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長年住み続けた、あるいはご両親から受け継いだ大切なマンション。いざ売却しようと思っても、なかなか買い手が見つからない。「築60年という古さが原因なのだろうか」「もう資産価値はないのかもしれない」…そんな風に、一人で頭を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、諦めてしまうのはまだ早いです。築60年のマンションがなかなか売れないのには必ず理由が存在します。
この記事では、なぜ築60年のマンションが売れないのか、その根本的な理由から売却を成功させるための具体的な手順、そして万が一売れないときの対処法まで分かりやすく解説します。
「築60年のマンションなんて、誰も買ってくれないのでは?」と、多くの方が考えてしまいがちです。確かに、新しい物件と比べれば売却のハードルは高くなる傾向にありますが、決して「売れない」と決まったわけではありません。
結論から言うと、築60年という条件でも、売却できる可能性は十分にあります。実際に、首都圏などでは築年数が古いマンションでも、数千万円で取引されているケースは珍しくありません。
| 都道府県名 | 市区町村名 | 地区名 | 取引価格(総額) | 間取り | 面積(㎡) | 建築年 | 取引時期 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 千代田区 | 一番町 | 52000000 | 1LDK | 45 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 新宿区 | 市谷左内町 | 59000000 | 2LDK | 65 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 新宿区 | 新宿 | 9500000 | 2K | 30 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 新宿区 | 新宿 | 9500000 | 2DK | 30 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 文京区 | 大塚 | 15000000 | 1K | 30 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 目黒区 | 碑文谷 | 57000000 | 2LDK | 75 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 目黒区 | 鷹番 | 77000000 | 2LDK+S | 75 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 大田区 | 雪谷大塚町 | 5500000 | 3DK | 60 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 渋谷区 | 神宮前 | 100000000 | 1R | 30 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 渋谷区 | 渋谷 | 99000000 | 2LDK | 85 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 調布市 | 柴崎 | 8100000 | 2DK | 45 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 調布市 | 柴崎 | 3800000 | 3K | 45 | 1964年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 国分寺市 | 西町 | 13000000 | 2LDK | 55 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 国分寺市 | 西町 | 5900000 | 2DK | 55 | 1965年 | 2025年第1四半期 |
| 東京都 | 千代田区 | 一番町 | 55000000 | 1LDK | 50 | 1964年 | 2024年第4四半期 |
(引用元:不動産情報ライブラリ)
なぜなら、古いマンションには、新しい物件にはない独自の価値が眠っていることがあるからです。
例えば、駅に近い、都心の一等地にあるといった「立地の良さ」は、築年数の経過によって価値が落ちにくい大きな強みです。 中には、その希少性から「ヴィンテージマンション」として高い需要を保っている物件さえあります。
もちろん、すべての古いマンションがすぐに売れるわけではありません。しかし、所有するマンションの強みと弱みを正しく理解し、適切な戦略を立てることで、売却の可能性は着実に高まっていきます。
