休耕地の雑草対策 | 除草・防草・花を植える(グランドカバー)など方法を解説

休耕地や耕作放棄地の管理において「草刈りが追いつかない」「近隣から苦情が来てしまった」といった悩みを抱えている方は非常に多いです。毎年続く重労働とコストに、限界を感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、除草剤や防草シートといった定番の対策から花を植える方法、さらには「管理しない」という選択肢まで、状況に合わせた解決策を網羅的に解説します。あなたにとって最も負担が少なく、効果的な対策を見つける手助けとなれば幸いです。

【目的別】休耕地の雑草対策4選

休耕地の雑草対策には「刈る」「枯らす」「覆う」「手放す」の4つのアプローチがあり、費用や労力、効果の持続期間は大きく異なります。体力や予算、将来の土地活用計画によって選ぶべき方法は変わります。まずは以下の比較表を参考に、自分に合った対策の全体像を把握しましょう。

休耕地雑草対策のコストと労力比較図

比較検討すべき主な対策手法は、具体的には以下の4つが挙げられます。

  • 即効性のある除草剤・草刈り
  • 長期放置向けの防草シート
  • 景観重視のグランドカバー
  • 手間ゼロの業者委託・売却

それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。

1. 即効性を求めるなら「除草剤・草刈り」

「目の前の草をすぐになんとかしたい」「役所や近隣から苦情が来て急いでいる」場合、物理的にカットするか、薬剤で枯らす方法が最も手軽で即効性があります。この方法には、主に以下のような特徴があります。

  • 初期費用が安く済む
  • 作業の効果がすぐに現れる
  • 定期的な再作業が必要になる

初期費用が安く済む点が最大のメリットです。草刈り機(刈払機)は数万円、除草剤も安価なものは数百円から入手可能です。思い立ったらすぐ作業を開始できるため、緊急時の対応として優れています。

一方で、効果が一時的なのが大きなデメリットです。草刈りは根が残るため、夏場なら2週間もすれば元通りになります。除草剤も種類によりますが、効果は長くて数ヶ月程度にとどまります。

きれいな状態を維持するには年3回から5回の作業が必須で、年間を通じた労力は非常に大きくなります。体力に自信があり、定期的に現地へ通える方に向いています。草刈りの仕方については「一般社団法人日本農業機械工業会」などを確認してください。

2. 長期間放置したいなら「防草シート・固まる土」

「遠方で頻繁に通えない」「数年間は放置したい」という場合は、物理的に地面を覆って日光を遮断する「被覆資材」の活用が推奨されます。この対策が特に適しているのは、以下のような状況にある方です。

  • 現在の居住地が遠方である
  • 体力的に草刈りが難しい
  • 当面の間は土地を使う予定がない

中でも防草シートは最も現実的かつ効果的な選択肢です。平米数百円〜千円程度のコストと施工の手間はかかりますが、一度敷けば5年から10年近くメンテナンスフリーに近い状態を維持できます。

選ぶ際は、安価な織布タイプではなく「デュポン社 ザバーン(プランテックス)240G」のような高密度不織布タイプを選ぶのがコツです。

安いシートはスギナ等の強力な雑草が突き抜け、張り替えが必要になるケースが多いためです。

また「固まる土」やコンクリートで固める方法は、農地を「農地以外」に変える行為とみなされ、農地転用の許可が必要になる場合があるため、安易な施工は避けるべきです。

3. 景観を良くするなら「グランドカバー(花・緑肥)」

「無機質なシートは見た目が悪い」「将来的に耕作したいので土を痩せさせたくない」なら、植物を植えて雑草を抑えるグランドカバー(被覆植物)という手法があります。グランドカバーを導入することで得られる主なメリットは、以下の3つです。

  • 美しい景観を維持できる
  • 土壌を肥沃に保てる
  • 他の雑草を抑制できる

これは「雑草が生える隙間がないほど、他の植物で埋め尽くす」発想に基づく対策です。コスモス等の景観作物や、クローバー等の緑肥作物を育て、地表への日光を遮り(リビングマルチ)、他の雑草の侵入を防ぎます。

種代が安く、景観美化にも貢献できるため、近隣住民からの評判が良いのも特徴です。

ただし種をまけば終わりではなく、定着して地面を覆い尽くすまでの初期段階では、こまめな除草管理が必要です。ある程度の手間をかけても、土地の環境を守りたい方におすすめです。

