地積とは?実測面積との違いや登記簿での確認方法をわかりやすく解説

不動産情報に書かれた「地積(公簿)」。実はこの数字、実際の土地の広さとは異なる場合があることをご存知でしょうか?

多くの方が知らないこの違いは、時に大きなトラブルの原因になります。

この記事では、なぜ面積に違いが生まれるのか、そして損をしないために契約前に何をすべきかを、わかりやすく解説します。

<この記事でわかること>

  • 「地積」の正確な意味と、登記簿(登記事項証明書)での確認方法
  • 登記簿の面積と実際の面積が違う、歴史的・技術的な理由
  • 不動産取引で失敗しないための「公簿売買」と「実測売買」の注意点

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地積とは登記簿上の土地面積のこと

「地積」とは、法務局の登記簿(登記事項証明書)に記録された、一筆の土地の面積のことです。不動産取引や固定資産税の計算など、様々な場面で基準となる公式な面積です。水平投影面積で算出され、実際の土地の広さとは異なる場合があります。

登記簿(登記事項証明書)で地積を確認する方法

地積は、法務局で取得できる「登記事項証明書」で確認できます。証明書はいくつかの部分に分かれていますが、地積は一番最初に記載されている「表題部」で確認することができます。

なぜ斜面の土地でも「水平投影面積」で計算するのか

多くの方が誤解しがちなのですが、地積は、斜面や凹凸を含む土地の表面積そのものではありません。「水平投影面積」という方法で算出されます。

水平投影面積は、土地を真上から光で照らしたときに地面にできる「影」の面積を想像すると分かりやすいでしょう。たとえ急な坂道にある土地でも、平らな地面に置き換えた場合の面積で計算されます。

この方法を使うのは、家を建てる際には、その土地を平らにならして利用することが前提となるからです。この方法により、土地の形状にかかわらず、建築などに利用可能な面積を公平に評価できるのです。

地積と混同しやすい「床面積」「建築面積」との違い

不動産を見ていると、「床面積」や「建築面積」といった言葉も出てきますが、これらは地積とは全くの別物です。

  • 地積: 「 一筆の土地」そのものの面積
  • 建築面積: 建物を真上から見たときの面積(いわゆる建坪)
  • 床面積: 建物の各階の床の面積を合計したもの(延べ床面積)

簡単に言えば、「地積」は土地の広さ、「床面積」と「建築面積」は建物の広さに関する指標です。これらの違いは、正確に区別しておきましょう。

【最重要】登記簿の地積と実際の面積が違う3つの理由

さて、ここからが不動産取引で最も重要なポイントです。実は、登記簿に記載されている地積(これを「公簿面積」とも呼びます)と、実際に測量した土地の面積(実測面積)は、一致しないケースが少なくありません。

「公式な面積なのに、なぜ違うの?」と疑問に思いますよね。

その背景には、日本の土地登記が持つ、歴史的・技術的な3つの理由があります。

理由1:測量技術の歴史(縄伸び・縄縮み)

現在の登記簿の地積の元となっているのは、その多くが明治時代に行われた「地租改正」事業の測量結果です。

国土地理院の資料によると、当時は正確な測量機器などなく、主に縄や竹ざおを頼りに測量が行われていました。しかし、ご想像の通り、縄は天候によって伸び縮みします。

このため、測量結果にはもともと大きな誤差が含まれており、これを「縄伸び」「縄縮み」と呼びます。この不正確なデータが、100年以上経った今でも登記簿上の地積として引き継がれているケースが数多く存在するのです。

理由2:過去の測量精度の基準が低かった

その後も測量技術は進歩するものの、現代のようにGPSや光波測距儀(レーザーで距離を測る機械)が普及するまでは、測量精度は測量士の技術力に大きく依存していました。

つまり、数十年前の測量に基づいて登記された地積は、現代の基準で見ると精度が低い、というケースも珍しくありません。

理由3:そもそも測量が実施されていない土地もある

驚かれるかもしれませんが、過去に一度も正確な測量が行われていないまま、地積が登記されている土地も存在します。

特に山林や原野などに多いのですが、これは「公図(こうず)」と呼ばれる、法務局に備え付けられた地図のようなものから、机上で面積を計算して登記したケースです。当然ながら、このような地積は実際の面積と大きくかけ離れている可能性があります。

不動産取引で必ず知るべき「公簿売買」と「実測売買」

地積と実測面積が違うリスクがある中で、不動産取引はどのように行われるのでしょうか。これには大きく分けて2つの方法があり、どちらの方法で契約するかは、あなたにとって非常に重要です。

リスクが高い「公簿売買」の注意点

「公簿売買」とは、登記簿に記載された地積(公簿面積)を基準に売買価格を決定し、取引を行う方法です。

この契約の最大のポイントは、契約後に実際の面積が公簿面積と異なっていても、売主・買主はお互いに代金の増減を請求しない、という点にあります。

たとえば、公簿面積100㎡の土地を5,000万円で購入した後、実測したら95㎡しかなかったとしても、代金の返還を求めることはできません。逆に105㎡あったとしても、売主から追加代金を請求されることもありません。