まずは「売れないかもしれない」という不安を一旦横に置いて、ご自身のマンションが持つ価値を再発見することから始めてみましょう。
前の章で「諦めるのはまだ早い」とお伝えしましたが、一方で、築60年のマンションの売却が簡単ではないことも事実です。
多くの方が同じような「売却できない壁」に突き当たっています。その背景には、単に「古いから」という一言では片付けられない、7つの理由が存在します。
なぜ、あなたのマンションに買い手がつかないのか。その理由を一つひとつ、一緒に見ていきましょう。原因を正しく理解することが、解決への第一歩となります。
築60年のマンションが売れない最も大きな理由の一つが、建物の「耐震性」への不安です。具体的には、1981年(昭和56年)6月1日より前に建築確認を受けた「旧耐震基準」で建てられている可能性が高いという点です。
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないことを基準として設計されています。 これに対し、現在の「新耐震基準」では、震度6強から7の揺れでも倒壊・崩壊しないことが求められます。
もしあなたが買主で、これから家族と長く安心して暮らす家を探しているとしたら、大きな地震が来たときの安全性は、何よりも優先したい条件になるはずです。
そのため、多くの買主は旧耐震基準の物件を無意識に選択肢から外してしまう傾向にあります。これが、売却が難しくなる大きな要因なのです。
買主が購入したくても、物理的に「買えない」という壁も存在します。それは、住宅ローンの審査が通りにくいという問題です。
金融機関が住宅ローンを融資する際、申込者の返済能力とあわせて、購入する物件の「担保価値」を厳しく審査します。築60年のマンションは、国が定めた建物の寿命の目安である「法定耐用年数(鉄筋コンクリート造で47年)」を大幅に超えています。
【事業用建築物の構造別法定耐用年数】
| 構造・用途 | 法定耐用年数 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 | マンションで最も一般的な構造。強度や耐久性、耐火性に優れる。 |
| 重量鉄骨造(骨格材の厚さが4mm超) | 34年 | 主にビルや店舗、3階建て以上の住宅などで採用される頑丈な構造。 |
| 軽量鉄骨造(骨格材の厚さが3mm以下) | 19年 | 一般的なアパートや2階建て住宅などで多く採用される構造。 |
| 木造 | 22年 | 主に一戸建て住宅で採用される構造。 |
その結果、金融機関からは「担保価値が低い」と判断されやすく、融資を断られたり、希望額よりも大幅に低い金額しか借りられなかったりするケースが少なくありません。
現金で購入できる買主は限られているため、住宅ローンが使いにくいという点は、売却において非常に大きなハンデとなってしまうのです。
ただし、住宅金融支援機構が提供する「フラット35」のように、独自の耐震基準を満たせば利用できるローンも存在します。
マンションの価値は、目に見える部分だけで決まるわけではありません。壁や床下に隠された、給排水管やガス管、電気配線といったインフラの状態も、買主が非常に気にするポイントです。
一般的に、配管の寿命は20年〜30年程度と言われており、築60年のマンションでは、一度も交換されていなければ、すでに寿命を迎えている可能性が高いです。
これらのインフラをすべて交換するとなると、壁や床を一度解体する必要があるため、工事費用が100万円以上になることも珍しくありません。
買主からすれば、購入後すぐに高額なリフォーム費用が発生するリスクは、できるだけ避けたいものです。内覧時に室内が綺麗でも、「見えない部分」に潜む将来的な出費への懸念が、購入の決断をためらわせる一因となっています。
マンションは、建物そのものだけでなく、「管理」によってその価値が大きく左右されます。築年数が経過したマンションでは、管理組合の機能が弱まっているケースが見られます。
例えば、所有者の高齢化や空室の増加によって、管理費や修繕積立金の滞納が発生し、計画通りに大規模修繕が実施できていないかもしれません。
修繕積立金が不足していると、外壁のひび割れや共用廊下の汚れ、エレベーターの不具合といった目に見える劣化が進み、内覧に来た買主に「このマンションは管理がしっかりしていないな」という悪い印象を与えてしまいます。
また、買主は将来的に自身が負担することになる修繕積立金の額も気にします。修繕計画が甘く、将来的に積立金の大幅な値上げが予想されるマンションは、敬遠されがちです。
60年前に建てられたマンションは、当時の暮らしに合わせて設計されています。そのため、現代のライフスタイルとは合わない部分が出てきてしまうのも、仕方のないことかもしれません。
具体的には、
といった点が挙げられます。現代の買主の多くは、広々としたリビング・ダイニング・キッチン(LDK)や、豊富な収納、家事のしやすい動線を求めます。
間取りやデザインが現代のニーズとかけ離れていると、リノベーション費用がかさむことを懸念され、選ばれにくくなってしまうのです。
