実家を処分する7つの方法!売却・解体・活用から費用まで徹底解説

実家を処分する方法には、売却や解体などさまざまな選択肢があります。

ただし、どの方法を選ぶかは、建物や土地の状態を確認したうえで判断する必要があります。

また、そもそも処分行為を行うには、所有者本人でなければなりません。

さらに、実家を複数人で相続した場合には、処分行為でも全員の同意が必要など、注意すべき点も少なくありません。

本記事では、誰も使わなくなった実家の処分や活用方法、処分前にやるべきことなどについて詳しく解説します。

最後まで読むことで、実家の処分や活用に迷うことなく、不動産の状況に応じた最善の選択肢を選べるようになるでしょう。

実家を処分する7つの方法

はじめに、実家を処分する7つの方法について解説します。

まずは、実家の処分にはどのような選択肢があるのかを理解しておきましょう。

  • 売却(仲介・買取)
  • 解体して更地にする
  • 賃貸・民泊として活用する
  • 相続土地国庫帰属制度を利用する
  • 自治体に寄付する
  • 無償譲渡する
  • 相続放棄する

売却(仲介・買取)

実家を処分する方法の中でも、もっとも一般的なのが売却です。

売却で第三者に所有権を移すことで、実家を維持管理する手間がなくなります。

売却には、不動産会社を介して一般消費者と売買する「仲介」と、不動産会社が買主となり売買を進める「買取」があります。

仲介は、買主を探す手間があるため売却に時間がかかるケースが多いですが、市場価格に近い金額や高値売却できる可能性があることがメリットです。

一方で買取は、不動産会社が買主となり売買を進めるため、買主を探す手間がなく現金化が早いことがメリットですが、買取価格は市場価格の60%〜70%程度となります。

どちらを選ぶかは、高く売りたいか現金化を急ぐかで判断します。

解体して更地にする

実家の建物を解体して更地にする方法があります。

これは主に、建物の老朽化が進み居住が難しい場合に用いる方法です。

買主が土地の状態を確認しやすいので、一般的に売却しやすいことがメリットです。

一方で、多額の解体費用で経済的な負担がある点や、更地だと住宅用地の特例がなくなり固定資産税が約6倍に跳ね上がる点はデメリットです。

なお、解体費用は解体する建物の状況で変わります。

たとえば、間口が広い土地にある建物であれば、敷地内に重機が入りやすいので解体工事を効率よく進められます。

一方で、旗竿地などの間口が狭い土地や崖上の土地のように、重機が入りづらい土地は人手に頼る工程が多く、解体工事に時間がかかります。

解体工事にかかる費用は、時間と手間がどの程度掛かるかで変わるため、着手前に複数社へ見積もりを取りましょう。

更地にする場合は、解体費用の負担と税負担が急増するため、すぐに買い手が見つかる見込みがあるかなど、慎重な判断が必要です。

賃貸・民泊として活用する

実家を賃貸や民泊として活用する方法があります。

安定的に収入を得やすく、固定資産税などの支払いに充当できることがメリットです。

さらに、賃貸なら掃除などの維持管理を賃借人が行い、民泊なら管理会社が行うので、適度に人の出入りも確保できます。

これにより、適度にメンテナンスできるので建物自体が傷みにくいこともメリットと言えるでしょう。

一方で、賃貸だと修繕費の負担などで賃借人とトラブルが起きる可能性があります。

民泊では、住民からのクレームや室内を荒らされ備品を盗まれるなどのトラブルに遭う場合もあります。

また、民泊は「住宅宿泊事業法」により営業日数は原則年間180日以内と決められているなど、法的なルールが厳しい点にも注意が必要です。

(参考)住宅宿泊事業法

賃貸や民泊として活用する場合は、立地や需要、初期投資額などの要素をもとに慎重な判断が求められます。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度を利用して実家を処分できます。

これは、相続等により取得した土地が一定の要件を満たせば、国が引き取りを行う制度です。

(参考)法務省

申請先は、主に土地を管轄する法務局の不動産登記部門で、審査手数料は土地一筆当たり14,000円です。

また、審査に通り国庫帰属が承認された場合には、申請者は10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します。なお、引き取りができない土地の代表例としては、建物がある土地や他人の利用予定がある土地です。

