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固定資産税とは、所有する土地や不動産などの固定資産に対して課せられる税金のことです。
所有する固定資産のある市区町村に対して支払う「地方税」に分類され、納付時期は地域によってさまざまです。納付額は、その年の1月1日の時点で所有している固定資産の評価額によって異なります。
固定資産税の課税対象は、土地・家屋・償却資産の3つです。ここでは「土地・家屋」と「償却資産」の2つに分けて、課税対象となる要件を解説していきます。
土地や家屋は、毎年1月1日の時点で、固定資産課税台帳に登録されている資産を対象に、課税がおこなわれます。課税がおこなわれると、その年の4月~6月頃に、所有する資産のある市区町村から納付書が送付されます。
さらに、所有している土地や家屋が都市計画法による市街化区域内にある場合には、固定資産税の他に「都市計画税」が別途徴収されるので、注意しましょう。
土地・家屋以外の固定資産に、償却資産が挙げられます。償却資産とは、「事業の用に供することができる資産」で、会社で使用するPCをはじめとした備品等がこれに該当します。このうち、毎年1月1日に下記の要件を満たす資産を、償却資産として申告しなければいけません。
【申告する資産の要件】
(1)土地及び家屋以外の有形の固定資産で、所得税法又は法人税法の所得の計算上、減価償却の対象となる資産(土地及び家屋の用語の意義は、地方税法第341条の規定によります。)
◎次のような資産も事業の用に供することができる状態であれば申告の対象となります。
(2)耐用年数が1年以上で取得価額(1個又は1組あたり)が10万円以上の資産。ただし、取得価額が10万円未満の資産であっても個別に償却しているものは申告対象となります。
(引用:東京都主税局「固定資産税(償却資産)」)
ここからは、固定資産税の計算方法を解説します。所有する固定資産の評価額(課税標準額)に、自治体によって異なる税率(ここでは1.4%とします)を掛けると、算出できます。
【固定資産税の計算方法】
固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%)
評価額は、土地の公的価格や家屋の時価などを加味して各市区町村が算出し、価格の見直しは3年に1回の頻度で実施されます。
それでは、実際に固定資産税の計算をシミュレーションしていきましょう。土地・家屋・償却資産のそれぞれのシミュレーションを紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
はじめに、下記のような条件で、土地の固定資産税の計算シミュレーションをしてみましょう。
【土地の条件】
住宅用地には特例があるため、税負担率の軽減が適用されます。小規模住宅用地の場合には課税標準額が6分の1となるため、計算シミュレーションは下記のようになります。
【土地の固定資産税の計算シミュレーション】
5,000万円×1/6×1.4%=116,666円
続いて、家屋の固定資産税を計算していきましょう。家屋は下記の条件のもと、固定資産税を算出していきます。
【家屋の条件】
新築住宅には「新築住宅の減額措置」が適用されます。新築マンションの場合には5年間固定資産税が2分の1に減額されるため、計算シミュレーションは下記の通りです。
【家屋の固定資産税の計算シミュレーション】
4,000万円×1.4%×1/2=280,000円
最後に、償却資産にかかる固定資産税の計算シミュレーションをおこなっていきます。条件は、以下の通りです。
【償却資産の条件】
上記のデータをもとに、まずは評価額を求めましょう。償却資産の評価額は、取得した時期によって以下のように変化します。
取得した時期 | 評価額 |
---|---|
前年度 | 取得価額×(1-減価率÷2) |
前年度以前 | 前年度評価額×(1-減価率) |
前年度に取得したという条件なので、評価額の計算は以下の通りです。
【前年度に取得した20万円のパソコンの評価額】
20万円×(1-0.438÷2)=156,200円
156,200円がパソコンの評価額(課税標準額)となりました。次に、固定資産税を求めていきます。
【前年度に取得した20万円のパソコンの固定資産税】
156,200円×1.4%=2,186円
つまり、前年度に20万円で購入したパソコンの固定資産税は、2,186円になります。市区町村によって100円未満は切り捨てになることもあるので、詳しく知りたい方は調べてみてください。
ではなぜ、土地のみの固定資産税が高くなってしまうのでしょうか。その理由について解説していきます。土地のみの固定資産税が割高になってしまう理由は2つあります。それぞれ詳しくみていきましょう。
1点目の理由は、住宅用地の特例が適用されないことです。建物が建っている土地は住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税や都市計画税が安くなります。
下記に、土地の広さに応じた住宅用地の特例をまとめたので参考にしてください。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
200㎡以下の部分 | 1/6 | 1/3 |
200㎡以上の部分 | 1/3 | 2/3 |
上記の表からもわかるように、土地の上に建物があるとないとでは、最大で固定資産税額が6倍の差が発生します。土地のみの場合には上記の特例が一切適用されないため、結果的に固定資産税が高くなるのです。
土地の上に建物がない更地は非住宅用地に分類されるため、課税評価額を算出する際に用いられる評価倍率が、住宅用地よりも高くなります。
さらに上記で説明した通り、更地は住宅用地の特例が適用されないため、固定資産税が高額になりやすいのです。
固定資産税の支払いを回避することはできません。しかし、特例や減額措置を活用することで、納税額を抑えることができます。効果的に固定資産税を減額できる特例・減額措置は、下記の通りです。
【固定資産税に関する特例・減額措置】
