで「不動産業を営んでも良い」という許可証に過ぎません。その会社に「あなたの物件を高く売る実力」があるかどうかは別問題です。例えば、免許番号が(10)を超えるような老舗の不動産会社があったとします。しかし、その会社が長年「アパートの賃貸管理」だけを専門に行ってきた会社だとしたらどうでしょうか。
あなたが「マンションの売却」を依頼しても、その会社はマンションを買いたい顧客のリストを持っておらず、売却のためのノウハウも不足しているかもしれません。
これでは、どんなに歴史があってもスムーズな売却は期待できません。
会社選びで大切なのは、歴史の長さだけでなく「売却の実績は豊富か」「自分の売りたい物件種別(マンション・戸建て・土地)に強いか」という専門性を、実際の販売実績ベースで確認することです。
最終的に信頼できるパートナーを見つけるためには、データ確認だけでなく、実際に複数の会社とコンタクトを取り、比較検討することが不可欠です。
1社だけに相談して決めてしまうと、その会社の査定額が適正なのか、提案内容が良いものなのかを判断できません。必ず、大手・地元密着型・中堅など、タイプの異なる複数の会社に査定を依頼し、以下のポイントを比較しましょう。
まず、提示された査定額について「なぜこの価格なのか」を論理的に説明できるか確認します。「高めにだしておきますね」ではなく、近隣事例などの根拠が必要です。次に、メリットだけでなく「売れ残った場合の値下げ戦略」や「税金の話」など、不都合なリスクについても誠実に説明してくれるかを見ます。そして、こちらの質問に対して即答できる知識があるか、連絡はスムーズかどうかも重要な判断基準です。
これらの「対応力」や「担当者との相性」は、実際に対話してみないと分かりません。無料の一括査定サービスなどを上手に活用して、効率よく複数の会社の実力をチェックし、あなたにとってベストな1社を見つけ出してください。
不動産会社の免許番号は、その会社の信頼性を測る「履歴書」のような存在です。正規業者の証であるだけでなく、カッコ内の数字から営業年数を読み取ることで、長年地域で信頼されてきた会社かどうかの判断材料になります。
ただし、番号が若くても「免許換え」による成長企業の可能性があるため、沿革や行政処分歴の確認も欠かせません。免許番号で最低限の安全性を確保した上で、最終的には複数の会社を比較して実力と相性を見極めることが、失敗しない売却への近道です。