家が売れない時代?売却しづらい理由や対処法・リスクを解説

「家が売れないというニュースを見た」「自分の家が売れ残ったらどうしよう」と、先行きの見えない不安を抱えている人は多いかもしれません。

家が売れない時代と一言で言っても、全国一律の現象ではありません。都市部や好条件の物件は活発に売れる一方で、地方や築古物件は売れ残り、在庫として積み上がっているのが実情です。

今後は、2024年に施行された「相続登記の義務化」と「改正空き家法」に加え、金利上昇による購買力低下や2025年問題に伴う相続物件の急増が重なり、市場の需給バランスはさらに売り手不利になることが予想されます。

この記事では、家が売れない時代と言われる構造的な理由や将来のリスク、具体的な対処法を解説します。

家が売れない時代と言われる理由とは

  • 空き家率が過去最高の13.8%
  • 人口減少・高齢化による市場に出ない「負動産」の増加
  • 都市部と地方の二極化現象

「家が売れない」と言われる背景には、単なる景気の変動だけでなく、日本の人口構造や住宅ストックに関わる根本的な要因が潜んでいます。ここでは、家が売れない時代と言われる3つの理由を解説します。

空き家率が過去最高の13.8%

令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本の空き家総数は900万2,000戸に達し、前回調査から51万戸以上増加して過去最多を更新しました。これに伴い、空き家率も過去最高の13.8%を記録しています。

全国の空き家数と空き家率の推移を示した図

単純計算で、国内にある住宅のおよそ7戸に1戸が空き家という状態で家を探している人(需要)に対して、空いている家(供給)が圧倒的に多い「供給過多」の状態を明確に示しています。

特に深刻なのは、空き家となっている900万戸の中に、賃貸や売却用として市場に出ているわけではない「放置された空き家」が大量に含まれている点です。

買い手にとっては選択肢が豊富にあるため、少しでも立地や状態の悪い物件は検討のテーブルにすら乗らず、結果として「誰にも見向きもされない売れない家」が増加しているのです。

人口減少・高齢化による市場に出ない「負動産」の増加

市場の流通に乗ることさえできない物件も増加傾向です。

令和5年住宅・土地統計調査」における空き家の内訳を見ると、賃貸用や売却用、別荘などを除いた「その他の住宅」が385万6000戸もあり、2018年から約37万戸も増加しています。

全国の空き家数と空き家率の推移を示した図

「その他の住宅」は、転勤や入院などで長期不在になっている住宅や、取り壊す予定の住宅などを指しますが、実態としては「使い道がなく、市場にも出回らないまま放置・放棄されている空き家」が相当数を占めます。

人口減少や高齢化が進む地方圏を中心に、買い手がつかないため不動産会社も扱えず、相続登記もされずに放置された、いわゆる「負動産」と呼ばれる物件です。これらの物件は、権利関係が複雑であったり、物理的な老朽化が激しかったりと、通常の不動産取引(仲介)の土俵にすら上がれない状態にあり、統計データには表れにくい「家が売れない時代」の実態を深刻化させています。

都市部と地方の二極化現象

エリアや条件による市場の二極化も、家が売れないと言われる理由として見逃せません。

指定流通機構の活用状況について」を見ると、売り物件の「成約報告件数」は増加していて、取引そのものが停止しているわけではありません。しかし、同時に、売れ残りの在庫である「売り物件の総登録件数」も、40か月連続で増加し続けています。

売買賃貸物件の登録成約件数を示した図

この「成約も在庫も増えている」という矛盾したデータの背景にあるのが二極化です。

都市部や築浅、駅近といった「条件の良い物件」は活発に売買され市場から消えていく一方で、地方圏や郊外、築古といった「条件の悪い物件」はいつまでも売れ残り、在庫として市場に積み上がっているのです。

つまり、「家が売れない」というのは全体の話ではなく、条件の悪い物件において、値下げをしても買い手がつかない状況が常態化していると言えます。

今後、家は売りづらくなるのか?

