1年以上売れない家の原因5選|放置するリスクと今すぐできる7つの対策を解説
家を売り出して1年以上経過しても買い手がつかないと「価格を下げるべきか」「不動産会社を変えるべきか」と判断に迷うものです。とはいえ闇雲に行動する前に、まずは売れない原因を把握することが大切です。
売却が長引く背景には、価格設定や販売活動など複数の要因が重なっていることが考えられます。そこで本記事では、1年以上売れない原因やそのまま放置した場合に生じるリスク、成約につなげるための具体的な対策を解説します。
家が1年以上売れない原因5選
家が1年以上売れない場合、原因は大きく以下の5つに分類できます。
- 売り出し初期の価格設定ミス
- 市場で敬遠されている
- 不動産会社の販売活動が形骸化
- 競合環境が変化
- 価格・条件を変えていない
ご自身の物件がどの要因に該当するかを客観的に把握するために、1つずつ確認していきましょう。
1. 売り出し初期の価格設定ミスが尾を引いている
1年以上売れない物件の中には、売り出し当初の価格設定に問題があったケースが多いです。市場に出た物件が最も注目を集めるのは売り出しから1〜3ヶ月の間です。
相場より高い価格の物件は検討候補から外れやすく、売却の好機を逃すと成約は難しくなります。売り出し初期に価格を高めに設定してしまう背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 思い入れなど感情的な価値を上乗せしてしまう
- 不動産会社の査定額を「売れる価格」と誤解する
- 売却諸費用やローン残債の回収を前提とした価格設定にしてしまう
その後に値下げをしても「売れ残り物件」という印象がついてしまい、買い手の関心を取り戻すことは容易ではありません。
2. 「長期掲載物件」として市場で敬遠されている
ポータルサイトには「新着」「登録日」などの情報が表示されるため、掲載期間が長い物件は「何か問題があるのでは」と警戒される傾向があります。掲載期間に応じた、買主が抱きやすい印象は以下のとおりです。
| 掲載期間 | 買主の印象 |
|---|---|
| 1〜3ヶ月 | 新着物件として注目されやすい |
| 3〜6ヶ月 | 条件次第で検討対象に入る |
| 6ヶ月〜1年 | 「なぜ売れないのか」と疑念を持たれる |
| 1年以上 | 「売れ残り物件」として検討対象から外れる |
こうした「鮮度の低下」は、物件そのものの価値とは無関係に起こります。長期化すればするほど不利な状況が固定化していくため、早期に手を打つことが重要です。
3. 不動産会社の販売活動が形骸化している
売り出しから1年が経過すると、担当する不動産会社の営業活動の優先度が下がっている可能性があります。営業担当者は常に複数の物件を抱えており、成約の見込みが高い新規物件や反響のある物件に注力する傾向があるためです。以下のような兆候がある場合、販売活動が形骸化している可能性が高いと言えるでしょう。
- 定期報告が届かない、または内容が毎回ほぼ同じ
- 問い合わせ件数や内覧件数の具体的な数字が共有されない
- 価格改定や販売方法を提案されない
- 担当者との連絡が取りにくくなっている
また、専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる場合は「囲い込み」が行われていた可能性も視野に入れる必要があります。
囲い込みとは、不動産会社が売主・買主の両方から仲介手数料を得る「両手取引」を見込んで、他社からの問い合わせを意図的に断る行為です。
「レインズの登録証明書を受け取っていない」「他社経由の問い合わせが無いと報告されている」といった場合は、販売活動の実態を改めて確認すると良いでしょう。3ヶ月ごとの媒介契約を漫然と更新し続けていると、売主・不動産会社の双方が「待ち」の姿勢になり、状況が改善しないまま時間だけが経過することになります。
4. 1年間で競合環境が変化している
不動産市場は常に動いているため、以下のように1年前と現在では状況が大きく変わることがあります。
- 近隣で新築分譲が開始された
- 同じマンション内で別の部屋が売り出された
- 周辺相場が下落した
- 金利が上昇した
