登録免許税の計算方法は?税率一覧や軽減措置をわかりやすく解説
不動産を購入したり、相続で名義を変更したりするとき、「登録免許税」という税金がかかります。聞き慣れない名前のため、「いくらかかるの?」「どうやって計算するの?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
登録免許税の基本の計算式は「課税標準額 × 税率」です。ただし、登記の種類(売買・相続・贈与など)によって税率が異なり、一定の条件を満たせば軽減措置も受けられます。
この記事では、登録免許税の計算方法をケース別にわかりやすく解説します。税率の一覧表や具体的な計算例も掲載していますので、ご自身のケースに当てはめて税額を確認してみてください。
※本記事の税率・軽減措置の情報は2026年4月時点のものです。税制改正により変更される場合があります。最新情報は国税庁「登録免許税の税額表」でご確認ください。
登録免許税の計算方法と基本の計算式
登録免許税とは、不動産の所有権や抵当権などの権利を登記する際に国に納める税金です。登記を申請するタイミングで納付します。
計算式は以下のとおりです。
登録免許税の計算式
登録免許税 = 課税標準額 × 税率
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税標準額 | 固定資産税評価額(※1) |
| 税率 | 登記の種類に応じて0.1%〜2.0%(※2) |
※1新築建物で固定資産税評価額がまだ付いていない場合は、法務局が「新築建物課税標準価格認定基準表」をもとに認定した価格を使います。一般の方が自分で正確な基準価格を計算するのは難しいため、家を建てるハウスメーカーや、登記手続きを依頼する司法書士におおよその税額の目安を確認するのが確実です。
※2抵当権抹消登記など、税率ではなく定額(不動産1個につき1,000円)で課税されるケースもあります。
なお、課税標準額の1,000円未満は切り捨て、算出した税額の100円未満も切り捨てます。端数処理の詳しいルールは後半の「計算で間違いやすいケース別の注意点」で解説しています。
【ケース別】登録免許税の税率と軽減措置一覧
登記の種類ごとに、本則税率と軽減税率をまとめると以下のとおりです。
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 | 軽減の適用期限 |
|---|---|---|---|
| 所有権保存(住宅用家屋) | 0.4% | 0.15% | 2027年3月31日まで |
| 所有権移転・売買(住宅用家屋) | 2.0% | 0.3% | 2027年3月31日まで |
| 所有権移転・売買(土地) | 2.0% | 1.5% | 2029年3月31日まで |
| 所有権移転(相続) | 0.4% | — (軽減なし) |
— |
| 所有権移転(贈与) | 2.0% | — (軽減なし) |
— |
| 抵当権設定 | 0.4% | 0.1% | 2027年3月31日まで |
| 抵当権抹消 | 不動産1個につき1,000円(定額) | — | — |
建物の軽減税率は、自己居住用の住宅用家屋が対象です。事業用の建物や投資用物件には適用されません。
土地の軽減税率(1.5%)は令和8年度(2026年度)税制改正で3年延長され、2029年3月31日まで適用されます。
以下、ケースごとに税率と計算例を詳しく見ていきましょう。
新築住宅を購入・建築したとき(所有権保存登記)
新築の建物を初めて登記する「所有権保存登記」には、本則0.4%の税率がかかります。ただし、自分が住むための住宅で一定の要件を満たせば、0.15%に軽減されます。
さらに、以下の住宅はより低い税率が適用されます。
| 住宅の種類 | 軽減後の税率 |
|---|---|
| 一般の住宅(要件を満たすもの) | 0.15% |
| 認定長期優良住宅 | 0.1% |
| 認定低炭素住宅 | 0.1% |
仮に固定資産税評価額が1,500万円の新築住宅の場合、登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 固定資産税評価額1,500万円の新築住宅(一般)の場合
- 本則:1,500万円 × 0.4% = 6万円
- 軽減後:1,500万円 × 0.15% = 2万2,500
なお、軽減措置の主な適用要件は、以下のとおりです。
- 自分が住むための住宅であること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること
- 新築または取得後1年以内に登記すること