「長年住んだ愛着のある家だから」「これくらいで売れたら嬉しい」というお気持ちは、痛いほどよく分かります。しかし、その希望売却価格が、周辺の相場や物件の客観的な価値と大きくかけ離れている場合、売却は非常に難しくなります。
買主は、インターネットなどを通じて複数の物件を比較検討するのが当たり前の時代です。
同じエリアの似たような条件の物件と比べて、あなたのマンションの価格が割高であれば、内覧の問い合わせすら入らない、という状況に陥ってしまいます。
売れない期間が長引くと、「何か問題がある物件なのでは?」と見なされ、さらに売れにくくなる悪循環に陥ることもあります。まずは、専門家である不動産会社に査定を依頼し、ご自身のマンションの「適正な市場価値」を客観的に把握することが重要です。
最後の理由は、売主側の「売り方」の問題です。築60年のマンションには、新築や築浅物件とは全く異なる売却戦略が求められます。
例えば、
こうした戦略を立てるには、築古物件の売買に関する専門知識と経験が不可欠です。
もし、あなたが依頼している不動産会社が、築古物件の取り扱い実績に乏しい場合、適切な販売活動ができず、結果として売れ残ってしまっている可能性があります。
不動産会社選びは、売却の成否を分ける極めて重要な要素なのです。
売れない理由が分かったら、次は「売れない理由の対策方法」を併せて確認していきましょう。
ここからは、あなたのマンションが持つ本来の価値を引き出し、売却を成功に導くための具体的な5つの対策を紹介します。少しの工夫で、状況は大きく変わる可能性があります。
まず最初に取り組むべき最も重要なことは、客観的な視点で「適正な売却価格」を設定することです。理由6でも触れたように、価格設定は買主の興味を引くための入り口です。
ステップ1:複数の不動産会社に査定を依頼する
まずは、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額とその根拠を比較検討しましょう。1社だけでなく、少なくとも3社以上に依頼することで、より客観的な相場観を掴むことができます。その際は、築古物件の売却実績が豊富な会社を選ぶのがポイントです。
ステップ2:売り出し価格を決定する
査定価格を参考に、不動産会社と相談しながら最終的な「売り出し価格」を決定します。少しでも高く売りたい気持ちをぐっとこらえ、買主が「これなら一度見てみたい」と感じるような、魅力的な価格設定を心がけることが、早期売却への近道です。
建物の古さや設備の不具合が売れない原因である場合、リフォームやリノベーションは非常に有効な対策となります。ただし、やみくもにお金をかければ良いというわけではありません。大切なのは「費用対効果」です。
| 選択肢 | 期待される効果 |
|---|---|
| ポイントを絞ったリフォーム | 全面的なリフォームではなく、買主が特に気にする水回り(キッチン、浴室、トイレ)や、印象を大きく左右する壁紙の張り替えなど、ポイントを絞って行うのがおすすめです。数十万円程度の投資で、内覧時の印象を劇的に改善できる場合があります。 |
| あえて何もしない(現状のまま売却) | 買主が自分で自由にリノベーションしたいと考えているケースも多いため、費用をかけてリフォームしても好みに合わなければ無駄になってしまいます。その場合は、リフォーム費用分を価格から値引きする形でアピールする方が効果的なこともあります。 |
不動産会社と相談し、どのような買主をターゲットにするかに合わせて、最適な方法を選択しましょう。
買主が築古物件に対して抱く最大の不安は、「目に見えない部分に欠陥が隠れているのではないか」という点です。その不安を解消し、安心して購入してもらうための強力な武器が「ホームインスペクション(住宅診断)」です。
ホームインスペクションとは、住宅診断の専門家が、建物の構造部分や雨漏りの有無、設備の劣化状況などを客観的に調査し、報告書にまとめてくれるサービスです。
売主が事前にこれを行い、その結果を買主に開示することで、
といったメリットがあります。費用は5万円〜10万円程度かかりますが、買主の安心感という大きな価値を得ることができます。
築60年のマンションを、新築物件を探しているようなファミリー層に売ろうとしても、なかなか響きません。大切なのは、この物件を「魅力的だ」と感じてくれる可能性のある、特定のターゲット層に狙いを定めることです。
例えば、
ターゲットを明確にすることで、広告の打ち出し方や物件のアピールポイントが定まり、より効果的な販売活動が可能になります。
これまで挙げてきたすべての対策は、信頼できるパートナー、つまり不動産会社のサポートがあってこそ効果を発揮します。築60年のマンション売却を成功させるためには、この不動産会社選びが最も重要と言っても過言ではありません。
以下のポイントを参考に、あなたのマンション売却を安心して任せられる会社を選びましょう。
