固定資産税から土地価格(実勢価格)を求める計算式と3つの手順

「この土地の価格を固定資産税から逆算できないかな?」

売却や相続を考え始めたとき、こうした疑問を持つ人もいるかと思います。

結論から言うと、固定資産税額から「正確な売買価格」を計算することはできません。

しかし、一定の手順を踏めば、土地のおおよその「目安価格」を求めることは可能です。

本記事では、固定資産税から土地価格の目安を計算する式と、価格相場を把握するためのその他の手段を解説します。

【前提】固定資産税から正確な土地価格を計算することはできない

あらかじめの注意点ですが、固定資産税から直接わかるのは、土地の「固定資産税評価額」であって「実勢価格(実際に売買される金額)そのもの」ではありません。固定資産税評価額は税金を公平に課すための公的評価で、個別の売れやすさ・需給・買主の事情など市場要因がそのまま反映されないためです。

さらに土地(宅地)の評価は、制度上「地価公示価格等の7割を目途」とする考え方で行われます。角地・間口が広い・駅近などは市場ではプラスに働きやすい一方、固定資産税評価額では標準的な前提からの調整にとどまり、正確な売買価格を求めることはできないことを把握しておきましょう。

「目安価格で十分」なら次項の「固定資産税から大まかに土地価格を計算する式と手順」へ進み、正確な金額が知りたいなら後ほど紹介する「一括査定」や「価格データの読み取り」も併用することをおすすめします。

固定資産税から大まかに土地価格を計算する式と手順

固定資産税だけでは実勢価格を断定できませんが、以下のように「評価額 → 公示地価水準 → おおよその実勢価格」の順に割り戻すと、目安価格を求められます。

固定資産税額 ÷ 0.014(固定資産税の標準税率) ÷ 0.7(公示地価の約70%水準) × 0.9〜1.2(調整係数)

ただし注意点として、住宅が建っている土地の多くには「住宅用地の課税標準の特例」 (評価額の1/6・1/3に軽減される仕組み)が適用されています。この特例がある場合、固定資産税額を税率で単純に割り戻しても評価額は求められません。

そのため、本章の計算は次の前提で使い分けてください。

課税明細書(納税通知書の同封資料)に「価格(評価額)」の記載がある 固定資産税額から逆算せず、その評価額を起点に計算する
評価額が不明かつ住宅用地の特例が適用されていない(または概算把握が目的の場合) 固定資産税額から割り戻して推定する

上記の前提を踏まえたうえで、「価格(評価額)」がわからない場合は、手順①→手順②→手順③の順で目安価格を推定していきます。

  1. 固定資産税額を標準税率で割り戻し「課税標準額(相当)」を求める
  2. 「課税標準額(相当)」または課税明細書の「価格(評価額)」を目安7割で割り戻し「公示地価水準」を求める
  3. 公示地価水準に各種補正をかけ「実勢価格(目安)」を求める

手順①固定資産税額を標準税率で割り戻し「課税標準額(相当)」を求める

まずは、手元の納税通知書(課税明細書)で「土地分」欄を確認し、1.4%で割り戻すことで「課税標準額(相当)」を求めます。

固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。

たとえば、土地分の固定資産税が140,000円なら、140,000 ÷ 0.014 = 1,000万円が課税標準額(相当)であるという計算になります。

「建物分」は経年・用途・需要で値動きし、土地の相場推定を歪めてしまうのでこの計算に含めないよう注意しましょう。また、「都市計画税」が別途かかる不動産のケースもありますが、最終的に求める「土地の実勢価格」の推定には混ぜない方が誤差が少ないです。

自治体によっては固定資産税率が1.4%ではない場合もあります(例:秋田県秋田市)。念のため土地の所在する自治体に問い合わせ、掛け率を確認すると正確でしょう。

手順②「課税標準額(相当)」または課税明細書の「価格(評価額)」を目安7割で割り戻し「公示地価水準」を求める

宅地の評価は制度上「地価公示価格等の7割を目途」とされるため、概算では手順①の金額(課税標準額(相当))または課税明細書の「価格(評価額)」を0.7で割り戻すと「公示地価水準」の目安になります。

宅地の評価において、第3節二(一)3(1)及び第3節二(二)4の標準宅地の適正な時価を 求める場合には、当分の間、基準年度の初日の属する年の前年の1月1日の地価公示法(昭和44 年法律第49号)による地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求 められた価格等を活用することとし、これらの価格の7割を目途として評定するものとする。