  • 2025年問題によって売り物件が市場に急増
  • 金利上昇に伴う購買力の低下
  • 相続登記義務化による売り急ぎ

現状でも厳しい市場環境ですが、家はさらに売りづらくなると予測されます。背景には、社会構造の変化と経済的な要因が複雑に絡み合っています。ここでは、今後の不動産市場に影響を与える3つのトピックを解説します。

2025年問題によって売り物件が市場に急増

今後、不動産市場はさらに「売り手不利」へと進むと考えられ、その理由の一つが「2025年問題」です。

2025年は、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることに伴い、日本では相続の発生件数がピークを迎える「大相続時代」に突入します。

相続が発生すると、実家などの不動産資産が次世代へと引き継がれます。しかし、すでに持ち家がある相続人の多くは、取得した不動産を「住むため」ではなく「現金化するため」に売却しようとします。

その結果、「家じまい」や遺産分割のための売却活動が急増し、中古住宅市場における物件供給量が爆発的に増えることが確実視されているのです。

これまでは「とりあえず実家をそのままにしておく」という選択も可能でした。しかし、法改正の影響もあり、売れにくい物件も含めて市場に供給せざるを得なくなるため、需給バランスは決定的に悪化すると予測されています。

金利上昇に伴う購買力の低下

売り物件が増加する一方で、買い手側の事情も変化していて、特に影響が大きいのが金利の上昇です。

日本銀行の金融政策変更を受け、住宅ローンの固定金利(【フラット35】など)は上昇基調にあり、2026年にかけても上がると予測されています。

金利がわずかに上がるだけでも、総返済額には数百万円単位の影響が出ます。

実際に、「住宅ローン利用者の実態調査」では、金利上昇を受けて住宅ローン利用予定者の約6割が「借入額の減額」や「固定金利タイプへの見直し」など、選択に変化があったと回答しました。

日銀政策変更による住宅ローン選択への影響図

予算が厳しくなれば、これまで売れていたはずの価格帯でも「高すぎる」と判断され、割高な物件や高価格帯の物件は敬遠されやすくなり、成約までの期間が長期化する要因となります。

相続登記義務化による売り急ぎ

2024年4月1日から施行された「相続登記の義務化」も、市場に大きな影響を与えています。

これまで任意だった不動産の相続登記が法的な義務となり、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならなくなりました。正当な理由なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料(行政上の罰則)が科される可能性があります。

また、「過去に発生した相続」にも遡及して適用される点もポイントです。

これまで名義が祖父母や曾祖父母のまま放置されていた実家や土地についても、現所有者が対応を迫られることになるのです。

「登記をするなら、管理責任や税金の負担を負いたくないから手放したい」と考える所有者が急増し、これまで市場に出てこなかった古い物件が一気に放出される「売り急ぎ」が加速することで、需給バランスの悪化に拍車をかけるでしょう。

どんな時代でも売れる家の特徴

  • 相場に適した価格設定である
  • 需要のあるエリアに立地する
  • 物件の状態が適切に管理されている

令和6年度 住宅市場動向調査報告書」などで住宅の選択理由として上位に挙がる回答を踏まえると、売れる家には共通した特徴があることが分かります。

中古戸建住宅の選択理由を示した図

ここでは、時代に左右されずどんな時代でも売れる物件の3つの特徴を紹介します。

相場に適した価格設定である

家が売れない最大の原因の多くは、「価格設定」にあります。

売主としては「住宅ローンの残債を消したい」「リフォームにお金をかけたから高く評価してほしい」という思いを持ちがちですが、買い手は常に冷静に周辺の成約事例や競合物件と比較しています。

相場から著しく乖離した価格で売り出すと、ポータルサイトなどで検索対象から外れてしまうだけでなく、長期間売れ残っている「問題のある物件」として市場で認知されてしまいます。そうなると、いざ値下げをしても足元を見られ、相場以下の価格で叩かれるという悪循環に陥ります。

「高く売り出して、売れなければ下げればいい」という考えは今の時代には通用しません。最初から客観的な相場に基づいた適正価格を設定することが、結果として最も高く、早く売るための近道となります。

