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任意売却の相談におすすめの不動産業者・協会30選|選び方も解...

固定資産税は、マンションや住宅などを所有する方が支払う税金です。地方税となるため、住所のある自治体に納めるのが基本で、毎年1月1日の時点で所有している方が支払います。
建物だけではなく、所有している土地や償却資産も固定資産税の対象になります。固定資産税の対象となる家屋・土地・償却資産の主な種類は、下記の通りです。
| 家屋 | 住宅・工場・店舗・倉庫など |
|---|---|
| 土地 | 田んぼ・畑・牧場・山林など |
| 償却資産 | 会社用パソコン・機械など |
償却資産の場合、事業用資産はすべて対象となり、会社で使用しているコピー機なども該当します。
土地・住居の場合は、固定資産税課税台帳に氏名の記載があれば、その場所に住んでいなくても所有者と認められた際には支払わなければいけません。

固定資産税は、固定資産課税標準額に標準税率の1.4%をかけることで求められます。計算式は下記のようになりますが、自治体によっては標準税率が1.5%や1.6%のこともあるため、事前にチェックしておいてください。
固定資産税評価額×1.4%=固定資産税
固定資産税評価額は、「課税明細書の確認」「固定資産課税台帳の閲覧」「固定資産評価証明書の取得」で確認ができます。また、国土交通省が運営する「不動産ライブラリ」でも確認することが可能です。

基本として、土地は時価の60%から70%ほど、建物は建築費の50%から70%ほどが標準額となります。

実際に、新築3,000万円の戸建ての固定資産税をシミュレーションしてみましょう。下記の条件における固定資産税について紹介します。
- 土地の面積:120平米
- 建物の面積:80平米
- 土地の取得費:1,400万円
- 建物の建築費:1,600万円
評価額を70%として計算すると、土地の固定資産税評価額は980万円、建物は1,120万円です。また、新築なので軽減措置が適用され、建物の固定資産税は2分の1になります。さらに、住宅用地の特例により土地の課税評価額が6分の1になります。計算式は、下記の通りです。
この2つの金額を合計すると、2万2,800円+7万8,400円=10万1,200円となり、新築3,000万円の戸建ての固定資産税は10万1,200円です。ただし、あくまで目安としての計算となるため、必ずこの金額になるということではありません。
では、6年後・10年後・20年後の固定資産税がどのように変化していくのかを詳しくみていきましょう。土地の固定資産税は2万2,800円のままなので、建物の固定資産税の変化を詳しくお伝えします。
| 6年後の建物の固定資産税 | 1,120万円×1.4%×0.62%=9万7,000円 |
|---|---|
| 10年後の建物の固定資産税 | 1,120万円×1.4%×0.5%=7万8,000円 |
| 20年後の建物の固定資産税 | 1,120万円×1.4%×0.26%=4万円 |
新築の軽減措置が終わると、当然ですが税額は元通りとなります。しかし、建物の場合は経年劣化が生じるため、築年数により評価額が下がっていくのが特徴です。
そのため、上記のように築10年の場合は新築時と大差のない税額となり、築20年になればそれ以上に下がります。上記の減価補正率は、「東京法務局経年減価補正率表」を参考にしているので、チェックしてみてください。

固定資産税には、負担を軽減する制度があります。
- 住宅用地の特例
- 新築住宅の建物に対する軽減措置
ここでは上記の2つについて詳しく解説します。
建物ではなく、住宅が建てられる土地の特例です。面積が200平米を超えるかどうかによって軽減率が異なります。
| 200平米以下の部分 | 固定資産税評価額×1/6 |
|---|---|
| 200平米を超える部分 | 固定資産税評価額×1/3 |
特例が適用された場合のそれぞれの計算式は、下記の通りです。
- 固定資産税=固定資産税評価額×1/6×税率
- 固定資産税=固定資産税評価額×1/3×税率
固定資産税評価額が下がるので、その分固定資産税も安くなります。
住宅の床面積が50㎡(戸建て住宅以外の貸家住宅の場合は40㎡)以上280㎡以下の建物を、新築で購入した場合に限り受けられる軽減措置です。減額率は、以下の通りになります。
| 一戸建て(120㎡相当部分) | 3年間50%の減額 |
|---|---|
| マンション(120㎡相当部分) | 5年間50%の減額 |
| 認定長期優良住宅(120㎡相当部分) | 5年間50%の減額 |
住宅一戸あたりの居住面積が120㎡を超えている場合は、120㎡に相当する部分の固定資産税額が50%減額されます。
建物の課税標準額が2,000万円の新築一戸建ての場合、固定資産税の計算式は下記の通りです。
2,000万円×1.4%=28万円
上記の計算で算出した28万円の50%軽減となるため、ここでは課税金額は14万円となります。

