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不動産の売買や相続、融資の手続きで登場する「共同担保目録」。登記簿の中では、あまり馴染みのない項目かもしれません。しかし、この共同担保目録の内容を正しく理解していないと、物件を売却する際に思わぬトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、共同担保目録の基本的な仕組みから、登記簿の見方、取得・抹消の手続きまでを、初心者の方にもわかりやすいように解説します。
【この記事でわかること】
共同担保目録とは、複数の不動産に対して一つの抵当権が設定された際に、どの不動産が共同の担保に含まれるかを記録した一覧表のことです。通常、登記簿謄本の「共同担保目録欄」に記載されており、対象となる不動産が相互に関係していることを示しています。つまり、担保の内容を確認するうえで、重要な判断材料となります。
【共同担保目録の主な役割】
共同担保目録は、債権者・債務者間での取引内容を登記上で明示する手段で、抵当権の効力範囲を判断するうえで欠かせない情報源です。特に、相続や売却時には「この不動産は他の担保と一括で扱われているのか」を判断する材料となります。
たとえば、住宅ローンを組む際に「土地と建物」をセットで担保に入れることがありますが、その後土地だけを売却したいという相談は少なくありません。
このとき、共同担保目録に建物が含まれていると、土地だけを勝手に処分できないケースが出てきます。こうしたトラブルを防ぐためにも、共同担保目録の記載内容を必ず確認する必要があります。
共同担保目録は、不動産登記令第10条に基づいて作成されており、法務局で登記事項証明書とあわせて取得可能です。
共同担保目録は、登記簿謄本の「権利部(乙区)」の抵当権設定記録に付随して表示されます。ここには、他にどの不動産が同一の抵当権に含まれているかが記載されており、物件間のつながりを確認できます。
登記簿上で共同担保目録を確認することは、その不動産単体では判断できない権利関係を把握するうえで有効です。特に、売買や担保設定の交渉をする場面では、登記内容を正確に読み解くことが、トラブルを防ぐうえで重要なポイントです。
不動産取引の現場では、共同担保物件の存在に気づかずに契約してしまい、後になって契約の解除や条件変更を迫られる場合があります。実際に、土地を購入した買主が「なぜか全く関係ない隣地の抵当権実行に巻き込まれた」というケースもあります。
このような事態を避けるには、登記簿の共同担保目録欄を正しく読み取る力が不可欠です。登記事項証明書の取得時に「共同担保目録付き」と指定して請求することで、重要な情報の見落としを防ぐことができるでしょう。
本章では、実際に共同担保目録が使われる主な事例について紹介します。主に以下のようなケースで活用されます。
【共同担保目録の主な活用場面】
このように、共同担保目録は、資産価値の一体管理や、担保調整の柔軟化を目的として使われる場面が多いです。そのため、金融機関や不動産業者にとっても重要な情報源となります。
不動産会社の営業現場では、「担保力を高めるために、空き家も共同担保に追加したい」という依頼を受けることがあります。しかし、後から不動産を追加する場合は、既存の抵当権者全員の同意が必要となるため、実務では調整が難航しやすいです。
また、登記実務では、「担保に入っていると思っていたが、共同担保になっていなかった」というミスも発生することがあります。そのため、登記直後に共同担保目録が正しく作成されているかの確認が必須です。
実際の制度根拠は、不動産登記令第14条にあり、共同担保目録の記載内容などが定められています。
共同担保目録を取得するには、登記情報提供サービスの利用や、法務局の窓口での申請などの方法があります。目的に応じて適切な手段を選びましょう。
【共同担保目録の主な取得方法】
どの方法でも、共同担保目録は、登記簿謄本(登記事項証明書)の一部として取得する形式となります。取得時には、不動産の「所在地」「地番」「建物名」などを正確に伝えることが必要です。
「登記事項証明書を取り寄せたが、共同担保目録が記載されていなかった」というケースもあります。これは、共同担保が設定されていない場合や、別の不動産の登記簿に記載されている場合があるためです。