需要のあるエリアに立地する

不動産の価値の大半は「立地」で決まると言っても過言ではありません。生活利便性の高いエリアにある物件は、人口減少時代においても底堅い需要があります。

生活利便性の高いエリアの特徴
  • 駅から徒歩10分以内
  • 人気の学区内
  • 商業施設が充実している など

特に近年は、共働き世帯の増加により「時間の節約(タイパ)」が重視されるため、利便性の高い都市部や駅近マンションの価格は高止まりしています。

たとえ建物が古くても、立地さえ良ければリノベーション前提で購入する層や、更地にして新築を建てたい層からの引き合いが期待できます。

立地は後から変えることができない要素であるため、需要のあるエリアに物件を持っていること自体が、売却時の最大の強みとなります。

物件の状態が適切に管理されている

同じ立地、同じ築年数、同じ価格帯であっても、物件の管理状態によって売れ行きは大きく異なります。

購入の意思決定に直結する内覧時の重要な要素
  • 玄関を開けた瞬間のにおい
  • 水回りの清潔感
  • 庭の手入れ状況 など

中古住宅市場では、買い手は「購入後にどれくらいリフォーム費用がかかるか」を懸念しています。

「掃除が行き届いている」「定期的な修繕履歴がある」という事実は、買い手に「大切に住まわれてきた家だ」という安心感を与え、購入のハードルを下げます。

一方で、庭木が伸び放題で室内がカビ臭いような物件は、「見えない部分も傷んでいるのではないか」という疑念を抱かせます。

費用対効果を考慮しつつ、ハウスクリーニングやホームステージング(家具や小物を配置してモデルルーム化する手法)を実施し、内覧時の印象を改善することが重要です。

家が売れない場合どうなる?

  • 維持管理費や税金の負担が続く
  • 特定空家・管理不全空き家指定で固定資産税が6倍になる
  • 建物の老朽化で資産価値が下落する

「売れないなら、とりあえず持っておけばいい」と考えるのは危険です。2024年以降、売れない家を放置することのリスクは、これまでとは比較にならないほど高まっています。経済的な損失だけでなく、法的なペナルティを受ける可能性もあるため、所有し続けることのリスクを正しく理解しておきましょう。

維持管理費や税金の負担が続く

不動産は、所有しているだけでコストが発生し続ける資産です。売却が決まるまでの期間、あるいは売却を諦めて所有し続ける期間中、コストは所有者の家計を確実に圧迫します。

所有しているだけで発生し続けるコストの例
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 維持管理の作業に伴う交通費や委託費用 など

たとえ誰も住んでいなくても、土地と建物がある限り、毎年「固定資産税」と「都市計画税」が課税され、一般的な地方の戸建てであっても、年間数万円から十数万円の税負担が発生し続けます。

さらに、近隣トラブルを避けるためには、定期的な草むしりや清掃、室内の換気といった管理作業が欠かせません。遠方に住んでいる場合は、交通費をかけて通うか、管理会社に委託費用(月額5,000円〜1万円程度など)を支払って管理してもらう必要があります。

特定空家・管理不全空き家指定で固定資産税が6倍になる

2023年12月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって、固定資産税が最大6倍に増加するリスクが出てきたことも無視できません。

窓ガラスが割れている、庭木が道路にはみ出しているといった管理不全の状態にあると市区町村に判断され「管理不全空き家」または「特定空家」として勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の「住宅用地特例(課税標準額を最大6分の1に減額する措置)」が解除されます。

その結果、翌年の固定資産税額が最大で現在の6倍近くに跳ね上がる可能性があります。

売れない家を放置することは、将来的に増税という重い経済的ペナルティを招く行為になり得るのです。

建物の老朽化で資産価値が下落する

建物は、人が住んで適切に換気や通水を行わないと、驚くほどの速さで劣化していきます。

売れないまま数年間放置した結果、当初は「簡単なリフォームで住める家」だったものが、廃墟同然のボロボロの状態になってしまうケースも珍しくありません。こうなると資産価値は大きく下落し、中古住宅として売ることが困難になります。

最終的に「解体して更地にするしかない」という状態になれば、売却代金を得るどころか、数百万円単位の解体費用を持ち出しで負担しなければならなくなります。

「まだ大丈夫」と放置して手遅れになる前に、まずは「今の状態でいくらで売れるのか」正確な資産価値を把握しておくことが、リスク回避にも繋がります。GMO不動産査定であれば、無料で一括査定ができるため利用してみてはいかがでしょうか?

