まずは、マンション売却の内覧について、基本的な知識を紹介します。
ここでお伝えする3つの基本情報について、正しく把握しておきましょう。
マンション売却の内覧から成約に至る流れは、主に下記のようになります。
はじめに、購入を検討している方から、不動産会社に内覧の申し込みがあります。その後、不動産会社から内覧の申し込みがあったと連絡が入るため、内覧のための準備を開始しましょう。
スケジュールを合わせたら実際に内覧をおこない、希望者がその物件を気に入れば、購入に関する条件交渉に入ります。引き渡し時期や値下げなどを話し合い、双方が納得できれば契約となります。
マンションの売却が成立するまでの内覧件数は、一般的に約5件から10件ほどとされています。しかし、この件数はあくまで目安にすぎません。
1回限りの内覧で契約が成立することもあれば、10回以上の内覧をしても購入者が現れないケースもあります。複数回の内覧を実施しているにもかかわらず契約が成立しない場合、不動産会社に相談して対策を考えなければいけません。
1回の内覧時間は、およそ2時間と考えておきましょう。マンションの購入は、決して安い買い物ではありません。そのため、じっくりと見て決めたい方は多くいます。
なかには1時間もかからずに内覧が終わるケースもありますが、内覧時のスケジュールは余裕を持って調整しておくと安心です。
また、急遽内覧希望の連絡がくることも少なくありません。断ることもできますが、いつ内覧希望者がきても対応できるよう、常に準備しておきましょう。
ここからは、マンション売却の内覧前におこなう準備を紹介します。ポイントは、以下の6つです。
購入希望者に物件を気に入ってもらうためには、売主がしっかりと準備しておく必要があります。6つのポイントについて詳しくお伝えするので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
当然ですが、内覧前には部屋の掃除をしておかなければいけません。ほこりが溜まっていたり、汚れが目立っていたりするような部屋の場合、いくら立地や周辺環境が良くても魅力が半減してしまいます。
清潔感のない部屋は値下げ交渉の要因となってしまうため、しっかりと掃除するようにしてください。とくに大切なのが、下記の4か所です。
それぞれ目につきやすく、気にする方も多くいるため、他の場所以上に念入りに掃除をしておくようにしましょう。
部屋を広く綺麗に見せるためには、整理整頓は欠かせません。部屋の散らかり具合によっては、実際の広さよりも狭く見えてしまいます。
床の上に物を置かない、不要な物は早急に処分するなどをしておくと、広さを強調するだけではなく、清潔感のある雰囲気も演出できます。
ただし、収納スペースをチェックしたい内覧者もいるので、不要な物をクローゼットなどに押し込むことのはやめておきましょう。トランクルームや新しい引越し先などを利用して、極力物を少なくするように努めてください。
ペットを飼っていたり、入居中にタバコを吸っていたりした場合は、必ず臭い対策をしておきましょう。臭いは、壁などに染みついてしまうとなかなか取れません。内覧の数日前から対策しておくように心掛けてください。
とくに、タバコの臭いを嫌う方は少なくありません。内覧者が喫煙者であっても、これから新しく入居する部屋がたばこ臭ければ、それだけで印象が悪くなります。
長く住んでいると自宅の臭いはわからなくなってしまうため、不動産会社の担当者などにチェックしてもらうとよいでしょう。
長く暮らしていると、壁や床などにどうしても小さな傷などができてしまいます。大規模なリフォームをおこなう必要はありませんが、最低限の修繕をしておくようにしましょう。
壁の傷や画びょうの穴などは、DIYで簡単に綺麗にできることがあります。自力での修繕が難しい場合は、不動産会社の担当者に相談して、対処方法を一緒に考えてもらうのもおすすめです。
小さなことですが、内覧する方に気持ち良く過ごしてもらうためにも、専用のスリッパを用意しておきましょう。こうした小さな気遣いは、物件そのものに好印象を持ってもらうことにもつながります。
あらかじめ内覧の予約人数は把握することができますが、急遽人数が増えることもあるため、余裕を持って多めに準備しておくようにしてください。
また、他の人が使ったものを使用したくない方も少なくないため、可能であれば使い捨てのスリッパを準備しておくと安心です。
