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固定資産税の計算方法を徹底解説!マンション・戸建て別の具体例...
「二世帯住宅は売れない」「売却しにくい」という情報を目にして、将来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
戸建ての購入を検討する際、家族構成や将来のライフスタイルを考慮し二世帯住宅を選ぶ人も少なくありません。しかし近年では、二世帯同居のニーズが減少していることや、特殊な間取りが敬遠されやすいことから、二世帯住宅は売却しにくいといわれることが増えてきました。
ただし、すべての二世帯住宅が売却しにくいというわけではありません。「完全分離型」や「好立地」といった条件によって、売却がスムーズにできるケースも存在します。
本記事では、二世帯住宅が売れにくいといわれる理由や、売れない状態が続くリスクを整理したうえで、できるだけ早く売却するための具体的な方法を解説します。
なぜ二世帯住宅は売れにくいといわれるのでしょうか。主な理由は、以下の4つです。
本章では、一つ一つ詳しく解説していきます。
二世帯住宅が売れにくい根本的な理由として、二世帯のライフスタイルを選ぶ人が減少している点が挙げられます。
内閣府でまとめている「令和5年版高齢社会白書」によれば、1980年代まで全世帯の半数を占めていた三世帯同居は、2021年に全体の9.3%にまで減少しました。
一方で、夫婦のみの世帯(32.0%)や、夫婦と子などの単世帯(28.8%)が全体の半数以上を占めています。
このように、核家族化の進行やライフスタイルの多様化により、二世帯住宅のニーズは大きく縮小しています。その結果、二世帯住宅を探す人が少なくなり、売却が以前よりも難しくなっています。
二世帯住宅は生活する人が増える分、間取りや設備が特殊になるため、購入希望者とのニーズが合致しにくい点も売却の難易度が上がる理由です。
二世帯住宅は、生活空間の使い方によって主に以下の3つの型が存在します。
「完全同居型」は設備の数が最低限しかなく、二世帯以外にも転用しやすいですが、使わない部屋ができる可能性があります。
玄関などを一部共有する「一部共有型」も、単世帯には広すぎたり二世帯にはプライバシーが確保できなかったりと、中途半端な印象を与えやすいです。
一方、「完全分離型」は二世帯でも単世帯でも生活がしやすいものの、延べ床面積が広いため高額になりやすく、誰もが簡単に購入できるわけではありません。
このように、二世帯住宅の間取りや設備の特殊性が購入者のニーズと合致しにくいため、買い手が限られてしまうのです。
二世帯住宅は、建築時のコストが高くなりやすく、その分、売却時の価格設定が難しくなる傾向があります。
単世帯住宅と比較すると、キッチンや浴室といった水回りの設備を複数設置するケースが多く、生活する人数に合わせた部屋の広さや数を設けると延べ床面積が大きくなります。その結果、建築費用が単世帯の二軒分になるといった事例も少なくありません。
例えば、単世帯の注文住宅が2,000~3,500万円程度であるのに対して、一部共有型の住宅で2,500~4,500万円、完全分離型で3,500~6,000万円程度かかるケースも珍しくありません。
こうした高額な建築コストを売却時に回収しようとすると、売出価格も必然的に高くなり、結果として買い手から敬遠されやすくなってしまいます。
売り手の「売却理由」が買い手にとって心理的なハードルとなり、売却を難しくするケースもあります。
例えば、二世帯住宅が売りに出される背景として、親世帯と子世帯の家族関係の変化が関わっていることが多くあります。
そのため、購入を検討する側が、「親子関係がうまくいかなかったのではないか」「家族間で何かトラブルがあったのではないか」とネガティブな印象を抱いてしまうことがあります。
このような心理的な抵抗感や不信感が購入判断を鈍らせ、結果として二世帯住宅の売却を一層難しくする要因となっています。
二世帯住宅には売れにくい理由がある一方で、スムーズに売却できる物件も存在します。こうした物件に共通するのは、二世帯住宅特有の構造的な課題を補える、明確な付加価値を備えている点です。
具体的には、次のような特徴が挙げられます。
これらの特徴を備えた物件は、購入検討者の幅が広がり、特定の層に限定されずにアピールできるため、売却の可能性が高まります。