家が売れなかった場合の対処法

家が売れない場合でも、諦める必要はありません。物件が持つ特徴や、売れない原因となっている課題に合わせて、戦略や売り方を変えることで解決できる可能性があります

物件の特徴やお悩み別の具体的な対処法をまとめたので、状況に近いものを探し、次の一手を検討する際の参考にしましょう。

分類 あなたの物件の特徴・お悩み 対処法
建物 築年数が古く、老朽化が進んでいる 「古家付き土地」販売戦略
解体更地渡しを条件に加え、新築用地需要へアピール
建物 雨漏りやシロアリの履歴・不安がある 「建物状況調査+瑕疵保険」
検査と保険を付帯し、「安心を買える中古物件」として差別化
建物 リフォーム・リノベーション済みだ 「付加価値訴求」販売戦略
工事費用を価格に反映し、即入居可のメリットを強調
建物 こだわりの注文住宅(個性が強い) 「コンセプト・マッチング」
建築意図を言語化し、感性の合う買主へピンポイントで訴求
建物 建物・土地が大きすぎる(二世帯等) 「ターゲット特化」
一般家庭ではなく、二世帯需要や法人(社宅・施設)へ営業
立地 駅から遠い・バス便を利用 「ライフスタイル提案」
利便性ではなく、閑静な環境や庭の広さなど「暮らしの豊かさ」を提案
立地 敷地内に駐車スペースがない 「駐車場確保セット」
近隣月極駐車場を確保・調査し、セット案内で不安を払拭
立地 線路・道路沿いで騒音が気になる 「防音・利便性重視」
内窓等の防音対策を提案しつつ、騒音の代償としての利便性を強調
立地 狭小地(土地が極端に狭い) 「参考プラン付き」販売戦略
提携建築会社と連携し、3階建て等の「建築プラン」を提示
立地 坂の途中・階段が多い場所にある 「眺望・プライバシー」
外部視線が気にならない開放感や、眺望の良さを最大化
権利 再建築不可(建て替えができない) 「フルリノベーション提案」
新築同等の改装プランとセット提案で、割安感をアピール
権利 借地権(土地が借りもの)である 「高利回り・永住権」
土地の固定資産税不要等のメリットを、投資家や永住層へ訴求
権利 隣地との境界・権利関係が曖昧 「確定測量・権利整理」
売り出し前に専門家が権利関係を整理し、トラブルリスクを排除
状況 住宅ローン残債が売却額より多い 「任意売却」
金融機関と交渉し、債務を圧縮して売却する専門手法を活用
状況 住みながら売りたい(内覧が不安) 「住まい演出(ステージング)」
生活感を抑える片付け術や、好印象を与える内覧対応を伝授
状況 近所に知られずに売りたい 「水面下紹介・買取」
広告を出さず、購入希望者リストへの直接紹介のみで成約
状況 賃借人が入居中(賃貸中)である 「オーナーチェンジ」
居住用ではなく、家賃収入を得る「投資商品」としてアプローチ

売れない理由と思われる点も、視点を変えればターゲットを絞り込むための特徴になります。信頼できる不動産会社に相談し、自分の物件に合った最適な戦略を立て直しましょう。

まとめ

家が売れない時代と言われますが、その実態は「売れる物件」と「売れない物件」の二極化です。しかし、2024年以降の「相続登記の義務化」や「改正空き家法」といった法的な締め付け、さらには金利上昇や2025年問題による需給悪化は、すべての所有者にとって無視できないリスクとなります。

もはや「とりあえず様子を見る」という選択肢はリスクでしかありません。固定資産税の増額や資産価値の毀損を避けるためにも、仲介での戦略見直し、買取への切り替え、あるいは解体や活用といった決断を、先延ばしにせず行うことが求められていると言えるでしょう。

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