-
【漫画版】離婚時の住宅ローンはどうなる?共同名義・連帯債務・...
相続などで山林を取得したものの、活用予定がなく、維持管理の負担から売却を検討している方は多いのではないでしょうか。山林は宅地や建物とは異なり、売却先が限られるうえ、価格の相場もわかりにくい資産です。また売却方法を誤ると、想定よりも安い価格で手放してしまったり、思わぬ費用や税金が発生したりするケースもあります。
そこで本記事では、山林を売却する4つの方法や売却にかかる費用や税金、売れない場合の対処法までを詳しく解説します。記事を読むことで、山林売却の流れや適切な売却先を理解し、具体的な行動を起こせるようになります。
山林を売却する方法は、主に以下の4つがあります。
山林の状態や売却を急いでいるかどうかによって、最適な選択肢は異なります。それぞれ詳しく解説します。
一般的な不動産売却と同じく、不動産仲介会社に山林の売却を依頼する方法があります。ただし、山林売却は通常の不動産売却と異なる部分が多く、すべての不動産会社が山林の取り扱いに精通しているわけではありません。そのため、以下のような特徴を持つ不動産仲介会社に相談するのがおすすめです。
相談先選びの際には、複数社に査定を依頼し、山林売却の経験や対応力を比較検討してみましょう。この際に一括査定サイトを活用すると、効率的に査定依頼が行えます。
地域の森林組合は、山林に関する専門知識を持つ組織です。林業に従事する買主とのネットワークがあり、特に林業向きの山林であれば、適切な買主を見つけられる可能性があります。
立木の評価や森林の状態についても適切なアドバイスを受けられるため、山林の価値を正しく把握したい場合におすすめです。
ただし、すべての森林組合が積極的に売買仲介を行っているわけではないため、まずは管轄の森林組合に相談してみることが大切です。山林の管理に関する相談にも対応しているため、売却以外の選択肢についても情報を得られます。
「山林バンク」や「森林.net」など、山林売買に特化したインターネットサイトを活用する方法もあります。山を購入したい個人や法人が集まるプラットフォームで、キャンプ場運営や自然体験、別荘地としての利用を考える買主にアプローチできます。一般的な不動産ポータルサイトとは異なり、山林の購入や活用を目的とした利用者が多いため、条件に合う買主とマッチングしやすい点がメリットです。
また、地形や立木の状況など、山林特有の情報を前提とした掲載ができることから、一般の不動産市場では出会いにくい買主とつながる可能性があります。掲載費用や成約時の手数料は各サイトによって異なるため、複数のサイトを比較検討するとよいでしょう。
山林の買取を専門に行う業者に、直接売却する方法があります。仲介ではなく買取のため、買主を探す時間が不要で、スピーディーな売却が可能です。ただし、買取価格は仲介による売却相場よりも低くなる傾向があります。以下のような、売却までに時間をかけられないケースでは有効な選択肢と言えます。
買取業者を選ぶ際は実績や評判を確認し、複数の業者から見積もりを取り、条件を比較検討したうえで慎重に判断しましょう。
山林を売却する際の基本的な流れと必要書類は、以下のとおりです。
相続で取得した山林の場合は、相続登記を済ませておく必要があります。相続登記が完了していないと売却手続きを進められないため、早めに対応しましょう。
山林の現況調査では、実際に現地を確認し、アクセス方法や境界線の状況、立木の状態などを専門業者に調査してもらいます。現況調査により、山林の正確な価値や売却時の課題が明らかになります。
その後、不動産会社や森林組合、山林専門業者など複数の相談先に査定を依頼しましょう。
査定結果や各相談先の対応を比較検討し、仲介による売却か買取かを決定します。不動産仲介会社に依頼する場合には、媒介契約を結んだうえで売却活動が始まります。
購入希望者が見つかったら、売買条件を調整し、重要事項説明を受けた後に売買契約を締結する流れです。契約時には、一般的に手付金が支払われます。決済日に司法書士立会いのもと所有権移転登記を行い、残代金を受領して山林の引き渡しが完了します。
山林を売却する際には、以下のような費用が発生します。
| 主な費用 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | ・不動産仲介会社を通じて売却する場合に発生する成功報酬 ・売却価格の3%+6万円+消費税が上限(売却価格が400万円超の場合) |
