家を処分する7つの方法とは?注意点や手順・費用なども解説
親の死後に実家を引き継いだなどで、家の処分方法に困っている人もいると思います。家を処分したいと考えたら「複数の不動産会社に相談して物件の正確な価値を把握したうえで、売却目的に合った方法を比較検討すること」が重要です。
放置を続けると固定資産税が増え続けるだけでなく、最悪の場合は損害賠償責任を問われるリスクも生じます。この記事では処分方法と注意点に加え、具体的な手順や費用の目安も解説します。
家の処分方法7選
家の処分方法を選ぶ時に重要なのは「価格を最大化したいのか」「早急に手放したいのか」「将来再び利用する可能性があるのか」という優先順位を先に整理することです。
その上で、次の7つの方法から処分方法を選びましょう。
| 処分方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 仲介売却 | ・市場価格で売却を目指す ・手取り額を最大化したい人向け |
売却期間3〜6か月程度と内覧対応が必要 |
| 更地売却 | ・解体して土地として売る ・建物が古く土地に需要がある人向け |
先行して解体費用が発生 |
| 業者買取 | ・不動産会社が直接買う ・早期現金化したい・契約責任を避けたい人向け |
仲介より売却価格が下がる傾向 |
| 賃貸 | ・貸して収益を得る ・将来的に使う可能性がある人向け |
初期費用の回収計画が求められる |
| 空き家バンク | ・自治体制度で探す ・田舎や地方で買い手が見つからない場合に有効 |
成約率が低い |
| 譲渡・寄付 | ・無償または安価で譲る ・買い手がつかず維持費を切り離したい場合に有効 |
自治体の受け入れ条件が厳しい |
| 国庫帰属 | ・国に土地を引き取ってもらう ・相続した土地が不要で更地の場合に有効 |
厳格な要件と費用負担がある |
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。所有する物件の状態や立地、売却を急ぐかどうかといった条件に応じて、最適な手法を選ぶことが大切です。
1. 中古住宅・古家付き土地として「仲介」売却する
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・解体費用やリフォーム費用などの初期投資を抑えられる ・市場価格で取引されるため最終的な手取り額が多くなりやすい |
・買い手が見つかるまでに時間がかかる場合がある ・引き渡し後に欠陥が見つかると契約不適合責任を問われるリスクがある |
建物を解体せず、不動産会社の仲介を通じて一般市場で買い手を探す手法です。中古住宅としての利用を希望する買主だけでなく、買主自身が解体・新築することを前提とした「古家付き土地」を探す層にも幅広くアピールできます。
市場価格での取引を目指せるため、最終的な手取り額を最大化したい方に向いている方法です。契約不適合責任のリスクに備えるため、売却前にインスペクション(建物状況調査)を受けておくと安心です。複数の不動産会社に査定を依頼することで相場を把握し、販売戦略を含めた提案内容で会社を選びましょう。
2. 解体して「更地」にしてから売却する
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・建物の契約不適合責任を完全に回避できる ・新築用地として土地の用途が広がり買い手が見つかりやすくなる |
・高額な解体費用を前払いで自己負担する必要がある ・更地にすると住宅用地の特例が外れ固定資産税が上がる |
所有者の負担で建物を解体し、住宅用地や駐車場用地として土地のみを売却する手法です。建物が古く、土地そのものに需要がある場合に特に有効です。
解体費用の目安は坪単価で以下のとおりで、木造30坪の一戸建てであれば90万〜150万円程度が目安です。
- 木造:3〜4万円
- 鉄骨造:4〜5万円
- RC造:5〜6万円程度
更地にした時点から固定資産税の軽減措置が外れて税額が上昇するため、解体後は速やかに売却活動を始めることが重要です。
3. 不動産会社・専門業者に直接「買取」を依頼する
一般の買主ではなく、不動産買取業者に物件を直接買い取ってもらう手法です。内覧対応などの手間を省きたい場合や、すぐに現金化したい場合に適しています。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・買主探しの期間が不要なため最短数日〜1週間程度で現金化できる ・契約不適合責任が免責になるケースが多く売却後のトラブルがない |