本記事でお伝えしているように、固定資産税には定められた計算方法があります。税額が減額(前年度より低くなること)となるのは、新築住宅などの特定の軽減措置や住宅用地などの特例が適用される場合、または、固定資産の評価額(時価)が下落した場合が主な要因です。ただし、土地の評価額が上昇した際などには、急激な税負担の増加を避けるため、負担調整措置により税額の増加が緩やかになることがあります。
固定資産税の負担を抑えるためには、所有する固定資産を増やさないのがポイントです。
たとえば、屋根と三方を囲む壁があれば固定資産とみなされるため、ガレージや物置は対象となる可能性が高くなります。
また、基礎が固定されているかどうかなど課税対象におけるルールがあるため、まずは事前に確認し、少しでも固定資産を少なくできるようにしておきましょう。

固定資産税は、毎年1月1日に固定資産を所有している方が支払うべき税金です。住宅を1月2日に購入した場合は、支払いは翌年からとなります。納税通知書と振込用紙が毎年4月から6月あたりに届くため、そこに記載された案内を確認して支払ってください。
固定資産税は地方税となるため、支払先は住所のある自治体です。一般的に4回にわけて支払いますが、分割せずに一回で支払う方法もあり、どちらを希望するか選択できます。しかし、一括払いをするからといって割引されるようなことはなく、分割での支払いであってもトータルの金額は変わりません。

固定資産税には、以下3つの注意点があります。
- 滞納すると遅延損害金が発生する
- 一部の軽減措置・特例(例:認定長期優良住宅の軽減、住宅用地の特例)を適用するためには期限内の申請が必要
- 軽減措置や特例が適用期間を過ぎるタイミングに注意
固定資産税については、わかりにくい点も多いかと思います。それぞれの内容を正しく把握し、固定資産税に対する理解を深めてください。
固定資産税は、通知書や振込用紙に記載された期限内に支払わなければいけません。支払いが遅れてしまうと、最大で1年間に14.6%の延滞金が生じてしまいます。
分割の場合は、6月・9月・12月・2月のようにわけられていますが、必ずその月に支払わなければいけないというルールはないため、忘れないうちに早めに支払いを済ませておくと安心です。
特定の軽減措置や特例(例:認定長期優良住宅の軽減措置、住宅用地の特例など)の適用を受けるためには、必ず期限内に申請しなければいけません。一般的な新築住宅の軽減措置は原則として申請は不要ですが、ご自身の固定資産がどの制度に該当するかを確認し、申請が必要な場合は漏れのないよう注意しましょう。
住宅用地として使用されている土地に適用される「住宅用地の特例」を受けるためには、原則として「住宅用地等申告書」を市町村の窓口に提出する必要があります。この申告書の提出期限は、お住まいの自治体によって異なる場合があります(例:1月31日、または1月20日など)。正確な期限と手続きについては、必ずお住まいの自治体にご確認ください。
申請しない場合、軽減措置が受けられずに固定資産税が高くなってしまいます。少しでもお得に納税するためにも必ず申請するようにしてください。
新築の一戸建ては3年間、マンションは5年間の軽減措置がありますが、この期間を過ぎれば固定資産税の軽減はなくなります。支払い額がこれまでよりも高くなることもあるので、気をつけてください。
本記事でもお伝えしたように、10年・20年と築年数に応じて固定資産税評価額は下がります。しかし、3年・5年などの短い期間では、そこまで大きな差が出ることはありません。そのため、軽減措置がなくなったらどのくらいの支払が必要になるのか、事前に計算しておくことをおすすめします。
新築の一戸建ては、軽減措置を受けることで固定資産税を安くすることが可能です。新築住宅の建物に対する軽減措置では、建物の固定資産税が50%も減額されます。さらに、住宅用地の特例も適用されれば、土地の固定資産税も安くなります。
しかし、申請しなければせっかくの軽減措置や特例を受けられないので、忘れないように注意しましょう。
固定資産税は、家を買ったら払わなければいけません。本記事で紹介した固定資産税の正しい算出方法やシミュレーションを参考に、自宅の固定資産税についてしっかりと理解しておきましょう。