空き家を売りたいと思ったら?売却方法や流れ・注意点・費用も解説
空き家を売りたいと思っても、何から手をつければいいのか分からず悩んでいませんか。空き家の売却では、不動産会社へ連絡する前に、まずは自分に合った「売却方法」を知ることが重要です。
この記事では、物件ごとの売却方法や活用できる税金控除、具体的な進め方の手順を解説します。ご自身の状況に合った選択肢を見つけるため、ぜひ参考にしてみてください。
【状況別】空き家を売りたい時の相談先と選び方
空き家の売却を成功させるには、ご自身の希望や物件の状況に合わせて売却方法を選ぶことが大切です。さらに、どの売却方法を選ぶかによって、頼るべき「相談先」も異なります。まずは代表的な売却方法と相談先、自分にあった選び方の基準を把握しておきましょう。
| 相談先 | 仲介業者 | 買取業者 | 空き家バンク |
|---|---|---|---|
| 売却方法 | 一般売却 | 業者買取 | 個人間取引or不動産仲介(一般売却) |
| 売却価格 | 相場通り(高め) | 相場の7〜8割 | 格安〜相場程度 |
| 現金化期間 | 3ヶ月〜1年以上 | 最短数日〜1ヶ月 | 不確定(長期化しやすい) |
| 契約不適合責任 | 原則あり(3ヶ月等) | なし(免責) | 原則あり(個人間取引のため) |
| 仲介手数料 | かかる | かからない | かかる場合がある(契約手続きを不動産会社が行う場合はかかる) |
| 残置物の処分 | 売主負担(原則撤去) | 原則そのままでOK | 原則売主負担 |
| 向いている人 | 高く売りたい人 | 早く楽に売りたい人 | 田舎の物件を売りたい人 |
上記の表の内容をもとに、それぞれの売却方法を詳しく見ていきましょう。
1. 時間に余裕があり「高く売りたい」なら「仲介」
手元に少しでも多くのお金を残したい場合、不動産会社を通じて一般の買主を探す仲介が適しています。不動産会社がポータルサイトなどで広く物件の情報を発信するため、市場の相場通りの価格で売れる可能性が高まります。
仲介売却の注意点
一般的には3ヶ月から半年ほどかかると言われています。売却活動が長引けば、その間は建物の管理や固定資産税の支払いを続けなければなりません。
資金繰りに焦りがなく、物件の立地や状態が比較的良い場合に向いている方法です。まずは一括査定を利用して、現在の適正な相場を知ることから始めましょう。
2. 手間なく早く手放したいなら「買取」
現金化の速さと売却後の安心を最優先するなら、不動産会社が直接購入する「買取」が適しています。買主を探す手間を省き、最短数日で手続きを終えられる点が特徴です。相続税の納税期限が迫っている場合や、遠方で管理が困難な状況でも頼りになります。
業者買取の注意点
売却価格は市場相場の7〜8割程度に下がる傾向があります。また、建物の劣化が激しすぎる場合や需要が極端に低い地域では、業者であっても買取を拒否されるケースも存在します。
売主の契約不適合責任が免責されるため、古い空き家でも引き渡し後のトラブルにおびえる必要がありません。荷物もそのままで手放せる合理的な手法です。
3. 田舎で資産価値が低いなど売却困難物件なら「空き家バンク」
一般の不動産会社では取り扱いが難しい地方の物件を売りたい際は、自治体の「空き家バンク」を活用しましょう。営利を目的としない公的制度のため、資産価値が低い物件でも登録できる門戸の広さが魅力です。移住希望者へ直接情報を届けられるため、思わぬ需要が見つかるチャンスとなります。
空き家バンクの注意点
自治体はあくまで情報の紹介のみを行い、実際の契約実務や価格交渉には関与しません。交渉が長期化しやすく、成約時に提携会社への仲介手数料が発生する仕組みが一般的です。
補助金制度が充実している自治体も多く、片付けや改修の費用負担を軽減できる可能性があります。まずは物件所在地の役所に相談し、登録条件を確認することをおすすめします。
空き家を売りたい時に「解体」するべきか?更地と古家付きのメリット・リスク比較
空き家を売る際、建物を壊して更地にするか、そのまま古家付きとして売るか迷った場合、建築年と建物の状態によってどちらを選ぶべきかが異なります。
建築時期、建物の状態、重大な欠陥の有無の3点が判断ポイントとなるため、以下のチェックリストで確認しましょう。