要件を満たしており軽減措置を受けたい場合は、住宅の所在する市区町村で「住宅用家屋証明書」を取得し、登記申請書に添付して提出しましょう。

軽減措置の適用期限は2027年3月31日までです。
中古住宅を購入したとき(所有権移転登記)
中古住宅を売買で取得し、所有権を移す「所有権移転登記」には、本則2.0%の税率がかかります。軽減措置が適用されると0.3%まで引き下げられます。
仮に固定資産税評価額が1,000万円の中古住宅の場合、登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 固定資産税評価額1,000万円の中古住宅の場合
- 本則:1,000万円 × 2.0% = 20万円
- 軽減後:1,000万円 × 0.3% = 3万円
軽減税率が適用されるか否かで17万円もの差が出ます。
軽減措置の主な適用要件は以下のとおりです。要件を満たす場合は、軽減措置を受けるための手続きをしましょう。
- 自分が住むための住宅であること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること
- 取得後1年以内に登記すること
- 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された住宅、または新耐震基準に適合していること
新築住宅と同様、住宅の所在する市区町村で「住宅用家屋証明書」を取得して登記申請書に添付すれば大丈夫です。
なお、宅地建物取引業者がリノベーションした住宅(買取再販住宅)を購入する場合は、税率がさらに0.1%に引き下げられる特例もあります。

軽減措置の適用期限は2027年3月31日までです。
土地を購入したとき(所有権移転登記)
土地を売買で取得した場合の所有権移転登記には、本則2.0%の税率がかかります。軽減措置により1.5%に引き下げられます。
仮に固定資産税評価額が2,000万円の土地の場合、登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 固定資産税評価額2,000万円の土地の場合
- 本則:2,000万円 × 2.0% = 40万円
- 軽減後:2,000万円 × 1.5% = 30万円
なお、建物の軽減措置を受けるために必要な「住宅用家屋証明書」のような特別な書類は、土地の場合は不要です。適用期限までに登記申請を行えば、自動的に軽減税率で計算されます。

土地の軽減措置は、令和8年度税制改正により2029年3月31日まで延長されました。住宅の軽減措置(2027年3月31日まで)より2年長く適用されます。
不動産を相続したとき(所有権移転登記)
相続による所有権移転登記の税率は0.4%です。売買の場合(2.0%)と比べると低い税率が設定されています。なお、相続の場合、税率を引き下げる軽減措置はありません。
仮に固定資産税評価額が2,500万円の不動産を相続した場合、登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 固定資産税評価額2,500万円の不動産を相続した場合
2,500万円 × 0.4% = 10万円
ただし、一定の条件を満たす土地については登録免許税そのものが免除される免税措置が設けられています(適用期限:2027年3月31日まで)。
| 要件 | 免税措置の詳細 |
|---|---|
| 100万円以下の土地の場合 | 相続する土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合、登録免許税が免除されます。土地が複数ある場合は、1筆ごとに100万円以下かどうかを判断します。 |
| 数次相続の場合 | 相続で土地を取得した人が、登記をしないまま亡くなった場合(いわゆる数次相続)、先に亡くなった方の名義にするための土地の登記は登録免許税が免除されます。なお、建物は対象外です。 |
いずれの免税措置も、登記申請書に免税の根拠となる法令の条項を記載する必要があります。記載をしないと免税を受けられないため注意しましょう。
| 要件 | 登記申請書に記載する一文 |
|---|---|
| 100万円以下の土地の場合 | 租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税 |
| 数次相続の場合 | 租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税 |
なお、2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。
参考:不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始!|政府広報オンライン