グランドカバーの仕方については「【プロが解説!】初心者でも簡単なグランドカバーの管理!」などを参考にしてください。

4. 管理の手間をゼロにするなら「業者委託・売却」

「高齢で作業不可」「後継者がおらず使う予定がない」場合、自力管理にこだわる必要はありません。外部の力を借りるか、資産そのものを整理するのが現実的な解決策です。第三者に管理を任せるべき状況とは、主に以下のような場合です。

  • 所有者自身が高齢である
  • 土地を継ぐ後継者がいない
  • 将来的な耕作の見込みがない

継続管理が必要なら、シルバー人材センターや専門業者への委託を検討してみてください。費用はかかりますが、肉体的負担はゼロになります。

しかし、毎年コストがかかる「対症療法」に変わりはありません。将来的な利用予定が全くないなら、売却して手放すことが、管理責任から解放される「根本治療」となります。

固定資産税や管理の悩みから解放される最も確実な手段です。主な依頼先は以下のとおりです。

依頼先 費用の目安 特徴 おすすめな人
シルバー人材センター 1,500円〜 / 時
または 50円〜 / ㎡
最も安価
地域住民による作業
草の処分は別料金の場合が多い
とにかく安く済ませたい
急いでいない
民間業者
(草刈り専門・便利屋)
500円〜 / 坪
(約3.3㎡)
迅速・高品質。
除草剤散布やゴミ処分まで
ワンストップで対応可能
処分まで丸投げしたい
すぐに作業してほしい
JA(農協)
(農作業受委託)
地域により異なる
(要見積もり)
安心感が高い。
地域の農地管理に精通している。
農地として維持したい
JAの組合員である

※各依頼先や費用の目安は当社が調査したものを掲載しています。個別ケース依頼先ごとに諸条件が変わるので確認してください

休耕地の雑草対策が求められる4つのリスク

「多少草が生えていても大丈夫」と放置していると、思わぬトラブルに巻き込まれます。雑草の放置は見た目の問題にとどまらず、法的責任や金銭的損失を招くリスクがあります。所有者が認識しておくべき主なリスクとして、以下の4つが挙げられます。

  • 近隣との深刻なトラブル
  • 犯罪や事故の誘発
  • 資産価値の大幅な低下
  • 土壌環境の悪化

それぞれのリスクについて、具体的に見ていきましょう。

1. 近隣トラブルの原因になる

最も頻繁に起こるのが、周辺農家や住民とのトラブルです。管理されていない雑草地は害虫の発生源となり、近隣の農作物に甚大な被害を与えることがあります。放置された雑草が引き起こす具体的な被害は、主に以下の3点です。

  • 斑点米カメムシによる食害
  • マダニや蚊の大量発生
  • 花粉や悪臭の拡散

中でも「斑点米カメムシ」の発生は極めて深刻です。休耕地の雑草で繁殖したカメムシが近隣の水田に飛来し、稲穂を吸汁してお米に黒い斑点を残します。これでお米の等級が下がり、農家の収入が減るため、損害賠償を求められるケースも実際に起きています。

また、マダニや蚊の温床となるほか、ブタクサ等の花粉飛散、枯れ草の腐敗臭などが原因で、住環境を悪化させるとしてクレームに発展することもあります。

参照元:農林水産省|斑点米カメムシ類の被害に要注意

2. 不法投棄や火災など犯罪・事故の温床となる

人の目が行き届かない荒れた土地は、犯罪や事故のリスクを高めます。「割れ窓理論」のように、ゴミがある場所にはさらにゴミが捨てられやすくなる心理が働きます。管理不全の土地で懸念される事故や犯罪は、主に以下の3つです。

  • 廃棄物の不法投棄
  • 枯れ草への放火や引火
  • 見通し悪化による交通事故

家電や産廃の不法投棄ターゲットにされやすく、投棄者が特定できない場合、所有者が自費で撤去・処分しなければなりません。その費用は数十万から数千万円に及ぶこともあります。

さらに危険なのが火災リスクです。冬場の乾燥した枯れ草は、タバコのポイ捨て等で容易に引火し、大規模な野火につながる恐れがあります。管理不全による重過失と認定されれば、失火責任法の対象外となり、近隣への延焼被害に莫大な賠償責任を負うことになります。