評価替え(見直し)は3年ごとに行われ、宅地評価は地価公示等を参照しつつ「7割目途」で評定する運用が示されています。課税標準額(相当)、または課税明細書の固定資産税評価額(価格)が1,000万円なら、1,000万円 ÷ 0.7 ≒ 1,430万円が公示地価水準という計算のイメージです。

公示地価”水準”なので「公示地価そのもの」ではなく、あくまで「公示地価相当の目安」であることには注意が必要です。

手順③公示地価に各種補正をかけ「実勢価格」を求める

公示地価は”標準的条件”の価格なので、最後に個別条件・需給・市況などの要素で補正をし、実勢価格の目安を作ります。同じエリアにある土地であっても、道路付けや土地形状などで売れ方が変わり、さらに買主からの需給によっても価格が動くからです。

簡易的には手順②で求めた金額に0.9〜1.2程度のレンジを置きます。悪条件なら0.9、標準的なら1.0、好条件であるなら1.1〜1.2掛け…といったように、その土地の属性を鑑みていくつかの補正パターンを考えると良いです。

代表的な補正要素と、その良しあしを整理すると以下のようになります。

補正要素 良いケース
(価格が上振れしやすい)
悪いケース
(価格が下振れしやすい)
土地の形状 整形地(正方形〜長方形)で使いやすい/間口が広い/奥行きも極端でない/建物配置がしやすい 不整形地・旗竿地・三角地などでプラン制約が大きい/間口が狭い/奥行きが深すぎ・浅すぎ/有効面積が取りにくい
接道状況 公道に接道/道路幅が十分(車の出入りが容易)/セットバック不要 or 影響小/日当たりが取りやすい接道(例:南側道路など) 私道負担が大きい・権利関係が複雑/道路幅が狭く車の出入りがしづらい/セットバックで実質面積が減る/再建築や建築条件に不安が出る接道
立地 駅近(徒歩圏)/生活利便施設が近い(スーパー・病院・学校など)/人気エリア・ブランド力がある 駅遠・バス便前提/生活利便施設が乏しい/嫌悪施設が近い、騒音・臭気などマイナス要因が強い
周辺需給 成約事例が多く流動性が高い/建売・分譲が強いエリアで買い手が厚い/ファミリー需要などターゲットが明確 成約が少なく買い手が薄い/供給過多(近隣で売り物件が多い)/需要が細く(特殊用途等)売却に時間がかかりやすい
売却時期の市況・金利 金利が低めで購入余力が出やすい/需要期(転勤・入学シーズン等)に当てられる/地価が上向き局面 金利上昇局面で買い手の予算が縮む/需要が落ちる時期(閑散期)/地価・取引が弱含みの局面

これらの要素で補正し終えたら、最終的な土地の実勢価格の推定は完了です。

大きな都市や人気のエリアにおいては、実勢価格が公示地価の1.5倍〜2.0倍になるケースもあります。土地の所在地の需要を鑑みて、次で提示するようないくつかのシミュレーションを用意すると良いでしょう。

固定資産税から土地価格を求めた計算例

見本として、前項の計算式を用い、実際に固定資産税額から土地の実勢価格を求めたシミュレーションを3つ見てみましょう。

※以下の計算例は、課税明細書に「価格(評価額)」が明記されている、もしくは住宅用地の課税標準特例が適用されていない土地を想定したシミュレーションです。

計算例①|平均的な住宅地(調整係数:1.0)

計算項目 計算後金額
固定資産税額 14万円
手順①課税標準額(相当) 14万円 ÷ 0.014 = 1,000万円
手順②公示地価相当額 1,000万円 ÷ 0.7 = 約1,430万円
手順③土地価格(目安) 1,430万円 × 1.0 = 約1,430万円

計算例②|条件がやや悪い土地(調整係数:0.9)

計算項目 計算後金額
固定資産税額 11.2万円
手順①課税標準額(相当) 11.2万円 ÷ 0.014 = 800万円
手順②公示地価相当額 800万円 ÷ 0.7 = 約1,140万円
手順③土地価格(目安) 1,140万円 × 0.9 = 約1,030万円

計算例③|条件が良い人気エリア(調整係数:1.5)

計算項目 計算後金額
固定資産税額 21万円
手順①課税標準額(相当) 21万円 ÷ 0.014 = 1,500万円
手順②公示地価相当額 1,500万円 ÷ 0.7 = 約2,143万円
手順③土地価格(目安) 2,143万円 × 1.5 = 約3,215万円

正確な土地価格を把握するなら一括査定がおすすめ

冒頭から伝えてきたとおり、固定資産税から土地価格を計算しても概算を求めることしかできません。せっかく面倒な計算をしても、実情とかけ離れた金額が算出される可能性もあり、売買の判断材料にするには懸念事項が多いでしょう。