(参考)制度の概要

法務省のホームページには先述のような却下要件や不承認要件が公表されているので、利用前に確認するとよいでしょう。

自治体に寄付する

自治体に寄付して処分する方法があります。

自治体が、公共性が高い土地(道路、公園、防災倉庫など)と判断した場合に寄付を受け入れてもらえる可能性があります。

寄付ができれば、固定資産税など維持管理の負担をなくせることがメリットです。

一方で、これら土地に該当するケースはほとんどなく、利用価値が低い不動産の引き取りに自治体は消極的です。

さらに、土地を引き取ることで自治体の税収(固定資産税など)が減るので、寄付できるハードルは非常に高いと理解しておきましょう。

道路拡張や公園の整備、公共設備の建設などで必要な土地であるなど、自治体にとってメリットがある場合を除き、実現は難しい方法です。

無償譲渡する

無償譲渡して処分する方法があります。

つまり、隣人や知人、NPO法人などにタダであげることです。

たとえば、隣接地の土地所有者に土地を拡張したいなどの考えがあれば、無償譲渡の交渉はしやすいでしょう。

また、法人についても事業を行うにあたってメリットが大きい不動産であれば、無償譲渡できる可能性があります。

ただし、不動産自体は無償譲渡できるものの、所有権の移転登記や贈与税が発生する可能性があり、不動産を受け取った側に費用負担が生じることが注意点です。

トラブル防止のために、受け取った側に費用負担が生じることを予め伝えておきましょう。

相続放棄する

相続放棄で実家を処分する方法があります。

相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きをすると実家を含む全財産を放棄できる制度です。

(参考)裁判所

これにより、不動産の維持管理の一切の責務から解放されます。

注意点は、実家だけの相続放棄はできず、預貯金や他の遺産も手放す必要があることです。

また、相続放棄を行ったとしても相続人が本人のみの場合、実家の管理責任は残ります。

他にも、以下の場合は相続放棄ができないので注意しましょう。

  • すでに財産を処分している
  • 遺産分割協議書に押印している
  • 3ヶ月の熟慮期間が経過している

相続放棄は、他の相続人との関係もあり慎重な判断が必要です。

実家の処分で最初にやるべきこと

ここまで、実家の処分方法に関して多くの選択肢があることがわかりました。

では、実家を処分したいときに最初にやるべきことは何になるのでしょうか?

本章では、以下のポイントについて解説します。

  • 建物・土地の現状を把握する
  • 名義を確認する
  • 家族間で方針を決める

建物・土地の現状を把握する

はじめに、建物・土地の現状の把握です。

実家処分の着手前は、主に以下の項目について確認しておきます。

建物の状態
  • 老朽化の程度
  • シロアリ被害
  • 傾きなど建物の状態
  • 接道状況
  • 再建築の可否
  • 境界の明確性

建物を見ることで、居住可能な状態であるか、賃貸等で活用するためのリフォームはどの程度必要かがわかります。

また、土地を見ることで解体工事のしやすさや再建築の可否、隣地との境界を確認できるなど、土地としての使いやすさや売却でかかる手間や難易度もわかります。

不動産の状態を把握しないまま売却を進めると、売れない、建て替えができない、想定外の修繕費がかかるなどのトラブルが起きる可能性があります。

そのため、土地や建物の確認は、専門家に調査依頼するのがおすすめです。

名義を確認する

次に、実家の土地や建物の名義が誰なのかを登記事項証明書で確認します。

実家を処分するには、所有者の意思が必要であるためです。

仮に名義が親など被相続人のままだと、売却や解体、契約行為を行えないため、名義変更登記が必要です。

なお、2024年4月より相続で名義変更があった場合には、相続登記(名義変更登記)が義務化されています。

相続完了後にも関わらず、親などの被相続人名義のまま放置すると10万円以下の過料の対象となります。

実家の処分行為ができるように、名義を必ず確認しましょう。

家族間で方針を決める

実家の処分に関する方針を家族間で決めておくことも欠かせません。

なぜなら、実家の処分は、兄弟など相続人全員の合意形成が必要だからです。

売却や賃貸に供する場合など、共有名義であれば全員の署名や同意が必要です。

解体費用や賃貸にする場合の初期費用の費用負担割合、遺品の扱い、売却資金の分配まで細部にわたり取り決めしておくことで、後々のトラブルを防げるでしょう。

実家の処分にかかる費用

では、実際実家の処分にはどのくらいの費用が掛かるのでしょうか?

