不動産売却の際の見積もりには、無料と有料の2種類があります。両者は査定内容や利用目的が違うため、目的に合った査定方法を選択する必要があります。
まずは、不動産売却における2種類の見積もりを紹介します。チェックして適切な見積もりを取ってください。
無料見積もりは不動産会社に依頼できます。多くの不動産会社が無料査定に対応しています。不動産会社が無料で査定をおこなう理由は、査定依頼者が顧客になる可能性があるからです。
不動産会社を通して売却をした場合、仲介手数料を支払うことになります。不動産会社にとって仲介手数料は大きな収入源で、査定は仕事を獲得するチャンスです。
ただし、会社によって査定価格にバラつきがあるため、複数社で見積もりを取るようにしましょう。
有料見積もりは不動産鑑定士に依頼できます。お金はかかりますが、査定後に不動産鑑定書が発行され法的効力を持たせることが可能です。
特に、正確な不動産の価値を知る必要がある遺産相続などでは、有料見積もりが利用されます。
不動産鑑定士によって査定された証拠である不動産鑑定書は、裁判のときに証拠書類として利用することもできます。法的書類として利用できるため、信憑性は非常に高いです。
不動産の見積もり方法は、大きく分けて以下の2つとなります。
ここでは、2種類の見積もり方法について詳しく解説します。チェックして自分に合った見積もり方法を選択してください。
机上査定は簡易査定とも呼ばれており、不動産のデータのみで見積もりを出す方法です。査定価格は周辺の売り出し情報や過去の成約情報をもとに算出されます。また、毎年発表される公示価格も机上査定の際の参考情報です。
机上査定では、物件の所在地・面積・築年数を査定の担当者に伝えます。書類などの資料は必要ないため、気軽に依頼できるのがメリットです。しかし、あくまでも参考価格となります。机上査定の価格で物件が売却できると確定されたものではないため、注意しましょう。
訪問査定では実際に物件を担当者に見せます。担当者が現地に来て家の中を見る必要があるため、気軽に依頼しづらいのが欠点です。
しかし、現場を見て査定価格が決定するため、その後の販売活動でも査定額に近い金額で売れることが多くなります。不動産の正しい価値を知ることは適切な価格で売却することにつながるため、本気で売却を考えているなら訪問査定がおすすめです。
不動産の査定額は担当する会社によって大きく変化します。そのため、不動産売却を成功させるためには、相見積もりを取るようにしましょう。
例えば、ファミリー向けの不動産売却が得意なA社と、年配の方向けのバリアフリー住宅の売却が得意なB社の場合で考えてみましょう。
家族で暮らしていた2階建ての住宅を売却したいとき、得意分野であるA社は売る自信があるため査定価格を高めに出します。一方のB社は得意とする物件ではないため、安めに査定価格を出します。
1社だけに査定を依頼するのは不動産を安く売ることにつながります。物件の種類だけでなく地域によっても得意不得意があるため、相見積もりは最低でも3社に依頼しましょう。
不動産売却で相見積もりをするべき理由は、以下の2つです。
不動産の売却価格は決して安くありません。適切な査定をしてくれる不動産会社を見つけることで、納得できる価格で売却しやすくなります。
ここでは、不動産売却で相見積もりをするべき理由について詳しく解説します。
複数社で見積もりを取ることで比較検討ができるようになります。また、物件の相場の把握もできるので、大切な不動産を安く売ってしまうこともなくなるでしょう。
1社のみの見積もりでは比較ができず適正価格であるのかわかりません。営業マンの口車に乗ってしまい、安く手放す可能性も上がってしまいます。
ただし、相場よりも査定価格が大きく上回っている場合も注意が必要です。本当に査定価格に近い金額で売れるのか、その不動産会社の実力も調べましょう。
不動産の売却には、営業担当者の実力が大きく影響します。力のある営業担当者だと、短期間で希望の金額で売却できる可能性が非常に高いです。
しかし、1社のみでは営業担当者の実力はわかりにくいです。複数社に査定依頼をすれば営業担当者の実力を比べることができます。
話しをきちんと聞いてくれる・レスポンスが早いなど、営業担当者の接客態度をよく観察しましょう。
不動産の見積もりは、依頼する前に準備をしておくことでスムーズに進めることができます。しかし、初めて不動産査定を依頼する人は何を準備するべきかわからないでしょう。
ここでは、不動産の見積もり前の準備で重要な以下の2つについてご紹介します。
スムーズに不動産の見積もりができるように、確認しておきましょう。