・業者の利益や再販コストが引かれるため市場相場より安くなる |
スピードと手間の削減を優先する場合に向いており、相続後の整理を急いでいる方に多く選ばれます。売却価格が下がる点を許容できるかどうかが、この手法を選ぶ際の判断基準になります。
4. 賃貸物件として他者に貸し出す
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・家を手放すことなく毎月継続的な家賃収入を得られる ・将来的に自分や親族が再び利用する選択肢を残せる |
・入居者を募集するためのリフォーム費用など初期投資がかかる ・空室リスクや設備の故障対応および入居者トラブルのリスクを抱える |
手放さずに必要箇所の修繕を行い、賃貸物件として運用して家賃収入を得る手法です。将来的に自分や親族が再び利用する選択肢を残せる点も特徴です。ただし、人に貸し出すためには水回りのリフォームやハウスクリーニング、入居者募集の広告費などで数百万円の初期費用がかかるケースがあります。
賃貸物件として貸し出す前に、まずは「家賃をいくらに設定すれば、何年で改修費用を回収できるか」という綿密なシミュレーションが求められます。空室期間が続くと維持費だけがかかり続けるため、賃貸活用に踏み切る前に地域の賃貸需要を調べてください。
5. 自治体の「空き家バンク」に登録する
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・不動産会社が扱わないような地方 ・過疎地の物件でも掲載できる ・自治体によっては独自の改修補助金が出る場合がある |
・自治体は契約の仲介を行わないため交渉等は当事者間で行う必要がある ・一般市場より需要が少なくマッチングに長期戦を要する |
地方自治体が運営する物件登録制度を利用し、移住希望者などとマッチングを図る手法です。不動産会社が扱わないような地方・過疎地の物件でも掲載できる点が大きな特徴です。
成約率は一般の不動産市場と比べると低い傾向にありますが、他の方法で買い手が見つからない場合の選択肢として有効です。国土交通省が公開する「空き家・空き地バンク総合情報ページ」から各自治体の窓口を確認できます。
6. 自治体・NPO法人・隣地所有者へ譲渡(寄付)を打診する
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 将来の維持管理費や固定資産税の負担から完全に解放される | ・自治体は維持コストを嫌うため寄付を受け入れてもらえるケースは稀である ・個人間の無償譲渡の場合受け取る側に贈与税が発生するリスクがある |
有償売却が困難な場合に、隣接地の所有者へ譲渡を打診するか、公共目的の団体へ寄付を相談する手法です。実務上、自治体への寄付は「受け入れ後の維持管理コストが増える」として断られるケースが大半です。
この方法は「買い手がつかず維持費の負担を切り離したい場合」の最終手段として位置づけ、まずは他の手法を検討するのが現実的です。
7. 相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・買い手も寄付先も見つからない土地を最終的に手放すことができる | ・建物がある場合は自費で解体して更地にする必要がある ・審査手数料(1.4万円)と10年分の管理費相当額の負担金(約20万円〜)がかかる |
2023年4月に創設された制度で、相続などにより取得した土地の管理負担を軽減するために設けられました。法務省が定める要件を満たす土地について、審査手数料と負担金を納付することで国に引き取ってもらえます。
審査基準は厳格で、以下のような土地は対象外となります。
- 建物が残っている土地
- 境界が不明確な土地
- 土壌汚染や地下埋設物がある土地
- 担保権・使用収益権が設定されている土地
- 他人が使用・管理している土地
- 崖地など管理に過分な費用がかかる土地
他のすべての手段を検討したうえで、最後の手段として活用を検討しましょう。
家の処分を考える時の注意点
家の処分を考える時は、処分を先延ばしにするリスクを抑えておく必要があります。
家の処分を先延ばしにすることは、単なる「現状維持」ではありません。時間が経つにつれて税金・法的リスク・物理的な劣化が複合的に積み重なり、最終的な処分をより困難にします。
主なリスクを整理すると、以下の5つがあげられます。