物件を魅力的に魅せることで部屋のイメージを上げる販売手法に、「ホームステージング」があります。モデルルームのようなおしゃれな家具や照明などを使用することで、理想的な暮らしを演出する方法です。
費用はかかってしまいますが、効率良く購入希望者を集めたい場合は、ホームステージングの利用もおすすめです。ホームステージングを利用することによって、成約までの期間が短くなることも珍しくないため、よりスムーズな売却を希望するのであれば、ぜひ検討してみてください。
マンション売却の内覧を成功させるためには、小さな気配りがとても大切です。先ほどお伝えしたように、部屋の掃除や整理整頓はもちろんですが、見た目だけを頑張っても意味がありません。
内覧を成功させるためには、以下4つのコツがあります。ここでお伝えする内容を正しく把握して実行することで、内覧者からの印象はとても良くなり、契約までスムーズにいく可能性が高くなります。
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
部屋の印象は、明るさで大きく左右されます。日中どのくらい日の光が入るのかを気にする方も少なくありません。そのため、できるだけ部屋が明るくなるように工夫しておくことが大切です。
窓の前に大きな家具などがあると日の光を遮ってしまうこともあるため、他の場所に移動させておきましょう。電気をつけるのもおすすめです。その際、より明るく見える照明を選んでください。
内覧する方の多くは、物件の見た目以上に実際の住み心地を重視している方が少なくありません。そのため、住民にしかわからないアピールポイントをしっかりと伝えましょう。
住んでみないとわからない良さを話すことで、より具体的に生活スタイルをイメージしやすくなります。近隣のスーパーの混み具合や周辺の夜の治安・明るさなどをぜひ伝えてください。
ただし、アピールをしすぎると、かえって強引な印象を与えてしまうこともあるため、ちょっとしたポイントを伝える程度にとどめておきましょう。
内覧者からネガティブな質問をされた場合も、ごまかさずに真摯に答えてください。購入を真剣に考えているからこそ、マイナスな面も事前に知っておきたいと考えるのは当然です。
ネガティブな内容に答えることでマイナスなイメージを持たれることもありますが、しっかりと受け答えをしない方が印象は悪くなります。
ただし、なかにはマイナスな要素が強すぎる場合もあるため、不動産会社の担当者と事前に打ち合わせをして、回答する内容をあらかじめ用意しておくと安心です。
内覧をしている方にぴったりくっついていては、ゆっくりと物件を見ることができません。なかには早々に内覧を終了してしまう方も出てしまいます。
そのため、ある程度の説明が終わったら内覧者のそばを離れるなど、落ち着ける環境を提供してください。小さな子どもやペットがいる場合は、内覧の時間だけでもどこかに預ける・誰かに見ていてもらうなどの配慮をすると、内覧者はゆっくり物件を見ることができます。
納得できるまでゆっくり見てもらえるように、落ち着いた環境作りをすることもマンション売却成功へのコツと言えます。
マンション売却の内覧には、とくに注意すべき3つの項目があります。内覧者に対して良かれと思ってしたことが、後々大きなトラブルの要因となってしまうことも少なくありません。
どのような項目に注意すべきか、その具体的な内容について詳しくお伝えするので、しっかりと頭に入れておくようにしてください。
内覧後に、仮押さえの申し出を受けるケースがあります。しかし、正式な申し込み以外は、すべて断るようにしてください。
もしも仮押さえを受けてしまった場合、別の方からの強い購入希望があっても、受けることができなくなります。仮押さえをしたとしたも、「やっぱりやめたい」「もう少し考えたい」という気持ちの変化で白紙になることも珍しくありません。
仮押さえを受ける場合は、期限を決めて受けるようにしてください。期限内に正式な申し込みがないときには、他の購入者を優先することも伝えておくことが重要です。できるだけ多くの方が購入できる状態を守るようにしておきましょう。
内覧の際に、値引き交渉をされることは多くあります。値引き交渉を持ちかけられた場合は受けることも可能ですが、その際に安易な値引きはしないようにしてください。購入者の希望をすべて汲んでしまうと、結果的に損してしまうケースも少なくありません。