買い手が付く価格の相場を知るためには、いくつかの不動産会社による査定結果を突き合わせるのが有効な手段です。そこでおすすめなのが、GMO不動産査定の一括査定サービスを使って、複数社の査定価格をまとめて比較する方法です。

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固定資産税評価額のほかに土地価格の相場を把握できる手段

固定資産税の金額から計算する方法以外に、土地価格の目安を把握する手段としては以下3つが挙げられます。

  • 公示地価・基準地価でエリア水準を確認する
  • 路線価図から税務上の評価を把握する
  • 実際の取引価格データを見る

これらは「公的な地価(相場の中心)」「税務上の評価水準」「実際の成約価格」をそれぞれ別の角度から確認できる方法です。本記事で紹介した試算方法に加え、これらをあわせて見ることで相場観の精度を上げられます。

それぞれの手段を詳しく紹介していきます。

公示地価・基準地価でエリア水準を確認する

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」にアクセスし、土地の所在するエリアの「公示地価」もしくは「基準地価」を確認しましょう。公示地価と基準地価は、いずれも標準的な地点を前提に算定される公的な地価で、個別物件の特徴(形状・接道など)を除いた地域相場の中心を掴むのに向いています。

確認手順
  1. 「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」ページを開く
  2. 都道府県・市区町村で自身の土地に近い地点を絞る
  3. 表示されたデータから「円/㎡」を確認し、自身の土地面積(㎡)を掛ける

地価情報を見る際は1つのデータだけを見るのではなく、複数の価格やそのエリアの平均値などに注目することで、相場がつかみやすくなります。

実際の取引価格データを見る

「不動産情報ライブラリ」では、実際の不動産取引の価格情報も検索できます。

確認手順
  1. 「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」ページを開く
  2. 土地の所在地域、種類(土地、宅地など)、取引時期を指定する
  3. 表示されたデータから「㎡単価(または坪単価)」と条件(面積・時期等)を確認し、自分の土地条件に近い事例を拾う

取引が少ない地域・時期だと、データの表示件数が少なく価格レンジが作りにくいケースがあります。その場合は、少し指定地域の範囲を広げたり、取引時期の指定を伸ばすなどで事例を増やしてみましょう。

路線価図から税務上の評価を把握する

国税庁「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、路線価図を見ると相続・贈与の評価の考え方(税務評価)を把握できます。国税庁は、路線価等について「地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めている」と明示しています。つまり、路線価は公的地価をベースにした税務評価の水準を知るのに使えます。

路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めています。

確認手順
  1. 「路線価図・評価倍率表」を開く
  2. 都道府県・市区町村で自身の土地に近い地点を絞る
  3. 表示された路線価図を読み取る
  4. 路線価 × 地積(㎡)で相続税評価額を概算する

路線価はあくまで相続税・贈与税の評価のための指標で、市場の実勢価格とは一致しないことに改めて注意です。また、評価時点は原則毎年の1月1日なので、時期によって市場価格とズレが起きうることも考慮しましょう。

「相続税評価額」から土地価格の計算もできる?

「相続税評価額(相続税申告で用いる土地の評価額)」からも、土地価格の目安を推定することは可能です。

相続税評価額は、土地の評価方法として「路線価方式」または「倍率方式」で算出され、いずれも「路線価等」を使った税務評価です。国税庁は、路線価等を「地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途」に定めていると公表しています。

路線価(等)から土地価格を推定するには、以下の計算式を用いることができます。

路線価(等) ÷ 0.8

路線価データの取得や読み取りやは、「路線価図から税務上の評価を把握する」を参照ください。

まとめ

本記事で解説したポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 固定資産税からわかるのは「固定資産税評価額」であり実勢価格そのものではない
  • 住宅用地には課税標準の特例(1/6・1/3)があり、税額から単純に逆算できないケースが多い
  • 評価額が把握できる場合は、それを起点に 「評価額 → 公示地価水準 → 実勢価格(目安)」と段階的に計算する

つまり、固定資産税からの計算は「判断材料のひとつ」にすぎず、最終的な売却判断に使うには情報が不足するのが実情です。実際に「いくらで売れるのか」「今売るべきか」を判断するには、市場評価を反映した不動産会社の査定価格を確認するのが確実です。

GMO不動産査定なら、一度の入力で複数の不動産会社から査定額を取り寄せられます。固定資産税から算出した「目安価格」と、実際に買い手が付きやすい「市場の査定価格」の差を具体的に把握できるので、「土地を売却するならいくらが現実的なのか」を確認するためにも査定を依頼してみましょう。

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