不動産の売却にかかる期間の平均は?流れや長引く時の対処法も紹介

住み替えや相続などで不動産の売却を検討した時に、「現金化までにどのくらいの期間がかかるのか」「いつから動き出せばよいのか」とスケジュールに不安を感じる人もいることでしょう。

一般的に、不動産売却は相談から最終的な引渡しまで、トータルで5ヶ月〜6ヶ月の期間が必要です。売り出しから成約までの「売却活動期間」に限ると、首都圏中古マンションの平均は85.3日(約2.8ヶ月)、中古戸建てはそれより長く97.3日(約3.2ヶ月)が目安です。(参照元:首都圏不動産流通市場の動向(2024年)

ただし、売買契約が成立した後も、買主の住宅ローン審査などの手続きがあるため、引渡しまでにさらに1〜2ヶ月の期間が必要となる点に注意しなければなりません。

本記事では、物件種別ごとの平均売却期間や具体的なスケジュールの流れ、早期売却を実現するためのテクニックなどを解説します。

不動産の売却にかかる期間は物件の種類によって異なる

売却活動を開始(市場へ公開)してから、買主と売買契約を結ぶまでの売却活動期間の目安は、以下の通りです。

マンションの売却期間の目安 約3〜4ヶ月
戸建ての売却期間の目安 約6ヶ月

不動産売却にかかる期間は、物件の種別によって傾向が異なります。一般的にマンションの方が早く売れ、戸建ては長期化しやすい傾向があります。

マンションの平均売却期間

マンションの売却期間は、戸建てに比べて短い傾向で、おおよそ3ヶ月程度が一般的な目安とされています。首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」では、売りに出されてから成約に至るまでの平均日数は85.3日(約2.8ヶ月)となっています。

戸建てに比べてマンションの方が早く売れる背景には、マンションという物件の特性が大きく関係しています。マンションは「広さ(㎡数)」「築年数」「駅からの徒歩分数」といったスペックが規格化されており、同じマンション内の別の部屋や、近隣の競合物件との比較が容易です。

そのため、買主は条件整理や決断をしやすく、結果として成約までの期間が短縮される傾向にあります。

ただし、あくまで平均値であり、エリアの需給バランスや売り出し価格の設定によっては、3ヶ月を超えるケースもあるため、余裕を持ったスケジュールが求められます。

戸建ての平均売却期間

中古戸建ての売却期間は、マンションよりも長くなる傾向が強く、約6ヶ月程度を目安として考えておく必要があります。首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」では、成約までの平均日数は97.3日(約3.2ヶ月)で、マンションと比較しても成約までに時間を要していることがわかります。

戸建ての場合、土地の形状や道路付け、日当たり、建物の構造、リフォーム履歴など、確認すべき個別要素が多岐にわたります。

買主はこれらの条件を慎重に比較検討するため、購入の意思決定までに時間がかかるのが一般的です。

また、隣地との境界確認などの権利関係の整理が必要になるケースも少なくありません。マンションの売却と同じ感覚で住み替え計画を立ててしまうと、想定以上に時間がかかり、新居の購入時期とズレが生じるリスクがあるため、より長期的な視点で準備する必要があります。

不動産売却の流れと期間の目安

項目 目安期間
STEP1 相談から売却活動の開始 数週間〜1ヶ月程度
STEP2 売却活動から売買契約 3ヶ月程度
STEP3 売買契約から引渡し 1〜2ヶ月程度

不動産売却の期間は、相談から最終的な引渡しまで一般的に5ヶ月〜6ヶ月、あるいはそれ以上が必要です。全体の流れを3つのステップに分けて解説します。

【STEP1】相談から売却活動の開始(数週間〜1ヶ月程度)

売却を決意してから実際に市場へ売り出すまでの準備期間として、数週間から1ヶ月程度が必要です。このステップには以下3つが含まれ、次のステップをスムーズに進めるための重要な助走期間とも言えます。

  1. 不動産会社を比較検討し、信頼できるパートナーを選ぶ
  2. 依頼する会社が決まったら、売却活動の条件を定めた媒介契約を締結する
  3. 必要書類を集め、広告掲載の準備を整える

急いで売り出したい場合でも、正確な査定と販売戦略、丁寧な準備をおろそかにしてはいけません。

まず、不動産会社へ査定(訪問査定など)を依頼し、提示された査定価格や販売戦略の説明を受けます。この段階では、複数の不動産会社を比較検討し、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。