当初の価格設定の根拠となった周辺相場や競合物件をしばらく見直していない場合、市場価格との乖離が広がっている可能性があるでしょう。
5. 売主が価格や売却条件の見直しに踏み切れていない
1年以上売れない状態が続く背景には、売主側の心理的なハードルがあるケースも見られます。
- 「この価格で売れるはず」という当初の期待を手放せない
- 値下げ=損という感覚から価格改定に踏み切れない
- 相続物件の場合、親族間で価格や売却方針の合意が取れていない
- 「もう少し待てば良い買主が現れる」と楽観視している
特に相続で取得した実家の場合「親が建てた家をこの価格以下では売りたくない」という感情的な抵抗が生じやすいものです。また、売却代金を親族間で分割する予定がある場合は、価格を下げる判断に全員の同意が必要となり、意思決定が遅れるケースもあるでしょう。
しかし、不動産市場は売主の事情に合わせて動くわけではありません。1年間売れなかったという事実は、現在の価格や条件が市場に受け入れられていないことを示しています。

状況を打開するには「なぜ売れないのか」を客観的に分析し、価格・条件・販売方法のいずれかを変える必要があるでしょう
1年以上売れない家を放置する4つのリスク
売れない状態を放置すると、売れないことによる精神的ストレスだけでなく、4つのリスクが生じます。時間が経つほど状況は悪化するため、早めの対策が求められます。
1. 売却価格が下がりやすくなる
売り出し期間が長引くと値下げや条件の調整が必要になり、成約価格が下落しやすいです。長期間売れ残っている物件は「何か問題があるのでは」と敬遠されたり、エリア全体の地価下落や競合物件の値下げに引きずられたりする可能性もあるでしょう。
また、木造住宅は築年数が進むと建物部分の評価が出にくくなるため、建物はほぼ評価されず「実質的に土地の価格で売る」ことを余儀なくされる可能性も高まります。
2. 固定資産税や維持管理費の負担が続く
売れない期間中も、所有者には以下の費用負担が発生し続けます。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 光熱費の基本料金
- 庭木・雑草の管理費
- 建物の最低限の修繕費
1年以上売れない場合、これらの累積負担は数十万円規模になることもあり、最終的な手取り額を圧迫する要因となるでしょう。
3. 建物の老朽化で近隣トラブルに発展する可能性がある
空き家の状態が長く続くと、建物の劣化が加速し、周辺環境に悪影響を及ぼすリスクがあります。1年経過時点では、換気不足による湿気やカビ、庭の管理不足が始まる段階です。2〜3年目になると外壁の劣化や雑草の繁茂が進み、近隣から苦情が発生する可能性も出てくるでしょう。
5年目以降は構造部分の劣化が深刻化し、自治体から「特定空家等」に指定されるリスクが高まります。「特定空家等」の指定を受けると固定資産税が最大約6倍に増加するおそれもあるため、放置期間が長引くほど経済的な負担も大きくなります。
4. 相続空き家の税制優遇が期限切れになる可能性がある
相続によって取得した空き家を売却する場合は「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用できるケースが多いです。譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度ですが、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を完了しなければなりません。
適用を受けるための主な要件
- 相続開始の直前まで被相続人が居住していたこと
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
- 相続から売却まで、事業・貸付・居住の用に供されていないこと
- 売却価格が1億円以下であること
- 耐震リフォームまたは解体して更地で売却すること
期限を過ぎると3,000万円の控除が適用できず、課税対象が最大3,000万円増える可能性があります。税率(約20%)を踏まえると、税負担が約600万円増えることもあるでしょう。
1年以上売れない家を成約につなげる対策7選