| チェック項目 | 判定 | 推奨される売り方と戦略 |
|---|---|---|
| 1981年5月以前に建築(旧耐震基準) | 建物価値なし(ローン控除不可) | 「更地渡し」条件で売る ※買主がつかないリスクがあるため先行解体はせず、契約後に解体する特約をつけるのが安全。 |
| 1981年6月以降に建築(新耐震基準) | 建物価値あり(ローン控除対象) | 「古家付き」で売る ※リノベーション需要が見込まれるため、解体してしまうのはもったいない。「適合証明書」が取れればさらに売りやすい。 |
| 雨漏り・シロアリなど重大な欠陥がある | 修繕コスト大 | 「更地」または「買取」 ※個人の買主は敬遠するため、解体して土地にするか、そのまま業者に買い取ってもらうのが近道。 |
ここからは、それぞれの売り方のメリットとリスクを解説します。
1. 解体費用をかけずに「古家付き」で売るメリットとリスク
古家付きで売るメリット
- 解体費用の先行出費を回避できる
- 3,000万円特別控除が現況渡しのままでも利用しやすくなった
- リノベーションを目的とした購入需要を取り込める
古家付きのまま売る最大の恩恵は、解体費用の先行出費を避けられることです。一般的な木造住宅でも解体には200万円近い費用がかかるため、資金の持ち出しがないのは大きな安心材料となります。
さらに2024年の税制改正により「1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた」など、一定の要件を満たせば現況渡しのままでも3,000万円特別控除を使えるようになりました。無理に更地にしなくても税金対策がしやすくなっています。
古家付きで売るリスク
- 建物の状態が悪いと内覧時の印象が下がる
- 契約不適合責任の免責特約が必要になる
一方で、建物の状態があまりにも悪いと、内覧に来た人の印象が悪くなり、売れ残ってしまう恐れがあります。迷ったときは安易に解体せず、まずは古家付きで売り出し、買主の希望に合わせて解体更地渡しの交渉に応じる方法が安全です。
2. 解体して「更地」にして売るメリットとリスク
更地にして売るメリット
- 土地の広さや形状が一目で分かりやすい
- 購入希望者が新築の家を建てるイメージを描きやすい
- 早期成約につながる可能性が高まる
更地にして売るメリットは、土地の状況が視覚的に伝わりやすくなることです。すぐに家を建てたい人にとっては、解体の手間や期間が省けるため、魅力的な物件として映ります。
更地にして売るリスク
- 売れ残って1月1日を迎えると固定資産税が約4倍に急増する
- 高額な解体費用の持ち出しが発生する
家が建っている土地には特例が適用され、税金が安く抑えられています。建物を壊した状態で年を越すとこの特例が外れ、固定資産税が跳ね上がってしまいます。
もし更地にした状態で売れ残ってしまうと、高い税金と解体費用の両方を負担することになります。更地にする場合は、売買契約が成立してから、引き渡しまでの間に解体工事を行うのが確実な手順です。
空き家を売りたい時の流れ5ステップ
ここからは、実際に空き家を手放すまでの具体的な手順について解説します。不動産の取引は時間がかかるため、全体の流れを前もって把握しておくことが大切です。それぞれの段階で確認すべき空き家特有の注意点や、費用・税金の知識も交えながら詳しく見ていきましょう。
STEP1:事前準備(名義確認・相場調査)
売却前の空き家チェックリスト
- 登記簿上の名義が自分になっているか
- 隣地との境界杭があるか、残置物がどのくらいあるか
- 固定資産税の納税通知書などが手元にあるか
売却活動を始める前の第一歩として、物件が確実に売れる状態であるかを確認します。特に空き家の場合、登記簿上の名義確認が重要です。親が亡くなったまま名義変更(相続登記)が済んでいないと、どんなに好条件の買い手が現れても契約を進められません。
同時に、古い家では隣の土地との境目が曖昧になっているケースが多いため、境界杭の有無をチェックしておきましょう。家の中に残っている家具や荷物(残置物)の量も、処分費用に直結するため把握しておくことが大切です。
さらに、あらかじめ近隣の売り出し価格を調べ、自分の空き家にどれくらいの価値があるのか、ざっくりとした相場感を養っておきましょう。