本章では、3つの項目に分けて費用を解説します。

  • 売却費用
  • 解体費用
  • 遺品整理・残置物処分費用

売却費用

まずは、売却費用です。

たとえば、実家を仲介で売却すると以下の費用が発生します。

仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税(400万円以上の売買の場合)
(例)2,000万円で売却した場合の仲介手数料は726,000円
印紙税 令和9年3月31日まで軽減措置あり
・1,000万円超5,000万円以下の場合は、10,000円
・5,000万円超1億円以下の場合は、30,000円
・1億円超5億円以下の場合は、60,000万円
(参考)国税庁
抵当権抹消費用 住宅ローンが残っている場合、登録免許税の税額は不動産1個につき1,000円+司法書士の報酬で、20,000円程度が相場
(参考)抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税
測量費 境界が不明な場合、境界確定が必要。
費用は土地の広さや形状にもよるが50万円〜100万円程度

解体にかかる費用

建物の解体に掛かる費用は、主に建物の構造によって異なります。

構造 目安の金額帯
木造 坪3~5万円
鉄骨造 坪5~7万円
鉄筋コンクリート造(RC) 坪6~8万円

たとえば、30坪木造住宅の解体費用は、90万円〜150万円が目安です。

さらに、庭木の伐採や土地の整地などの作業があると別途費用が発生します。

また、重機が入りづらい狭小地や崖地などでは、解体や搬出を手作業に頼ることが多くなり、作業を効率よく進められないため、費用が1.5倍程度に跳ね上がる可能性もあります。