売却が長引いていても、次の7つの対策を実施すれば成約の可能性は高まります。
| 対策 | この対策を実施すべき人 | 売却価格への影響 |
|---|---|---|
| 不動産会社・媒介契約を見直す | ・販売活動が形骸化していると感じる人 ・囲い込みの疑いがある人 |
なし |
| 広告写真・コメントを刷新 | ・ポータルサイトでの閲覧数が少ない人 | なし |
| ハウスクリーニングで内覧時の印象を上げる | ・内覧はあるが成約しない人 | 実施費用がかかる |
| インスペクションで買主の不安を減らす | ・築20年以上の物件所有者 | 実施費用がかかる(5〜10万円) |
| 条件面を柔軟化 | ・価格交渉で折り合わず不成約になった人 ・価格は下げたくないが歩み寄りたい人 |
間接的に影響する可能性あり |
| 再掲載で「売れ残り」と感じさせない | ・まだ今の価格で売りたい人 ・検索で埋もれていると感じる人 |
なし |
| 売り出し価格を相場に合わせて見直す | ・成約相場より10%以上高い人 ・問い合わせも内覧もほとんどない人 |
あり |
本章では、具体的な対策を1つずつ見ていきましょう。
1. 媒介契約や不動産会社の変更を検討する
現在の不動産会社の販売活動に不満がある場合、媒介契約の見直しや会社変更を検討する価値があります。
| 契約形態 | 特徴 | 変更タイミング |
|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 1社のみに依頼、報告義務あり | 契約期間(最長3ヶ月)満了時 |
| 専任媒介 | 1社のみに依頼、自己発見取引は可 | 契約期間(最長3ヶ月)満了時 |
| 一般媒介 | 複数社に依頼可能 | いつでも変更可能 |
会社変更を検討する際は複数社に査定を依頼し、販売戦略や担当者の対応を比較しましょう。GMO不動産査定なら、複数社へまとめて無料で依頼でき、査定額とあわせて提案内容やレスポンスの早さも確認できます。
2. 広告写真・コメントを刷新して物件の魅力を伝える
ポータルサイトでの見え方は、問い合わせ数を左右します。現在の掲載内容を確認し、改善の余地があれば不動産会社に依頼しましょう。
| 項目 | 改善ポイント |
|---|---|
| 写真 | ・明るい時間帯に撮影 ・広角で空間を広く見せる ・枚数を増やす |
| コメント | 定型文を避け、物件固有の強みを具体的に記載(日当たり、収納、周辺環境など) |
| 間取り図 | ・寸法や方位を明記 ・見やすいデザインに更新 |
自身の物件がどのように掲載されているか、購入検討者の視点でポータルサイトを確認するのがおすすめです。
3. ハウスクリーニングで内覧時の印象を上げる
内覧時の第一印象は、成約率に直結します。専門業者によるハウスクリーニングを実施すると、室内の清潔感が整い、内覧時に「手入れされている家」という印象になるためおすすめです。
優先的に清掃すべき箇所
- 水回り(キッチン、浴室、トイレ、洗面台)
- 玄関・廊下
- 窓ガラス・サッシ
費用は一戸建てで5〜10万円程度が目安です。全体のクリーニングが難しい場合は、水回りのみの部分清掃でも良いでしょう。
4. インスペクションで買主の不安を減らす
インスペクション(住宅診断)とは、専門家が建物の劣化状況や不具合を調査し、報告書にまとめるサービスです。築年数の経った物件では、買主が「見えない不具合」を懸念して購入をためらうことがあります。事前に診断を受けておくことで、建物の状態を客観的に示し、買主の不安を軽減できるでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査範囲 | 基礎、外壁、屋根、室内、水回り、小屋裏、床下など |
| 費用目安 | 5〜10万円程度(一戸建ての場合) |
| 所要時間 | 2〜3時間程度 |
診断結果に問題がなければ安心材料として提示でき、不具合が見つかった場合も事前開示することで契約後のトラブル防止につながります。
5. 条件面(引渡し時期・残置物・契約条件)を調整して買いやすくする
価格以外の条件を柔軟にすることで、購入検討者の間口を広げられます。以下のように買主にとっての「買いやすさ」を意識した調整が有効です。