中古戸建てや市街地の小規模な土地の取引ではこの公簿売買が主流ですが、面積が足りなかった場合のリスクは、原則として買主が負うことになります。

公平な取引である「実測売買」の流れ

一方、「実測売買」とは、売買契約を結んだ後に、土地家屋調査士などの専門家が実際に土地を測量し、その実測面積に基づいて最終的な売買代金を確定する方法です。

契約時に1㎡あたりの単価を決めておき、「実測面積 × ㎡単価」で最終的な売買代金を計算します。

この方法は、売主・買主双方にとって公平でトラブルが起きにくいため、主に面積の広い土地や、更地の取引で用いられます。

専門家からの一言アドバイス
公簿売買で「面積が足りなくても文句は言えません」と説明される際に、その言葉の本当の重みを理解してください。後からでは取り返しがつきません。

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【実践】契約前に買主が確認すべき3つのチェックポイント

では、あなたが損をしないために、具体的に何をすればよいのでしょうか。

売買契約書にサインする前に、以下の3つのポイントを確認してください。

チェック1:重要事項説明書で「公簿売買」か「実測売買」かを確認する

不動産会社から説明される重要事項説明書や売買契約書で、その取引が「公簿売買」なのか「実測売買」なのかを、ご自身の目で確認しましょう。不明瞭な場合は、必ずその場で質問してください。

チェック2:不動産会社に「確定測量図」の有無の確認

次に、不動産会社の担当者に、この一言を必ず投げかけてください。

「この土地の、確定測量図はありますか?」

「確定測量図」とは、全ての隣地所有者との境界確認が完了している、最も信頼性の高い測量図です。これがあれば、登記簿の地積が古くても、正確な土地の面積と形状を把握できます。もし確定測量図がない場合でも、「現況測量図」があれば、ある程度の参考にはなります。

チェック3:土地家屋調査士への測量依頼を検討する

もし、信頼できる測量図が何もない場合は、土地家屋調査士による測量を検討すべきです。

測量には費用(土地の形状や規模によりますが、数十万円程度)と期間がかかりますが、後々のトラブルで失う時間とお金を考えれば、決して高い投資ではありません。

この測量費用を売主と買主のどちらが負担するかは、交渉次第です。買主が負担する代わりに、土地の価格を少し下げてもらうといった交渉も、実務上はよく行われます。

専門家からの一言アドバイス
不動産取引において、「公簿面積」はあくまで参考値と心得るべきです。特に古い市街地や山林などでは、数パーセントの誤差は珍しくありません。契約前に必ず「実測図はありますか?」と確認し、無ければそのリスクを価格交渉の材料にすることも検討すべきです。

地積に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 地積と固定資産税の関係は?

A1. 原則として、固定資産税は登記簿上の地積を基に計算されます。しかし、市町村が航空写真などで測量を行い、登記簿の地積と著しく異なると判断した場合は、その調査結果に基づいて課税されることもあります(現況課税)。

Q2. 登記簿の地積を、正しい面積に修正することはできますか?

A2. 可能です。土地家屋調査士が正確な測量を行った上で、法務局に「地積更正登記」を申請することで、登記簿の地積を正しい実測面積に修正できます。これにより、将来の売買や相続でのトラブルを防ぐことができます。

Q3. 地積(㎡)を、簡単に坪に換算する方法は?

A3. 地積(㎡)に「0.3025」を掛けると、坪数に換算できます。たとえば、地積が100㎡の場合、「100㎡ × 0.3025 = 30.25坪」となります。不動産広告などでは坪表示も多いので、この計算式は覚えておくと便利です。

まとめ:正しい知識で、後悔のない不動産取引を

不動産取引における「地積」の重要性をご理解いただけたでしょうか。最後に、あなたが覚えておくべき最も重要なポイントをまとめます。

  • 地積とは「登記簿に書かれた、公式だが古くて不正確な場合がある面積」
  • 面積が違う理由は「昔の未熟な測量技術」が主な原因
  • 取引方法は「公簿売買(買主リスク)」と「実測売買(公平)」の2種類
  • 契約前の必須アクションは「確定測量図の有無を確認する」こと

「地積」に関する知識は、あなたの大切な資産を守るための武器になります。

もし、契約に臨む上で少しでも不安な点があれば、売買契約書にサインする前に、専門家へ相談しましょう。

[免責事項]
本記事は2025年7月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的としています。個別の不動産取引に関する最終的な判断は、必ず契約内容を確認し、ご自身の責任で行ってください。必要に応じて、弁護士、司法書士、土地家屋調査士等の専門家にご相談ください。

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井上康裕
井上康裕

保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/住宅ローンアドバイザー
経歴:個人事業主として売買専門不動産会社・仲介会社・地方新聞社と業務提携し、不動産売買の取材から実務まで幅広く担当。リフォーム会社、賃貸仲介会社、マンション管理会社(工事部)、分譲住宅会社で培った現場経験を基盤に、取得・改修・管理・売却の全工程を俯瞰しながら最適なソリューションを提案している。

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