田舎は地価も安く、土地も豊富です。しかし、土地活用をしたくても「難しい」といわれています。
田舎の土地活用が難しいとされる理由に、以下の3つが挙げられます。
この章では、田舎の土地活用が、意外にハードルが高い理由について、詳しく解説していきます。
「自然豊かで長閑な田舎は、スローライフにもピッタリでは…」とビジネスチャンスも感じそうですが、人口が少ないのが田舎です。需要がなければビジネスになりません。
需要が低い理由として、以下が挙げられます。
田舎は車社会です。利用者が少ない分、電車の駅も遠く、バスの本数も少ないのが実情。また、スーパーやコンビニも少なく、移住を検討する上で不便を感じる方も多いでしょう。
田舎の土地は、山地や竹林などが多く草木も生え放題であることが多いです。活用するためには、宅地向きの土地に整えるための工事(宅地造成)が必要です。
しかし、木の伐採や岩をどかして整地する作業には、とてもお金がかかります。また、斜面の多い複雑な地形は、お金をかけて宅地造成をしても、建築法上の規制で建物の建設が難しい場合もあるので注意してください。
「所有の土地が、宅地造成して活用できる場所なのか」を事前に調査すると良いでしょう。
田舎の土地活用でネックになるのは、法律による規制です。特に、「都市計画法」「農地法」の2つが大きく立ちはだかります。
「都市計画法」の市街化調整区域にあたる土地の場合、建築が認められていません。すでに建物がある場合、建て替えや改築にも行政の許可が必要となります。
「農地法」で農地として指定されている土地の場合は、農地以外の転用が難しいケースもあります。親から受け継いだ農地の転用を考えている方は、まずはその土地の農地の種別を確認することから始めましょう。
届け出によっては農地以外に転用できる場合もあります。生産緑地指定を受けている農地は、自治体への売却も可能です。
各種法律の規制にかからない田舎の土地では、実際にどのような活用をされているのでしょうか。田舎だからこそ広々とした土地を活かし、さまざまな土地活用があります。
【田舎で土地活用するアイデア7つ】
土地活用の内容によって、それぞれメリット・デメリットが存在します。両方を知った上で、参考・検討してください。
土地活用で注目されている1つが、コンビニ経営です。自身で経営する方法もあれば、土地を提供して業者に運営を委託する方法もあります。
「リースバック方式」は、土地の所有者がコンビニ店舗を建て、店舗と土地を業者に貸し出すやり方です。店舗の建築で初期費用は発生するものの、アパート建設よりも費用は安価となります。
「事業定期借地方式」は、土地だけ貸して、業者が店舗を建てるやり方です。土地だけなのでリースバック方式より、毎月の家賃は少なくなります。
田舎に行けば、太陽光発電パネルが整然と並んでいる風景に出くわすこともあるでしょう。太陽光発電は田舎の土地活用の代表格です。発電された電気を売却し、利益を得ます。
その土地の自治体によっては、太陽光発電パネル設置のための補助金が出ることもあります。売り先は電力会社なので、集客の努力は不要です。市街化調整区域に該当する場所でも、太陽光発電であれば活用可能というメリットも大きいです。
ただし、電力の価格は年々下落傾向にあり、利益率は低めというデメリットもあります。初期投資を回収し、実際の収益が出るまではかなり長い目で見る覚悟も必要です。
年々需要を増す介護施設。サービス付き高齢者向け住宅や老人ホームなど、その人の生き方・介護度合いに応じた施設のニーズが高まっており、介護施設用に土地を貸すだけでも高い利益が期待できるのがメリットです。
コンビニ経営と同じく、介護事業社に建物・土地を貸す方法と、土地だけを貸す方法があり、施設建設のための補助金が出るケースもあります。
デメリットとして、建物を建てる場合は初期投資が高いことと、介護事業の会社が倒産した場合は家賃収入が断たれることがあります。経営の安定した事業者選びも大切です。
少ない初期投資で管理がしやすいトランクルーム経営。ガレージタイプ・コンテナタイプのトランクルームを設置し、貸しスペース経営に利用する方法です。