| 分類 | 注意点 | 影響 |
|---|---|---|
| 金銭的リスク | 固定資産税・都市計画税の継続 | 居住実態がなくても毎年納税義務や維持費が発生する |
| 法的リスク | 「特定空き家」等への指定 | 住宅用地の特例が外れ、固定資産税が実質最大6倍になる |
| 物理的リスク | 建物の老朽化と資産価値の下落 | 劣化進行により売却査定額が低下する傾向にある |
| 社会的リスク | 近隣トラブルや犯罪の要因化 | 雑草繁茂や不法投棄、放火の標的になる恐れがある |
| 法的責任 | 倒壊等による損害賠償責任 | 第三者への被害に対し「土地工作物責任」を問われる |
上記のリスクのうち、特に見落とされやすいのが税金の問題です。所有しているだけで、毎年確実にコストが積み上がることを理解しておきましょう。
1. 固定資産税・都市計画税を毎年払い続けることになる
居住実態がなくても、登記上の所有者である限り毎年の納税義務が発生します。地方税法の規定により、毎年1月1日時点の所有者に対して固定資産税(標準税率1.4%)が課税されます。
空き家を持ち続ける間は、固定資産税以外にも以下の税金やコストが毎年継続して発生します。
- 都市計画税(標準税率0.3%)
- 火災保険料
- 維持管理費(草刈り・外壁の最低限の清掃など)
使っていない家のために年間数十万円単位のコストがかかり続けるため、家計への影響は無視できないレベルになります。
参照元:総務省|固定資産税
2. 「特定空き家」に指定されると税金が最大6倍に跳ね上がる
2023年の空家等対策特別措置法の改正により、自治体から「管理不全空家」の勧告を受けた場合も、住宅用地の固定資産税の軽減措置(1/6減額)の解除対象となりました。
住宅が建っている土地は、固定資産税が最大1/6に軽減されています。そのため特例が外れると、税額が実質的に最大6倍に跳ね上がります。放置するほど税負担が重くなる仕組みになっていることを覚えておきましょう。
3. 建物の老朽化が急速に進み、市場における資産価値が下落する
適切な管理が行われない建物は劣化の進行が速く、不動産市場での売却査定額が低下する傾向にあります。換気不足による湿気の滞留や通水停止が、主要構造部の腐朽や設備の老朽化を加速させるためです。
売却を先延ばしにするほど査定価格が下がり、最終的な手取り額が減る可能性があります。早めに動き出すことが、資産価値を守るうえで最も重要な行動となります。
4. 近隣トラブルや犯罪(不法投棄・放火)の要因となる
管理が行き届かない空き家は、周辺環境の悪化や犯罪リスクを誘発する恐れがあります。雑草が繁茂して隣地への越境が起きたり、不法投棄の対象になったりするケースは珍しくありません。
総務省消防庁の令和6年版消防白書でも、空き家が放火の標的になりやすい傾向が示されています。近隣住民との関係悪化や、トラブルに発展する前に対処することが大切です。
5. 倒壊や落下物による損害賠償責任を問われる可能性がある
老朽化した建物が倒壊したり、屋根材が落下したりして第三者に損害を与えた場合、所有者が賠償責任を負う可能性があります。
民法第717条(土地工作物責任)では、建物の設置・保存に瑕疵があり他人に損害を生じた場合、所有者が賠償責任を負うと定められています。「知らなかった」「管理していなかった」は免責の理由にならないため、放置は法的リスクと直結することを認識しておきましょう。
参照元:e-Gov|民法第717条
家の処分を成功させる手順
家の処分をスムーズに進めるためには、正しい順序で手続きを踏むことが重要です。焦ってリフォームや解体に着手してしまうと余計なコストがかかるため、まずは以下のような全体の流れを把握してから動き出しましょう。
| 手順 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| STEP1 | 相続登記(名義変更)を完了させる | ・2024年4月から義務化 ・未登記では売却不可、3年以内に未登記は過料 |
| STEP2 | 家財道具・残置物を整理・処分する | ・複数社見積もり比較 ・貴重品の仕分けを先に行う |
| STEP3 | 土地の境界を確認する | ・境界杭なしの場合は測量必要(約30万〜80万円) ・早めに確認することが重要 |
| STEP4 | 複数の不動産会社に査定を依頼する | ・相場感を掴むため最低3社以上から取得する ・一括査定サイト活用が効率的 |