それぞれ詳しくみていきましょう。
住宅用地の特例は、人が居住することを目的とした土地に適用されます。下記に特例措置の内容をまとめたので、参考にしてください。
土地の種類 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
---|---|---|
小規模住宅用地(住宅用地で200㎡以下の部分が該当) | 評価額の1/6 | 評価額の1/3 |
一般住宅用地(住宅用地で200㎡以上の部分が該当) | 評価額の1/3 | 評価額の2/3 |
1月1日の時点で住宅用地に該当すると判断された土地は、広さに応じて固定資産税や都市計画税が減額されます。
2022年3月31日までに新築した住宅に限り、一定期間の固定資産税の減額措置がおこなわれます。減額内容や期間を下記にまとめたので、参考にしてください。
住宅の種類 | 減額内容 | 減額期間 |
---|---|---|
認定長期優良住宅以外 | 課税床面積が120㎡以下の部分につき、固定資産税が2分の1に減額される |
|
認定長期優良住宅 | 課税床面積が120㎡以下の部分につき、固定資産税が2分の1に減額される |
|
減額措置を受けるためには、下記の減額対象住宅の要件も満たす必要があります。
住宅の種類 | 要件 |
---|---|
戸建住宅・分譲マンション等の区分所有住宅 | 居住部分の床面積が50㎡以上 |
戸建以外の貸家住宅 | 独立的に区画された居住部分ごとの床面積が40㎡以上280㎡以下 |
耐震改修促進税制は、一定の耐震改修工事をおこなった場合に所得税が控除される制度です。標準的な工事費用から補助金などを差し引いた額を対象に、リフォームをおこなった年の所得税から最大で25万円控除されます。
住宅ローン減税制度との併用も可能なので、ぜひ活用してみましょう。
認定長期優良住宅とは、所管行政庁が認定した住宅を指します。9つの認定基準となる性能項目に沿って、「長期間に渡って良好な状態で住める住宅であるか」を所管行政庁によって厳しく審査されます。
9つの認定基準は、以下のとおりです。
上述した認定基準を満たすことを条件にした住宅の場合、所管行政庁に提出する申請費が必要になり、建物コストも上がることになります。しかし、長期優良住宅と認定されれば、ローン控除申請で節税対策が行えます。また、フラット金利で優遇が受けられたり、地震保険がお得になったりするメリットがあります。
建て替えやリフォームを行った際に、減税対象となる要件を満たせば、翌年度の固定資産税や所得税・住民税の一部の負担が軽減されます。
たとえば、戸建てを新築した場合、はじめの3年間は固定資産税が1/2になる軽減措置されます。またリフォームをした場合も、耐震改修もしくは省エネ改修によって認定長期優良住宅と認められれば、はじめの1年間は固定資産税が軽減されます。減税措置が適用されている期間が過ぎると、固定資産税の負担が増えるため、注意が必要です。
ただし、要件や対象となるケースは各市区町村によって変わるため、あらかじめ確認しておきましょう。
固定資産税は、「建物あり」よりも「土地のみ」の方が高くなりやすいです。もちろん、建物がない土地には建物分の固定資産税はかかりません。しかし、土地のみにしているよりも建物を建てた方が税率は低く、場合によっては2倍~3倍以上の差が生じることもあります。
土地のみの場合、課税評価額を4,000万円と設定すると、固定資産税は税率1.4%をかけた56万円です。
一方で、同じ条件の土地に、課税評価額1,000万円の建物を建てた場合には、住宅用地として固定資産税が6分の1に減額されます。そのため、土地単体の固定資産税は56万円の6分の1で、93,000円になります。
これに、建物の固定資産税(1,000万円×1.4%=14万円)を合算すると、土地と建物の固定資産税の合計は233,000円という結果になります。
上記の結果からもわかるように、少しでも固定資産税の負担額を減らしたい方は、土地活用をするなどの対処法がおすすめです。
固定資産税の支払い方法は、いくつかあります。下記に、利用できる支払い方法と、それぞれの詳細をまとめたので、参考にしてください。
支払い方法 | 詳細 |
---|---|
現金支払い | 各自治体の窓口・コンビニ・金融機関で支払いが可能です。ただし、コンビニで支払う場合は30万円までの納付に限るので、注意しましょう。 |
クレジットカード払い | 各自治体の専用サイト経由で支払いが可能です。専用サイトを利用する際には、納税通知書に記載されている「納付番号」と「確認番号」が必要です。あらかじめ控えておきましょう。 |
スマホ決済 | 納付先の自治体がスマホ決済サービスを導入している場合に可能です。自治体によってはスマホ決済に対応していないケースもあるため、一度確認してみてください。 |
口座振替 | 事前に金融機関へ利用申込をする必要があります。一度登録してしまえば、以後は自動で固定資産税が引き落とされます。 |
ペイジー決済 | ペイジー決済対応のATMであれば、納付書とキャッシュカードのみで支払いが可能です。インターネットバンキングやモバイルバンキングは、事前申請が必要です。 |
電子マネー決済 | コンビニでの支払う場合は、チャージした金額分還元されるため、電子マネー決済がお得です。店舗よっては電子マネー決済に対応していないコンビニもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。てしまえば、以後は自動で固定資産税が引き落とされます。 |
納付先の自治体の支払い方法を参考に、自分に合った決済方法を選択してください。
当記事では、固定資産税の計算方法について、詳しく解説していきました。固定資産税は、土地・家屋・償却資産の固定資産に毎年かかる税金で、支払いは免れません。
しかし、特例や減額措置を利用することで、納税額を抑えることができます。当記事で紹介した固定資産税を安くする方法を実践し、可能な限り減額してみてください。また、あらかじめ固定資産税を計算して支払いに焦ることがないようにしましょう。