本章では、それぞれの特徴を解説していきます。
二世帯住宅を売却するうえで重要なのは、単世帯向けの住宅としても無理なく暮らせる間取りであることです。
玄関から生活空間が完全に分かれている「完全分離型」の住宅は、買い手の幅が大きく広がります。二世帯の同居を考えている人だけでなく、単世帯でも人数が多い家庭や来客が多い家庭にとっても、魅力的に感じる間取りです。
また、生活空間は完全に分離されていても、内階段やドアで行き来できる間取りであれば、さらに活用の選択肢は広がります。
このように間取りを工夫するだけで、「部屋数が多く利便性の高い一戸建て」として売却のチャンスを増やせるでしょう。
玄関や水回りが完全に独立している完全分離型の二世帯住宅であれば、「賃貸併用住宅」として不動産投資家向けにアピールできる可能性があります。
例えば、片方の世帯空間で自身が生活し、もう一方の空間を賃貸住宅とすることで家賃収入を得ながら生活するといった活用法が考えられます。
また、建物を2棟に分けて登記することで、相続時に「小規模宅地等の特例」をそれぞれの世帯で適用でき、節税のメリットが見込めるケースもあります。
立地条件の良さも、住宅を売却するうえで強力な武器となります。
国土交通省が公表している「令和6年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅選択の決め手として「住宅の立地環境がよかったから」という回答が32.6%ありました。この結果からも、多くの人が立地条件を重視していることが分かります。
具体的な立地条件としては、以下のようなものが挙げられます。
上記のような好条件な立地にある家であれば、間取りが特殊な二世帯住宅でも買い手が見つかる可能性が格段に高まります。
二世帯住宅をできる限り早く売却するためには、物件が抱える課題を解消し、価値を正しく伝える工夫が必要です。
具体的には、以下の7つの方法が有効です。
これらの対策は、買い手の不安要素を取り除き、売却活動をスムーズにする役割を果たします。
本章では、それぞれを詳しく解説していきます。
二世帯住宅の売却において、まず着手すべきなのが権利関係の整理です。
世帯数が増えて関係者が増えるほど権利関係は複雑になりやすいため、売却活動を始める前に確認と整理を行いましょう。
特に、相続登記と共有名義は慎重に確認しなければいけません。
2024年4月から、相続登記が義務化されました。法務省によれば、相続を知った日から3年以内に登記をしなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。
売却を検討している住宅が親から相続した物件などの場合は、速やかに名義変更を行ってから売却活動に移りましょう。
また、親子の共有名義になっている場合は、売却する際に共有者全員の同意が必要です。事前に話し合いの場を設けて売却の意志を確認するとともに、手続きの代表者や売却金額の分配方法などを書面に残しておくと、トラブルを防止できるでしょう。
市場相場に合わせた適切な価格設定も重要です。
建築コストが高くなりやすい二世帯住宅は、売り手として「建築費用を回収したい」という心理になりやすく、価格を高く設定してしまう傾向があります。
しかし、買い手からすれば「中古物件」という認識が強く、市場価値で物件を判断するため、相場を大きく上回った価格にすると検討外となってしまいます。
特に、築年数が経過している住宅は、不動産会社に正確な査定をしてもらいましょう。
複数の会社に依頼して、より客観的な市場価値を把握することが重要です。
不動産の売却活動では、どの不動産会社に依頼するかも大切にしたい観点です。
二世帯住宅の売却実績が豊富な会社であれば、以下のような物件の特性を活かした販売戦略を持っているため、売却に至る可能性が高くなります。
二世帯住宅の売却実績がない不動産屋では、このような戦略をもっておらず「売れにくい」という固定観念から販売活動を積極的に行わないケースもあります。
複数の不動産会社に相談し、具体的な戦略を提示してくれるような信頼できる会社を選ぶと良いでしょう。
間取りの特殊性がネックになりそうな住宅の場合は、売却活動の前にリフォームをすることもお勧めです。
例えば、キッチンが2つあるなら1つを撤去して収納スペースを設けたり、世帯を隔てている壁をなくして広く開放的なLDKを作ったり、というアイデアが考えられます。