不動産を贈与されたとき(所有権移転登記)
贈与による所有権移転登記の税率は2.0%で、軽減措置はありません。相続の場合(0.4%)と比較すると5倍の税率がかかる点は、生前贈与を検討する際に把握しておきたいポイントです。
仮に固定資産税評価額が2,000万円の不動産を贈与された場合、登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 固定資産税評価額2,000万円の不動産を贈与された場合
2,000万円 × 2.0% = 40万円
同じ不動産を相続で取得した場合は「2,000万円 × 0.4% = 8万円」で済むため、登録免許税だけで32万円の差が生じます。
生前贈与には「相続時精算課税制度」の活用による贈与税の軽減や、早期に名義を移せるメリットもあります。
しかし、登録免許税や不動産取得税(贈与の場合は課税される)を含めた総合的なコスト比較が必要です。
どちらが有利かはケースによって異なるため、税理士や司法書士への相談を検討しましょう。
住宅ローンを借り入れたとき(抵当権設定登記)
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、金融機関が不動産に抵当権を設定します。この「抵当権設定登記」にも登録免許税がかかります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本則税率 | 0.4% |
| 軽減税率 | 0.1%(適用期限:2027年3月31日まで) |
抵当権設定登記の課税標準額は、固定資産税評価額ではなく債権金額(住宅ローンの借入額)です。
仮に住宅ローンで3,000万円を借り入れている場合、抵当権設定登記の登録免許税は以下のように計算します。
【計算例】 借入額3,000万円の場合
- 本則:3,000万円 × 0.4% = 12万円
- 軽減後:3,000万円 × 0.1% = 3万円
軽減措置の適用で9万円の節税になります。
軽減措置の適用要件については、住宅の所有権移転登記などと同じく、自己居住用・床面積50㎡以上・取得後1年以内の登記が必要です(新築だけでなく、中古住宅を購入してローンを組む場合も適用されます)。
要件を満たし軽減措置を受けたい場合は、住宅の所在する市区町村で「住宅用家屋証明書」を取得し、登記申請書に添付する必要があります。
住宅ローンを完済したとき(抵当権抹消登記)
住宅ローンを完済すると、不動産に設定されていた抵当権を抹消する登記を行います。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産の評価額に関係なく不動産1個につき1,000円の定額です。
たとえば、土地1筆と建物1棟にかかる抵当権を抹消する場合は「1,000円 × 2 = 2,000円」です。マンションの場合、敷地権が複数の土地にまたがることがあり、その分だけ不動産の個数が増えます。
計算で使う固定資産税評価額の調べ方
登録免許税の計算で最も重要なのが「固定資産税評価額」です。
これは市区町村が不動産ごとに定めている評価額で、売買価格(実勢価格)とは異なります。実勢価格の6〜7割程度といわれていますが、地域や築年数によって異なります。
正確な金額は以下の方法で固定資産税評価額を直接確認しましょう。
| 確認方法 | 詳細 |
|---|---|
| 固定資産税の納税通知書で確認する | 毎年4〜6月頃に届く納税通知書に「価格」または「評価額」として記載されています。直近の通知書が手元にあれば、最も手軽に確認できる方法です。 |
| 固定資産評価証明書を取得する | 市区町村の窓口(東京23区は都税事務所)で取得できます。登記申請時に添付書類として必要になるケースもあるため、事前に取得しておくと便利です。発行手数料は自治体によって異なりますので、窓口またはホームページで事前に確認してください。 |
| 固定資産課税台帳を閲覧する | 市区町村の窓口で閲覧できます。毎年4月1日から一定期間は「縦覧制度」により、他の不動産の評価額と比較できる期間もあります。 |
なお、これから新築物件や中古物件を購入する場合、手元に納税通知書などはありません。その場合は、購入を検討している不動産会社の担当者に「登録免許税の目安を知りたいので、固定資産税評価額を教えてほしい」と確認するとスムーズです。
注意点として、登記申請時に使う固定資産税評価額は、申請する日が含まれる年度(4月1日〜翌年3月31日)の最新の評価額です。

例えば、2026年5月に登記を申請する場合は、2026年度の評価額を使用します。申請日が4月1日以降であれば新年度の評価額が必要です。