| STEP5 | 処分方法を決定し、実行する | ・むやみにリフォーム・解体をしない ・まず「現状のまま売れるか」を確認 |
| STEP6 | 売買契約の締結・決済・引き渡し | ・契約不適合責任の範囲を事前に取り決め ・共有名義は全員署名必要 |
| STEP7 | 確定申告(翌年2月〜3月) | ・3,000万円特別控除等の特例はここで申請 ・税額ゼロでも申告必要 |
各手続きのうち、特に見落としやすいポイントは以下のとおりです。
| 手続き | 補足ポイント |
|---|---|
| 相続登記 | ・名義が旧所有者のままでは売却・賃貸・解体が進められない ・正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料が科される |
| 土地の境界確認 | ・境界が不明確なまま売り出すと買主への引き渡しができない ・住宅ローンの融資も下りないため売却活動と並行して早めに着手する |
| リフォーム・解体の判断 | ・売主判断のリフォームが買主の需要を狭める場合がある ・まず「現状のまま売れるか」を不動産会社に確認する |
| 確定申告 | ・売却損でも損益通算・繰越控除で税金が取り戻せる可能性がある ・特別控除の適用には申告が必要 |
各手続きは相互に連動しているため、早めの情報収集と専門家への相談が、スムーズな処分につながります。
家の処分にかかる費用と補助金活用のコツ
家の処分にかかる費用は、選ぶ方法によって大きく異なります。
主な費用の項目と目安は、以下の表のとおりです。
| 項目 | 目安額 | 詳細 |
|---|---|---|
| 解体費用 | 約90万〜150万円(木造30坪の場合) | ・構造により変動する(木造3〜4万円・鉄骨造4〜5万円・RC造5〜6万円/坪) ・重機不可の敷地等は割高になる |
| 相続登記費用 | 約10万〜20万円 | ・登録免許税(評価額×0.4%)+司法書士報酬 |
| 仲介手数料 | 売価×3%+6万円+税 | ・宅建業法による上限規定 ※法改正により800万円以下の空き家等は特例で最大33万円(税込)かかる場合がある |
| 印紙税 | 数千〜数万円 | ・売買契約書に貼付 ・金額により変動 |
| 譲渡所得税・住民税 | 利益に対して約20%〜39% | ・売却して利益(譲渡益)が出た場合に発生 ・所有期間が5年以下か超えるかで税率が異なる |
| 測量費(境界確定) | 約30万〜80万円 | ・隣地との境界が不明確な場合のみ ・土地家屋調査士に依頼して測量を行う費用 |
| 修繕・片付け費用 | 数十万円〜 | ・必要な場合のみ ・売却前のハウスクリーニングや不用品回収業者への家財処分依頼費用など |
上記の直接費用に加えて、処分が完了するまでの間は以下の維持費が毎年かかり続ける点にも注意が必要です。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 維持管理費(草刈り・清掃など最低限の管理)
なお、相続土地国庫帰属制度を利用する場合は、審査手数料(土地1筆あたり14,000円)に加え、原則として10年分の土地管理費相当額(約20万円〜、面積等により算定)の負担金を納付する必要があります。
「処分にかかる費用が多くて困る」という人は、補助金の活用も検討しましょう。多くの自治体では、空き家活用を後押しするための補助金を設けています。
代表的な補助金は以下のとおりです。
| 老朽空き家解体補助金 | 解体費用の1/3〜1/2程度(上限あり)を助成 |
|---|---|
| 空き家リフォーム補助金 | 賃貸活用に向けたリフォーム費用の一部を助成 |
補助金を活用するうえで最も重要なのは、業者と契約・着工する前に自治体の窓口へ相談し、事前申請を行うことです。工事後の申請では一切受け取れないため、計画の初期段階で自治体のホームページを確認しましょう。
まとめ
家の処分を先延ばしにすると、維持費の負担が続くばかりか、特定空き家指定による税金の最大6倍への増額や、建物倒壊による損害賠償といった重大なリスクを招く恐れがあります。処分方法は仲介や買取による売却、更地化、賃貸から、自治体や国への引き継ぎまで多岐にわたります。
そのため物件の状態や緊急度など、自身の目的に合わせて最適な手段を選ぶことが重要です。まずは複数の不動産会社へ無料査定を依頼し、物件の正確な価値を把握したうえで方針を検討することが、後悔のないスムーズな処分への第一歩となります。