工夫次第では単世帯のファミリー層にも魅力的な物件になりやすく、さらに「リフォーム済み」というアピールポイントも生まれます。
ただし、リフォームにかかる費用は十分に検討する必要があるので、不動産会社など専門家に相談するようにしましょう。
「完全分離型」の二世帯住宅の場合は、特殊性を強みに賃貸併用住宅や収益化物件として、投資家向けに売り出す戦略を検討してみましょう。
マイホームを検討している人に、家賃収入が得られることをメリットとしてアピールすることもできます。
ただし、この戦略は、賃貸需要が高いエリアや、駅・商業施設に近いなど立地条件が良い場合に有効です。周辺環境や、近隣の家賃相場などを不動産会社に相談しながら確認しておきましょう。
築年数が経過している場合、買い手は建物の劣化や耐久性に大きな不安を感じる傾向があります。
不安を払拭し安心して購入してもらうために有効なのは、建物の安全性を客観的に証明することです。
具体的には、国土交通省で定めている「既存住宅状況調査(インスペクション)」を実施するとよいでしょう。
「既存住宅状況調査」とは、専門家が建物を調査して構造の欠陥や雨漏りの有無といった状態を診断するものです。
調査にかかる費用は6万円程度が目安となります。
調査結果を売却時に提示することで、買い手は建物の状態を正確に知ることができ、不安要素を解消したうえで判断ができます。
なかなか買い手が見つからない場合や、早期売却をしたい場合には、「買取」や「等価交換」という選択肢があります。
「買取」とは、不動産会社が物件を直接買い取ってくれる方法で、確実に売却したい人にお勧めです。売却価格は市場の7~8割程度になってしまいますが、数週間ほどで現金化でき、売却後の欠陥に対する責任が免除されるなどのメリットもあります。
一方で「等価交換」とは、土地を提供する代わりにデベロッパーから新築マンションの一部を取得する方法で、立地条件が良い場合に検討できます。
仲介を通して売りに出している間にも維持費や固定資産税は発生するので、売却が長期化する場合の選択肢として視野に入れておくとよいでしょう。
二世帯住宅が売れないからといって放置してしまうと様々なリスクが生じるため、注意が必要です。
具体的には、以下のリスクが考えられます。
これらのリスクは、時間の経過とともに深刻化するケースが多いため、早期対処が必要です。
本章では、これらのリスクについて詳しく解説します。
二世帯住宅を所有しているだけで、固定資産税や都市計画税といった税金の負担が続きます。二世帯は延べ床面積が大きくなる傾向にあるため、税額も高額になりやすいです。
さらに、売却を検討するなら、空き家であっても資産価値を維持するため定期的な清掃や庭の手入れ・換気・設備点検といった管理が欠かせません。
すでに別の場所に住んでいる場合、新居のランニングコストと二重に費用がかかるため、経済的な負担が大きくなってしまいます。
家は人が住まなくなると、日常的な掃除も行わなくなるため、老朽化の進行が加速します。
例えば、換気が行われないため湿気が充満してカビが発生したり、害虫や害獣が侵入したりする可能性が考えられます。
売却活動を始めて数か月間は大きく手を加えずに売りに出せる物件も、数年間放置するだけで、大規模なリフォームや修繕が必要になるケースも少なくありません。
近年、空き家問題を背景に法改正が進んでいるため、売却できずに放置するリスクが高まっています。
法務省によれば、2024年4月から相続登記が義務化され、相続開始を知った日から3年以内に登記をしなければ、10万円以下の罰金が科せられます。
さらに、国土交通省が2023年12月に施行した改正空家法により、「管理不全空家」とみなされ自治体から勧告を受けると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなります。
軽減措置がなくなると、税額が最大で6倍に増加する恐れがあり、空家を放置する重大なリスクとなっています。
本記事では、二世帯住宅が売却しにくいと言われる理由や、スムーズに売却するための確認事項、放置するリスクについて解説しました。
二世帯住宅の売却は、ニーズの減少や特殊性から難しい側面がありますが、工夫や戦略を施すことで買い手を見つけることは可能です。
一方で、近年の法改正の動きを見ると、空き家として放置するリスクが非常に高く、所有者への負担が大きくなっています。
不動産会社など信頼できるプロに相談して、早めに売却を進めることが重要です。