査定を依頼した際の対応の丁寧さや、査定価格の根拠説明の分かりやすさなども、良い会社を見極めるための重要な判断材料になります。
ご自身のマンションが築60年を迎える将来を想像したとき、「もし売れなくなってしまったら、この先どうなるのだろう?」という不安がよぎるのは、当然のことです。住み替えや相続など、いざという時に資産が動かせないとなると、計画が大きく狂ってしまいますよね。
結論からお伝えすると、万が一、通常の仲介で買い手が見つからない状況になったとしても、選択肢が完全になくなるわけではありません。資産がただの「負債」になってしまう前に、打てる手はいくつも残されています。
なぜなら、一般の買主にとっては魅力が薄れてしまった物件でも、不動産のプロや別の活用法を探している人にとっては、異なる価値が見出されることがあるからです。
大切なのは、将来起こりうる可能性を悲観的に捉えるのではなく、事前に「そうなった場合の選択肢」を知り、準備しておくことです。
具体的にどのような道があるのか、一緒に見ていきましょう。
【売れなくなった場合の主な選択肢】
| 選択肢 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 住み続ける | 売却や賃貸には出さず、そのまま自宅として利用し続ける。 | ・住み慣れた環境で暮らし続けられる ・新たな住居を探す必要がない |
・建物の老朽化による修繕費がかさむ ・固定資産税などの維持費は発生し続ける |
| 賃貸に出す | 物件を第三者に貸し出し、家賃収入を得る。 | ・資産を手放さずに収入源にできる ・立地が良ければ安定した需要が見込める |
・空室のリスクがある ・入居者管理や修繕対応の手間がかかる |
| 買取で売却する | 不動産会社に直接物件を買い取ってもらう。 | ・スピーディーに現金化できる ・仲介のように買主を探す手間がない ・契約不適合責任が免除されることが多い |
・売却価格が仲介の市場価格より2〜4割ほど安くなる傾向がある |
このように、万が一「売れない」という状況に直面しても、複数の選択肢が残されています。
どの方法が最適かは、あなたのライフプランや物件の状況によって異なります。将来の不安を少しでも軽くするために、こうした選択肢があることを、ぜひ心の片隅に留めておいてください。
それぞれの選択肢については次章でさらに掘り下げて解説しますので、ご安心ください。
様々な対策を講じても、立地や建物の状態によっては、どうしても「仲介」での売却が難しいケースもあります。そんな状況に陥ると、途方に暮れてしまいますよね。
しかし、売却の方法は仲介だけではありません。ここでは、万が一の場合に備えた3つの選択肢をご紹介します。
それぞれの方法にメリットとデメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて、最適な道筋を検討してみてください。
「買取」とは、一般の買主を探すのではなく、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう方法です。
最大のメリットは、売却までのスピードです。 買主を探す必要がないため、価格の合意さえできれば、数週間から1ヶ月程度で現金化することが可能です。
また、買主がプロの不動産会社なので、売却後の欠陥に対する責任(契約不適合責任)が免除されるケースが多いのも大きな利点です。
一方で、デメリットは売却価格が安くなる傾向にあることです。買取業者は、買い取った物件にリフォームなどを施して再販売することで利益を得るため、買取価格は仲介で売却する場合の相場価格より2〜4割ほど低くなるのが一般的です。
「時間はかかってもいいから少しでも高く売りたい」という方には向きませんが、「早く確実に現金化したい」「面倒な手続きや内覧対応を避けたい」という方には適した方法です。
売却にこだわらず、「賃貸」として貸し出すことで、家賃収入を得るという選択肢もあります。
もしマンションが駅に近いなど賃貸需要が見込める立地にあれば、安定した収益源になる可能性があります。リフォーム費用などはかかりますが、所有し続けながら資産を活用できるのがメリットです。
ただし、空室のリスクや、入居者とのトラブル、建物の管理といった手間や責任が常に伴います。また、ご自身が遠方に住んでいる場合は、管理会社に業務を委託する必要があり、その分の手数料も発生します。
ご自身のライフプランや、物件の賃貸需要、管理にかけられる手間などを総合的に考えて判断する必要があります。
もしあなたがそのマンションの全戸を所有している、あるいは他の所有者全員の同意を得て「マンション敷地売却制度」を利用できるなどの特殊なケースであれば、建物を解体し、「土地」として売却する方法も考えられます。
建物の価値がほぼないと見なされる場合でも、土地に価値があれば高値で売却できる可能性があります。特に、商業地や住宅地として人気のエリアであれば、デベロッパーなどが購入してくれるケースも考えられます。