新年度の評価証明書が発行されるタイミングは自治体によって異なるため、登記予定日の1〜2週間前に窓口へ問い合わせておきましょう。
計算で間違いやすいケース別の注意点
登録免許税の計算には、いくつかの躓きやすいポイントがあります。
以下のルールを押さえておけば、正確な税額を算出できますので順番に見ていきましょう。
端数(1,000円未満)が出た場合の計算
登録免許税の計算では、2つの段階で端数処理が発生します。
| STEP1:課税標準額の端数処理 |
固定資産税評価額の1,000円未満を切り捨てて、課税標準額を求めます。 (例)固定資産税評価額が12,345,678円の場合 |
|---|---|
| STEP2:税額の端数処理 |
課税標準額に税率をかけて算出した税額の100円未満を切り捨てます。 (例)課税標準額12,345,000円 × 税率0.4% = 49,380円 |
なお、計算の結果、税額が1,000円未満となった場合は、一律1,000円が最低納付額になります。
複数の不動産を同時に登記する場合の計算
土地と建物をまとめて登記するケースや、複数の土地を一括で登記するケースでは、計算方法に注意が必要です。
同じ登記原因・同じ税率の不動産を一括申請する場合
同じ登記原因・同じ税率の不動産を一括申請する場合、以下の手順で計算します。
- 各不動産の固定資産税評価額を合算する
- 合算した金額の1,000円未満を切り捨てて課税標準額とする
- 課税標準額に税率をかけ、100円未満を切り捨てる
例えば、相続で土地(評価額1,234万5,000円)と建物(評価額567万8,000円)を一括登記する場合、以下のように計算します。
- 合算:1,234万5,000円 + 567万8,000円 = 1,802万3,000円
- 課税標準額:1,802万3,000円(1,000円未満の端数なし)
- 税額:1,802万3,000円 × 0.4% = 7万2,092円 → 7万2,000
税率が異なる不動産を同時に登記する場合
税率が異なる不動産を同時に登記する場合、課税標準額を分けて計算し、それぞれの税額を合算します。なお、100円未満の端数が出た場合は、それぞれの税額を計算した段階で切り捨て処理を行い、その後に合算します。
例えば、売買で土地(評価額1,550万5,500円/軽減税率1.5%)と建物(評価額880万6,400円/軽減税率0.3%)を取得した場合、以下のように計算します。
- 土地:1,550万5,000円(※) × 1.5% = 23万2,575円 → 100円未満を切り捨てて 23万2,500円
- 建物:880万6,000円(※) × 0.3% = 2万6,418円 → 100円未満を切り捨てて 2万6,400円
- 合計:23万2,500円 + 2万6,400円 = 25万8,900円
※固定資産税評価額の1,000円未満を切り捨てて課税標準額を算出。
課税標準額が1,000円未満の場合の扱い
課税標準額(1,000円未満切り捨て後の金額)が1,000円に満たない場合は、課税標準額を1,000円として計算します。
例えば、評価額が800円の土地を相続した場合、課税標準額は1,000円に切り上げられます。「1,000円 × 相続の税率0.4% = 4円」となりますが、登録免許税には「算出した税額が1,000円未満の場合は一律1,000円」という最低納付額のルールがあるため、最終的な税額は「1,000円」となります。
ただし、先述の相続に関する免税措置(固定資産税評価額100万円以下の土地)に該当すれば、登録免許税自体が免除されます。
評価額が非常に低い土地を相続する場合は、まず免税措置の適用を確認しましょう。
まとめ
登録免許税の計算は「課税標準額 × 税率」が基本です。調べた固定資産税評価額から1,000円未満を切り捨てた金額が課税標準額になります。
登記の種類によって税率は異なり、自己居住用の住宅であれば軽減措置によって税負担を抑えられます。
計算を正確に行うためのポイントを振り返ると、以下の3つが重要です。
- 自分のケースに合った税率を確認する:売買・相続・贈与で税率が大きく異なる
- 軽減措置の適用要件と期限を確認する:住宅用家屋の軽減は2027年3月31日まで、土地の売買は2029年3月31日まで
- 端数処理のルールを正しく適用する:課税標準額は1,000円未満切り捨て、税額は100円未満切り捨て
不動産の登記手続きに不安がある場合は、司法書士に依頼すると登録免許税の計算から納付手続きまでまとめて対応してもらえます。
まずは固定資産税評価額を確認し、この記事の税率表を使っておおよその金額を把握するところから始めてみてください。