STEP2:査定依頼・業者選定
事前の確認が終わったら、不動産会社に物件の査定を依頼します。このとき、最初から1社に絞り込むのではなく、複数の会社に査定をお願いすることが大切です。1社だけの査定では、提示された金額が適正な相場なのか判断できず、必要以上に安く売却してしまうリスクがあります。一括査定サイトなどを利用して、3社以上の見積もりや販売計画を比較してください。

査定額の高さだけでなく、空き家特有の事情(遺品整理や解体手配、遠方対応など)に慣れている担当者を見極めましょう。
不動産会社によって得意な分野は異なります。特に空き家の売却では、税金控除の書類手配や、残置物撤去のサポートなど、特殊なノウハウが求められます。
時間をかけても高く売りたいなら仲介が得意な会社を、すぐに手放したいなら買取実績が豊富な会社を選ぶのがコツです。納得のいく提案をしてくれた会社と媒介契約を結び、本格的な買主探しがスタートします。
STEP3:売買契約の締結(手付金など)
購入希望者が現れ、価格や引き渡しの時期について双方の合意が得られたら、売買契約を結びます。この契約の場で、買主から物件価格の5〜10%程度の手付金を受け取るのが一般的です。
空き家の契約時に最も気をつけたいのは、契約書の内容を細部まで確認することです。
空き家契約時の注意点
長年誰も住んでいなかった家は、見えない部分でシロアリや雨漏りが進行している危険性を伴います。どの範囲まで売主が責任を負うのかを、明確にしておきましょう。
特に契約不適合責任に関する取り決めは、後のトラブルを避けるために重要です。家財道具を残したまま引き渡すのか、解体してから引き渡すのかといった条件についても、契約書に明記しておきましょう。
STEP4:決済・引渡し(諸費用・仲介手数料など)
契約から約1ヶ月ほど経つと、残りの代金を受け取る決済と、鍵を渡す引き渡しの日を迎えます。買主から代金が振り込まれたことを確認し、同時に物件の所有権を買主に移す登記手続きを司法書士に依頼します。
遠方に住んでいて立ち会えない場合でも、司法書士に委任することで現地に行かずに手続きを完了させることが可能です。このタイミングで、売却にかかった様々な費用を支払うことになります。また、戻ってくるお金も存在します。
| 項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 支払う費用 | 仲介手数料、登記費用、印紙税、残置物撤去費用など |
| 戻ってくるお金 | 固定資産税の未経過分、火災保険料の解約返戻金など |
特例として、売買価格800万円以下の低額な空き家の場合は、最大33万円の手数料がかかる場合があります。一見すると負担が増えるように思えますが、不動産会社が広告費をかけやすくなり、売却活動が活発になるという利点があります。
諸費用は、手元に入ってきた売却代金から差し引いて支払うのが一般的です。前払いしていた固定資産税などの未経過分は、日割り計算で買主から返金されるため忘れずに精算しましょう。
STEP5:確定申告(翌年2月〜3月/ここで特例申請)
無事に引き渡しが終わっても、まだ手続きは残っています。空き家を売って利益が出た場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、税金を納めなければなりません。
税金がかかると聞くと不安に思うかもしれませんが、空き家の売却では手元に残るお金を増やすための強力な税金控除を利用できます。
確定申告で使える空き家特有の特例
- 3,000万円特別控除
- 低未利用土地等の100万円控除
- 取得費加算の特例
中でも3,000万円特別控除は、条件を満たせば売却で得た利益から最大3,000万円を差し引けるため、税金をゼロにできる可能性が高い有利な制度です。2024年の要件緩和により、買主が購入後に解体した場合でも特例を使えるようになりました。
控除を受けるためには、所定の書類を揃えて確定申告の際に必ず申請する必要があります。自動的に税金が安くなるわけではないため、期限に遅れないよう余裕を持って準備を進めてください。
空き家売却で失敗しないための注意点