企業や個人で長期の利用者がいる地域であれば、安定した収入を確保できます。初期投資の低さ、トラブルが少なく管理が楽というメリットもあり、土地活用の人気の方法です。
デメリットとして、過疎地域や倉庫・蔵が多い地域は、借りる人・業者がいないことが挙げられます。コンテナを建てるためにも、ある程度の広い土地が必要です。また、トランクルームが設置できない地域もあります。
活用したい土地が、上記の専用地域に該当しないかを確認しておきましょう。
「少しでも収益が得られればいい」という方は、資材置き場として貸す方法もおすすめ。市街化調整区域でも活用しやすい点もメリットです。
人の少ない田舎の土地であれば、資材置き場として活用される可能性もあります。資材置き場として使えるスペースを作るための初期投資は必要で、賃料も高くはありません。管理の必要もなく簡単です。
ただし、資材置き場として業者が使いやすい場所であればという条件付きとなります。
駐車場経営のメリットは、初期投資が少なく、失敗したときもリスクが低いことがあります。車社会の田舎は、一家に一台ではなく「一人一台」です。過疎化地域でなければ、需要が望めます。
ただし、駐車場のため、車の入出庫がしやすい場所であることが条件です。車がすれ違いにくい場所や、細い道を通らなければならない場合は、不向きとなります。
人が少ない田舎でも、場所によってはアパート・マンションの需要が望めます。田舎に大きな工場・大学が誘致される場合もあるためです。
近くに大学や大きな工場・会社がある場合、再開発の予定がある場合は、社宅・寮としての可能性もあります。また、外国人労働者向けのアパートも需要が高まってきました。
ただし、都会ほど高額な家賃は望めず、空き家のリスクがあるデメリットも知っておきましょう。
相続した土地や、投資用に購入した土地など、田舎の土地を活用するためには、ポイントを知っておきましょう。
田舎の土地活用をするときのポイントとして、以下の3つが挙げられます。
ポイントを理解し、所有の土地・自身のライフスタイル・資金に合う活用方法を選んでください。
どんな土地も、活用するためには初期投資が必要です。自治体の補助金を利用できれば、初期投資を安く抑えるサポートとなります。
補助金を受けられる活用法として、以下の3つの例があります。
それぞれ、要件や限度額が細かく設定されているため、自治体や土地の専門家と相談してください。
自治体によっては、空き家の解体に補助金がもらえるので、「まずは更地にしよう」という方におすすめです。
市街化調整区域とは、「市街化抑制をするために指定された地域」のこと。原則として建物建設ができないエリアです。市街化調整区域に該当する場合は、活用方法が駐車場や資材置き場などに限定されてしまうため、事前に確認しておきましょう。
【活用したい土地が市街化調整区域に該当するかの確認方法】
自治体によっては、用地地域の検索システムを提供している場合もあります。
活用したい土地が、農地法の規制にかかっていないかも確認しておきましょう。農地法は農地保護のための規制です。農地以外に転用したい場合は、農業委員会への申請・許可が必要になります。
「農地以外に使えないのか…」と諦めることはありません。農地として活用する方法として、以下のアイデアがあります。
農地の売却や農地集積バンクへの貸し出しは、田舎で農地が余っている場合は難航するかもしれません。
相続した田舎の土地は、まったく活用できないわけではありません。やり方次第で利益を得る方法はあります。
まずは、「都市計画法」の市街化調整区域や「農地法」の規制にかかっていないかを確認しましょう。その土地の環境に合わせて、初期投資と管理面を見ながら何に活用するか検討が必要です。
自分ではわからない場合は、土地活用の専門家にアドバイスをもらうのもおすすめです。補助金申請や活用のサポートまでしてもらえます。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。