依頼する会社が決まったら、売却活動の条件を定めた媒介契約を締結し、販売図面の作成や物件写真の撮影、権利証や測量図といった必要書類の収集などを行い、広告掲載の準備を整えます。魅力的な写真を用意できるかどうかが後の反響を左右することも覚えておきましょう。

【STEP2】売却活動から売買契約まで(3ヶ月程度)

物件情報をレインズやポータルサイトで公開し、購入希望者の内覧対応を行ってから売買契約を結ぶまでの期間です。このステップが一般的に「売却期間」としてイメージされるプロセスの中心で、3ヶ月程度が目安となります。

point
3ヶ月という期間は、単なる目安であるだけでなく、法律上の意味も持っています。宅地建物取引業法において、特定の不動産会社に依頼する「専任媒介契約」および「専属専任媒介契約」の有効期間は、最大で3ヶ月と定められているからです。そのため、不動産会社は3ヶ月以内での成約を目標に営業活動を行います。

もし3ヶ月以内に成約に至らない場合は、販売価格の見直しや、不動産会社との媒介契約の更新(または他社への切り替え)を検討する重要なタイミングとなります。

【STEP3】売買契約から引渡しまで(1〜2ヶ月程度)

契約成立後、物件の引渡しと残金決済が完了するまでには、さらに1ヶ月から2ヶ月程度の期間が必要です。売買契約を締結したからといって、その日のうちにすぐに売却代金が手に入るわけではありません。

売買契約後、買主は住宅ローンの本審査を金融機関に申し込みます。審査が承認されて初めて、銀行からの融資が実行され、売主への残金支払いが可能になります。

また、売主側もこの期間中に引っ越しの完了や、抵当権抹消手続きのための司法書士との調整などを進めなければなりません。

住み替え資金として売却代金を当てにしている場合は、契約日ではなく、引渡し日(決済日)を基準に資金計画を立てることがポイントです。

不動産の平均売却期間を早めるための7つのテクニック

少しでも早く不動産を売却したい場合、漫然と待っているだけでは期間を短縮することはできません。市場のメカニズムや制度を理解し、戦略的に動きましょう。ここでは、不動産の平均売却期間を早めるための7つのテクニックを紹介します。

価格重視 相場より5%〜10%低く設定して競合エリアで勝つ
物件条件別 「専任」と「一般」を物件の人気度で使い分ける
印象アップ プロによるホームステージングや徹底清掃を行う
機会損失防止 「囲い込み」を防ぐためにレインズ登録証明書を確認する
期限優先 買取保証付きの売却でデッドラインを確定させる
手続き短縮 電子契約対応の会社を選んで契約期間を圧縮する
マッチング重視 そのエリアでの不動産売却を得意とする会社を選ぶ

相場より5%〜10%低く設定して競合エリアで勝つ

最も確実で即効性のある期間短縮の方法は、販売価格の設定を見直すことです。特に、似たような条件のマンションや戸建てが多く売り出されている競合エリアでは、相場価格よりも5%〜10%程度安く設定することで、ポータルサイトでの検索順位や閲覧数が向上します。

首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」でも、成約に至った物件の価格は、売り出し開始時の価格よりも低い傾向です。また、成約までの期間が短い物件ほど、相場に対して割安な価格で決まっているという相関関係も見られます。

「少しでも高く売りたい」という希望を一度脇に置き、「確実に早く手放す」ことに特化する場合、価格戦略は避けて通れない最優先のテクニックといえます。

「専任」と「一般」を物件の人気度で使い分ける

不動産会社との契約形態である媒介契約を、物件の特性に合わせて使い分けることも早期売却のポイントです。

一般媒介契約 黙っていても購入希望者が集まる物件におすすめ
(例:駅近、築浅、人気エリア など)
専任媒介契約または
専属専任媒介契約
購入希望者が集まりにくい物件におすすめ
(例:郊外、築古、個性が強い物件 など)

複数社に依頼できる一般媒介契約では、購入希望者が集まる物件の場合におすすめで、複数の会社に競争させることで、市場への露出を一気に増やし、瞬間的な成約を狙うことが可能です。