共同担保目録は、主たる担保不動産の登記簿にだけ記載されているケースも多いので、確認には複数の登記簿を同時に取得する必要があります。特に相続や売買時には、関係するすべての不動産の共同担保関係を洗い出します。
共同担保目録を取得するもっとも基本的な方法は、法務局の窓口を利用することです。不動産の所在地を管轄する法務局に出向いて、「登記事項証明書(全部事項証明書)」を請求することで入手できます。
法務局の窓口で取得する流れは以下の通りです。
【法務局の窓口で取得する流れ】
法務局の窓口対応では、登記簿に共同担保目録が表示されていないことに気づかず、再度申請するケースが見られます。これは、共同担保が他の不動産の登記簿にのみ記載されているためであり、窓口で複数の地番に関して相談することがトラブル防止につながります。
オンラインで登記情報を取得する場合は、法務省が提供する「登記情報提供サービス」を利用します。自宅や職場からでも登記事項証明書を取得でき、共同担保目録の確認も可能です。
オンラインで登記情報提供サービスを利用する流れは、以下の通りです。
【登記情報提供サービスの利用手順】
この方法は手軽で効率的ですが、共同担保目録が表示されない場合があるため、注意が必要です。また、主たる不動産でない限り表示されないこともあるため、複数物件の地番確認が欠かせません。
不動産の所在地や登記事項が不明確な場合や正確性が求められるケースでは、土地家屋調査士や司法書士に取得を依頼します。特に、相続や担保解除に伴う確認で複数の登記簿を同時に取得する際におすすめです。
【専門家への依頼メリット】
専門家に依頼すれば、登記簿に記載される不動産番号・地番などを正確に洗い出し、ミスなく共同担保目録を取得してもらえるため、安心して任せることができます。
実際、「誤った地番で依頼したために、共同担保目録が取得できなかった」というトラブルは少なくありません。
特に、市街地の集合住宅や複数筆にまたがる土地などでは、地番と住所が一致しないことが混乱の原因になります。専門家に依頼することでこのようなトラブルは回避することができるため、「少しでも不安があるなら専門家への依頼」が賢明です。
共同担保目録は、不動産間の担保関係が終了した際に適切に抹消する必要があります。たとえば、担保としての役割を終えた不動産を売却する場合や、ローン返済が完了したときに共同担保の記載が残っていると、登記情報上で第三者に誤解を与える可能性があります。
【共同担保目録の抹消の主な流れ】
抹消登記は本人申請も可能ですが、必要書類や記載方法のミスによって却下される場合もあるため、司法書士に依頼するのが一般的な方法です。必要書類に不備があると、再申請までに時間がかかることもあるため注意しましょう。
共同担保目録の抹消で、「一部の担保不動産だけを抹消したい」というケースがあります。このとき注意すべきなのは、共同担保全体の担保価値が残債に対して十分であるかどうかを債権者が判断する点です。金融機関は、全体での担保評価を前提としているため、1物件のみの抹消には応じないこともあります。
また、担保関係が終了しても、自動的に抹消はされません。実務上では「債務弁済 → 担保解除合意 → 登記申請」というステップが必要です。うっかり放置されている共同担保記録が後に売買時の支障となるケースも見られます。
このような背景から、売却予定がある物件の登記簿は、事前に確認して不要な共同担保があれば早期に抹消手続きを進めましょう。
共同担保目録は、複数の不動産にまたがる担保関係を明確にするための登記制度であり、主に金融機関が貸付のリスク管理として活用しています。登記簿に表示される共同担保目録は、どの物件がどの債権と結びついているかを把握するための重要な情報源です。
【この記事の要点】
不動産の売却や相続を検討している方は、自分の不動産がどのような担保関係にあるかを事前に把握しておくことが、トラブルの回避につながります。
「共同担保に気づかず売却契約を結んでしまった」という相談はよくあります。買主との契約後に担保解除の問題が発覚すると、契約の見直しや違約金が発生するおそれもあるため、取引の前には必ず登記簿と共同担保目録のチェックを行うことが重要です。
また、共同担保目録は手軽に取得できるにもかかわらず、見落とされがちな情報でもあります。特に相続や複数物件の整理を検討する場合には、一括して確認するようにしましょう。
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