土地の等価交換とは?2つの方式やメリット・デメリットについてわかりやすく解説 - GMO不動産査定

土地の等価交換とは?2つの方式やメリット・デメリットについてわかりやすく解説

土地の等価交換とは

等価交換とは、土地権利者(オーナー)が所有する土地の一部とデベロッパーが建築した建物の一部を交換する方法です。デベロッパーがオーナーの土地に建物を建築し、建物と土地の価値の割合に応じて、オーナーが建物の所有権を取得する土地活用方法です。

デベロッパーとオーナー、双方が土地と建物の所有権を持つ方法で、リスクを抑えた土地活用が可能となります。オーナーは費用の持ち出しなく、提供した土地の価値に応じた建築物件の所有権を得られ、デベロッパーは土地の一部の所有権と、建物を活用して事業をスタートできます。

等価交換の2つの方式

不動産の等価交換は、基本的に下記の流れで進みます。

  1. 建築会社やデベロッパーとの打ち合わせ
  2. 等価交換方式の決定
  3. 契約の合意
  4. 土地売却
  5. 建築スタート
  6. 区分所有権の譲り受け
  7. 利用開始

契約を結ぶ前に決めるのが、この等価交換の方式です。不動産の等価交換には2つの方式にわけられます。

それぞれの方式について、詳しくここで見ていきましょう。

全部譲渡方式

土地権利者が複数いる場合に多く利用される方式で、土地の所有権すべてをデベロッパーに譲渡します。まず、土地の名義をデベロッパーに変更し、建物が完成してから出資比率に応じた配分がおこなわれます。

オーナーが土地の一部を買い戻すため、登録免許税や不動産取得税が生じる点に注意が必要です。また、企業などによっては「全部譲渡方式のみ対応可能」といったケースもあるため、必ず事前に確認しておくようにしましょう。

部分譲渡方式

建物を建築する際、土地の所有者はオーナーのままです。建物の完成後に出資比率に応じて土地の持分を移し、建物も同様に持分を移します。

土地のオーナーが1名のみの場合によく用いられる方式ですが、事業の進行や持分の決定に調整や合意が必要となるため、活用スタートまでに時間がかかる傾向があります。

等価交換のメリット

不動産の等価交換について、まずは5つのメリットを理解しておきましょう。メリットを最大限発揮できるようにするためにも、ここでお伝えする内容をしっかりと把握し、土地活用に役立ててください。

①多額の自己資金や借り入れが不要!

土地を所有している場合でも、マンションや商業施設などを建設するには多額の費用が必要です。借り入れをして経営をスタートさせるケースでは、ローン金利の変動や収益の低下などのリスクがネックになるケースもあります。

しかし、等価交換なら建築費用はデベロッパーが負担するため、多額の自己資金や借り入れは不要です。ほとんど費用の持ち出しがなく、初期投資を抑えてスタートできる点は大きなメリットといえるでしょう。

土地を活用したいけれどリスクが怖い、うまい活用方法が見つからず持て余してしまっている方には、とくにおすすめの方法です。

②譲渡所得税の優遇措置

土地を売却することで得られる収益を、譲渡所得といいます。この譲渡所得には税金が課されますが、不動産の等価交換では「立体買い換えの特例」の適用を受けられるケースもあり、税負担が軽減されます。

この特例の要件に該当する場合、等価交換時には譲渡所得税を100%繰り延べることが可能です。税額がゼロとなるため、初期費用を抑えて土地活用を始めたい方に適した方法といえます。

ただし、あくまで繰り延べなので、税金が免除されるわけではありません。支払う時期がずれるだけで、将来その物件を売却する際には税金を支払う必要があります。

立体買い換えの特例の適用には条件があるため、事前にチェックしておきましょう。また、等価交換をする際に現金を受け取る場合、その金額に対して課税されるため注意してください。

③建物の一部を自分の住まいにできる

等価交換の最大の特徴は、出資比率に応じた分配が受けられる点です。建物の所有権を得られるので、仮にマンションを建設した場合、自分の住居としても利用できます。

複数の部屋が分配された場合には、賃貸住宅として貸し出して利益を得ることもでき、自分の住まいを確保しながら収益を得られる点もメリットです。

④相続対策になる

等価交換により建物を建築することで、土地の相続税評価額を抑えることが可能です。これにより、更地のまま相続するよりも相続税の負担軽減効果が期待できます。

また、マンションなどを建築して複数の部屋の所有権を取得する場合には、部屋ごとに分けて相続するなど、遺産を分割しやすくなる点もメリットです。

⑤デベロッパーのノウハウを活用できる

等価交換によって土地活用にデベロッパーが関与することで、建物の建築から管理に至るまで、そのノウハウを活用できます。さまざまな手続きの負担が軽減されるほか、リスクも軽減され、知識や経験の少ない方でも土地活用を進めやすくなります。