参照元:e-Gov法令検索|民法第717条(土地工作物責任)

3. 耕作放棄地化による資産価値の低下

雑草を放置し続けると、行政から「耕作放棄地(遊休農地)」と認定されるリスクがあります。これは単なる名称の問題ではなく、金銭的負担の増加を意味します。認定された場合に発生する経済的なデメリットは、主に以下の3点です。

  • 固定資産税が増額される
  • 農地としての価値が下がる
  • 売買許可が下りにくくなる

適切な管理がなされていないと判断された場合、固定資産税の「農地評価(税金の優遇措置)」が解除される可能性があります。その結果、固定資産税が約1.8倍、場合によっては原野や雑種地並みの税額へ跳ね上がるリスクがあるのです。

また、一度荒廃して再生困難とみなされると、農地法上の売買許可が下りにくくなります。その結果、売りたくても売れない、貸したくても借り手がいない「負動産」化が加速してしまうでしょう。

参照元:農林水産省|遊休農地の課税の強化

4. 再生が困難になる土壌環境の悪化

長期間放置された土地は、植物学的にも農地機能を失っていきます。雑草の根や地下茎が土壌を支配し、復旧コストが年々肥大化していくからです。土壌環境が悪化した土地で見られる具体的な症状は、以下の3つです。

  • 強害雑草による支配
  • 地下茎の蔓延
  • 木本類(樹木)の侵入

特に、クズやフジ等のつる性植物や、セイタカアワダチソウ等の強力な雑草が繁茂すると、その根は地中深く張り巡らされます。こうなると家庭用耕運機では歯が立たず、大型トラクターでもロータリーに根が絡まって作業不能になります。

元の農地に戻すには、バックホー等の重機を入れた抜根作業や整地が必要となり、多額の土木工事費用が発生することになります。

休耕田の雑草対策を除草剤で行う際の3つのポイント

労力を抑えて雑草を制御する上で、除草剤は非常に有効です。しかし、適当に撒くだけでは効果が薄く無駄なコストになります。プロは薬剤の「種類」と「時期」を戦略的に使い分けています。効果を最大化し、作業回数を減らすための重要なポイントは、以下の3点です。

  • 「液剤」と「粒剤」を使い分ける
  • ベストな散布タイミングを逃さない
  • 適切な薬剤選びと安全管理を行う

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

1. 「液剤」と「粒剤」の使い分けがカギ

除草剤には液体と粒の2種類があり、作用の仕組みが異なります。「今ある草」と「これからの草」で使い分けるハイブリッド処方が最も効率的です。主な除草剤のタイプとそれぞれの役割は、以下の通りです。

  • 茎葉処理型(液剤):すでに生えている草を枯らす
  • 土壌処理型(粒剤):これから生える草を予防する
  • ハイブリッド利用:両方を組み合わせて使う

茎葉処理型(液剤)は、すでに生えている草をリセットするために使います。葉から成分を吸収させ、根まで枯らすグリホサート系などが代表的です。即効性はありますが、予防効果はありません。

土壌処理型(粒剤)は、これから生える草を予防するために使います。土に撒いて表面に薬剤層を作り、発芽を抑えます。草刈り後や春先に撒けば、3〜6ヶ月程度の長期間発生を抑制できます。

2. 効果を最大化する散布の「時期」と「タイミング」

植物の成長サイクルに合わせたタイミングで散布することで、少ない回数で大きな効果を得ることができます。見逃してはならない散布のベストタイミングは、以下の3つです。

  • 春(3月〜4月)の発芽前
  • 夏(6月〜8月)の再生期
  • 秋(9月〜10月)の養分転流期

まずは春の対策です。本格的に生える前に「粒剤」を撒くことで、春から初夏の爆発的な発生(スプリング・フラッシュ)を予防でき、その後の管理が楽になります。

次に夏の対策です。成長最盛期に草刈りを行い、再び葉が出揃った時に「液剤」を散布します。代謝が活発な時期なので、効率よく薬剤を吸収して枯らすことができます。

最後に秋の対策です。植物が越冬のため根へ養分を送る「養分転流期」を狙います。この時期の「液剤」散布は、薬剤も根まで運ばれやすく、しつこい地下茎を壊滅させる「最強のタイミング(秋処理)」です。