| 項目 | 対応例 |
|---|---|
| 引渡し時期 | 買主の希望に合わせて前倒し・延長に対応する |
| 残置物 | エアコン・照明・家具などを希望に応じて残す、または撤去する |
| 契約不適合責任 | 築古物件では免責とする代わりに価格調整で対応する |
| 測量・境界確定 | 買主負担を軽減するため売主側で実施する |
「価格は下げられないが、条件面で歩み寄れる」という姿勢を示すことで、交渉の幅が広がります。
6. 再掲載で「売れ残り」と感じさせない
長期間掲載されている物件は「売れ残り」という印象を持たれやすく、検討対象から外されてしまうことが多いです。一度掲載を取り下げ、期間を空けて再掲載することで、新着物件として再び目に留まりやすくなります。
再掲載時のポイント
- 2〜3ヶ月程度の掲載停止期間を設ける
- 再掲載時に価格や写真も同時に見直す
- 可能であれば不動産会社を変更し、別のポータルサイトにも掲載する
単に再掲載するだけでなく、広告写真やキャッチコピーの見直しと組み合わせることで効果が高まるでしょう。
7. 売り出し価格を相場に合わせて見直す
価格の見直しは、反響に直結しやすい対策です。見直す際は、査定額ではなく「成約価格(実際に売れた価格)の相場」を基準にすることが重要です。査定額は「売り出しの目安」であるため、必ずその金額で売れるわけではありません。最終的に市場が受け入れた価格である「成約価格」を起点にすると、現実的な価格帯に合わせやすくなります。
| 確認項目 | 方法 |
|---|---|
| 近隣の成約事例 | レインズの成約情報を不動産会社に開示してもらう |
| 競合物件の価格 | ポータルサイトで同条件の売り出し物件を比較 |
| 現在価格との乖離 | 相場より10%以上高い場合は調整を検討 |
値下げ幅は一度に大きく下げるより、段階的に調整するほうが価格交渉の余地を残しやすくなります。
1年以上売れない家を仲介以外で「即現金化・処分」できる最終手段
仲介での売却が難しい場合、不動産会社による「買取」を選択肢に入れると良いでしょう。
買取とは、不動産会社が直接物件を購入する取引形態を指し、仲介との違いは以下のとおりです。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の購入希望者 | 不動産会社 |
| 売却価格 | 相場に近い価格で売れる可能性あり | 相場の6〜8割程度が目安 |
| 売却期間 | 買主が見つかるまで不確定 | 最短1〜2週間で現金化可能 |
| 内覧対応 | 必要 | 不動産会社の現地確認のみ |
| 仲介手数料 | 発生する | 原則として発生しない |
価格面では仲介より不利になりますが、迅速に売却できる点やスケジュールが読みやすい点がメリットです。維持費の負担が続いている場合や、早期に現金化したい場合には有効な選択肢となります。ほかにも仲介以外の「処分」に近い最終手段として、以下の方法があります。
| 処分方法 | 概要 |
|---|---|
| 隣地所有者へ直接打診する | 隣接する土地・建物の所有者に非公開で売却を持ちかける |
| 空き家バンク等のマッチングに出す | 自治体が運営する空き家バンクや移住促進サイトに物件を登録し、買い手・借り手を探す |
| 解体して更地にし、土地として売却する | 建物を取り壊して更地にしたうえで、土地のみを売りに出す |
| 相続土地国庫帰属制度を検討する | 相続で取得した土地を一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度(2023年4月施行) |
いずれも要件や手間・費用のハードルが高く、すぐに実行できないケースもあるため、現実性を見極めたうえで検討すると良いでしょう。
まとめ
1年以上売れない家は、初期の価格設定や長期掲載による敬遠、販売活動の停滞など複数要因が重なっているケースが多いです。放置していると価格下落や維持費負担、老朽化リスクが増すため、早めの対策がおすすめです。現在の相場と販売戦略を客観的に確認するために、GMO不動産査定で複数社の査定と提案を比較すると良いでしょう。