訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に自宅を訪れ、建物の状態や周辺環境まで確認したうえで売却価格を算出する査定です。

現地を見るぶん机上査定より正確で、費用も無料なんだよ
さらに訪問査定は、価格を一方的に出してもらう場ではなく、こちらも不動産会社を見極める双方向の場でもあります。
本記事では、訪問査定の内容や机上査定との違い、必要書類、当日の流れ、損をしないための注意点などを解説します。
この記事のポイント
- 訪問査定は現地を確認する精度の高い査定で費用は無料
- 机上査定は1〜3日の概算、訪問査定は1週間ほどで正確な価格
- 権利書や固定資産税の納税通知書をそろえると査定が正確になる
- 査定額は高さでなく根拠を説明できるかで会社を見極める
- 不具合は隠さず正直に伝えることが売主自身を守る
訪問査定とは

訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、売却価格を算出する査定方法です。写真や間取り図だけでは伝わらない事情も反映できるため、実際に売り出したときの成約価格に近い金額がわかります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 無料 |
| 所要時間 | 30分〜1時間 |
| 査定結果 | 数日〜1週間 |
| 向いている人 | 確実に売りたい人・予算を正確に決めたい人 |
訪問査定では、建物の状態や日当たり、周辺環境、隣地との境界まで、担当者がその場で直接確かめます。現地では、書類に載らない次のような個別の要素を確認します。
- 日当たりや眺望
- 室内の傷み具合やリフォーム履歴
- 接する道路の幅
- 境界杭の有無
出された金額だけでなく、その根拠をきちんと説明できる会社かどうかを見極める機会として活用するのが、損をしない売却への第一歩です。

査定はタダで受けられるんだ。気軽に相談していいんだよ
訪問査定と机上査定の違い

不動産の査定方法は、机上査定(簡易査定)と訪問査定に分かれます。机上査定はデータと過去の取引事例だけで概算を出す方法で、結果は当日〜3日と早く出ます。
一方の訪問査定は、担当者が現地を確認するため1週間ほどかかります。そのぶん建物の劣化や日当たりなど個別の事情が反映され、実際に売れる価格に近い金額がわかります。
机上査定(簡易査定)と訪問査定の違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 机上査定(簡易査定) | 訪問査定 |
|---|---|---|
| 調べ方 | データのみで算出 | 現地を確認して算出 |
| 結果までの日数 | 当日〜1〜3日 | 数日〜1週間 |
| 精度 | 概算の目安 | 成約に近い実勢価格 |
| 立ち会い | 不要 | 必要(30分〜1時間) |
| 向いている人 | 相場だけ知りたい | 売却を本格的に考えている |
会社によって机上査定の金額が大きく違うときは、少し注意したいところです。媒介契約をとるために、あえて高値を提示しているおそれもあるからです。本格的に売る段階では、訪問査定で実勢に近い価格を確かめておくと安心でしょう。

まず相場を知りたいなら机上査定、売ると決めたら訪問査定がいいんだね
訪問査定のデメリット

訪問査定のデメリットは、時間や手間がかかることと、売却への営業を受けやすいことです。机上査定にはないデメリットと、その対策を以下に整理します。
| デメリット | 対策 |
|---|---|
| 日程調整が必要 | 希望の時間帯を早めに伝える |
| 片付けが必要 | 見せたい場所だけ片付ける |
| 営業連絡が増えやすい | 連絡はメール希望と伝える |
| 結果まで数日〜1週間 | 急ぐなら机上査定と使い分け |
手間を惜しんで机上査定だけで売り出すと、あとから値引きで苦しくなることもあります。いずれも準備や連絡方法の指定で回避できるので、本格的に売るなら訪問査定を受けておくと安心です。

時間と手間はかかるけど、対策を取っておけば大丈夫なんだね
訪問査定のメリット

手間や時間がかかる一方で、訪問査定には机上査定では得られない大切なメリットがあります。
- 実勢に近い正確な査定額がわかる
- 日当たりや眺望、室内のきれいさをプロが直接評価するため、実際に市場で売れるリアルな金額がわかります。
- 無理のない資金計画を立てられる
- 住宅ローンの残債を完済できるか、住み替え先の予算にいくら回せるかを正確に計算でき、資金不足を防げます。
- その物件に合った売却戦略を提案してもらえる
- 現地を見たプロが物件の強みを見つけ、買い手の層や売り出し価格の付け方など、有利に進める助言をくれます。
- 任せられる会社かどうかを見極められる
- 説明の分かりやすさや対応の丁寧さから、売却を任せてよい担当者かを対面で判断できます。
メリットを活かすには、リフォーム歴や周辺環境の良さをメモし、書類とあわせて伝えるのがコツです。高い査定額の会社が良い会社とは限らず、根拠を示せる会社こそ信頼できます。