| 境界確定測量費用 | ・境界が不明確な場合に必要 ・隣接地との境界を確定するための測量費用で、エリアや規模、測量士によって金額が異なる |
| 印紙税 | ・売買契約書に貼付する収入印紙代 ・売却価格により異なる 参照元:国税庁|No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置 |
| 所有権移転登記費用 | ・所有権移転にあたり司法書士に支払う費用 ・費用は地域や司法書士によって異なる |
| その他の諸経費 | 書類取得費用(登記事項証明書、公図など)で数千円程度 |
山林売却では、特に境界確定測量費用が高額になるケースが多いです。山の広さや地形、隣接地の数によっては、数十万円から百万円以上かかることもあります。
ただし、山林の実務では登記簿面積で取引する「公簿売買」が主流となっており、必ずしも測量が必須というわけではありません。公簿売買では実測面積との差異があってもお互いに異議を申し立てない契約となるため、測量費用を抑えられるメリットがあります。
一方で、買主が境界明示を求める場合には測量を行うケースもあります。なお、買取業者に依頼する場合には、測量費用を免除されるケースもあるため、費用を抑えたい方は検討してみると良いでしょう。
山林を売却した場合、売却益に対して税金がかかります。課税方法は、山林をどのように売却したかによって、以下のように「山林所得」と「譲渡所得」に分かれます。

それぞれの計算方法を見ていきましょう。
山林(立木)を取得してから5年を超えて伐採または譲渡した場合、山林所得として課税されます。
まずは、山林所得を算出し、その金額に税率をかけることで、山林所得の所得税額がわかります。税額計算では「5分5乗方式」という特別な計算方法が適用され、税負担が軽減されるのがポイントです。
具体的な計算式は以下のとおりです。
【山林所得の計算方法】
【山林所得の所得税額の計算方法】
収入金額は、立木等の売却額のことを指します。また、必要経費は、以下のような費用が該当します。
5分5乗方式によって、一時的に高額な所得が発生しても、税負担が過度に重くならないよう配慮されています。確定申告は必要ですが、50万円以下の山林所得であれば特別控除により課税されないこともあります。
山林を取得してから5年以内に譲渡した場合、または山林を立木として譲渡せず土地のみを売却した場合は、譲渡所得として課税されます。
なお、山林を取得してから5年以内に伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したことによる所得は、その伐採や譲渡が事業として営まれている場合には事業所得になり、そうでない場合には雑所得になります。譲渡所得の計算式は、以下のとおりです。
税率は山林の所有期間によって決まり、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」の税率を用います。
| 所有期間 | 所得の種類 | 所得税率 | 復興特別所得税(※) | 住民税率 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
※復興特別所得税は基準所得税額の2.1%
参照元:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
短期譲渡所得の税率は長期譲渡所得の約2倍となるため、所有期間には注意が必要です。相続で取得した山林の場合、被相続人が取得した時期から計算されるため、確認しておきましょう。
山林を売却しようとしても、思うように買い手が見つからず、売却活動が長期化するケースは多いです。山林の売却が難しいとされる背景には、宅地や建物とは異なる特有の事情があります。ここでは、その主な理由を整理して解説します。
山林は、購入後の活用目的が限られているため、宅地や商業地と比べて需要が少ないです。主な購入層としては、以下のようなケースがあげられます。
しかし、これらの用途に適さない山林も多く、特に都市部から離れた山奥の山林やアクセスが悪い物件では、購入後の活用方法が限られるため、買い手を見つけることが困難です。
近年はキャンプブームを背景に個人が山を購入するケースも見られますが、全体としては依然として供給過多の状況が続いています。
また、林業の担い手不足や木材価格の低迷により、林業目的での山林購入も減少傾向にあります。