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※国土交通省「不動産価格指数(住宅・全国住宅総合)2015年12月=100換算」

等価交換のデメリット

等価交換には、デメリットもあります。メリットだけに注目してしまうと、後々トラブルが起きた際に迅速な対応がとれません。

起こりうる問題を想定し、知識として頭に入れておくことも大切です。ここで紹介する5つのデメリットをよく理解し、等価交換におけるリスクを最小限に抑えられるようにしておきましょう。

①土地の一部が人手に渡る

土地の権利を一部譲渡するかわりに建物の権利の一部を受け取るのが等価交換です。等価交換後は単独での土地の所有権を失い、再び買い戻すのはかなり困難になるため、慎重に判断しなければなりません。

また、建物は共有、または区分所有することになるため、複数の権利者が利害関係で対立する、将来的に売却または建て替え時にトラブルに発展する可能性がある点にも注意が必要です。

②立地・条件が悪いと引き取り手がない

デベロッパーが土地を見て、利益が得られると判断しなければ等価交換は成立しません。立地が悪い土地や十分な広さがない土地などは、収益が見込めないとデベロッパーから判断される可能性が高いです。

不動産の等価交換は、条件が良い土地でなければスムーズに成立させるのは難しいことを知っておきましょう。

③デベロッパーとの交渉が難航しがち

不動産の等価交換では、必ず最初に打ち合わせをおこないます。打ち合わせでは配分比率についての話し合いがおこなわれますが、これが合意に至らず、交渉が難航することも珍しくありません。

例えば、配分決定の根拠となる土地の評価は、不動産鑑定士などに依頼しておこなうのが一般的です。しかし、その評価には裁量の余地が残ります。そのため、デベロッパー側とオーナー側、双方が自らにとってより有利になる評価を主張し合い、話し合いがなかなかまとまりにくいのです。

④利回りが低くなりやすい

等価交換で土地と交換する建物は、デベロッパーの利益が上乗せされた完成品としての建物です。そのため、自己資金で建築する場合に比べて建物の取得コストが割高になりやすく、賃貸住宅経営における利回りは低くなりがちです。

また、等価交換では通常、借り入れがなく、立体買い換え特例の適用を受ける場合には減価償却費も少なくなります。その結果、課税対象となる不動産所得が多くなり、税負担の増加につながります。

⑤デベロッパーに主導権を握られ不利になることも

等価交換のメリットで、デベロッパーのノウハウを活用できる点を紹介しました。しかし、裏を返せば相手側に主導権を握られてしまう可能性も高くなります。オーナー側の知識不足につけこみ、プロであるデベロッパーから不利な条件を突きつけられることもあります。

納得して進めるためには、信頼できるデベロッパーを慎重に選ぶこと、必要な知識を身につけること、毅然とした態度で交渉に臨むことが大切です。

等価交換に向いている土地

等価交換には、利便性が高く広い土地が向いています。また、オーナーに下記のような意向があることもポイントです。

  • 自己資金の持ち出しや借り入れをせず土地活用がしたい
  • 土地の権利を一部手放してもよい
  • 安定した収益を得たい

等価交換は、土地を持ち続けながら、なるべくリスクは負わず、安定した収益を得たいと考えている方に向いているといえるでしょう。逆に、まとまった資金がほしい、土地を手放したい方には、等価交換よりも通常の売却のほうが向いています。

まとめ

等価交換は費用の持ち出しが少なく、リスクを抑えて土地を有効活用できる点が大きなメリットといえます。しかし、土地によっては引き取り手がなかったり、交渉が難航してしまったりするデメリットもあります。

また、等価交換の活用には条件により向き不向きもあるため、ぜひ本記事の情報を参考にしてください。

土地活用を検討するにあたって、等価交換について正しく理解しておくのはとても大切です。メリットとデメリットを踏まえたうえで、等価交換という選択肢を持っておくとよいでしょう。

国土交通省が調査する不動産価格指数によると、全国のマンション価格は 2010年比で+110%(約2倍)!近年では、マンションの価格上昇が顕著です。

上昇トレンドが続くいま、あなたの物件の今の価値を把握しておくことが、売却・住み替えのタイミングを見極める確かな手がかりになります。

竹国弘城
竹国弘城

肩書:ファイナンシャルプランナー

所属:ラポールコンサルティングオフィス 代表

プロフィール:
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。
【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®、宅地建物取引士、証券外務員一種、サウナスパ・プロフェッショナル

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