価格を知るだけじゃなくて、会社選びの場でもあるんだね
訪問査定で準備しておきたい書類

訪問査定で用意する書類は、物件の権利や状態を客観的に示すものです。書類がそろっているほど、不動産会社は安心して正確な査定を出せます。
当日は本人確認のための身分証明書もあわせて用意し、まずは次の主な書類を確認しましょう。
登記識別情報・権利書
登記識別情報、いわゆる権利書は、その不動産の所有者が誰かを示す最も基本的な書類です。訪問査定の際に確認を求められることが多く、売却を進めるときの本人確認にも使われます。
| 役割 | 所有者を証明する最重要書類 |
|---|---|
| 入手先 | 購入・相続時に法務局が発行、司法書士から受領 |
| もし手元にないとき | 再発行不可。司法書士の本人確認情報で代替できる |
固定資産税の納税通知書
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書は、物件の評価額を知る手がかりになります。査定では相場の目安として参照され、引き渡し時の税の精算にも使われる大切な書類です。
| 役割 | 評価額の確認、引き渡し時の税精算に使う |
|---|---|
| 入手先 | 毎年4〜6月に市区町村から郵送 |
| もし手元にないとき | 前年分で代用可。固定資産評価証明書でも代替できる |
売買契約書と重要事項説明書
購入時に受け取った売買契約書と重要事項説明書には、物件の権利関係や法的な制限が詳しく書かれています。査定担当者がこれらを見ることで、見落としやトラブルを事前に防げます。
| 役割 | 契約内容や物件の注意点を確認できる |
|---|---|
| 入手先 | 購入時に仲介・分譲会社から受領 |
| もし手元にないとき | 再発行不可。購入時の不動産会社に写しを確認 |
間取り図やリフォーム履歴
間取り図やリフォームの記録は、建物の価値を正しく評価してもらうための材料です。とくにリフォームの見積書や請求書があると、手を入れた分が査定にプラスされやすくなります。
| 役割 | 面積・形状の確認、リフォームを評価に反映 |
|---|---|
| 物件の種類で増える書類 | マンション=管理規約・修繕計画/戸建=検査済証/土地=測量図・境界確認書 |
すべてが完璧にそろっていなくても査定は受けられます。手元にない書類があっても、委任状を渡せば不動産会社が法務局や役所で代わりに取得してくれるので、見当たらない書類は事前に担当者へ伝えておきましょう。

書類が多いけど、そろえるほど正確な金額になるんだね
訪問査定でチェックされるポイント

訪問査定では、部屋の中だけでなく建物の外や土地、周辺まで確認されます。見られる主なポイントは次のとおりです。
- 建物の状態
- 室内の傷や水回り、リフォーム履歴のほか、雨漏り跡やシロアリの形跡など、現地でしか分からない劣化を見ます。
- 日当たりと間取り
- 図面では分からない採光や眺望、生活動線を確認します。同じ建物でも向きや階で価格が変わります。
- 土地と境界
- 前面道路の幅や交通量、隣地との境界がはっきりしているかを見ます。あいまいだと後のトラブルのもとです。
- 周辺環境
- 駅やスーパーまでの距離、騒音や臭いの施設の有無など、地図では分からない環境を歩いて確かめます。
- マンションの共用部
- エントランスや廊下の清掃、掲示板やゴミ置き場の様子から、管理の良し悪しも見ています。
完璧な掃除は不要で、担当者は荷物がない状態で評価します。気になる点を正直に伝えることが大切です。
見られたくない部屋は口頭で伝えれば対応してもらえます。