空き家の売却は大きな金額が動くため、思わぬ落とし穴にはまってしまうことも少なくありません。失敗を防ぐためには、現状を正しく把握し、事前に対策を打っておくことが重要です。
| 視点 | まず確認すること | 放置した場合のリスク | 不備があった時の対策 |
|---|---|---|---|
| 1. 金銭面 | 管理状況(窓割れ・雑草など) | 固定資産税が約4倍に増える | 税金が上がる前の売却を検討する |
| 2. 法律面 | 名義人(相続登記の有無) | 売却不可 & 10万円以下の過料 | 「司法書士」へ登記を依頼する |
| 3. 物理面 | 境界杭・残置物の有無 | 測量や処分で費用・時間がかかる | 査定時に費用の「見積もり」をとる |
上記の状況を放置するとどのようなリスクがあるのか、具体的な対策とともに確認しておきましょう。
1. 「管理不全空き家」のリスク
所有している空き家が、行政からの指導の対象になっていないかを確認することは重要です。遠方で長期間様子を見に行けていない場合、窓ガラスが割れていたり、庭の雑草が伸び放題になっていたりすることがあります。
このような状態が続くと「管理不全空き家」として、行政から勧告を受けることになります。
固定資産税が跳ね上がるリスク
勧告を受けると、固定資産税を安くしてくれる特例が解除され、翌年からの税金が約4倍に急増してしまいます。
維持費が高騰してから慌てて売ろうとしても、なかなか買い手が見つからないでしょう。もし現在の管理状況が良くないと感じるなら、税金が上がる前に少しでも早く手放す決断をおすすめします。
2. 「相続登記」が完了しているか
売却の手続きをスムーズに進めるためには、家の名義が自分に変更されているかが絶対的な条件となります。登記簿上の名義が亡くなった親族のままになっていると、不動産会社と契約を結ぶこともできず、買い手への引き渡しも不可能です。
これまでは相続登記をしなくても罰則はありませんでしたが、2024年からは法律で義務化されています。
相続登記の放置は法律違反になるので注意
正当な理由なく名義変更を放置していると、10万円以下の過料が科される可能性があります。この法律ができる前に相続した物件も対象になります。
名義が親のままであることに気づいたら、売却活動と並行して、すぐに司法書士に依頼して手続きを進めましょう。
3. 境界杭があるか・残置物の確認
家を売る際には、土地の範囲を明確にし、家の中を空っぽにしておく必要があります。古い土地の場合、隣の家との境目を示す境界杭が土に埋もれたり、無くなったりしているかもしれません。
境界が分からないままだと売買ができず、新たに測量を行うには数十万円の費用がかかります。
物理的な準備の重要性
家の中に大量の家具やゴミが残っているかも重要な確認事項です。残置物の処分は基本的に売主の負担となり、その量が多いほど解体や片付けの費用がかさみます。
不動産会社に査定を依頼する際、荷物が多すぎると正確な査定額を出してもらえないこともあります。あわせて、家の権利証が手元にあるかも探し出しておきましょう。物理的な準備を整えることが、トラブルのない売却につながります。
4. 「契約不適合責任」の免責設定
長年誰も住んでいなかった空き家は、目に見えない部分で柱が腐っていたり、シロアリの被害が進行していたりすることがあります。もし購入者が住み始めてからこれらの欠陥が見つかると責任を問われ、多額の修繕費用を請求されてしまいます。
売却後のトラブルを避けるために
契約を結ぶ際に「隠れた欠陥があっても売主は責任を負わない」という免責特約をつけるのがおすすめです。
個人の買主相手に免責特約をつけると売れにくくなる場合は、最初から不動産会社に買い取ってもらう買取を選ぶのが安全です。プロである業者が買い取る場合は原則として免責となるため、売った後に不安を抱える心配がなくなります。
まとめ
空き家を手放すには、仲介や買取など、ご自身の状況に合わせた売却方法を選ぶことから始まります。維持費の負担や税金が跳ね上がるリスクを考えると、早い段階で不動産会社へ相談し、正確な相場や処分費用を把握しておくことが重要です。
税金の負担を減らす3,000万円特別控除などの制度をしっかり活用し、少しでも有利な条件で手続きを進めましょう。まずは無料の一括査定を利用して、信頼できる不動産会社を見つける第一歩を踏み出してください。