山林の売買は宅地と比べて取引件数が少なく、適正価格を判断する材料となる取引事例が限られます。不動産会社も山林の査定経験が乏しいケースが多く、正確な価格算定が難しいのが実情です。山林の評価要素は、以下のように多岐にわたります。
これらを総合的に判断できる専門家も限られているため、売主と買主の価格認識にギャップが生じやすく、取引成立までに時間がかかる傾向にあります。
宅地のように境界標が設置されていないことが多く、何十年も前の測量図しか存在しない場合もあります。隣接地の所有者も同様に境界を把握していないケースが多く、境界確定には多大な時間と費用がかかります。
特に相続で取得した山林の場合、先代から境界情報が引き継がれておらず、現地でどこまでが自分の土地なのか分からない状態も珍しくありません。
買主としては境界が不明確な土地の購入にはリスクを感じるため、売却のハードルとなっています。
境界確定には隣接地所有者の立ち会いや同意が必要となり、調整に時間がかかることも売却を難しくしている要因です。
山林売却を成功させるには、実績が豊富な専門家に相談することが欠かせません。山林は取引事例が少なく価格判断が難しいため、不動産会社を選ぶ際は、山林売却の経験や地方物件の取り扱い実績を確認しましょう。
また、買い手が限られやすい山林では、複数の売却方法を並行して進めることが効果的です。不動産仲介会社に依頼しながら、山林専門サイトにも物件情報を掲載することで、購入希望者との接点を広げられます。
さらに、山林の魅力を適切に伝える工夫も重要です。写真や動画を活用して景観の美しさを伝えるほか、以下のような情報を具体的に示すことで、購入希望者の関心を高められます。
山林の売却は時間がかかるケースも多いため、余裕を持ったスケジュールで進めることも、成功につながる重要なポイントといえるでしょう。
さまざまな方法を試しても山林が売却できない場合、以下2つの対処法を検討しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
相続した山林がどうしても売却できない場合、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらうという選択肢があります。この制度では、一定の要件を満たすことで、相続または遺贈により取得した土地を国に帰属させることが可能です。
申請には審査手数料(土地1筆あたり14,000円)がかかり、承認された場合には、10年分の管理費相当額の負担金を納付する必要があります。ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、以下のような土地は制度の対象外となります。

また、申請から承認まで半年から1年程度かかることもあり、必ずしも承認されるわけではありません。それでも、売却が困難な山林を合法的に手放せる数少ない手段の一つであるため、条件に当てはまる場合には検討する価値があります。負担金の金額は土地の面積や地目によって異なるため、利用を検討する際は、事前に法務局で要件や費用を確認しておくと安心です。
相続土地国庫帰属制度の要件を満たさない場合や、売却が難しい山林については、民間企業が提供する「山林引き取りサービス」を利用する方法もあります。山林引き取りサービスは、有料で山林を引き取ってもらい、その後の管理や活用を企業に任せる仕組みです。
引き取られた山林は、太陽光発電事業や資材置き場として活用されるケースが多く、立地条件や面積によっては引き取りが可能です。
売却とは異なり買主を探す必要がないため、比較的スムーズに手放せる点が特徴といえます。
費用は山林の条件によって異なりますが、数十万円から数百万円程度が一般的な相場です。ただし、なかには契約内容が不十分なまま引き取る悪質な業者も存在するため注意が必要です。契約前には、引き取り後の管理責任の所在や追加費用の有無を必ず確認し、実績のある信頼できる企業を選びましょう。
山林の売却には、不動産仲介会社・森林組合・山林専門サイト・買取業者という4つの方法があります。また売却には費用や税金がかかり、特に境界確定測量費用や譲渡所得税には注意が必要です。
山林は宅地や建物の売却よりも難しい傾向にあるため、売却実績や専門知識が豊富な業者に依頼するのが効果的です。まずは複数の専門家に相談しながら、一括査定サイトを活用して適切な売却先を見つけることから始めましょう。