抵当権設定登記とは?住宅ローン完済後の手続きまで解説
住宅ローンの借入時などに必要となる「抵当権設定登記」。
しかし、登記の種類や費用、手続きの流れが複雑で「どこから手を付ければよいのか…」と迷う方も少なくありません。
この記事では、抵当権設定登記の基礎知識から費用の目安、具体的な手順、完済後の抹消方法までをまとめて解説します。
- この記事でわかること
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- 抵当権設定登記が必要になるケースと基礎知識
- 費用の目安とその内訳
- 必要書類の集め方や申請手順
抵当権設定登記とは
抵当権設定登記とは、担保として不動産を差し入れる際に「①誰がどの債務を担保しているか②誰が債権者なのか③債権額はいくらかなのか等」を公示する制度です。
金融機関は登記することで第三者対抗要件が備わり、後順位の抵当権者や買主に優先弁済権を主張できるようになります。
住宅ローンのほか、事業融資でも活用され、複数の不動産を同一の債権の担保にする「共同担保」や、極度額の範囲内で不特定の債権を担保にする「根抵当」などの制度もあります。
親族間の貸付では、抵当権の設定を軽視されがちですが、将来の相続や売却でトラブルを招く可能性があるため、貸付額の多少を問わず登記を行うことが望ましいです。
- 筆者からの一言アドバイス
抵当権設定登記は、万一の返済トラブルに備えて金融機関や貸主の権利を守るだけでなく、住宅ローンを契約する際の条件となっています。抵当権の効力は民法第369条、登記を対抗要件とする旨は同177条に規定されています。
抵当権設定登記が必要なケース
住宅ローン以外でも、ノンバンクからの事業資金の融資や、親族からの借入で抵当権を設定する場合があります。借入額が少なくても、抵当権設定登記をしておけば債権者は裁判所による差押命令の手続きを経ずに競売の申し立てができるため、金融機関以外も利用します。
- 住宅ローンの借入時
- リフォーム資金や教育資金の融資を受ける時
- 法人や個人が日本政策金融公庫などから事業資金を調達する場合
- 親族間貸付で返済を確実に担保したい場合
抵当権設定登記をしないまま将来の売却や相続を迎えると、買主や金融機関から権利関係の確認を求められ、手続きが煩雑になる可能性があります。必要な場面で確実に登記しておくことで、将来的なトラブルを防げるでしょう。
住宅ローンの借入時には、金融機関が第一順位の抵当権を求めます。これは「他の債権者より優先して回収できる権利」を確実にするためです。
抵当権設定登記の費用目安
抵当権設定登記に要する費用は、登録免許税と司法書士報酬の2つです。登録免許税は、借入金額(債権額)に応じて変動します。概算を知ることで資金計画を立てやすくなるでしょう。
| 費用項目 | 相場レンジ | 備考 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 債権金額×0.4%※軽減措置あり | 1,000円未満切り捨て |
| 司法書士報酬 | 5~10万円 | 依頼先・物件数により変動 |
| 合計 | 5万〜10万円前後 |
※住宅取得資金の貸し付けに係る税率は、0.1%(適用期限:令和9年3月31日)
登録免許税は借入額を基準に計算されるため、頭金を多めに入れ、借入額を減らすことで税額を抑えることも可能です。
司法書士報酬は依頼先によって変わるため、見積書を取り寄せて比較しましょう。
なお、抵当権設定登記を自分で行うことで司法書士報酬を節約する手段もあります。ただし、不動産取引上、決済と同時に登記手続きを行う必要があり、取引上のリスクが大きいため、通常の取引では認められない傾向です。
参照元:
抵当権設定登記の手続きの流れ
この章では、抵当権設定登記の手続きの流れについて解説します。
必要書類と取得方法
登記に提出する書類は法務局だけでなく、市区町村役場や金融機関でも取得します。発行日数や手数料がそれぞれ異なるため、スケジュールには余裕を持たせることが重要です。
| 書類名 | 取得先 | 手数料 |
|---|---|---|
| 登記原因証明情報 | 金融機関(債権者が作成) | 無料 |
| 不動産の権利証※不動産の購入と同時に抵当権を設定する場合は不要 | 所有者 | 無料 |
| 所有者の印鑑証明書 | 市町村役場 | 300円前後
※自治体により異なる |
名義人が複数いる場合は、全員分の印鑑証明書が必要です。印鑑証明書は、専用のソフトをダウンロードのうえ、オンラインで請求することも可能です。
申請手順と期間
抵当権設定登記の申請方法は、窓口申請・郵送申請・オンライン申請の3通りです。
抵当権設定登記の流れは、おおまかに以下の通りです。書類が揃っていれば、通常は1〜2週間程度で完了します。
- 必要書類を収集する(抵当権設定契約書など)
- 登記申請書を作成する
- 登録免許税を納付する
- 不動産の所在地を管轄する法務局の窓口へ申請する
- 登記完了後登記事項証明書を取得し、抵当権者(金融機関など)へ提出
住宅ローンの場合は、仲介不動産会社、もしくは金融機関が指定する司法書士が登記手続きを代行するのが一般的です。
抵当権設定手続きは自分でもできる?
抵当権設定登記をするために、法律上必要となる資格はないため、不動産の所有者本人が行うことも不可能ではありません。また、自分で登記を行えば、司法書士報酬を節約できます。
ただし、書類不備など不動産取引上のリスクが伴います。たとえば、融資が実行され、債権者からお金を受け取ったにもかかわらず、担保となる抵当権の設定にミスがあれば、貸し手にとっては無担保状態で融資していることになります。
抵当権設定がうまくできないことで何らかの損害が発生すれば、損害賠償責任に発展する可能性もあります。そのため、費用はかかりますが、抵当権設定登記は、司法書士に依頼するのが確実です。
住宅ローン完済後の抹消手続き
住宅ローンを完済した後、抵当権が登記上残ったままだと、売却や借換えの際に障害になります。完済後は金融機関から必要書類が届くため、速やかに抵当権抹消登記を進めましょう。(本人か司法書士などが行います)
- 金融機関から弁済証書(住宅ローンの完済を証明する書類)を受け取る
- 管轄の法務局を調べ、登記申請書を作成する
- 登録免許税(不動産1個につき1,000円)を納付する
- 法務局へ申請
申請から審査が通りまでの期間は、10日程度が目安です。
まとめ
抵当権設定登記は、融資を受けるために必要な手続きであり、同時に債権者の権利を守る手続きです。費用や必要書類を理解しておくことで、スムーズに手続きを進められます。
- 費用目安:登録免許税(債権額×0.4%※軽減税率0.1%)+司法書士報酬(5万〜10万円)
- 必要書類は、金融機関と市区町村役場で取得する
- 自分で行う場合はリスクが高いため、司法書士に依頼するのが確実
- ローン完済後は速やかに抵当権抹消登記手続きを行う
抵当権設定登記は、基本的に司法書士が手続きを代行してくれるため、必要書類の準備をしっかりと進めることが大切です。