ただし、解体には高額な費用がかかりますし、区分所有者全員の合意形成は極めてハードルが高いのが現実です。これはあくまで最終手段の一つとして、頭の片隅に置いておく程度が良いでしょう。
【仲介・買取・賃貸の比較表】
| 方法 | 概要 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 仲介 | 不動産会社を介して一般の買主を探す | ・市場価格に近い、比較的高値で売れる可能性がある | ・売れるまでに時間がかかる ・内覧対応などの手間がかかる ・契約不適合責任を負う |
・時間はかかっても良いので、少しでも高く売りたい人 |
| 買取 | 不動産会社に直接物件を売却する | ・短期間で確実に現金化できる ・仲介手数料が不要 ・契約不適合責任が免除されることが多い |
・売却価格が市場価格より安くなる | ・とにかく早く売却したい人 ・周囲に知られずに売却したい人 ・手間をかけたくない人 |
| 賃貸 | 物件を貸し出して家賃収入を得る | ・資産を手放さずに活用できる ・安定した収入源になる可能性がある |
・空室のリスクがある ・入居者管理の手間がかかる ・建物の修繕費がかかる |
・賃貸需要のある立地の物件を所有している人 ・管理の手間をかけられる人 |
この表は、それぞれの選択肢の要点をまとめたものです。ご自身の状況と照らし合わせ、どの方法が最も合っているか考えてみましょう。
売却への道筋が見えてきたら、最後にいくつか、契約を進める前に必ず知っておいていただきたい大切な注意点があります。これらは、後になって「知らなかった」では済まされない重要な事柄です。
安心して取引を終え、後々のトラブルを防ぐためにも、ここでしっかりと確認しておきましょう。
契約不適合責任とは、簡単に言うと「売却した物件に、契約書に書かれていなかった欠陥(不具合)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任」のことです。
例えば、引き渡し後に雨漏りが見つかったり、給湯器が契約時の説明と違って故障していたりした場合、買主は売主に対して、修理(追完請求)や、代金の減額、損害賠償、さらには契約の解除を求めることができます。
この責任は、売主がその欠陥を知っていたかどうかに関わらず発生します。
特に築60年のマンションでは、予期せぬ不具合が発生する可能性も高いです。
ご自身が把握している建物の不具合や懸念点は、些細なことでも正直に不動産会社に伝え、契約書や「物件状況報告書」に明記しておくことが、トラブルを防ぐ上で何よりも大切です。
マンションの売却では、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料をはじめ、様々な費用や税金がかかります。事前に全体像を把握し、資金計画を立てておくことが重要です。
【主な費用】
【主な税金】
譲渡所得税・住民税: 売却によって利益(譲渡所得)が出た場合に課税される。
計算式:譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
所有期間が5年超であれば税率は約20%、5年以下だと約39%と大きく変わります。
特に税金については計算が複雑なため、必ず不動産会社や税理士などの専門家に相談し、ご自身のケースではどのくらいの納税が必要になるのかを確認しておきましょう。
不動産会社選びは、売却活動のスタートラインであり、ゴールを左右する最も重要な要素です。
査定を1社だけに依頼すると、その査定額が高いのか安いのか、提示された売却戦略が本当にベストなのかを客観的に判断することができません。
中には、契約欲しさに相場より高い査定額を提示してくる会社もありますが、結局その価格では売れず、後から大幅な値下げを迫られるケースも少なくありません。
複数の会社と実際に会って話を聞くことで、
といったメリットがあります。手間を惜しまず、複数の視点から情報を集めることが、後悔のない売却に繋がります。
ここまで、築60年のマンションが売れない理由から、具体的な対策、そして様々な選択肢や注意点について、長らくお付き合いいただきありがとうございました。
築60年のマンションを売却するというのは、決して簡単な道のりではありません。耐震性や住宅ローン、インフラの老朽化など、乗り越えるべき課題が多いのは事実です。しかし、この記事を読んでくださったあなたは、もう「ただ古いから売れない」と漠然とした不安を抱えているだけの状態ではないはずです。
売れない根本的な理由を正しく理解し、物件の価値を客観的に見つめ直し、適切な価格設定と売却戦略を立てる。そして何より、信頼できる不動産会社というパートナーを見つけること。これらを一つひとつ丁寧に行うことで、売却の成功率は着実に高まっていきます。
大切なのは、一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、戦略的に売却活動を進めていくことです。あなたの長年住み続けた、あるいは受け継いだ大切なマンションが、次の良いご縁に繋がることを心から願っています。