1社に依頼する専任媒介契約や専属専任媒介契約は、一般的に売れにくいとされる物件の場合におすすめです。1社に責任を持たせることで、丁寧な販売図面の作成や、法的な報告義務に基づいたきめ細かな営業活動が期待できます。埋もれがちな物件をしっかりとアピールして成約へ繋げる場合に有効なケースが多いです。

プロによるホームステージングや徹底清掃を行う

内覧時の第一印象を良くするために有効なのが、ホームステージングや徹底的な清掃です。購入希望者は、玄関に入った瞬間の最初の数秒の印象で購入可否を直感的に判断する傾向があります。

内覧時の第一印象を良くするポイント
  • 居住中の場合は、不用品を徹底的に減らして空間を広く見せることが基本
  • 空室の場合は、家具や小物を配置してモデルルームのように演出する「ホームステージング」の導入がおすすめ
  • 水回りは、清潔感を出すためにプロのハウスクリーニングを入れるのがおすすめ

ホームステージングや徹底的な清掃は、結果として成約までの期間短縮につながる費用対効果の高い投資となります。

「囲い込み」を防ぐためにレインズ登録証明書を確認する

依頼した不動産会社が、自社の利益(両手仲介)を優先するために、他社からの購入申し込みを意図的にブロックする「囲い込み」を行っていると、売却期間は長期化します。

囲い込みを防ぐためにも、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合は、必ず不動産会社から「レインズ登録証明書」を受け取り、自分の物件が正しくレインズに登録されているかを確認してください。

以下の状況の場合、担当者に強く改善を求めるか、契約期間満了を待たずに業者変更を検討することをおすすめします。

  • 法律で定められた定期的な業務報告書の内容が薄い
  • 内覧希望が極端に少ない

買取保証付きの売却でデッドラインを確定させる

「〇月までに現金化できなければ新居の支払いに間に合わない」といった明確な期限がある場合、「買取保証」サービスの利用を検討しましょう。

買取保証付きの場合、一定期間は通常の仲介活動で高値売却を目指し、万が一期間内に売れ残った場合には、あらかじめ約束した価格で不動産会社が買い取るという仕組みです。

買取保証のデメリット 最終的な買取価格が市場相場の7〜8割程度になる
買取保証のメリット 売れ残る恐怖を完全に解消できる

期間内に確実に決済を完了させたい売主にとって、精神的な安定と資金計画の確実性を担保する保険的なテクニックといえます。

電子契約対応の会社を選んで契約期間を圧縮する

2022年の宅地建物取引業法改正により、不動産取引における電子契約が全面解禁されました。そのため、電子契約に対応している不動産会社を選ぶことで、契約手続きにかかる物理的な時間を圧縮できます。

従来の書面契約では、契約書の製本、郵送、関係者全員のスケジュールを調整して対面での署名・捺印など、手続きだけで数日から1週間程度の時間を要していました。電子契約であれば、オンライン上で手続きが完結するため、これらの時間を大幅にカットでき、最短で即日の契約締結も可能です。

特に遠方の物件を売却する場合や、売主・買主ともに多忙で対面の日程調整が難しいケースでは、スムーズな取引進行に大きく寄与します。

なお、不動産売買においては、電子契約に対応している会社がまだ少ない傾向です。電子契約の対応可否は、問い合わせ時に相談してみると良いでしょう。

マッチング重視そのエリアでの不動産売却を得意とする会社を選ぶ

売却期間を短縮するためには、その物件があるエリアや物件種別での直近の売却実績が豊富な会社を選ぶことが重要です。

実績のある不動産会社は、単に広告を出すだけでなく、「このエリアで3LDKのマンションを探している」「学区限定で戸建てを探している」といった具体的な購入希望者の顧客リストを豊富に保有しています。そのため、レインズやポータルサイトへ情報を公開する前の段階で、既存の顧客に直接物件を紹介し、水面下でマッチングが成立するケースも少なくありません。

ゼロから買主を探す時間を大幅に省略できるため、不動産会社選びは重要なポイントとなります。売却実績が豊富な会社を効率よく探すなら、一括査定サイトの活用が最短ルートです。

不動産の売却が長引くとどうなる?