解体費用は建物の構造や土地の状況により大きく変わるため、複数社に見積もりを取り相場観などを掴むことが重要です。

遺品整理・残置物処分にかかる費用

最後に、遺品整理や残置物処分に掛かる費用です。

総務省の調査によると、遺品整理を業者に依頼した場合の費用相場は、10〜40万円とされています。

(参考)総務省

料金は遺品整理の手間や量により異なるため、複数社への見積もり取得がおすすめです。また、残置物処分についても物の量や室内の状態により変わります。

家具や家電、大型の日用品等が多くあれば、個人での片付けは手間や労力がかかるので処分は専門業者への依頼がおすすめです。

なお、残置物の処分費用についても、相場観がわかりづらいので複数社への見積もりを取るとよいでしょう。

実家を処分できない場合の対処法

立地が悪く売却が難しい、相続放棄もできないなど、さまざまな事情により実家を処分できないケースもあります。

このように実家を処分できないときには、以下4つの対処法がおすすめです。予め選択肢を多く持っておくことで、状況に応じた適切な判断ができるでしょう。

  • 不動産買取業者に買い取ってもらう
  • 空き家バンクを活用する
  • 訳あり物件専門業者に依頼する
  • 更地にして売却する

不動産買取業者に買い取ってもらう

1つ目は、不動産買取業者に買い取ってもらう方法です。

主に、仲介で売却できない場合に用います。

買取価格が一般的に市場価格の60%〜70%になることがデメリットですが、その代わりに3つの大きなメリットがあります。

  • 最短数日で現金化できる
  • 内覧対応が不要
  • 売主の契約不適合責任が免除される

買取は不動産買取業者が買主となり売買を進めていくので、買主を探す手間がなく売買を行えるため、最短1週間程度での現金化が可能です。

また、買主探しがないため内覧対応が不要、室内等に残置物があっても現況のまま売買を進められます。

最後に、売主の契約不適合責任が免除されるので引き渡し後の対応がなく安心です。

売れない状態で維持管理費を負担しながら所有し続けるのであれば、買取での処分は合理的な方法の一つです。

空き家バンクを活用する

次に、空き家バンクを活用する方法があります。

空き家バンクとは、自治体等が運営する空き家を売りたい人と買いたい人をマッチングするプラットフォームです。

無料で物件情報を掲載できるメリットがある一方で、自治体は積極的な営業活動をしないため売却が進みづらいというデメリットもあります。

購入希望者の内覧対応や価格交渉、トラブル対応などは原則所有者自身で行います。

なお、契約手続きや引き渡しなど専門的なノウハウや知識が必要な部分については、自治体が取引を仲介する不動産業者を紹介してもらえるケースもあります。

訳あり物件専門業者に依頼する

訳あり物件専門業者に売却を依頼する方法もあります。

訳あり物件専門業者とは、一般的には流通や取り扱い自体が難しい物件(再建築不可物件・事故物件など)を専門的に買い取る業者です。

通常の買取よりも、価格がさらに下がる可能性はあります。

しかし、訳あり物件は一般的な買取業者でも買取拒否されるケースが多いため、所有する実家に訳あり要素があり、一刻も早く現金化したい場合におすすめです。

買取では、原則1円でも高く買い取ってくれる業者が良いので、複数の訳あり物件専門業者をピックアップして買取査定を取得しましょう。

更地にして売却する

最後に、更地にして売却する方法です。

解体して更地にするメリットは、売却がしやすくなることです。

土地に古屋があると原則買主は引き渡し後に解体する必要がありますが、更地であれば解体する手間や費用負担がなく、工期も短縮できます。

また、更地であれば土地の状態や形状を買主が把握しやすく、新たな建物を建築するイメージもしやすくなるでしょう。

これら多くのメリットがあるため更地は売却がしやすく、古屋がある場合より高値で売れる可能性があります。

一方で、建物を解体すると住宅用地の特例(固定資産税の評価額が1/6になる制度)がなくなり、税負担が多くなるデメリットもあります。

解体後に買主が直ぐに見つかるような土地であるかは、地元の不動産業者などに相談してみるとよいでしょう。

実家の処分に相続が絡む場合の注意点

最後に、相続が絡む実家の処分において注意すべき点を解説します。

  • 法定相続人全員の合意が必要
  • 相続税と譲渡所得税がかかる場合がある
  • 相続を放棄できない場合がある

法定相続人全員の合意が必要

実家の処分に相続が絡む場合には、法定相続人全員の合意が必要です。

相続前であれば被相続人の意思のみで処分できますが、相続後は法定相続人全員の合意が不可欠となります。

兄弟等複数人で相続した場合には共有名義となりますが、実家の処分には相続人間の話し合い、及び意見の一致が必要で最終的には署名に残すことで後々のトラブルを防げます。

なお、相続人間で意見が対立すると実家の処分を進められません。

実家の処分は、公正証書遺言を作成するなど被相続人が生前に準備をしておくと円滑に進めやすくなります。

相続税と譲渡所得税がかかる場合がある

相続税と譲渡所得税がかかる場合があります。

相続税は、実家を含む遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に課税されます。

土地の相続税は路線価、建物の相続税は固定資産税評価額を用いて算出され、譲渡所得税は相続した実家を売却し、譲渡所得(利益)が出ると課税されます。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)

なお、譲渡所得税は、空き家の3,000万円特別控除や相続税の取得費加算の特例が適用できれば、軽減できます。

これらは、税制に関する知識が必要なため、税優遇を適用できるかは税理士への相談がおすすめです。

相続を放棄できない場合がある

相続放棄できない場合がある点にも注意が必要です。

相続放棄とは全ての相続財産を引き継がない制度ですが、以下の場合は相続放棄ができません。

  • 財産をすでに使用・処分している
  • 遺産分割協議書に印鑑を押している
  • 相続を知ってから3ヶ月(熟慮期間)が過ぎている

特に相続放棄は、相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要なため、迅速に動くことが必要となってきます。

参考:裁判所

まとめ

本記事では、売却や解体、活用などの実家の主な処分方法、および売却が難しい場合の対処法などをご紹介してきました。

実家の処分は相続絡みとなるケースが多く、兄弟など相続人全員の同意等やそもそも実家の処分方針について統一性を持つことが重要となってきます。

実家の処分前には、建物や土地の状況を把握する必要があるので、まずは不動産業者など専門家への相談がおすすめです。

関根 新
関根 新

【保有資格】
・宅地建物取引士

【経歴】
・2000年 帝京大学理工学部卒業
・2000年4月より、新卒にて不動産会社に就職
・2015年 現不動産会社に転職。
新築の販売、仲介、賃貸など多くのプロジェクトにて幅広く活躍。
2020年より、これまでの業界での経験を活かしたライター活動を始め、今日に至る。

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