また、簡単に価格を下げると、「言えば値下げしてくれる」という印象を持たれてしまい、強引な値引き交渉をされてしまいます。値下げする場合はその根拠を示し、いくらまでであれば可能なのかを明確にしておきましょう。
曖昧な口約束は、後々大きなトラブルの要因となるので、絶対に避けてください。とくに、仮押さえや値引き交渉などに関することは、注意が必要です。
不動産会社の担当者がその場におらず、当人同士での口約束をしてしまった場合、「言った」「言ってない」の争いとなり、せっかくの契約もなくなってしまいます。売却する側に不利な契約条件となる可能性も少なくありません。
内覧者との交渉の際には、必ず不動産会社の担当者に同席してもらう・曖昧な情報は伝えない・口約束は避けるなどの対策が必須となります。
マンション売却の内覧を募集しても、なかなか申し込みが来ないこともあります。どうすれば申し込みを増やすことができるか悩んでしまう方も少なくありません。
ここでは、マンション売却の内覧に申し込みが来ないときの対処法を紹介します。
内覧の申し込みが来ない要因として、売却価格が高すぎることが考えられます。相場よりも値段が高い場合、立地や設備が良くても内覧者は集まりにくいです。
周辺地域の相場を確認し、物件情報などを比較してみてください。そのうえで、不動産会社の担当者と相談して売り出し価格を見直しましょう。
内覧者が集まらない場合、価格だけが要因とは言えません。不動産会社の営業活動についてもよくチェックしてみてください。
魅力のある広告が出されているか、そもそも広告を出してくれているかを確認することが大切です。もしも不動産会社との相性に不安を感じるのであれば、一括査定サイトなどを利用して、他の業者に乗り換えることを検討しましょう。
マンションの売買は、2月や3月が取引の盛んな時期となります。内覧者が集まらない要因としては、売却時期が適切でないことも少なくありません。
マンションの取引は、1月・5月・8月などに落ち込む傾向があります。そのため、繁忙期に売却時期を変更するなどの対策をしましょう。
また、ライバル物件がある場合は、売り出す時期をずらすのもおすすめです。ライバル物件の方が魅力的な条件や価格となっている場合、同じ時期に売り出すと購入希望者に比較されて売れ残ってしまうこともあります。
その結果、販売価格を下げなければいけなくなるため、売却時期について不動産会社の担当者と相談しましょう。
最後に、マンション売却の内覧に関するよくある質問に回答します。
後から困ることがないように、2つのよくある質問について確認しておきましょう。
お茶をふるまうような気遣いを見せることは、大切です。必須ではありませんが、相手の印象はとても良くなります。
マンションの売却では、住んでいた前のオーナーの人柄を考慮する方も少なくありません。些細なことではありますが、小さな気遣いで購入意欲が上がるケースもあります。
マンション売却の内覧は、居住中と引越し後でそれぞれメリット・デメリットがあります。居住中に内覧をおこなうメリットとデメリットは、以下の通りです。
居住中は家具や雑貨が配置されているので、実際の生活環境がイメージしやすいです。しかし、内覧に対する準備の手間がかかるうえに、生活感が出すぎてしまうこともあります。
引越し後に内覧をおこなうメリット・デメリットは、以下の通りです。
引越し後に内覧をおこなう場合、家具などがないため内覧者に余計なイメージを与える心配がありません。さらに、部屋を片付ける手間を省くこともできます。
しかし、まったく何もない状態となるため、殺風景で寂しい印象を与えてしまったり、実際の生活スタイルがイメージしにくかったりします。
これらのメリット・デメリットをよく把握し、どちらの状況が自分に合っているかを見極めてから内覧のタイミングを決めていきましょう。
マンション売却の内覧は、事前にしっかりとした準備が欠かせません。印象を良くするための掃除や整理整頓はもちろん、内覧者が気持ち良く物件を見学するための環境を整えることも大切です。
また、マンションの売却を成功させるためには、内覧の際の注意点や申し込みが来ないときの対処法を把握しておかなければいけません。ぜひ本記事で紹介した情報を参考にマンション売却の内覧を成功させましょう。
関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)、登録販売者など多岐にわたる資格を保有。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を行う。