  • 物件の印象が悪化する
  • 維持費や税金がかかり続ける
  • 最終的に値下げが必要になる

不動産売却が想定よりも長引いてしまった場合、単に時間がかかるだけでなく、経済的・心理的なデメリットが発生します。ここでは、売却が長引くことがもたらす3つのリスクを解説します。

物件の印象が悪化する

物件情報が長期間ポータルサイトに掲載され続けていると、購入検討者から「何か売れない理由があるのではないか」「人気のない物件だ」というネガティブなレッテルを貼られやすくなります。

不動産市場では、新規公開直後が最も注目度が高く、時間が経つにつれて閲覧数が減少していくのが一般的です。一度「売れ残り物件」というイメージが定着してしまうと、新鮮味が失われ、さらに問い合わせが減るという悪循環に陥ります。こうなると、購入希望者から足元を見られ、強気な価格交渉をされやすくなるリスクも生じます。

維持費や税金がかかり続ける

売却が完了(引渡し)するまでの間、不動産の所有者は依然として売主です。そのため、売れない期間中も、固定資産税や都市計画税といった税金の負担が続きます 。

特にマンションの場合、誰も住んでいなくても毎月の管理費や修繕積立金を支払い続けなければなりません。もし既に新居へ引っ越している場合、旧居の維持費と新居の住居費(住宅ローンや家賃)が二重にかかることになり、家計を大きく圧迫します 。

さらに、空き家期間が長引けば、換気不足による室内のカビ発生や設備の劣化が進むリスクもあり、定期的な通風などの維持管理の手間も無視できない負担となります。

最終的に値下げが必要になる

売れ残りの期間が続くと、不動産会社から現状打破のために価格の値下げを提案されることが多くなります。また、売主自身も「早く手放して資金を確保したい」という焦りが生じやすくなります。

その結果、当初想定していた価格よりも大幅に安い価格で妥協せざるを得なくなったり、買主から厳しい値下げ交渉をされても断れなくなったりする可能性が高まります。

時間をかければ高く売れるとは限らず、長期化が結果的に「当初の適正価格よりも安値での売却」という資産価値の目減りにつながるケースがあることを理解しておく必要があります。

不動産の売却が長引く原因

  • 売り出し価格が相場より高い
  • 立地や条件が悪い
  • 不動産会社の販売活動が適切でない

売却が長引く背景には、主に3つの原因があります。事前に把握しておくことで対策を講じましょう。

売り出し価格が相場より高い

売却が停滞する原因は、設定した販売価格と市場相場のミスマッチです。

売主としては「少しでも高く売りたい」と考えるのが自然ですが、期待が強すぎて相場とかけ離れた価格を設定してしまうと、買主の検討対象に入らず、内覧の申し込みすら入りません。

首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」でも、成約までが長い物件ほど単価が高く、早く売れている物件は相場に対して割安であるという傾向が見られます。

適正価格への修正が遅れるほど、売れ残りのリスクは高まることを覚えておきましょう。

立地や条件が悪い

駅から遠い、築年数が古い、日当たりが悪いといった物件固有の条件は、売却期間を長期化させる要因です。

購入者は予算(価格)にはある程度妥協しても、立地や周辺環境などの条件を重視する傾向があります。「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」によると、住宅選択において妥協した点として「価格」が挙げられる一方、立地は重視される傾向にあります。

条件が不利な物件を売る場合は、価格で明確な優位性を持たせるか、リフォームなどでマイナス要素を補うための戦略的な工夫が必要です。

不動産会社の販売活動が適切でない

物件自体に問題がなくても、依頼した不動産会社の活動量や質が不足していると売却は進みません。例えば、レインズへの登録を怠っている、ポータルサイトに掲載する写真が暗くて魅力がないことや、販売図面のアピールポイントが不十分であるといったケースです。

また、囲い込みによって情報を意図的に遮断されている場合も同様です。担当者からの報告頻度が低い、あるいは具体的な改善提案がない場合は、パートナー選びに失敗している可能性があり、長期化の直接的な原因となっていることがあります。

まとめ

不動産売却にかかる期間は、全体で5〜6ヶ月、売却活動のみではマンションで約3ヶ月、戸建てで約6ヶ月が一般的な目安です。ただし、あくまで平均であり、価格設定や物件条件、依頼する不動産会社の力量によって大きく変動します。

長引くリスクを回避し、希望の期間内で売却を完了させるためには、相場に基づいた適切な価格設定を行い、物件の特性に合った媒介契約を選ぶことがポイントです。

関連記事