不動産を購入する時に住宅ローンを利用した人は、必ず残債を確認しておきましょう。住宅ローンが残っている不動産は、売却時に一括返済を求められます。そのため、住宅ローンの残債を加味して売却価格を決めなくてはいけません。
ローンの支払いをしている銀行に依頼することで、残高証明書を入手できます。売却価格を決める前に、必ず残債確認をおこなってください。
不動産の見積もりを依頼するときは、以下の書類を用意しましょう。
登記簿謄本・測量図・公図は、法務局にて入手できます。売却をしたい不動産の地番がわかれば簡単に取ることができるため、最寄りの法務局を訪れてみてください。
建物の図面に関しては購入時のものが必要となります。購入から年月が経ち紛失している場合は、そのことを不動産会社に伝えましょう。
権利書は、不動産の登記が完了した際に法務局から「登録済権利証」か「登記識別情報」として発行されています。
不動産の見積もりを依頼するときは、以下の4つのポイントに注意しましょう。
大切な不動産を適切な価格で売却するためにも、注意点をチェックしてください。
不動産の見積もり依頼をする前に、周辺地域の相場価格を調べておきましょう。不動産の相場価格を調べておけば、不動産会社の出した査定価格が妥当か判断できます。
自分の持っている不動産と同じ地域を対象として、ウェブサイトで売買されている価格をチェックしましょう。築年数や方角など条件が似ているほど良いですが、多少違っても相場を知ることは可能です。比較的簡単に調べられるので、ぜひ検索してください。
不動産の見積もりにおいて、「査定額=売却額」にはなりません。査定額と実際の売却価格が異なる場合の方が多いです。
査定額には、物件の価格に登記や税金などの費用が換算されています。不動産会社に支払う仲介手数料も換算されていることが多いです。
しかし、実際に不動産を売却するとなると、ほとんどの場合で買主は値引き交渉をします。値引き交渉によっては売却価格が下がるため、査定額を下回ることがあるのです。売り出し価格を設定するときは、値引き交渉を考慮しておくと良いでしょう。
不動産会社から見積もりが出たときには、査定額の根拠を聞いておきましょう。相場よりも高い価格で査定が出ることがありますが、素直にその価格を信じてはいけません。不動産会社のなかには、査定価格を高く設定して契約を取ろうとする会社があります。
査定額の根拠を聞けば、契約目当ての査定であるか判断が可能です。高額査定を出す会社のすべてが悪徳業者というわけではありませんが、必ず確認しておきましょう。
不動産査定において、リフォームや付帯設備は価格にあまり影響しません。リフォームをした売主はその費用を上乗せして高く売りたいと考えます。しかし、買主にとってそのリフォームが適切であるとは限りません。
希望に合わないリフォームが施されており、相場以上の価格に設定されていれば、買主は違う物件を探そうとするでしょう。リフォームや付帯設備などで手を加えて価格を高くするよりも、現状で安く売り出す方が賢い売り方となります。
不動産売却に関して紹介してきましたが、初めて売却する人は不安が絶えないでしょう。ここでは、不動産売却をする人の不安を少しでも減らすためによくある質問を2つ紹介します。
納得できる不動産売却をするためにも、ぜひ確認してください。
不動産の無料査定では、残念ながらトラブルが発生しています。インターネットから気軽に申し込める無料査定ですが、その後の営業がしつこく利用者が嫌な思いをすることがあります。また、断ったのに何度も連絡をしてくるような業者もあるようです。
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、信頼できる業者にのみに無料査定を依頼しましょう。一括査定を利用する場合は、悪徳業者を排除しているウェブサイトを利用するのがおすすめです。
不動産の見積もりを取るときには、不動産一括サイトを利用するのがおすすめ。1回の申し込みで複数の不動産会社に見積もりを依頼できるので、手段としては非常に有効的です。
不動産査定において相見積もりは基本ですが、自分で申し込みをおこなうのは面倒です。不動産一括サイトを利用して簡単に複数社の査定を入手しましょう。
今回は、不動産売却の際の見積もりについて解説しました。不動産を売却する際は、複数社で見積もりを取ることが基本です。3社以上の不動産会社を比較して、あなたの大切な不動産を適切な価格で売却しましょう。
不動産の見積もりには準備が必要な上に注意点もあります。この記事を参考にして、スムーズに査定を完了させましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。