部屋の中だけじゃなくて、外や周りまで見てるんだね
訪問査定当日までの準備と流れ

訪問査定は、依頼から結果まで段取りがあります。全体の流れと当日にやることをつかんでおけば、慌てずにすみます。
当日の所要時間は1社あたり約30分〜1時間です。書類確認、室内と外観の調査、ヒアリング、今後の流れの説明の順に進みます。
- 掃除や片付けはどこまで必要か
- ピカピカにする必要はありませんが、水回りの軽い掃除と床の荷物の片付けはしておきましょう。見てほしい場所が隠れていると、正確に査定できないためです。
- お茶出しは必要か
- 不要です。調査に来てもらうだけなので、簡単なテーブルと椅子があれば十分です。
- 事前にまとめておくこと
- 書類を一か所にまとめ、リフォーム歴や不具合をメモにしておくと、当日スムーズに伝えられます。
複数社に依頼するときは、鉢合わせを防ぐため2時間以上あけましょう。調査中は時間を守るか、説明は丁寧か、細かい部分まで見ているかを観察することが、信頼できる会社選びの基準になります。

お茶出しはいらないんだ。準備を押さえれば安心だね
訪問査定の注意点

訪問査定で損をしないために、結果を受け取る前後で押さえておきたい注意点があります。
査定額を根拠で見極めること、不具合を正直に伝えること、担当者の対応を見ることがポイントです。順番に見ていきましょう。
査定額は高さでなく根拠で見極める
複数社に依頼すると、査定額に数百万円の差が出ることは珍しくありません。差が出るのは物件の価値が揺れているからではなく、会社の事情によることが多いものです。
極端な金額には次のような背景があります。
| 査定額のタイプ | 起こる理由 | 見極め方 |
|---|---|---|
| 高すぎる査定 | 媒介契約をとるための非現実的な高値 | 根拠を確認し相場と大きくずれていないか見る |
| 安すぎる査定 | 自社買取や早期成約を優先した低値 | 複数社と比べ安い理由を説明できるか確かめる |
宅地建物取引業者は、査定額の意見を述べるときその根拠を明らかにしなければなりません※1。根拠には、国土交通省が利用を推奨する価格査定マニュアル※2や近隣の取引事例が用いられます。
金額の高さではなく、その根拠を分かりやすく説明できるかどうかで会社を見極めましょう。
物件の不具合は隠さず正直に伝える
「不具合を伝えると査定額が下がるのでは」と心配になるかもしれませんが、むしろ逆です。引き渡したあとに欠陥が見つかると、売主は契約不適合責任(契約の内容と違う物件を引き渡した責任)を問われ、修理費や賠償を求められることがあります※3。
- 物件状況確認書(告知書)
- 雨漏りやシロアリ、近隣との関係など、物件の状況を買主に伝える書面です。事前に開示して合意しておけば、その不具合は責任の対象から外せます。
- 付帯設備表
- 引き渡し時に残す設備と、その故障の有無を記載する書面です。設備の状態を先に伝えておくことで、後の「言った言わない」を防げます。
査定の段階で気になる点を正直に伝えることは、売主自身を守ることにつながります。知っていて隠した不具合は、たとえ免責の取り決めがあっても責任を免れられません。
当日は担当者の対応も見極める
訪問査定は、こちらが査定されるだけの場ではありません。任せる会社を選ぶために、担当者の人柄や姿勢も見ておきましょう。
次のような点が判断材料になります。
- 査定額の根拠を説明できるか
- なぜその金額なのかを、事例やデータをもとに分かりやすく説明できる担当者は信頼できます。
- 囲い込みをしないか
- 他社に紹介させず自社で物件を抱え込む囲い込みは、2025年から行政処分の対象です。レインズの売主専用画面で公開状況を確認できるかも聞いておきましょう※4。
- 近所への配慮があるか
- 売却を知られたくないときは、営業車の停め方や名刺の扱いなど、近所への配慮を相談できる担当者だと安心です。
担当者によっては、他社の査定額を探りながら契約を急がせることもあります。その場で決めず、複数社の対応を見比べてから任せる会社を選ぶようにしましょう。

査定してもらいながら、こっちも会社を見極めてるんだね
まとめ
訪問査定とは、担当者が現地を確認して売却価格を出す精度の高い査定で、費用は無料です。データだけの机上査定とは役割が異なり、相場だけ知りたいなら机上査定、売却を本格的に考えるなら訪問査定が向いています。
訪問査定で押さえておきたいこと
当日までに権利書や固定資産税の納税通知書などをそろえておくと、査定はより正確になります。掃除やお茶出しに気をつかう必要はなく、それよりも物件の良い点も気になる点も正直に伝えることが、正確な査定と売主自身を守ることの両方につながります。
そして訪問査定は、価格を出してもらうだけの場ではなく、こちらも会社を見極める双方向の場です。高い査定額の会社ではなく、その根拠をきちんと説明できる会社を選ぶことが、納得のいく売却への第一歩になります。