3. 休耕田におすすめの除草剤と使用上の注意

薬剤選びと安全管理も重要です。休耕地は農地であるため、法的なルールを守る必要があります。薬剤を選ぶ際や使用時に守るべきルールは、主に以下の3点です。

  • 農耕地用(農薬登録品)を選ぶ
  • 周辺への飛散(ドリフト)を防ぐ
  • 適切な保護具を着用する

推奨薬剤は「ラウンドアップマックスロード(日産化学)」等の高機能グリホサート剤です。散布後1時間で雨が降っても効果が落ちない「耐雨性」があり、スギナ等にも効きます。コスト重視なら「サンフーロン」等のジェネリック品もおすすめです。

また、必ず「農耕地用(農薬登録あり)」を使用してください。ホームセンター等の「駐車場用」除草剤は、農地での使用が禁止されており、農薬取締法違反になるリスクがあります。散布時は、近隣農作物へ薬剤が飛散(ドリフト)しないよう配慮が必要です。風の弱い早朝を選び、飛散防止カバー付きノズルを使用しましょう。

参照元:e-GOV法令検索|農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)

休耕地となっている田畑の雑草対策に花(グランドカバー)やトラクターを利用する方法

薬剤やシートを使わずに、自然の力や機械で管理する方法もあります。これらは土地の「地力」を維持しつつ、環境に配慮した対策を行いたい方に適しています。ここでは、主な方法を2つ紹介します。

1. 「コスモス」や「ヘアリーベッチ」の活用

植物の力で雑草を抑える方法です。景観を美しく保ちながら、地域貢献と雑草対策を両立できます。

被覆植物による雑草抑制メカニズム図

休耕地におすすめの植物は、主に以下の2種類です。

  • コスモス(景観作物)
  • ヘアリーベッチ(緑肥作物)

景観作物の「コスモス」は、夏に種をまくと秋に開花します。背が高く密集して育つため、地面への日光を遮り、低い雑草を抑えます。「きれいな花畑」として管理されている様子は、ゴミの不法投棄を心理的に防ぐ効果も期待できます。

また「ヘアリーベッチ」というマメ科植物は、最強の生物的防除策として注目されています。

「アレロパシー(他感作用)」を持ち、他の植物の成長を阻害する物質を出しながら地面を分厚く覆い尽くします。枯れた後は「緑肥」となり、土を豊かにする効果もあります。

2. トラクターですき込む「耕運」の効果

トラクターをお持ちの方や、近隣に依頼できる環境であれば、定期的に土を耕す「耕運」も有効です。耕運による雑草対策の効果は、主に以下の3点です。

  • 雑草の埋没と枯殺
  • 発芽環境の攪乱
  • 有機物の土壌還元

雑草を物理的に土中に埋め、種の発芽環境をかき乱して発生を抑えます。すき込まれた雑草は分解され、有機肥料として還元されます。年3〜4回、草が腰の高さになる前に行うのが鉄則です。

ただし、燃料代やメンテナンス費等のコストがかかります。また、草が伸びすぎてから行うと、ロータリー軸に草が絡まり、故障原因になるため注意が必要です。

まとめ

休耕地の雑草対策は、放置が招く近隣トラブルや増税、資産価値低下といったリスクを正しく理解し、ご自身の体力や予算に合った方法を選択することが重要です。即効性を求めるなら除草剤、長期間の手間を省くなら防草シート、景観と地力維持ならグランドカバーと、それぞれの特性を活かした管理を行いましょう。

もし将来的な利用予定がなく、管理が限界に達しているのであれば、お金と労力をかけ続けるよりも「売却」して手放すことが、経済的にも精神的にも最も合理的な解決策となる場合があります。まずは所有する土地に現在どれくらいの価値があるのか、無料査定を利用して把握することから始めてみてはいかがでしょうか。現状の価値を知ることが、問題解決への確かな第一歩となります。

西山雄介
西山雄介

肩書:不動産ライター / ディレクター

保有資格:宅地建物取引士 / マンション管理士 / 管理業務主任者 / 賃貸不動産経営管理士 / 日商簿記2級 ※多い場合は後ろから削ってください。

プロフィール:
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。

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